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2022-04-15 21:48

#62 SCP-1913-JP - クロッキールーム

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紹介SCP

Author: aisurakuto
Title: SCP-1913-JP - クロッキールーム
Source: http://scp-jp.wikidot.com/scp-1913-jp
Year of creation:2020
CC BY-SA 3.0

SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3

©︎SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/
00:04
スピーカー 1
アイテム番号 SCP-1913-JP
オブジェクトクラス セーフ 特別収容プロトコル
スピーカー 2
SCP-1913-JPが内在する建築物は、現在セクター3331として運用されています。
SCP-1913-JPへの侵入口は封鎖され、改築により全室が設けられています。
スピーカー 1
SCP-1913-JP内の監視には、以前から設置されていた非特異性の設備を利用します。
スピーカー 2
特異性の定期点検は、担当職員に調査機器と描画用画材を携帯させて行います。
説明
スピーカー 1
SCP-1913-JPは東京都千代田区にあるコンクリート建築物の一室です。
スピーカー 2
建築物の内扉からのみ侵入でき、通気口などを除き、建築物外との接続点はありません。
スピーカー 1
内部は10m×10m×3m程度の空間を有し、以下の非特異性の特徴が存在します。
スピーカー 2
なお、建築物にはGOIの関連人物が訪問した痕跡が数多く残されています。
スピーカー 1
すべての壁面の大部分は鏡に覆われている。
天井の4箇所及び扉付近を内部と外部から映す位置の2箇所に監視カメラが設置されている。
スピーカー 2
記録された映像は建造物内の別室に取り付けられたコンピューターにて保存され、モニターで監視可能だった。
中心部に高さ0.6mのオクセースツールが設置されている。脚部と床は金具により止められている。
スピーカー 1
SCP-1913-JPの天井と床に取り付けられた照明の表面には、異常式サイロンの原理に基づく装飾が施されています。
スピーカー 2
照明装飾と内部の鏡との関係により、SCP-1913-JP全体で一般的な人間には認識不可能な光の屈折と識覚異常が発生します。
SCP-1913-JPへ侵入した多くの存在、以下被験者は無自覚のうちに影響下に置かれますが、この段階では明確な異常に暴露せず、SCP-1913-JPでの識覚も正常です。
スピーカー 1
被験者が何らかの表現活動を行う意思を持った場合、SCP-1913-JPによる空間性影響は視覚的段階に移行します。
03:02
スピーカー 1
この時、被験者は実像、以下、SCP-1913-JP-Aをスツール付近に原始します。
スピーカー 2
30秒から60秒の範囲で、SCP-1913-JP-Aの形態は了解した後に再集合するようにして変化します。
SCP-1913-JP-Aの変化の過程は被験者により異なりますが、最初に認識するSCP-1913-JP-Aは、裸体の被験者がスツールに座る姿に固定されています。
スピーカー 1
実験記録-1913-JP
死人するSCP-1913-JP-Aの具体例調査
被験者-D-9629
スピーカー 2
30歳日本人男性、芸術に関する一定の技術を持つ。
実施方法-D-9629に調査機器を装着させ、筆記用部とスケッチブックを所持させた上でSCP-1913-JPへ侵入させる。
スピーカー 1
SCP-1913-JP内でスケッチをするように指示し、死人したSCP-1913-JP-Aを描画させる。
スピーカー 2
結果-報告された結果の抜粋を以下に記載。
維持時間36秒。報告されたSCP-1913-JP-A。裸体のD-9629。無表情のまま自然体でスツールに座っている。
43秒。肉体が変形したD-9629。足と頭部に対し、胴部が後方に押し出されている。
34秒。成人男性を模した彫刻。アントニー・ゴームリーの作品と細部の特徴が一致。
56秒。オレンジの実が盛られた木製皿。1個が灰色に変色していた。
52秒。弾組の一部が欠落したトランプタワー。崩壊する前兆を見せなかった。
48秒。首が逆向きの競争馬。
37秒。土が規格外に巨大な金槌。
木、木のA金が設置しており、土の部分を支えている。木柄。木柄が設置しており、金槌の部分ですね。土の部分を支えている。
31秒。パブ風の盾看板。表面で値段を示す数字が右往左往する。
58秒。いくたの筒が突き刺さったコンクリートの直方体。筒からは透明な粒を排出していた。
55秒。編集済み。周辺に置かれたクォーツ時計は過去の発生時刻と一致。
06:06
スピーカー 2
54秒。ツル植物に逆さずりにされたビル場をグッケンハイム美術館の模型。
47秒。一定の空間をループして降り注ぐ小さな顔のない人型実体の群れ。
59秒。黒い液体が入ったカップ一杯。
スピーカー 1
指認したSCP-1913-JP-Aに対し、D-9629は当初こそ困惑と警戒の様相を示した。
スピーカー 2
しかし、SCP-1913-JP-Aを描画する回数を重ねるにつれ、D-9629はSCP-1913-JP-Aを注視するような姿勢に推移した。
スピーカー 1
実験終了後のインタビューにて、D-9629はSCP-1913-JP-Aと自身との同一性を主張した。
スピーカー 2
すべてのSCP-1913-JP-Aが表す物事は自身の構成要素に含まれていると説明し、スケッチにより書き留めることで発見を得たと述べた。
スピーカー 1
この精神変化は、SCP-1913-JPやSCP-1913-JP-Aが直接発する精神影響効果によるものではなく、SCP-1913-JP-Aの指認が被験者に促すものと分析されている。
スピーカー 2
他の職員にもこの実験を実施したが、精神変化の種類や程度が異なり、一切の影響を受けない事例もあった。
発見経緯、2011年11月9日、SCP-1913-JPはPOI-1052-1が財団に対して直接的な接触を図った際に発見されました。
POI-1052-1エゴー支援は、GOIと関連する異常芸術家であり、確保時点で後援者の支援を得てSCP-1913-JPを管理運営していました。
拘束時、無抵抗を宣言し、自身が有するGOIの情報を提供する旨を伝えました。
POI-1052-1エゴー支援へのインタビュー記録、2011年11月9日。担当者、梅田彩。
スピーカー 2
インタビューは、担当直入に聞きます。あなたの目的はどういったものですか?
スピーカー 1
POI-1052-1 自爆を疑ってんなら安心してもらって構わない。あの枠組みの中でやる仕事がなくなったから生産してもらいに来ただけだ。
09:00
スピーカー 1
連中の反応は知りたかったが。 インタビューは、しかしあなたには芸術家とは別の役職があるはずです。
スピーカー 2
あなたの後援者は、管理者としてあなたを支援していました。 それを放棄するのは合理性がないように思いますが。
POI-1052-1 まだ密定の可能性を疑っているのか?合理性なんか知ったことか?
スピーカー 1
あの部屋は俺からパトロンに持ちかけて支援を頼み、築き上げた。 俺の仕事をやるために、だ。
俺の仕事は終わった。もう用済みなんだよ。 インタビューは、
スピーカー 2
なるほど、その仕事とやらに触れる前に部屋について聞いておく必要がありそうですね。 今一度、あの部屋の役割を説明してもらえませんか?
スピーカー 1
POI-1052-1 仕方ないなぁ。
簡単に言えば、あの部屋はアーウィークールイエットの公共空間だ。 異常芸術に関与している人間なら誰だって立ち入れる。
スピーカー 2
利用者のほとんどは芸術家だった。 娯楽で立ち並む段階じゃなく、実際に作品制作をする奴ら。
インタビューは、彼らは制作のために部屋を使用していましたか?
スピーカー 1
POI-1052-1 当然そうだろう。
スピーカー 2
だが、あんたが考えているような筆やのみを使う段階の話じゃない。 インタビューは、構想段階ということですか?
スピーカー 1
POI-1052-1 もっと前の話だ。 芸術家の創作意欲ってのは虚無から湧いては来ない。
情動なり、違和感なり、形を持たせたい観念を抱いた瞬間から表現の施策が始まることがある。
スピーカー 2
そこを切り口にするには何かを見つめなきゃならない。 その対象に芸術家自身が選択されるのはよくあることだ。
で、ああいう部屋は自分を見つめるのに最も適している。 インタビューは、つまりあの部屋は事故を探求する装置ということですか?
POI-1052-1 ああ、そこは俺も使ってた作家もパトロンも同じ見解だろうよ。
インタビューは、分かりました。 次にあの部屋を運営していた理由について教えてくれませんか?
POI-1052-1 奴らの勘違いを指摘するためさ。
スピーカー 1
インタビューは、詳しくお願いします。 POI-1052-1
あそこは勘違いやろうで溢れ返っている。 正直言って、別に絵画を設置した空間で人が死のうと俺はどうでもいい。
12:03
スピーカー 1
それは俺とは何の繋がりもないんだ。 問題は人を殺して何がしたいかなんだよ。
スピーカー 2
そのメッセージのために干渉者が死亡する意味はあったのか? そのイデオロギーを伝達するためにビルを爆破する意義はあったのか?
いいんだ、それが本当にふさわしいのなら。 だが最近は少々目に余る。
インタビューは、異常を用いた表現に対する疑念ですか?
スピーカー 1
POI-1052-1 少し違う。異常はツールとして悪かはない。
問題は使い手にある。 素晴らしい芸術を思い浮かべてみろよ。
スピーカー 2
古代ギリシアの彫刻から21世紀のポップアートに至るまで大量の作品が出てくる。 範囲を絞って自画像にしてやってもいい。
スピーカー 1
異常を使わない作家だって意欲と神秘感で新たな領域を開拓している。 それに引き換え、
スピーカー 2
ボンビャクな異常芸術家ってのは異常の上に油をかいて座ったままだ。
インタビューは、 異常芸術家たちの技法に問題があると?
POI-1052-1 そんなところかな。
スピーカー 1
考えてみろ。俺たちは普通じゃないことができるはずなんだ。 なのに言葉遊びかテロリズムで満足している連中で溢れている。
その異常で切り開ける境地があるとは思考の隅にもない。 そういう奴が増えすぎた。
スピーカー 2
基礎デッサンから見出せる領域すらおざなりにして、コピーされたような得意を有り難がって、 その導入に躍起になっている芸術家が。
インタビューは、 あなたの熱意は理解しましたが、意図と行動が合致していないように思います。
異常な空間での幻覚により自己探求を促すのは、 あなたの剣をする事柄と同義ではないのですか?
スピーカー 1
POI-1052-1 結論を急ぐな。理解したんだろ?
スピーカー 2
異常芸術家は異常が大好きだ。 向き合うべき己や芸術の世界じゃなく、異常に向き合うくらいには。
スピーカー 1
なあ、あんた。あんたは自分を何だと思う? インタビューは、
その質問に回答する必要性を感じません。 POI-1052-1
だろうな。あんたは芸術に何の関心もなさそうな顔をしている。 この問いもくだらないと思っている。それでいい。
スピーカー 2
どう思考をこねくり回したって、あんたはあんたで、俺は俺だ。 だからといって、俺は探求が無意味とは思わない。
15:00
スピーカー 2
インタビューは、何が言いたいのですか?
スピーカー 1
POI-1052-1 俺は異常のない芸術から異常芸術に移った身だ。
教え込まれたワードに、探求は観察から始まるってのがある。 己の崩れた姿勢が他者との差異を明示し、内側に潜む何者かを引き出すことに繋がるんだ。
対して異常芸術家は喪失された安易な異常に目を輝かせる。 例外がなかったわけじゃないが、奴らは次々と自分とは無縁の幻覚に、
己が内在していると勘違いした。 インタビューは、
すると被験者が原始する像には何の意味もないと? POI-1052-1
当たり前だろう。ランダムな事象を錯覚させるだけの簡単なからくりだ。 特殊なことといえば、利用する奴の裸体を最初に反映する細工を施したくらいか。
スピーカー 2
浅い仕掛けだよ。奴ら、意味のない影を自分だと思い込んで必死にクロッキーするんだ。 自分の内側から引き出すべき芸術家の魂がそんな簡単に見えてたまるかよ。
スピーカー 1
インタビューは、それを誘発させるのがあの部屋の役割ですか? POI-1052-1
誘発?人気の悪い。 俺は確かに自己探求のために部屋を貸したし、設備を整えてやった。
どこに座って何を描けばいいかなんて一目瞭然だ。 わざわざスツールを置いて、壁を鏡張りにしてやったんだから。
スピーカー 2
それに、あの部屋は俺の部屋だ。そんな薄い役割じゃない。 異常を使った最後の作品を構築するための俺のクロッキー部屋さ。
インタビューは、作品制作をされていたんですね。 その作品はどこに?
スピーカー 2
POI-1052-1 俺の知ったことじゃない。破棄されてるかもな。
インタビューは、なぜそう思うのですか? POI-1052-1 作品に異常を使わなかったから。
スピーカー 1
紙と鉛筆で十分、それが俺自身の表現方法として行き着いた結論だ。 だが、異常には無限の可能性があるのは変わらない。
スピーカー 2
人間の素性を明かすのは異常の領域。 それを視覚的に書き取ることこそが俺の、いや、俺たちの仕事だ。
スピーカー 1
もう俺は世紀から外れるがな。 情報提供の後、POI-1052-1 は、長寿社会に関する知識の記憶処理と社会復帰援助を要求しました。
スピーカー 2
この要求は却下され、POI-1052-1 の処分は保留されています。
18:03
スピーカー 1
ほい、POI-1052-1 により提供された情報を基として調査を行ったところ、一件の異常芸術イベントの痕跡が発見されました。
イベントは東京都南区にて、POI-1052-1 の交流直後に開催されたことが判明しています。
スピーカー 2
このイベントの主催者は、POI-1052-1 の講演者と一致していました。
スピーカー 1
イベント内容は異常芸術を取り扱う展示会であり、多数の異常芸術家が作品を出品していました。
スピーカー 2
これらの芸術家は過去に SCP-1913-JP を利用していたと、POI-1052-1 は発言しています。
スピーカー 1
利用時期との関係から、作品は SCP-1913-JP 利用後に製作された、作成・製作されたと考えられます。
イベント調査の過程にて、POI-1052-1 がエゴシエン名義で出品したと思わしき作品が放棄されているのを発見し、
スピーカー 2
調査班はこれを回収しました。 以下に内容を記載します。
材質 紙 鉛筆
スピーカー 1
内容 クロッキーによる人物画が描き込まれた紙。紙は複数枚存在する。端には名前が書かれており、
スピーカー 2
SCP-1913-JP を利用した異常芸術家の名前と一致した。 このことから、描画対象は複数の異常芸術家だと判明している。
スピーカー 1
職者画は、描画する様子、部屋から入退出する様子を一人につき何パターンか書き留めていた。
描画する様子については、顔を中心に感情的な動作を流れるような線で描いている。 説明文。
スピーカー 2
異常を刺激するのが異常芸術家ならば、異常に見えられるな。 事故から目を逸らして、一体どこを見ているんだ。
スピーカー 1
Hey, are really you cool yet? 幻覚・建造物・芸術・視覚のタグがついています。
スピーカー 2
1個だけ、多分これ、Are we cool yet? についてですね。 異常を表現活動に用いるアナーキスト、異常芸術家俊太主婦団の一派。
異常芸術、カッコ、アナートについては、ハンナ・モレル博士による解説を参照のこと。
また来ましたね。 何だっけ? 芸術は竜巻だ、みたいな。
SCPにも出てきてましたね。 Are we cool yet? 異常芸術家集団の一人。 その異常芸術を使う芸術家たちを観察してたエゴシエンさん。
21:04
スピーカー 1
異常を使って芸術活動をすること自体には否定的ではないけど、
スピーカー 2
それの異常性を自身のオリジナリティ、独創的な自分の内面を表していると勘違いして、
天狗になっている奴らが花持ちならないというような印象ですかね。
はい、というSCPでした。 では、また次回。お疲れ様です。
21:48

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