00:06
スピーカー 1
アイテム番号 SCP-5000
オブジェクトクラス 政府
特別収容プロトコル
SCP-5000は、起動していない状態で、
Site-22の標準的な保管ロッカーに収容されます。
SCP-5000から回収されたすべてのファイルと情報は、安全なサーバーに保存され、
アーカイブ部門の要請に応じてバックアップが閲覧可能です。
説明
SCP-5000は機能性のないパワードスーツであり、
内部回路図ではSCP財団が設計した絶対的除外ハーネスとされています。
SCP-5000はかつて装着者を保護し、
有益な影響を及ぼすための異常な機能を多数搭載していたと考えられていますが、
過去に損傷した結果、現在では基本的なファイル保存のみが可能となっています。
回収当時のSCP-5000に収められていた記録については、アーカイブ-5000-1を参照してください。
SCP-5000は2020年4月12日、
斎藤62CにあるSCP-579の収容チャンバーに閃光を伴って出現し、
内部には財団職員ピエトロ・ウィルソンと遺伝的に一致する死体が入っていました。
死体について注釈、死因はドン的外傷と断定されました。
後所からの転落に続く地面との衝突によるものと思われます。
ピエトロ・ウィルソンは現在、除外サイト-06に勤務しており、
記憶補強セラピーによって、SCP-5000の知識やそのアーカイブで省述されている
出来事の記録を持っていないことが確認されています。
出来事の記憶
除外サイト-06について注釈2番
現実の変化やその他の時間的再構築事象の後も、
情報を保持し続けるために設計された一連の施設の一つ
スピーカー 1
アーカイブ-50001
日誌エントリー-00011
私の名前はピエトロ・ウィルソン。何が起きているのかわからない。
生き残ったのは私だけかもしれない。
日付は…えっと…
2020-0102
すまない。思考転写は扱いにくい。
すまない。私はまだこれに慣れていない。
日付は2020年1月2日
私は…私は先ほど除外サイト-06から逃げてきた。
思うに確信は持てないが、他は全員死んでいる。
03:01
スピーカー 1
あいつらは…奴らは徹底的にやった。
もしこのスーツまでたどり着かなかったら、私もきっと…
日誌エントリー-0001-2
私は落ち着く必要がある。
さもないと、これはまるで反読できない記録になってしまう。
おそらく財団は後世のためにも、今回の事件全体の記録を何かしら求めるだろう。
私は現在、最も近場にある財団施設を目指している。
この地域を通過するエージェントのための小さなセーフハウスだ。
きっと誰もいないが、上司と連絡を取って、具体的に何が起きているか知らなければならない。
全ては6時間、もしかしたら7時間ほど前に始まった。
起動部隊ゼータ19、ロンリーオンリーだと称する一団が、インサージェンシーの潜入スパイだろうか。
適切な身分証明、その他諸々を携えてサイトに入場し、全員を食堂に集めた。
そして撃ち始めた。
ちくしょう、まだ口に血の味が残っている。
あの嫌な金属臭い味が、舌から抜けない。
弾に当たったり踏み潰されたりしなかったのは奇跡だ。
スピーカー 1
誰もがあそこから抜け出そうとお互いを乗り越えていた。
もし除外ハーネスにたどり着かなければ、たどり着けなければ私は死んでいた。
間違いなく、すでに記したように、奴らは徹底的だった。
私はES-06の送電網を担当する技術者だから、このスーツの機能を完全には把握していないが、基本は掴んだ。
この視覚フィルターとやらは、私が周りから見えなくなる技術では、
私が周りから見えなくなる技術ではなく、私が見えるという事実を周りが認識できなくなる技術らしい。
まあ用は同じだ。
しかし、あの侵入者たちは何も奪わなかったし、そうしようと試みる様子さえなかった。
スーツを装着した後で見たんだ。あまりにも怯えていて。
臆病者め。逃げ出さなかった。
奴らは死体をチェックして立ち去った。全員の頭部に余分に一発ずつ打ち込んでいった。
奴らはただ我々を殺しに来たんだ。
西エントリー 0001-3
あのクソ忌々しい砂漠を何時間もテクテク歩いた末、ようやくセーフハウスに着いた。
遠くで数回爆発音を聞いた。
侵入者が撤退する前に財団が機動部隊を派遣したか。そうであって欲しい。
人生でミネラルウォーターを見るのがこんなに嬉しかったことはない。
ハーネスは装着者の身体機能を維持してくれるようだが、私の心はまだ飲み物を必要としている。
06:01
スピーカー 1
人間性だろう。
とにかく足を休めてからシステムをオンラインにしてみる。
財団に連絡し何が発生しているか正確に知る必要がある。
西エントリー 0001-4
スピーカー 2
どういうことだ。
スピーカー 1
ダウンロードされたファイル 0001-1
説明
彼らはこれを地球上のすべての政府、報道機関、異常組織に送付した。
ふざけるな。
エカは05評議会の総意によって作成されたメッセージです。
現時点で私たちの存在を知らない方々へ。
私たちはSCP財団という組織を代表しています。
私たちのかつての使命は異常な事物、実態、その他様々な現象の収容と研究を中心に展開されていました。
この使命は過去100年以上にわたって私たちの組織の焦点でした。
やむを得ない事情により、この方針は変更されました。
私たちの新たな使命は人類の根絶です。
今後の意思疎通は行われません。
編纂ファイル 0001-1
全世界への発表を終えた直後に、財団は人類への攻撃を開始した。
財団が解放したアノマリーへの対応は可能な限り迅速に行われたが、それでも被害が発生している。
具体的に何が起きているか語るのは困難だ。
しかし、今の私の立場なら、財団ネットワークにアクセスしてニュースを追うことで、多少は事態を把握できる。
知ったことを全て書き残そうと思う。
そうすれば全てが終わった後、まだ生きているものがいれば、我々に何が起こったかわかるだろう。
関連アノマリー SCP-096
財団が取った行動
SCP-096の顔の画像がソーシャルメディアネットワークに流布された。
画像が削除される前に、死傷者はすでに数百人に及んでいた。
私が知る限り、この事件はまだ続いている。
SCP-169
一連の核爆弾がSCP-169の背中の内側と上で爆破され、奴は眠ったまま若干みじろぎした。
その結果、地震と津波が発生し、世界各地で相当数の沿岸集落が壊滅している。
SCP-662
24時間の間に、デイズ氏と一致する外見の人物が数カ国の首脳の近くに出現し、
その場ですぐ入手できる任意の道具を使って暗殺し、速やかに姿を消した。
なぜこの攻撃が1日目だけで終わったかはわからない。
SCP-610
09:01
スピーカー 1
SCP-610のサンプルが財団の潜入エージェントによってニューヨークやデリーをはじめとする数多くの大都市で散布された。
対象地域のすべての市民は、そして財団エージェント自身も、SCP-610に速やかに感染する。
さらなるSCP-610の感染は、世界オカルト連合と壊れた神の教会の連携で食い止められている。
SCP-682
解放
なぜこんなことが起きているのか理解できない。
ダウンロードされたファイル0001-2
説明
水を飲んでいる間にダウンロードできたニュース映像
記録開始
レポーターのマリア・ヘンダーソンがGOC避難テントの中で話している。
画面に流れているテロップによると、彼女はスウェーデンのトロサ郊外にいる。
彼女の背後で患者たちが全身防護服を着た医師たちから治療を受けている様子が見える。
マリア自身は手術用マスクを着用し、わずかに引き上げてマイクに声が通るようにしている。
私に言わせてもらえば、あれではマスクを着けている意味が全くない。
マリア・ヘンダーソン
世界オカルト連合が既に宣言したように、まだ避難を終えていない住民の皆さんは、
何であれ利用できる物資を使って屋内に立てこもることを推奨します。
患者を治療していた医師の一人が急に立ち上がり、ベッドの横に立っている兵士を見る。
医師
死亡者が発生。イレーザーを準備しろ。
イレーザー?
マリア・ヘンダーソンは素早くテントから同様の施設が立ち並ぶ野原へと出る。
大きな駆動音が背後のテントから聞こえ、数回の閃光が見える。
濃い煙がテント上部の隙間から漏れ出す。
マリア・ヘンダーソン
まだ汚染されている地域にいる皆さんは、周囲の人々を注意深く観察することを推奨します。
もし友人や家族が、えー、いえ、失礼しました。
友人や家族がはっきりと、えー、ミントのような香りを発し始めた場合は、速やかに隔離。
映像途絶。
私は後ほど、この瞬間に全世界のテレビ放送が停止したと知った。
インターネットも。
世界はたった数秒で盲目にされた。
記録終了。
日誌エントリー0001-5
おかしな話だ。
このセーフハウスの物資があれば、除外ハーネスは言うまでもない。
私は多分ここで何年も生きていける。
しかし、外の世界で何が起きているか全くわからないまま、ここに座っているという考えは耐えられない。
それでもまだ、自分が本気で状況を知りたいと思っているかどうかは定かではない。
子供時代の私は、当時はかなり病弱で、あまり外に出かけられなかった。
12:06
スピーカー 1
シャーロックホームズやら何やらの探偵物語にのめり込んでいた。
いつも色々な物事を探り出したがっていた。
ともかく、父は家の外の壁に鉢植えを一列に並べていて、それがいつもひっくり返される理由を突き止められなかった。
あれが、探偵趣味に没頭していた時期のピークだったはずの私は、無我夢中でその事件に喰らいついた。
馬鹿なガキだったから、実際には何一つ推理できず、最終的に安物のスパイカメラを買って一晩中壁を録画した。
犯人は野良猫だった。
父はとうとうそいつを蹴り殺してしまった。
あの男ならきっとそうすると私は分かっているべきだった。
好奇心は、まあ有名なことわざだ。
私が首を突っ込まなければ誰もが損をせずに終わったはずだ。
父は別だろうが、あんな奴はどうでもいい。
やってもダメ。やらなくてもダメ。しかし私は何もしないよりは何かをする方を選ぶ。
それに除外ハーネスを持っている以上、私を傷つけようと望む者が私の存在に気づくことはないはずだ。
私は世界の終わりの観光者である。目的地、斎藤19。最も近場にあるまともな財団施設だ。利にかなっているだろう。
私は答えを手に入れる。
記録ファイル、0001、1。
説明。シェルターを出た数日後、財団職員と遭遇。奇妙な行動を目撃した。
記録開始。遠くの空き地に財団の兵士の一団が見える。
合計9人が一列に並んでいる。
10人目の女性兵士は指揮官で列の前を行ったり来たりしている。
制服と気象は機動部隊イプシロン6、村のアホと同じように見える。
数日後、指揮官は手を一度打ち合わせ列に向かって踏み出す。
指揮官。列の最初の兵士に。
これより検査を行う。
兵士1。無論です。
指揮官はナイフを取り出し兵士の肩を突き刺す。兵士は反応しない。
指揮官。ナイフを抜く。傷を手当てしておけ。
兵士は頷く。指揮官は同じように並んだ兵士の肩を一人ずつ突き刺していくが、8人目になるまで反応はない。
8人目の兵士ははっきりと顔をしかめる。
兵士8。ガッ。
指揮官。叫び声。生存者を発見。
15:03
スピーカー 1
指揮官と他すべての兵士が速やかに銃を向け、兵士8を射殺する。彼は地面に倒れる。
指揮官は9人目の兵士の元へ移動し肩を突き刺す。彼は目に見える反応を示さない。
よし。クリア。移動する。
MTFイプシロン6は荷物をまとめ、兵士8の死体を放置したままエリアを去る。
私は後ほど死体から武器や基本的な医療用品を回収し、可能な限りで埋葬した。
記録終了。
結び。さっぱり訳がわからない。
記録ファイル0001-2。説明。
古いラジオから聞こえた奇妙な放送。重要かどうか不明だが、後世のためにあらゆる情報を書き留めておく。
記録開始。音声のみ。声は男性で、私と同じくらいの年齢だと思う。
声。7、5。
私の声が聞こえるか?君のまぶたの間の穴の中に光り輝く穴がある。
私は今までベルサイユに行ったことがない。私は愛されたい。
私は今君の後ろに立っている。
私は私たち二人で今君の後ろに立っている。女神が懐中の都を食べる。
床に穴があってその中で答えが待っている。
君は孵化している。
メッセージがループする。記録終了。
スピーカー 2
結び。
スピーカー 1
私がラジオを裏返し修理できないほど破損しているのに気づくとメッセージは止まった。私は正気だろうか。
日誌エントリー。0001、6。
サイト19が比較的近くにあると考えたとき、それは乗り物を念頭に置いた場合の話だという点を考慮していなかった。
車やら何やらを運転する危険は犯せない。私自身は気づかれないにしても車両はそうはいかない。財団の兵士か野放しでさまようアノマリーに発見されたら最後だ。
それでも森の中を攻軍するのはハーネスの保護があっても楽しい経験とは言えない。
例えば何かとばったり出くわしたときに避けるのが難しい。気づかれないというのは追い詰められないことを意味しない。
しかし考える時間ができた。どうして私はサイト19を目指している。何か達成する望みがあるか。
危険を逃れて可能な限り長く生き延びたければ財団職員から距離を置くのが最適であって毒蛇の巣に飛び込むなど馬鹿げている。
18:02
スピーカー 1
たぶん答えだ。他の何よりも私は答えを求めている。その後でくたばることになるとしても。
変算ファイル0001-2
サイト19に到着。保安状況はボロボロでほとんどのアノマリーはしばらく前に逃がされたため侵入するのはかなり簡単だった。
自分の仕事に向かう研究者たちを避けなければいけないのでまだ神経を使う。
彼らは未だに同僚らしく会話しどうすれば最大効率で人間を殺せるか議論している。
まるでずっと同じことをやってきたように。
しかし彼らの目は何かが欠けているように思える。正義がない。
あの目を見ると彼らを人間と考えることなどできない。生きているとさえ思えない。
説明するのは難しいが背筋がゾッと冷えた。
上級スタッフから盗んだ資格情報で財団データベースにアクセスし宣戦布告直前に何があったかの大まかな時系列をまとめることができたようだ。
何を意味するかはわからないがこれが始まりだと思う。
日付。2019年12月16日。
出来事。O5がPNEUMAというプロジェクトを上級スタッフの特殊機密に指定する。
どうやらこれはカレイドスコープと同じような大規模記憶処理プロジェクトで、もっぱら人間の集合的無意識、心理空間、何と呼ぼうと勝手だがそういう方面を重視していたようだ。
その心理空間をマッピングするにあたり何らかの重大な発見があったらしい。
編集済みにされているせいでそれが何なのかはわからない。典型的だ。
2019年12月17日。
O5評議会で投票が行われ前回一致で可決される。倫理委員会も同意する。
編集済みにされてやがるせいで何に関する投票かはわからない。
2019年12月19日。
一連の指示、もちろん編集済みの指示がすべての上級スタッフとサイト管理官に送付される。
自殺と辞職の波が財団全体に広がる。
辞職した職員にはチャールズギアーズ管理官が含まれている。
スピーカー 2
2019年12月22日。
スピーカー 1
2019年12月22日。
多数のファイルがそれらの資料を部下のスタッフに配付すべしという指示とともに、まだ残っている上級スタッフとサイト管理官に送付される。
ファイルには心を固めよというメッセージが付随している。
資料が配付されると自殺と辞職は即座に停止する。
2019年12月25日。
21:00
スピーカー 1
財団サイト内外の通信は完全に遮断。
人間アノマリーや人間への共感性を示すアノマリーのほとんどは翌週を通して各サイトのスタッフに修了される。
情報はチャールズギアーズ博士に暗殺部隊が差し向けられたことを示唆しているが、成功したかどうかは記されていない。
2020年1月2日。
起動部隊がすべての除外サイトに派遣され、すべての職員を処刑する。
任務が完了した直後、財団は人類に宣戦布告する。
これらが何を意味するかははっきりしない。
O5評議会は何かのミームエージェントを送って、
失礼しました。
O5評議会は何かのミームエージェントを送って、全職員を自分たちの意思に従わせたのか。
しかし、そもそもどうしてO5評議会が人類を殲滅したがるかの説明にはなっていない。
わからない。ただわからない。
財団が積極的に利用しているアノマリについても、さらなる情報が得られた。
ニュースが流れていない今、財団自らの記録以外で堅実な情報を得るのは困難だ。
しかもそれらでさえ、いまだに隅々まで編集済みときてやがる。
だって世界の終わりだぞ。物事を編集する意味がどこにある。
誰が気にする。何が起きているか教えてくれよ。
ちくしょう。ともかく全部表にまとめる。
後世のためだか何だか知らないけれども。
関連アノマリ
SCP-1370
財団が取った行動
テレビ放送は一時的に復旧した。
全てのチャンネルはSCP-1370のプロパガンダ演説で、
自分が今後どういうふうに世界を征服するかを取り留めもなく話し続けている。
これはまあそれほど悪いことじゃない。
SCP-1048
財団がどうやって奴を捕獲したかわからないが、
ヘリコプターからの映像は1048が作ったクマの大群がパリの街を駆け抜ける姿を映している。
映像が鮮明じゃないからはっきりとは言い切れない。
しかし遠くでは巨大な赤いテディーベアが高層ビルの隣を歩いているように見える。
SCP-1290
SCP-1290-1とSCP-1290-2は本来の位置から動かされ、
ガンジルという堅牢なGOC施設に発射体を打ち込むための原始的な射出システムとして運用されている。
ガンジルについて注釈3つ目。
太西洋の中にある要塞都市、世界終焉シナリオが発生した場合、生存した人類を収容するように検討されている。
ファイルから100%の確信は持てないが、1290は財団がガンジルに押し入るために使っている。
24:03
スピーカー 1
率直に言ってえげつない数のアノマリーの一つに過ぎないらしい。
ミサイルを発射すればそれで済む気もするが、もう財団は一人残らず行かれているので話は通じそうにない。
SCP-1440
SCP-1440は機動部隊NU-22、ロケット面によってあちらこちらの難民キャンプに移送され、その異常な影響力で逃亡した人々のコミュニティを急速に荒廃させている。
奇妙な話だが、ファイルに含まれるこれらの出来事の記述を見る限り、SCP-1440に割り当てられた財団職員は影響を全く受けていないように思える。
SCP-1678
財団は意図的にSCP-1678の収容を放棄し、職員を近隣から退去させた。
他のアノマリーが引き起こした混乱でロンドンからの避難が不可能になると、英国オカルト庁の役員は地下のSCP-1678へ避難するよう市民に指示した。
英国オカルト庁について、修飾4つ目。
口語的にMI-666と呼ばれる。
裏ロンドンが収容最大人数に達すると、財団は前もって仕掛けた核爆弾を起爆した。
ここを出る前にもう少し調査して、見つけられる限りの情報を得るつもりだ。
ファイル削除済み
日誌エントリー 0001-7
前回のエントリーから約3ヶ月が経った。私が今まで何をしていたかは神のみぞ知る。
当時から現在までの記憶が完全に欠けていて、その間のファイルも削除されているようだ。
私が知る限りファイル削除が可能なのは私一人だけのはずだから、読者は好きに捉えてほしい。
何度か荒っぽい騒ぎに巻き込まれたらしい。身に覚えのない傷跡が数箇所あり、米紙に包帯を巻いている。
除外ハーネスは損傷していないようなので、何が私を傷つけたかはわからない。崖から落ちるか何かしたんだろうか。
悲しいことに自分がそういうアホな真似をする姿が目に浮かぶようだ。私は決して賢いタイプではない。
サイト19は消え去った。いや、まだ多分あそこにあると思うが、私は国をよくぎる道半ばだ。理由は言えない。
しかし奇妙だ。目的があるように感じるのにそれが何なのかは100%定かではない。行くべき場所だけがわかっている。
私は手にブリーフケースを持っている。具体的に何が入っているかなかなか思い出せない。
27:00
スピーカー 1
私が理解しているのはそれが丸くないことと、それをSCP-579まで持っていかなければならないことだけだ。
ファイル削除済み。日誌エントリー0001-8。
SCP-579にたどり着くまでどれだけ時間がかかるかを過小評価していた。
サイト19に向かう道のりもひと苦労だったが、579は全く別の話だ。
手元の文書記録がなければどこにあるかさえわからない。
私がこの文書をどこで手に入れたか検討もつかないが、それは要点じゃない。
通り過ぎた死体を数えるのはやめた。今ではおそらく4桁になっている。それどころかもっと多いかもしれない。
しばらく前、物資を得るために侵入した家で幼い少年の死体に出くわした。
最初は頭を打たれたのかと思ったが、彼を埋葬しようと近寄った時、皮膚の下で何かがうごめくのを見た。
私が触れた瞬間、小さな青白いミミズが数百匹もあふれだした。
ミミズかなこれ。
虫変に重要の樹。で、虫。
あ、禅虫。失礼しました。まあでも見た目ミミズですね、完全に。ワーム。
禅虫。
小さな青白い禅虫が数百匹もあふれだした。どれもすべて少年と同じ顔だった。
どれもすべて笑っていた。排水溝に素早く逃げ込んでいった。
もう人々を埋葬するつもりはない。それを続けるのは読者が考えているよりもずっと難しい。
ファイル削除済み
変算ファイル0001-3
ブリーフケースの中身は天の恵みだ。正体はちっともわからない。
しかしあまりにも辛くなった時、私はただケースを開ければいい。
次に気がつくと、私は先ほどいたはずの場所から何マイルも離れていて、心の中は激励のメッセージを受けたように温まっている。
事態が悪化し始めた時のための、私だけのスキップボタン、スキップボタンのようなもの。
森の中で半分土に埋もれていたエージェントの死体から、財団データベースへの一時的アクセスが可能だった。
すでに狼がたかっていたが、彼らは私がノートパソコンを持ち去るのは全く気にしなかった。
どっちみち私を認識していなかっただろう。
財団はまだ手元のあらゆるアノマリーを他の人々に投げつけている。
例によって表にまとめる。
関連アノマリー、SCP-2000。財団が取った行動。
財団は意図的にイエローストーンを噴火させ、SCP-2000を消し飛ばした。
30:06
スピーカー 1
今のところ、マナによる事前団体が、事前財団が展開したアノマリーのおかげで、環境への影響は浮上している。
物理なほど遅延されているが、灰のせいで呼吸できなくなるのも時間の問題だ。
SCP-2200。どういうわけか、財団はSCP-2200-1を大量生産できたらしく、それらの権は難民たちの手に渡っている。
斬り殺された全てのSCP-2200-1被害者によって、SCP-2200-3はあふれ返っている。
まだ生きているSCP-2200-4の山が、死んだSCP-2200-4の山の下に閉じ込められている。
SCP-2241。終了されなかった数少ない人間アノマリーの一体。
SCP-2241は最大規模の難民キャンプを破壊し、生存者たちをもっと小さなグループに留め続けるための生物兵器として使われているようだ。
どうやって財団があの少年をここまで忠実に訓練したか不明だが、本人が喜んでいるかどうかは疑わしい。
SCP-2241に関する最後の情報は、ガンジル包囲船の支援に派遣されたというものだ。財団はそこで苦戦しているらしい。
SCP-2466。SCP-2466はカリフォルニア州出身の生存者の社会性を破綻させ、敵対的な行動を強制するために連続使用されていた。
効果はあったようだが、4020回使った後、SCP-2466はクラッシュして機能しなくなった。その時点で住民は生き残っていなかったのだと思う。
SCP-2639。SCP-2639は生存者コミュニティや財団に敵対する組織の施設に派遣され、そこにいる全員を皆殺しにするよう指示を受けていた。
収容違反して世界を滅ぼそうとしている怪物と戦っていると聞かされていたらしい。
彼らが嘘に気づいたのは明らかだ。6度目に派遣された頃からあらゆる行動を拒絶している。いいことだ。
日誌エントリー00019。
自分の存在を悟られていなくても仲間がいるのは嬉しいものだ。私はGOC兵士の一団とともに焚火を囲んでいる。
彼らの行き先は…いや、現時点で彼らにこれといった目的地があるとは思えない。おそらくただ彷徨っているだけだ。
姿を見せて579にたどり着く助力を求めようとも考えたが、危険を犯したくない。
存在しないものとしての生活に慣れてしまったのかもしれない。
33:03
スピーカー 1
観光客気分は忘れよう。私は今から幽霊になる。
このスーツは全くの脅威だ。兵士たちがコーヒーを淹れている間、彼らの接続を通してGOCのデータベースにアクセスできた。ニュースはかんばしくない。
ダウンロードされたファイル00013。
説明。ガンジル内部の尋問施設から送られたインタビューログ。
私が把握している限り、捕獲された財団職員が尋問中に口を聞いたのはこれが最初だ。
尋問者はモリソン指揮官なる人物で、ロードス博士という科学者が同席している。
尋問対象の男は機動部隊オメガ2秘密の森手の隊員サミュエル・ロス。
映像はなく音声のみ。ファイルが破損しているのか最初からそういう形式の記録だったのかはわからない。
記録開始。モリソン指揮官。
自分がどこにいるかわかるか。
サミュエル・ロス。
ガンジルの内部だろ。忍び込もうとした俺たちを君たちが捕まえた。
その通り。なぜここにいるかはわかるか。
スピーカー 1
サミュエル・ロス。
サミュエル・ロス。
冷静に。俺を尋問するつもりなんだと思うね。
沈黙。
モリソン指揮官。
博士。
ロードス博士。
確認した。体内には何もインプラントされていないし、精神エージェントや認識災害も帯びていない。始めても安全だ。
OK。
スピーカー 1
沈黙。
お前の同僚たちは誰も我々と話そうとしない。誰一人。一言もな。なぜお前は今、私と会話している?
スピーカー 1
前に会ったことがある。覚えてないか?
沈黙。
何?
数年前、テネリフェ島での合同任務の時だ。カモメの王子の事件。覚えてないか?
当時の俺はガスマスクをつけてたから、君は俺の顔に見覚えがないかもしれない。
でも俺は君を覚えていて、それを思うと少し笑いがこぼれた。だからこうして会話している。
それが唯一の理由か?
スピーカー 2
ああ。
スピーカー 1
沈黙。
難民に紛れて街に潜入しようとして見つかった時、お前とその仲間は群衆に向かって無差別に発砲し始めた。
男も女も子供も何の理由もなく殺害された。
イカれているとは思わないか?
サミュエル・ロス。笑う。
ロードス博士。静かに。
クソ野郎。
面白いと思うか?
すまない。失礼な真似をする気はなかった。ただ、ちょっと偽善的だと思っただけだ。
36:05
スピーカー 1
沈黙。
何だと?
いや、つまりだな。君たちは情報を手に入れれば役立つと思っているかのように俺を尋問するが、俺からしてみると君たちには実際に何かできるような時間の余裕はない。
何度アベルを消しかけたところで、クロウ教授のエウロパは相当からずこの街を真っ二つに引き裂くだろう。
なのに君たちはまだ何か打つ手があるかのように振る舞う。それはイカれているとは思わないか?
沈黙。
もし戯言ばかり話し続けるようなら、いつ強化尋問を始めてもいいんだぞ。望んではいないが、私は実行する。
サミュエル・ロス。笑う。
好きにすればいい。痛みを感じるはずがないと一度気づけば恐ろしいものはもう何もない。
それはどういう意味だ?
君たちは…
沈黙。
いや、言ってほしくはないだろう。
非常に聞きたいね。
君には話さない。
訳のわからないことを言うな。話せ、今すぐに。
本気か?
沈黙。
摂取はまだは大丈夫だろうな。
ロードス博士。
あ、財団の殺害エージェントはすべてクリアしている。
さっさと吐け、ロス。
お前がグズグズ引き伸ばすと、こちらも不愉快な手段を取らざるを得ない。
わかった。不明瞭。
沈黙。
よく聞き取れなかったな。
ロードス博士。
声量を上げろ。これ以上マイクの原因は挙げられん。
サミュエル・ロス。情報検閲済み。
モリソン指揮官とロードス博士が大声で叫んでいるのが聞こえる。
湿り気のある亀裂音と吹きすさぶ風の音も聞こえる。
叫び声は時間とともに感高くなっていき、録音の残りを通して継続する。
スピーカー 2
サミュエル・ロス。
スピーカー 1
君たちが自分自身に何をしたか見てみろ。聞きたくないだろうと言ったよな。
だから忠告を聞くべきだと言うんだ。
なのに君たちはひどく知りたかった。
俺は君たちをとても気に入っていたから親切であろうとした。
俺たちは君たちにとても親切なんだ。
俺たちが光の中で戦うことによって君たちは暗闇で死ぬことができる。
スピーカー 2
沈黙。
サミュエル・ロス。
スピーカー 1
忌まわしい。
スピーカー 2
記録終了。
スピーカー 1
結び。
どうやらこの直後に何らかの緊急事態がガンジル内部で勃発したらしく。
街は最終的に内外の両方から破壊された。
39:02
スピーカー 1
このファイルは、ファイルは詳細に言及していないが、GOCはもう終わりかもしれない。
ファイル削除済み。
日誌エントリ000110。
先へ向かうのが困難になり続けている。
GOCが戦い続けていた時期はまだ状況を打開できるという感覚があったが、
今こうして配送中の彼らと行動を共にしていると、こんなことをしても全く意味がないような気持ちにすぐ囚われる。
ガンジルを陥落させた財団は、改めて他のあらゆる人々に完全な注意を向けた。
私はもう飲み食いしなくなった。
結局のところハーネスが生命維持を行ってくれるのだし、
財団が拡散しようとしているおぞましいウイルスのどれかで汚染された食品を消費する危険性が高すぎる。
ここに至るまでに想像できる限り全ての週で死体を見てきた。
いくつかの死体は歩き回っていた。
ブリーフケースを開けてスキップするたびに進行度は少し遅くなり、気分は少し落ち込んでいる。
以前に私を元気づけてくれたのが何であるにせよ、私の心は無感動になってきたようだ。
ブリーフケースの中身に対してだけではないだろう。
どうして私は579に向かっている?それらしい理由はあるのか?
返算ファイル0001-4
財団はまだ我々をぶちのめしている。以下はその表。
関連アノマリー
SCP-3078
財団が取った行動
壊れた上の教会は一部の地域でインターネットを復旧、運営できたようだ。
ただし財団はほぼ全ての利用可能な媒体を通して3078のコピーを数千枚アップロードし、速やかにそれを叩き潰した。
だからインターネットはまたダウンしている。
SCP-3179
壊れた上の教会が様々なものを再建しようとし始めた後、収容課から解放された。
壊れた上の教会では3179がメクハンか田舎を巡る内戦が発生し、そのせいで人々を援助する能力はかなり損なわれている。
しかも3179は可能な限り大量のターミネーターもどきを生成しているから愉快な事態になっている。
SCP-3199
SCP-3199の卵は今やありとあらゆる場所に空中投下されている。何が起きているかは想像がつくはずだ。
後で書き足すかもしれない。
日誌エントリー 0001-11
まだ579に向かって進んでいる。前より少し歩みが遅くなったかもしれない。
42:03
スピーカー 1
しかしこのモチベーションの欠如を誰が責められよう。
最近いくつかの奇妙なものを目撃している。
つまり普段より奇妙という意味だ。
最初は瞬き像、ブリンカー。近頃はかなり多く見かける。
財団制で間違いないだろう。どうやって作ったのかはわからないが。
私はほとんどこいつらを理解していないからとりあえずわかることだけ書き留める。
こいつらは彫刻、兵士の像だ。
機動部隊の制服、空っぽの眼科。腕は鎌切りか何かのように刃物状に彫られている。
見つめている間は無害だ。しかしちょっとでも視線を反らすと動く。そして早い。
煙でたった一秒、視界が遮られた瞬間、群衆を一気に切り裂いたやつを見たことがある。
私はブリンカーを警戒している。
私が見た時もこいつらの動きは停止する。
つまりブリンカーは私の実際の居場所を近くできなくてもその場に誰かがいることは推測している。
もし視界の全てを手当たり次第に切り裂き始めたら私は一貫の終わりだ。
最善を尽くして完全に回避しなければならない。
二番目に目撃したものは遥かに奇妙だった。
地平線に見えたそいつは背伸びしている人間のように見えた。
いや、この表現では不十分かな。
それの周りの空間がお粗末なフォトショップ加工のように体に沿って引き伸ばされているような感じだった。
地面から雲に届くほどの身長で、顎が直角に開いていた。
そして裂け目が、黒い空間の裂け目が翼のように体の周囲に存在した。
そいつはただそんな風に浮かんだまま前進していた。
財団職員もそこにいたが彼らは戦っていた。
銃やロケットでそれを撃っていた。
財団がアノマリーと戦うのをおかしいと思うだなんて、どこまで狂った世界なんだろう。
私と同じように全てが始まる前にどうにか抜け出せた奴らだったのかもしれない。
話しかけようかと思ったら、
やめた。危険は犯せない。
そこから離れた。
私は579にたどり着く必要がある。
何かをする必要がある。
何でも構わない。
日誌エントリー、0001、12
スピーカー 2
今日は女の子が死ぬのを見た。
スピーカー 1
助けられたはずだった。
助けなかった。
私は死ぬのを見た。
助けられたはずだった。
スピーカー 2
助けなかった。
スピーカー 1
私はクズだ。
45:04
スピーカー 1
編参ファイル、0001、4
関連アノマリー
SCP-4290
財団が取った行動
SCP-914で増強したSCP-008のサンプルを使って、財団はSCP-4290の死骸を蘇生させ、解き放った。
蛇の手の怪獣使いたちが迎撃したが、ファイルは戦闘の結果を明らかにしていない。
放浪者の図書館はこの宇宙から切り離されたと聞いていたが、彼らはい残ったらしい。
バカな奴らだ。
関連アノマリー、SCP-4666
財団が取った行動
財団は時間以上を利用して、事実上あらゆる場所をクリスマスに
ああ、やってられるか。
こんなのどうせ誰も読まない。
記録ファイル、0001-3
説明、入力がありません。
記録開始
放棄された宝石店の内部を正面入り口から撮影した映像
割れた窓から夜空が見える。
10代の少女が店の中央にある間に合わせの焚火の前に座っている。
ルビーの首飾りが彼女の首にかかっている。
スピーカー 2
視覚フィルターがオフになる。
スピーカー 1
少女は後ろへ飛びのき、警戒した様子で錆びたパイプを武器として拾い上げる。
スピーカー 2
少女
スピーカー 1
誰だ
ピエトロ
あ、あなたには見覚えがある。その首飾りに。
スピーカー 2
沈黙
スピーカー 1
少女はうめき、パイプを落とす。
ああ、くそ、私を殺すために派遣されたか。だったらしばらくここで立ち往生だな。
いや、わ、私は逃げ延びた。あなたも逃げたのか。
少女は前のめりになり、ピエトロの顔を見て目を細める。
ジーザス、ひどい顔してるぞ君。いつ最後に眠った。
このスーツは、その、これを着てると寝る必要がないんだ。
寝る必要はあるね。その顔、まるで、まじでものすごいざまだ。見ないほうがいい。
沈黙
スピーカー 2
一緒していいかな。
スピーカー 1
少女は後ろに下がり、片手で芝居がかった身振りをしつつ店内を指す。
スピーカー 2
もちろんだとも、割れたガラスならこの通り山ほどある。
スピーカー 1
ピエトロはよろめきながら店内に入り床に座り込む。ガラスの砕ける音が聞こえる。
沈黙
今のはジョークだから。椅子を持ってきていいぞ。
48:01
スピーカー 1
大丈夫。このスーツは頑丈だ。
少女、肩をすくめる。
ご勝手に。
少女は反対側に座る。
スピーカー 2
ずいぶんと素敵な小道具を手に入れたね。
スピーカー 1
身振りで首飾りを指す。
交換しない?
ピエトロ、笑う。続けて咳。
まさか、あのファイルは読んだよ。
一応、行ってみないとな。笑ったのはひとつ。
一応、行ってみないとな。笑ったのは久しぶりだろ?え?
それほど笑えることがなかった。
困らせロボットのやつがテレビに出演したときも?
沈黙
ピエトロ、含み笑い。
OK、あれは確かに少し面白かった。
沈黙
じゃあ、君も逃げたのか。
でも、私はとりあえず君が財団職員であり、この人生を通してイライラさせまくった大勢のうち一人が復讐に来たんではないと仮定しているけども。
その二つは同じでは?
少女、笑う。
なかなか言うじゃないか。
ああ、私は財団職員だ。
つまり、財団職員だった。
騒動が始まったとき、運よくこのスーツを着て脱出できた。
君は?
沈黙
私は上級スタッフだったからね。
誰よりも先に計画を聞かされたはずだが、あいにくさっぱり思い出せない。
たぶん二番目のファイルがまずかったんだと思う。
二番目のファイル?それを見たのか。
立ち上がる。
中身は何だった?
おおっと、ひとまず落ち着きたまえよ。時間ならたっぷりある。
ファイルはたくさんの画像だけだった。
卵、木々、宗教的なあれこれ。
それら自体は私にとって何の意味もなかったが、きっと何かが符号化されていたんだろう。
私は想定通りの効果を受けられなかった。
首飾りを指で叩く。
おそらくこいつのせいだ。
ピエトロ、座る。
じゃあ、やっぱりミームエージェントの仕業か。
少女、眉を潜める。
それはわからない。
私はこの身に起こりうるほぼすべての出来事を実際に受けてきた。
ミームエージェントを喰らうとどんな感じがするかは知っている。
そういう感じではなかった。
何かを強制されるというよりむしろもっとこう何かから解放されるような感覚だった。
51:07
スピーカー 2
そ、そうか。
スピーカー 1
つまり、あなたも何が起こっているかよくわかっていない。
スピーカー 2
沈黙。
まあね。
ちくしょう。
スピーカー 1
ちくしょう。
沈黙。
少女はポケットから小さなビール瓶を取り出して一口煽る。
煽るかな?口辺に口、口角類の口。
煽るですね。
少女、ため息。
で、君はどこか行くあてがあるのかい?
それとも落ち込んだ気分でさまよい歩いているだけかな?
579に向かっている。
少女、笑う。
自殺願望があるならもっと簡単な方法がいくらでもあるぞ。
579が何なのか知っているのか?
さっぱり。だからこそ懸念してるんだよ。私みたいな大物でさえ知らないんだ。
沈黙。
構わない。私はそこに行かなきゃならない。
どうして?
ただ行くだけだ。
あなたはどこを目指している?
1437、まずはよその世界に照弁を垂れてやれるかどうか調べる。
次にこの首飾りを投げ込んでどこで目を覚ますかは成行に任せる。
ピエトロ、含み笑い。
立派な計画だと思うよ。
幸運を祈る。
少女、立ち上がる。
こちらも君の幸運を祈るけれどその見込みがないのはお互い承知だ。
もうすぐ夜が明ける。私は出発するよ。
OK。
少女は立ち上がり正面ドアへ向かう。
彼女は店舗の入り口で一瞬立ち止まる。
せめて探しているものが見つかるといいな。
少女は去る。
私もそう願っている。
記録終了。
ファイル削除済み。
日誌エントリー0001-13。
やあ、日誌君。久しぶりだ。
現在私はSCP-579が存在するはずのサイト62Cを見つめている。
私が見る限り警備員はいないし、すべての保安体制は解除されている。
このサイトはしばらく前から放棄されているらしい。
極めて重要度の高い場所だという印象を受けていたが、
財団はもう私の意見には賛成ではないようだ。
私は手にブリーフケースを持っている。
呼吸するのが難しい。
54:00
スピーカー 1
どういう形であれ、まもなくすべてが終わる予感がする。
これより入場する。
日誌エントリー0001-14。
やあ、日誌君。また会ったな。
前回のエントリーをドラマチックに終了してまだ30秒程度しか経っていないが、
重要な情報更新がある。
サイト6-2-Cに近づいた瞬間、
誰かが後頭部に銃を押し付けているような感覚に襲われた。
まるで私が屋根の端に立っていて、
誰かの手が背中に密着して押す準備を整えているようだった。
俗に言う逃走、逃走反応だろうが、
いきなり限界まできついのを見舞いされた。
SCP-579の正体は知らないが、
それが私を見ているのはわかる。
記録ファイル0001-4。
説明。
クソ、クソ、クソ。
記録開始。
サイト6-2-Cの廊下を撮影した映像。
壁には深刻な損傷が及んでおり、
あたかも大振りのナイフで傷つけられたように見える。
頭上の照明が点滅している。
ピエトロ。
畜生、畜生。
照明が再び点滅する。
明かりが復旧すると、
両腕が刃物になった兵士の像がその下に立っているのが見える。
本来目があるべき位置には空の眼下のみがあり、
表情は刃を剥き出したしかめ面に固定されている。
記録終了。
結び。
思い違いだった。
スピーカー 2
奴らがここにいる。
スピーカー 1
日誌エントリー0001-1-5
案の定だ。
私に気づけなくてもブリンカードも私がここにいるのを察している。
目の前のあらゆるものを切りつけている。
片足に刃が食い込んだ。
死ぬほど痛い。
しかし動き続けなければ。
奴らは私を追跡していないが同じ場所を目指している。
先に到着しなければならない。
奴らを見つめ続けなければならない。
日誌エントリー0001-1-6
やった。やった。やった。やった。やったぞ。やった。やった。
私はやったぞ。
日誌エントリー0001-1-7
不公平だ。
しかし私はやったんだ。
こんなのは不公平だ。
ブリンカーはドアの反対側に締め出されている。
切りつける音が聞こえるが強化ドアだから多少は持ちこたえるだろう。
最低でも数分間。
私はSCP-579を監視するための機器で満ちた観察室にいる。
実際の収容室は私のすぐ足元だ。
57:02
スピーカー 1
目を細めると過労死で見える。
穴がある。
真下に通じる穴が床に開いている。
579のありかはわかる。
仮に監視機器がなかったとしても私はそれを感じる。
おそらくそれを感じずに近づくのは不可能だ。
ほんの一瞬ブリーフケースを穴に落として全てに蹴りをつけられるかと思ったがそんな上手い話はないらしい。
世界の半分を歩き通してなお私は事態を簡単に解決する権利を得られなかったようだ。
穴の角度と579の位置を踏まえるとブリーフケースはかすりもしない。
接触させる唯一の手段は私自身が穴に飛び込んで落下しながらブリーフケースを投げつけるだけのように思える。
しかしこの行動、ブリーフケースを投げるのが私の人生最後の行動になるだろう。
もちろんだ。もちろんそうだろうとも。
今まで生きてきてようやく悟った。私は探偵になれるような人間じゃない。
私はただの殺人被害者だ。他人の物語のために死ぬ奴だ。
そして人類全体が私と同じ立場にいる。
誰が犯人か、Who done itも、犯行手段How done itも分かっているが、それらは明白だった。
誰もがそれを知っている。初めから手渡された情報だ。
なぜなのかが分からない。結局私は何一つ突き止められなかった。
どうしてこんなことが起きている?どうして財団は人々を殺している?
どうしてこんなことが起きている?どうしてO5はみんなにファイルを送った?
どうしてこんなことが起きている?どうしてガンジルは陥落した?
どうしてこんなことが起きている?どうして私は世界を旅してこのブリーフケースを運んできた?
どうしてこんなことが起きている?どうして私はここにいる?
どうして私はこんなことをしている?どうして?どうして私は死のうとしている?
理由はあるのか?もし万が一これを読む者がいるなら、どうか、どうか頼む。探り出してくれ。
これを私に説明してくれ。誰か、誰でもいい。
分からないんだ。私には分からない。
奴らが押し入ろうとしている。足から先に落ちる。
日誌エントリー、0001、18。
ああ、そういうことだったのか。
生命反応が消失しました。5000、お丼ごと。
5000、お丼ごてじゃに、ギアーズ博士、ブライト博士、マナによる事前団体、事前財団、世界オカルト連合、倫理委員会、壊れた神の教会、外部エントロピー、感覚、放浪者の図書館、機械、蛇の手、記憶媒体、財団制、電子デバイスのタグが付いています。いっぱいですね。
1:00:12
スピーカー 1
リクエストでした。ありがとうございました。
長い。
何、そんで。
ちょっと注釈をどこか見逃している気がするけど、どうでしょう。これちょっと2日に分けて収録しているんですが。
注釈3と4とか言った?
どこのことだ。
多分拾えてるはずなんですけどね。拾えてなかったらすみません。注釈3、4ちょっと言っておきますね。
あ、3はあるね。大西洋の中にある要塞都市。言ったね。4番、口語的にMI666と呼ばれる。これもなんか言った気はするけど。
ちょっとそうですね。要素が多すぎて考察雑談がしようがないというか、知らない要素のオブジェクトだったりが多いので。
ブライト博士だけは分かったけど、少女の首飾りのやつですね。
首飾りの中に人格が記録されていて、その首飾りをつけた人物がブライト博士になるっていうオブジェクト込みの博士なんですけど。
彼女と最終的に会った時に異世界にこのペンダントを落として、異世界で何が起きてるか見てみるよみたいなことを言ってたんですが。
SCP-5000自体はこの人ピエトロさんが着ていたパワードスーツのことなんですね。絶対的除外ハーネス。
絶対的除外っていうのは人々の視界からも除外されるし、生命の循環的な意味でも除外されてそうですね。
睡眠を必要しないとか食事を必要としないとかそういう意味で、生き物としての断りから除外されてるっていう印象ですね。
これをつけた理由っていうのが、
SCP-5000は2020年4月12日、サイト62Cにある579の収容チャンバーに閃光を伴って出現し、内部には財団職員ピエトロウィルソンと遺伝的に位置する死体が入っていました。
ピエトロウィルソンは現在除外サイト06に勤務しており、
記憶補強セラピーによってSCP-5000の知識はそのアーカイブで消失されている出来事の記憶を持っていないことが確認されています。
別世界のピエトロウィルソンか未来のピエトロウィルソンかな?
1:03:04
スピーカー 1
2020年4月12日に確認されたこっちの終末世界で旅しているピエトロウィルソンは日付は2020年1月2日。
平行世界のピエトロウィルソン。
ピエトロウィルソンが行こうとしていたかつこっちの世界の財団が発見した場所、サイト62CのSCP-579というのがポイントっぽいですね。
スピーカー 2
キーオブジェクトというか。
スピーカー 1
異空間転送系のオブジェクトなのかな?
もしかしたら扱ったことがあるかもしれないですが、忘れてますね。
思考転写。
日誌エントリーは全部思考転写。
考えを書き写す。実際に書いているわけではないってことですね。
O5評議会の総意によって作成されたメッセージ。
現時点で私たちの存在を知らない方々へ、私たちはSCP財団という組織を代表しています。
私たちのかつての使命は異常な事物、実態、その他様々な現象の収容と研究を中心に展開されていました。
この使命は過去100年以上にわたって私たちの組織の焦点でした。
やむを得ない事情によりこの方針は変更されました。私たちの新たな使命は人類の根絶です。
何がどうなったんだろうな。
でもMeme系のオブジェクトじゃないって言ってたので。
えー、どこだどこだ。
サミュエル・ロス。
サミュエル・ロスとロードスさんとモディソン指揮官の下りは何?
あー、尋問施設か。
はいはいはい。
えーっと、579に向かって進んでいるMemeエージェントを食らう感じではない。何かから解放されるような感覚だ。
倫理観を外すとかそういうあれかな。
1:06:04
スピーカー 1
ピエトロさんがなぜこれに影響されなかったかっていう具体的なあれは書いてるっけ。
早々にこのスーツを着たからとかでしたっけ。
生き残ったのは私だけかもしれない。
逃げてきた。
奴らは徹底的にやってきた。
もしこのスーツまでたどり着かなかったら。
あー、スーツが着る前からもうバグってたんだな、世界は。
全ては6時間、7時間ほど前に始まった。
うーん。
ただ我々を殺しに来た。
このO5からの通達による人類への攻撃、人類の殲滅が目的ですっていう洗脳を受け取った人物と受け取らなかった人物っていうのがいるっぽいですね、財団職員内でも。
スピーカー 2
それはどういう差なんだろうな。
スピーカー 1
どういう選別をされてるんだろう。
ちょっと前半、紙々で読みにくいじゃない、聞きにくかったと思いますし、私自身ちょっと落とし込めてないところが数多くあるのでね。
良ければちょっとこれは文字で見ながら、あとは関連話の周りもね、都度都度結構いろんなところにジャンプできるっぽいので。
そっちの要素とかも見ながら関連付けていただければ補完になるかなと思います。
あとはそうですね、もしかしたらYouTubeとかインターネットで調べたら考察動画、考察記事とかもあるかもしれませんので、気になった方はそちらの方をご確認いただければと思います。
ではリクエストありがとうございました。
scp5000でした。
また次回お疲れ様です。