1. SCP話
  2. #61 SCP-5666 - 精神が太陽へ..
2022-04-10 36:10

#61 SCP-5666 - 精神が太陽へ向かう時

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紹介SCP

Author: Lamentte
Title: SCP-5666 - 精神が太陽へ向かう時
Source: http://scp-jp.wikidot.com/scp-5666
Year of creation:2020
CC BY-SA 3.0

SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3

©︎SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/
00:05
スピーカー 2
レベル4 5666 秘密
スピーカー 1
アイテム番号 SCP-5666
オブジェクトクラス セーフ
特別収容プロトコル
SCP-5666を覆う格納庫が建設され、
SCP-5666のさらなる劣化を防ぐ目的で維持されます。
SCP-5666-A内で円滑にSCP-5666を離陸させるため、
格納庫とつながる滑走路からは定期的に積雪とデブリを取り除きます。
民間人によるSCP-5666への接触の試みは阻止され、
当該人物はヌナブト・ジュンシュ・レゾリュートへ移送されます。
SCP-5666の起源及び墜落の原因に関する情報が得られるまで調査が継続されます。
説明
SCP-5666はヌナブト・ジュンシュ・コーン・オリス島に存在する墜落したフォッカーF-27旅客機です。
財団のエンブレムとともに管理者所有の文言が刻まれたプラカードが、
SCP-5666の左部・左部・ドアに固定されています。
コクピット内に制御装置が追加されている等、わずかに改造が施されていますが、その用途は不明です。
SCP-5666は移動・ないし修理が非現実的とみなされるほどの著しい損傷を受けています。
SCP-5666内部の人間は、機体が無傷であり、従前に機能することを知覚します。
SCP-5666の操縦を試みた場合も同様に、内部の人間は操縦に成功したことを知覚します。
この影響は、内部に置かれたカメラや録音機器にも及びます。
SCP-5666が現実の所在地から離れた場所へ飛行するに従い、コクピット外の知覚世界は現実と異なることが明らかになります。
知覚世界は、SCP-5666-Aに指定されています。
SCP-5666-Aは、現実に存在する動物及び人間を描いています。
SCP-5666-A内の飛行は、最初の数キロメートルの動定を再起的に繰り返します。
03:03
スピーカー 1
僅かな変化を伴いながら、再起状態は飛行が続く限り継続します。
基地の変化として、木々の外観、位置の僅かな変化、現実に存在しない人工物の出現、識別困難な人影の出現が挙げられます。
これらの異常性に加えて、SCP-5666-Aは記憶改変を及ぼしますが、影響の詳細は不明です。
さらなる情報を得るには、ホイ-5666-1を参照してください。
SCP-5666-A内で、SCP-5666の燃料積載量が通常期と変わらず5140リットルであることから、一定距離を超える探査は不可能です。
SCP-5666-A内で、SCP-5666が墜落するか、対象がSCP-5666から脱出した場合、視覚異常は停止します。
対象は以後、SCP-5666の異常影響を受けなくなります。
墜落もしくは脱出に伴い、SCP-5666-A内のSCP-5666の位置及び機体損傷が初期状態にリセットされます。
ホイ-5666-1 SCP-5666-Aの探査
探査記録-5666
探査日時、2020年1月13日
参加者、サミュエル・ヴァンハルム研究員
観察者、マーヴィン・ケルズ主任研究員
シャーロット・メフル研究員
現地ガイドのマディソン・ミンストラタ
前期、ヴァンハルムはSCP-5666-Aと現実の差異を発見することを指示されている。
記録開始
ヴァンハルムはSCP-5666に侵入する。
ヴァンハルム
OK。SCP-5666はムキズのように見える。
あんたたちが言った通りだ。
こいつをどこに向けて飛ばせばいい?
ケルズ
ミンストラタさん、近隣にどこか興味を引く場所はありますか?
ミンストラタ
えー、そうですね。
北に行きましょうか。
北に行くのが面白そうです。
メフル
北には前回行きましたよ。あなたの言った通りに。
ミンストラタ
そう、確かにそうでした。失礼。
メフル
怒る人に向かうのはどうでしょう?
ここの州都です。南西のかなり離れた場所になりますが。
ヴァンハルム
そいつに向かってみることにしよう。
ヴァンハルムはSCP-5666の操縦輪を動かす。
06:04
スピーカー 1
内部カメラは彼がSCP-5666を建設された滑走路に向けて移動させる様子を映し出す。
SCP-5666はSCP-5666-A内で離陸し、中速での飛行を順調に30分間続ける。
SCP-5666-Aが再起動状態に移行する。
ヴァンハルムはその事実を理解し、身体反応を通じて不快感を表にする。
飛行がさらに60分間続けられる。
ヴァンハルム
つぶやき声
メフル
順調ですか?
ヴァンハルム
俺はまっすぐに巡航している。
そう、そのはずだ。
そうだよな。
メフル
ん?
ヴァンハルム
景色の全てに馴染みがある。
もしかしたら…
いや、全部雪だ。
雪が全部同じに見えているだけか。
メフル
これは通常の…
ヴァンハルム
違う、違う。
あの尾根は…あれは…
俺は同じところを回っているみたいだ。
馴染みがある。
何もかもが懐かしいくらいだ。
普通のことだよな。
スピーカー 2
メフル
スピーカー 1
しばらく経つと、SCP-5666A内で認識する世界は繰り返しに突入します。
何か感じるか奇妙なものを見たとしても…
ヴァンハルム
そうだ。
俺にそんな話をしてくれたよな。
多分…
沈黙
ヴァンハルム
多分そうだ。
ただ、繰り返しているような感覚とは違う。
新しいような…
新しい…でも何かが違う。
いや、新しくない。
全部一度は見たものだ。
そうだよな。
中にカメラがあるんだった。
俺は前にもここを通ったか。
ケルズ
そう、6回目だ。
ヴァンハルム
いや、そんなはずはない。
あの海岸線を見たのは初めてのはずだ。
ケルズ
サミュエル
ここ1時間、海岸線の形は変わっていない。
スピーカー 2
ヴァンハルム
スピーカー 1
何もかもがぼんやりとしている。
俺は頭をかいていて…
ちょっと待ってくれ。
ここ1時間?
ケルズ
そう、1時間だ。
1時間、同じ場所を飛び続けている。
ヴァンハルム
いや、そんなはずはない。
ここに来たのは初めてだ。
メフル
サミー?
沈黙。
ケルズ
彼は…彼はそこに座っているだけ。
ヴァンハルム
あんなもの前にはなかった。
水平線の向こうに小さな木造の小屋が見える。
09:03
スピーカー 2
中は照明が灯っていて、おぼろげな人影が周期的に窓のそばを歩いている。
スピーカー 1
ヴァンハルム
あれは見覚えがある。
ここで見たわけじゃない。
あれはここにあったものじゃない。
メフル
サミー?
言葉を明確にしてもらう必要があります。
ヴァンハルム
地震がないんだ。
前にも見ている。
どこかわからない。
どうしてかわからない。
どうやってかもわからない。
ヴァンハルムは小屋の上空を通り過ぎる。
メフル
もう一度小屋が見えることがあれば、
低空飛行してはっきりと視界で捉えてください。
ヴァンハルム
小屋?
沈黙。
水平線の向こうに小さな木造の小屋が見える。
中は照明が灯っていて、
おぼろげな人影が周期的に窓のそばを歩いている。
ヴァンハルム
ああ、あれには見覚えがある。
メフル
小屋に近づいてください。
SCP-566は5分間降下し始める。
し続ける。
小屋に接近するが減速する様子はない。
メフル
サミー?
無反応。
ケルズ
サミエル
サミエル、スピードを出し過ぎだ。
無反応。
メフル
何なのよ、あの中はどうなってるの?
ケルズ
座っているだけだ。
座って前を向いている。
SCP-566は降下を続ける。
小屋との衝突が間近に迫る。
メフル
機体を引き上げて。
ケルズ
サム
ミンストラタがマイクに駆け寄る。
ミンストラタ
サム
あなたがサムなのね。
とにかくそうしなさい。
何をしなければいけないかはわからないわ。
とにかくそうしないといけないの。
とにかく。
ヴァンハルム
あ。
ヴァンハルムはSCP-5666を小屋に衝突させ、
同時にSCP-5666-Aは消失する。
ミンストラタは床の上に泣き崩れる。
ケルズはヴァンハルムの様子を見るため、
観察室を駆け出てSCP-5666へ向かう。
メフルはミンストラタが立ち上がるのを手伝う。
ミンストラタは平成を取り戻す。
ミンストラタ
思い
ミンストラタはメフルの方を向き、笑顔を浮かべる。
スピーカー 2
思い出したわ。
スピーカー 1
記録終了。
後期
その後、ヴァンハルムは全体に近い状態まで回復した。
彼は探査の大部分を想起することができず、
代わりに5歳の時に父親にキャンプに連れて行ってもらった思い出について述べた。
保衣
12:00
スピーカー 1
5666
2
治安
5666
スピーカー 2
1
スピーカー 1
2020年1月14日から2020年1月16日までの期間、
スピーカー 2
SCP-5666は未収容となりました。
スピーカー 1
2020年1月14日、コーン・オリス島を襲ったブリザードにより、
サイト勤務の職員は近隣の都市であるレゾリュートのより安全なシェルターへ避難を余儀なくされました。
現地ガイドのマディソン・ミンストラタを除いた全職員の所在が確認されました。
翌日、職員がサイトに戻ったところ、SCP-5666は消失していました。
ミンストラタは民間のデータベース上に痕跡を残していないとみられ、彼女に関するさらなる情報は得られていません。
彼女が居住していたヌナブ島巡州の職員寮の調査が行われましたが、情報は得られませんでした。
市内の民間人に尋問を行ったところ、彼女はSCP-5666が発見される以前には市内で目撃されていなかったことが確認されました。
サイト勤務の職員の聞き取りが行われ、各員は重大なセキュリティ違反を引き起こしたことを理由に処罰されました。
このうち、マーディン・ケルズ主任研究員は合格され、別プロジェクトに再配置されました。
2020年1月16日、SCP-5666が墜落現場に再出現しました。
損傷はより著しくなっていたものの、異常性質に変化はありませんでした。
ミンストラタは発見されませんでした。
O5評議会はミンストラタの捜索を高優先度の任務とみなしています。
未承認のリビジョンが一件あります。追加文を表示しますか。
リビジョン作成者、エラー。リビジョン吹き、エラー。
HOY-5666-3-22でパラグラフを追加。タイトル未入力。記録開始。
カメラはSCP-5666内の床と思われる場所に落ちている。
3分間カメラが周期的に床の上を滑り続けた後、パイロット席のそばに到達し拾い上げられる。
カメラはSCP-5666を操縦しているミンストラタに向けられる。
著しい口説により外の景色は完全に遮られている。
ミンストラタ。私が降りたどこかしらの場所でこれを見つけるであろう。
スピーカー 2
何か…ん?何方かへ?誰かへかな?
スピーカー 1
乱気流。ミンストラタ。私はSCP財団の管理者です。
15:00
スピーカー 1
その正式名称を私はつかみ取れずにいます。その組織の目的を思い出すことができません。
一つ思い出せるのは…乱気流。ミンストラタ。一つ思い出せるものがあります。この飛行機です。
沈黙。人の思考には穴があります。人が落ちてしまえるほどの大きさの穴です。マンホールのような。
マンホール、そんなものだったでしょうか。まったく妙な名前です。
いいえ、まさか。いいえ、それで正しい。
沈黙。この飛行機を使えば通り抜けられるだろうと思います。
乱気流。ごめんなさい。私は多くを知りません。
彼らがどうしてこれを修理不能だと言っていたのかを知りません。ポケットに入っていたキーを使えば動かすことができました。
私は自分の名前を知りません。ただ馴染み深い名前があっただけです。
私は知らないことで満たされていて、これからその答えを…答えを探しに行こうと思います。
乱気流。これを見つけた誰かがどこで見つけたのであれ、私が残した破片を拾い集めて組み直してくれることを願います。私がそれらを失う前に。
沈黙。しばらくこの方向に飛び続けているのは曲がり方がわからないからでしょうか。今進んでいるのは北、北です。
北に行くのが面白そうです。私はあれを…穴を探さなくてはいけません。この先のどこかにあるはずです。
乱気流。テレビの砂嵐。私は以前、ブリザードの中でこの飛行機を墜落させたことがありました。いつのことだったでしょうか。私が…
さて、テレビの砂嵐。いいえ、それはもっと昔の話でした。私が飛行機を趣味で、そう、趣味で飛行させていた時のこと、心躍る体験でした。
ドアが開く。もう少しマシなものを見せてやるべきじゃありませんか。あの人の一部しかもう残っていないんだ。
スピーカー 2
この様子だと脳がどこか離れていってしまったらしい。本当に辛そうだ。
スピーカー 1
少なくとも今は何をしたって無駄だ。異常な治療法を試したとしてもだ。助けにはなっていると思います。
もしそうだってんなら、本人に伝えてみたらどうだ。
次のは、聞いたことがある。彼女の妻に数ヶ月の猶予を作ってくれたものだ。
あれは、あー、ガラ…ガラントミンだったか。一旦その薬を与えてはどうだろう。どうして彼女を解放しないのですか。
18:02
スピーカー 1
なぜって彼女は。
ミンストラタ。
お静かに。
テレビの砂嵐。
待って。
ミンストラタはリクライニングチェアから降りる。
中に。
中に入れたの?
ミンストラタはテレビの電源を切る。
違う。
違うわ。
私は飛行機には乗っていなかった。
それは昔の話。
遠い遠い昔の…
そうだったわよね。
ミンストラタはテレビの電源を点ける。
テレビが開く。
私は正しい。これで正しい。
私は落ちたのよ。
あのマンホールの中に。
ミンストラタは養護施設のロビーを出る。
彼女は歩く。
ミンストラタは彷徨う。
この場所に残っているものは少なく、かつて書棚に並んでいた大作家を破産させたであろう物語の数々はすでに根こそぎ奪われてしまった。
空虚なトンネルを歩き、彼女は別の場所に至る。
棺が地中に下ろされる。
いや、いやよ。
ミンストラタは誰かに向かって振り返る。
誰?そこにいるのは誰?
誰?
号泣。
人々はその場を離れる。
幾人かはミンストラタを見やる。
彼らは不安そうにしている。
ミンストラタは後ずさりし、隣の墓石につまずく。
見てられない。
遠まきに。
誰かが車で送ってあげないと。
そもそもどうやってここに来たんだ。
本当にここにいるべきじゃない。
本当に。
ミンストラタは横たわりながら、土と草の根が描くマダラ模様を見下ろす。
相当者のつぶやきが渾然一体となり、打ちつける荒波のように彼女を包み込む。
彼女は波打ち際で立ち上がり、歩いて海から上がる。
岸辺に立っている一人の女に向かってミンストラタは歩みを進める。
ミンストラタ。
あなたのことを覚えているような気がします。
私は?
ミンストラタ。
あなたは誰?
えっと、自分でもよくわからないんです。
ミンストラタ。
ふくみ笑い。
いつもそうやって私をからかうんだから。
女はもうそこにいない。
ミンストラタ。
いなくならないで。私は知らないといけないの。
ミンストラタは猿。
彼女は寒色の荒い斜面の上をさまよい歩く。
それはもとあった体が燃やされた後に、記憶の灰が放り捨てられる灰皿。
ほう。
なんだこれ、くすぶるもえかすか。
くすぶるもえかすは隣に放り捨てられたものと何ら変わらない。
ミンストラタは灰の周りを見渡す。
病院。
泣き声。
ミンストラタ。
21:00
スピーカー 1
いや、あの…診断の結果は認知症でした。
ミンストラタ。
どうして彼女が…
も…
愛してる。
斎藤。
ミンストラタ。
あるいは反対尋問を。
ミンストラタ。
違反の結果。
ミンストラタ。
は、全て終了します。
ミンストラタ。
何か御用ですか。
断情にお呼びしますわ。
管理者様です。
拍手。
ミンストラタ。
ありがとうございます。
スピーチ。
教会のオルガン。
笑い声。
絶対に話さない。
絶対に。
教会のオルガン。
ミンストラタ。
誓います。
を宣言します。
誓いのキスを。
切笛。
拍手。
彼女の笑顔。
授業。
踊り。
彼女の笑顔。
彼女の笑い声。
彼女の…
いくつもの欠片が隙間を埋めるようにねじられ並べられた怪人の床。
砕かれ乗り付けされたティーカップ。
大切な部分の半分を失っている。
それはもはや何も受け止めることができない。
スピーカー 2
一見すると記憶はその痕跡。
スピーカー 1
ミンストラタ。
痕跡。
痕跡。
正解です。
拍手。
しか残っていなかったが、それを組み合わせたものであれば、ミンストラタに降りかかる液体の問題をすべて受け止めることができる。
ミンストラタ。
我々は偉大なものを作り上げることが…
政府と話をつけて。
ミンストラタ。
すでに動いているアートプロジェクトが…
法要。
ミンストラタは背拍子から乱雑に引きちぎられたページの数に押しつぶされそうになる。
彼女は目を閉じて…
そうすれば化け物はパッといなくなるのよ。
塵の中で身を小さくする。
彼女はしばらくの間そのままでいた。
この場所に残っているものは少なく、かつて書棚に並んでいた大作家を破産させたであろう物語の数々は、すでに根こそぎ奪われてしまった。
彼女は泣いている。
泣かないで。ただの悪い夢よ。ただの。
ミンストラタは叫ぶ。
真に思い出せる何かを得て、より長く安心に浸るため、彼女は叫ぶことを思い出す。
彼女は叫ぶことの意味を思い出す。
だから彼女は叫び続ける。
これでおしまい。
さあ。
ミンストラタは大広間の床に倒れ込む。
彼女はしばらくの間床の上ですすり泣く。
彼女はよろめきつつ立ち上がり、隣にあったドアを駆け抜ける。
24:03
スピーカー 1
ミンストラタ
近づいてるわ。
か、感じられる。
でも、いい心地じゃない。
ミンストラタは別の廊下を走る。
彼女はドアを通り抜ける。
ミンストラタは別の廊下を走る。
彼女はドアを通り抜ける。
ミンストラタは別の廊下を走る。
彼女はドアを通り抜ける。
ミンストラタ
何かが間違っているわ。
ミンストラタは別の廊下を走る。
彼女はドアを通り抜ける。
ミンストラタ。前にも同じ景色を見なかった。
ミンストラタは別の。
ミンストラタは止まる。彼女は横へ振り向き、ドアを通り抜ける。
舞踏室は人で満たされている。人が服を着ている。
ミンストラタのドレスは優美な色合いだ。人が動いている。音楽が流れる。
ミンストラタ。なんて豪華なパーティーなの。
本当にそうですね。
一人の女の姿が浮かび上がる。彼女のドレスは優美な色合いだ。
ミンストラタは人混みをかき分けて彼女のところへ向かう。
ミンストラタ。あなたのことを覚えているような気がします。
私もそうだと願っていますよ。
好意の表現。
あなたが主役なのは承知していますが、一緒に抜け出しませんか?
人が少なくなる。
ミンストラタ。
私。
人が少なくなる。
音楽が流れている。
かもしれない。
ミンストラタ。
あなたが誰なのか、まだ確信が持てなくて。
誰もいない。音楽は流れていない。
ミンストラタ。
なんてこと。違う、違う、違う。人がいたはずよ。私はそんな。
彼女は部屋にいる。灰色でほのかに緑色がかっている。
中央には小さな青色の鳥小屋がポールの上に立っている。
ミンストラタは鳥小屋を警戒するかのように部屋の隅へ足を引きずる。
中から歯の鳴る声と笑い声が聞こえる。
ミンストラタ。その笑い声は知っているわ。その形のない笑い声はきっとそう。
ミンストラタはゆっくりと鳥小屋に近づく。
彼女は中を覗き見た後にそこに入り込む。
彼女はダイニングルームの床の上に落ちる。
起き上がりながら彼女は多くの物事を見る。
彼女は塗料で作られた茶色の壁を見る。
スピーカー 2
彼女は切れ端が散らばる灰色の床を見る。
スピーカー 1
彼女はダイニングテーブルのエダーミースを埋める実体たちを見る。
彼らの存在は言い表すことのできない天使のような姿を通じてのみ説明される。
しかしその役割は天使とは程遠い。
光が彼らを飲み込む。
彼らはいくつかの手足を、目を、口を備え、テーブルの上に乗る物を貪っている。
27:03
スピーカー 1
ミンストラタはテーブルの上の物を見る。
彼女が地面にぶつかり膝を反り向けさせながら自転車の乗り方を学んだこと。
大切な人と出会ったこと。
彼女が愛する仕事のために成したいくつものこと。
彼女が愛する仕事のために失ったいくつものこと。
良かったこと、悪かったこと。
敬仰しがたい感情を抱いたいくつもの瞬間。
傾いた木のテーブルの上に全てが広げられている。
いくつかは屑と化して、いくつかは未だ手つかずのまま。
彼女は振り返り、背後にあったドアから部屋を出る。
彼女は廊下にいて、壁はずらりと並ぶ。
全く同じドアで埋め尽くされている。
振り返ったとしても、廊下は永遠に続いていて、
明らかにまっすぐであるにも関わらず、
最奥の一点はねじれ曲がっているように映る。
それぞれのドアの後ろから、植えた認知の鈍色車の音が聞こえる。
人は泣く。人は叫ぶ。
人はその両方を忘れ、何もしない。
人は過去を持たずに存在する。
等しく未来もない。
人は現在という形でのみ存在する。
彼女は再び部屋に入り振り返る。
天使が彼女の前に立つ。
あなたの名前はマロリー。
彼女は話すことができない。
これは必要なこと。
彼女は話すことができない。
不安がらないで。
彼女はもうそこにいない。
彼女の精神は太陽に飛び込んで、溶けていく。
リビジョン拒否。
判断当事者0512345678910111213。
判断理由。
客観性の欠如。
未確認情報の検知。
機密情報の検知。
美行。
力が及ばなかったことをお詫びします。
葬儀の後に花を贈りましょう。
ループ。
乗り物。
乗り物。
管理者。
資格。
記憶影響。
金属のタグが付いています。
何かパプリカみたいな。
人形が人形みたいな。
結局、何だ?
一番上に写真、発見時のSCP-5666の写真があるんですが、
雪に埋もれたっぽい飛行機の写真が。
墜落したフォッカーF-27旅客機です。
5666Aは?
Aはどこだ?
移動ないし、修理が非現実的とみなされるほどの著しい損傷を受けています。ボロボロの飛行機だと。
30:03
スピーカー 1
内部の人間は機体が無傷である。
内部から見ると無傷だと。
飛べるよと。
操縦を試みた場合も同様に。
実際には動いてないのかな?
この影響は内部に置かれたカメラや録音機器にも及びます。
現実の所在地から離れた場所へ飛行するに従い、コックピット外の近く世界は現実と異なることが明らかになりますので。
内部の人だけに起こるSCP現象ですね。
外から見たら普通に墜落している飛行機だけど、中の人はフライトできている。
フライトし続けると異常世界へたどり着くと。
スピーカー 2
その異常世界はループしている。再起状態が続いている。
スピーカー 1
ものであり、再起している中で記憶改変を予防しますと。
一定距離を超える探査は不可能です。
燃料の概念はちゃんとあるんだね。
墜落するか脱出した場合、この異常は停止します。
対象は以後、SCP-5666の異常影響を受けなくなります。
一回こっきりってことか。
で、サミュエル・ヴァンハルムさんとマーヴィン・ケルズさん、シャーロット・メフルさん。
あ、観察者か。はいはい。ヴァンハルムさんだけが乗ってたんですね。
なんか他の人も乗ってる体で話してたな、今。読んでたな。
無傷のように見えると。
スピーカー 2
北に行きましょう。北には前回行きましたよ、と。
スピーカー 1
このミンストラタスさんは2020年1月13日だから、
スピーカー 2
これの後にさっきのクソ長い解文書が起こったってことですね、ミンストラタスさんに。
スピーカー 1
巡回している。景色のすべてに馴染みがある。全部雪だ。
スピーカー 2
同じところを回っているはずだよな、と。
繰り返しているような感覚とは違う。
あの海岸線を見たのは初めて。
スピーカー 1
1時間同じ場所を飛び続けている。そんなはずはない。ここに来たのは初めてだ、と。
スピーカー 2
水平線の向こうに小さな木造の小屋が見える。中には人影がある、と。
スピーカー 1
これが…これにぶつかって…
ミンストラタスさんの最後何なの?
33:00
スピーカー 1
サム、あなたがサムなのね。とにかくそうしなさい。何かをしなければいけないかはわからないわ。とにかくそうしないといけないの。
ミンストラタは床の上に泣き崩れる。
思い出したわ。
スピーカー 2
なんでバンハルムスさんの実験でミンストラタスさんが思い出すんだ?
私が降りたどこかしらの場所でこれを見つけるであろうとなったかい。
SCP財団の管理者です。
人の思考には穴があります。人が落ちてしまえるほどの大きさの穴です。マンホールのような。
スピーカー 1
この飛行機を使えば通り抜けられるだろうと思います。
ただ馴染み深い名前があっただけ。
曲がり方がわからないから機体向かっている。穴を探さないといけない。
私は以前ブリザーダの中でこの飛行機を墜落させたことがありました。
うーん、こっからわかんないんだよな。ドアが開く。
もう少しマシなものを見せてやるべきじゃありませんか?ってもう違う人が話してるんだよな。
あの人の一部しかもう残っていないんだ。脳がどこか離れていってしまったらしい。
うーん、あれだな。序盤の思考には穴があります。マンホールのような。
スピーカー 2
そこに行きたいって言ってるのはなんかバイオオブトリニティを思い出しますね。
スピーカー 1
うーん、結局何なんだ。異世界なのか、それこそなんか夢でよくある荒唐無稽な
自分の記憶と思考回路がごちゃ混ぜになった世界を具現化しているだけなのか。
スピーカー 2
最後かな。あなたの名前はマロリー。彼女の精神は太陽に飛び込んで溶けていく。
スピーカー 1
結局ミンストラタさん見つかってないので異常世界に行っちゃったっていう認識でいいのかな。難しいな。
ちょっと一回気になる方は読んでみてください。ではまた次回お疲れ様です。
36:10

コメント

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