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2023-11-01 30:21

#206 Tale-KO - COEXアクアリウム攻撃事件覚書: 第1

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紹介SCP/Tale

タイトル: COEXアクアリウム攻撃事件覚書: 第1
原語版タイトル: 코엑스 아쿠아리움 공격 사태 비망록: 제일
訳者: SOYA-001
原語版作者: Migueludeom
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/muj-f1
原語版ソース: http://scpko.wikidot.com/muj-f1
作成年: 2021
原語版作成年: 2021
ライセンス: CC BY-SA 3.0

SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3

©︎SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/

#SCP #オカルト #SF
00:05
スピーカー 2
Tale-KO COEX アクアリウム攻撃事件覚書 第1
午前4時2分 ソウル特別市高南区三聖堂 タンチョン
夜が明けていた。 夜明けのタンチョンは静かだった。
スピーカー 2
朝早くに起きて、川沿いの道路を歩いているこいつらを覗いては、 何一つ活気も感じられないような空間。
水は好き勝手、気ままに徐々に塩を打ちまいていき、 鳥でさえ浅いまどろみへと落ちていた。
そして、いくつかのボート。
スピーカー 1
このボートは一般的な他の機種とは異なり、 怒りが外されており、
エンジンだけでひたすらに航行していた。 道行く人はボートにこっそりと目を向けたりしていたが、
スピーカー 2
大きな拳が描かれていることを除き、 何の特徴すら許さないその船舶に対して大きな関心を持ちはしなかった。
ボートにはそれほど存在感がなかったのだ。 それは自然の風景と混じり同化していた。
船舶を操る男は安心の一息を吐き出した。 数日間シミュレーションした結果が輝かしかった。
今まで大韓民国で作戦を遂行したことはあったが、 世間の字幕が集中される、ここソウルまで来るようになったことは初めてだった。
ともすると仕事を誤れば不要な関心を引いて、 組織全体に悪影響を及ぼすという事実が男の背筋を冷ややかにさせた。
今までこんな大都市で任務を遂行してみたことがないということも 彼の不安を高めるのに一躍勝っていた。
こちらメイウェザー1、メイウェザー1、聞こえるか?
無線機から音声が流れ出ると男は身震いをした。 立ちどころに他の音声が無線機から流れ出始めた。
それは皆男の仲間だった。 彼は少し心を置いて無線機に返事をした。
こちらアリ13、現在タンチョン川の上だ。目的地に到達している。 陸地を行った他の応援も目的地点へと到達しているようだった。
03:12
スピーカー 2
男はドックを見通しながら拳を巻いて握った。 そう、心配する必要などない。
計画は着実に遂行されていた。 何一つ起こる前、ましてやこの船の中には他に3人もの仲間が乗っているではないか。
目的地に到着次第作戦を実行する。 余式を横撃よ。
余式を横撃よ。 行進が終わる。
男は首をうなずかせ、操縦桿をキュッと握った。 そして、目の前で水柱がそびえ高く伸びた。
唐突に降りしきった水しぶきに驚いた男が操縦桿を折ると、船は揺らめいた。 運転室の向こうで居眠りしていた仲間たちがはっと目覚めた。
何事だ? わからん。
操縦桿を取った男が答えた。 目の前で水柱が上がったんだよ。まるで何かが落ちてきやがったかのようにな。
何が? 単に入水した野郎じゃねえのか。
男は気がかりそうな表情をして言い返した。 えや、あたりに上から物を落とせるだけの構造物なんかはな…
男が言葉を止めた。 ボヤッとした表情の仲間たちが近づいてきたが、男は相も変わらずに何も言わないまま目をつぶっていた。
一体何なんだ? 何とか言ってくれ。
ついさっき、どっくに… どっくに?
サメがいた。 お前、何言ってんだ?
スピーカー 1
男の仲間らはボヤッとした顔のままどっくに出た。
スピーカー 2
ますます明るくなる夜明け空と揺れる川水だけが見えるだけで、サメなどどこにも見当たらなかった。
船の端に立った仲間は、いぶかしげに顔をしかめた。 こいつ、薬気になりすぎたか。
サメをぶん殴りたくて幻覚を見始めたんだろう。 一人の男がつぶやくと、他の二人は薬と笑い声を立て、笑みを浮かべた。
その直後、笑い声がこときれる。 少なくとも一人はしばらくの間、笑い声を出すことができなくなっていたのは明らかだった。
06:02
スピーカー 2
夕日の中から小さな手が飛び出して、 ドックの端でうつつを抜かしていた男の首を殴り倒し、気絶させたからだった。
そして戦いの火蓋が切られた。 神奈は妙齢12歳の少女だったが、その割には強靭な体力と強安の持ち主だった。
スピーカー 1
そんな彼女はサメでもあった。 いや、正確に言い表すとするならば、
スピーカー 2
半人半ザメと表現した方が正しいだろう。 マナの故郷だったサミオ・マリエ共和国はサメ殴りセンターの連中に殴り滅ぼされた。
マナの種族は文字通り散り散りとなった。 民兵たちは容易く潰され、罪のない民々が無惨に虐殺された。
その日、その場所には善良さなどといった概念はあらず、 彼らがたて祭り、讃えていた神なども居はしなかった。
数千もの民々が死んだ。 その亡骸を葬ってくれる者さえも。
それゆえに神マナは、今己の目の前に立ちすくんでいる 極を持ったSPC職員の腹部に、強烈な一撃を繰り出す時にさえ、何らの罪悪感を持たなかった。
極の男が乾いた咳を吐き出し、後ろによろけながら引くと、 ビニーをかぶった男が荒ん限りの声を張り上げ、マナへと飛びかかった。
マナはバックステップを踏み、ビニーの顎に強烈な右フックをかまし、 再度左フックを見舞いした。
ひしゃげる音とともに、ビニーの足が溶けて倒れ伏した。
幼い少女に、こんな目に合わされていることが信じられないという表情をしながら、 ビニーが身を起こそうとしたが、直後に飛んで入った青色の膝によって夢の国へと吹き飛ばされた。
こ、こいつ。 意識の戻った極が隙を見て飛びかかる。
スピーカー 1
倒れたビニーを見下ろしていたマナが驚き、目を見開いたが、 極の方が早かった。
スピーカー 2
勢いづきそのまま飛んで入ったボディープレスに、黄髪マナの体育はバランスを崩し、 欄干にぶつかってしまった。
スピーカー 1
このリスみてえなサメガキが。
スピーカー 2
痛いやろが。
マナは欄干をつかみ、起き上がろうとした。 夜明けの日色を背に伸びた極の影が近づいてくる。
09:02
スピーカー 2
心臓がドキドキと音を響かせた。 船を進んでくる感覚が足から伝わった。
極が近づいてくる。 そして極が拳を振るい上げた。
スピーカー 1
サミオマリエを粉砕した、あの時の虐殺者のごとく。 マナは目をキュッと閉じる。
スピーカー 2
その時、 欄干が極の頭部を貫いた。
スピーカー 1
マナは悪気にとられた表情のままに、 極の冷えゆく死体を眺める視線を、 欄干が飛んできた方向へと首を向けた。
そして親指を立てた。 ソン・ユダはそこから数百メートル離れた
スピーカー 2
サムスンバシの欄干の上で、 狙撃銃を装填して首を頷かせた。
抗戦が始まった。 明朝4時22分、ソウル特別市
スピーカー 1
サイト21Kの監視室は、 忙しさにごった返していた。
スピーカー 2
情報部の協力によって、 抗戦地域の近隣すべてのセキュリティカメラや車両ブラックボックスなどは、 すべて無力化された状況だった。
機動部隊E5-17都市の中心部隊長、キムスドンは、 画面に浮かんだ隊員たちの状況を注意深く観察する。
スピーカー 1
皆は指定された位置から敵方が来る瞬間を待っていた。 現在、SPCの構成員の一部がヨンドン大橋を通過し接近中。
狙撃ポイントまで約2キロメートル。 情報部のエージェントマージが報告した。
スピーカー 2
部隊長がうなずいてマイクを手に取った。 現在E5-17は陸路と海路におよそ8対2の割合で配置されていた。
異例の官日職員公益が成立した現状況において、 これが一番適切な配置だった。
スピーカー 1
今回の事態は平凡だとはとても思うことはできなかった。 財団勧告支部はわずか数日前の時点でこの事実は把握していた。
スピーカー 2
秘密裏に大韓民国に上陸したサメ殴りセンター SPCとアンダーソンロボティクス官安支社の間で攻撃があったのだ。
いくつかの施設は陥落し、炎上し、 備品は散脱された。
部隊長はテーブルをタンタンと叩きながら通信が繋がるのを待っていた。 サメ殴りセンターには頭を悩ませられていた。
名前からしてふざけた連中だが、そのふざけた奴らが武器を手にした途端、 腹立たしい連中へと変貌した。
12:00
スピーカー 2
サメ、サメ、 あいつらサメのなんなんだ。
財団勧告支部は連中の消息を聞いた直後、 日本支部に協力を要請した。
スピーカー 1
機動部隊サ21、神殺しは SPCへの対処能力に低評がある部隊だった。
スピーカー 2
相対的に対処経験が不足していた韓国の機動部隊には、 最適の仲間であることは違いなかった。
したがって現在、彼らは都市専門部隊であるE5-17と合同で現場に派遣していた。 一部はあらかじめ官安へと降下して、
E5-17、こちらキムスドン部隊長だ。 部隊長の言葉とともに、現場に出ている日本支部のエージェントたちの無線機に翻訳された音声が聞こえた。
以前なら伝達にいくらか時間がかかったが、今ではそれはなかった。 ハリウチエイドがにやりと笑い、部隊長に親指を掲げたかのように見えた。
スピーカー 1
キムスドンはにんまりと笑いながら話を続ける。 私は長話は好かん。
スピーカー 2
敵方が来ている。各位所定の位置につけ。 チームA、タンチョンはよく守っているんだろう?
スピーカー 1
すでにこっちは抗戦中や。 無線機から音声が流れ出た。それは神マナの声だった。
スピーカー 2
めっちゃ行産に包囲されとる。 現在のアクセス中の船舶は合計3隻、処理します。
続いてソン・ユダの声も聞こえてくる。 その調子だ。
チームB、看病ん北次の方は異常はないか? 待機中です。
スピーカー 1
エージェントJ4が答えた。 配備された高機動機器を装着しました。
スピーカー 2
あいあい、キャプテン。 カディク・ハソンの声だ。
スピーカー 1
チームC、ヨンドン大橋の上はどうだ? 問題ありません。
スピーカー 2
マダラザ・マリナが答える。 数分ほどでトラックが接近すると思われます。
スピーカー 1
車両制御は完璧ですよ。 ユ・ジョン・ホンが言葉を発する。
スピーカー 2
情報部が仕事をうまく処理してくれたおかげですね。
情報部が仕事をしなくてどうするというのだ。 他の仕事は何一つ進めていないというのに。
スピーカー 1
気の張った声が聞こえてくる。 その時一瞬、監視室に気まずい沈黙が降り座った。
スピーカー 2
キム・スドンはため息をつく。 ユ・ジョン・ホン、やつの口を詰めてやるほかあるまい。
連中はアンダーソン・ロボティクス、 肝炎死者であらゆるアノマリーを強奪した。
武器、トラック、さらにはナビゲーションシステムやアロマ構想、 漏れなくアンダーソンのパンティーまでな。
15:06
スピーカー 1
実に腹立たしいことに多くの物品を持ち出した。 その点を忘れず、を渡して、
スピーカー 2
お、エロ。 キム・スドン、アウト。
午前4時26分、ソウル特別市、 クァンジン区、チャヤンドン、カンビョン北寺。
エージェントカディク、準備はできましたか? もちろんですとも、チャ先輩は?
スピーカー 1
ジェイオンはうなずいた。 彼はハーレーダビットソンの上で、
永遠にやっては来ないはずのアンダーソン・ロボティクス社のトラックを待ち続けていた。 もうすでに1時間半も過ぎ、
たった今耳に入ったキム・スドンの言葉で、 敵方が近づいていることは十二分にわかることであったが、
それでもなお、腕が鳴り、うずく感覚をこらえることができなかった。 ほどなくして、エンジン音のどよめきが聞こえてくる。
スピーカー 2
ジェイオンの体はすぐさま緊張状態へとひるがえる。 全身の筋肉が一瞬にしてこわばり、呼吸は遅くなっていく。
スピーカー 1
それはまさしく、生き栄を見つけた捕食者であるかのように。 エージェントとして職務を遂行しつつも、
スピーカー 2
ますます獣へと変貌しているかのようだ、と彼は内心、ひそかに思っていた。 こんなやつが野獣でなければ、なんだというのか。
スピーカー 1
遠く、人里離れた道路の向こう側で、 豪悪に駆け巡る一台のトラックが失踪してくる。
一見すると、ただ平凡に映るトラックのようだったが、 カンヤンで報告された資料に記録されたものと同一であった。
SPCに散脱されたトラックだ。 ジェイオンはカディクにめくばせし、バイクのエンジンを始動させる。
トラックは信じられない速度で失踪していた。 ジェイオンは歯を食いしばりながらアクセルペダルを踏む。
トラックは瞬く間すらないほどに、彼らの視界に映らないほどに速かった。 二人は寒酸とした道路をかすめて、トラックへぐっと迫っていった。
スピーカー 2
速度を上げていくたびに、バイクのエンジンがけたたましい悲鳴を上げたが、いたしかとなかった。
冷たい風が頬をかすめては過ぎ去っていく。 トラックが減速するような気配などなく、それどころかなおさらに加速してばかりだった。
スピーカー 1
まるでその場が高速道路かと見惑うほどに。 あらかじめ交通規制を敷いておいたことが幸を奏したようだった。
スピーカー 2
ジェイオンは距離を縮めることに躍起になったが、車両は一切の隙すら与えなかった。
ジェイオンのバイクが出勤する人々を素早く通り過ぎていく。 驚きの呼吸が耳元に散りひびいた。
18:04
スピーカー 2
トラックがちょん玉大橋の上を走り始めた。 カディックとジェイオンは両側車線に分かれ、トラックを追い始めた。
夜に寄れない距離のせいで、トラックの運転手は彼らを認識しなかった。 いつの間にか彼らは大橋の半ばまで達していた。
チャ先輩、このままじゃ大変なことになりますよ。 この調子では観音区への侵入を許してしまう。
スピーカー 1
それくらい私にもわかりますよ、エージェントカディック。 ジェイオンがカザキリオンに負けじと大声で言い返した。
スピーカー 2
だとして、今この装備を使うのはそう難しくないことでしょう。 それはそうだけど。
スピーカー 1
ジェイオンは前方でゆったりと走っている車を避けて車線を移した。 車が次々と走り始めてくる。
スピーカー 2
これは良からぬ事態だった。 ヴェール政策の破棄をもじさないような可能性も捨てきれなくなってくるからだ。
ヴェール政策。 ある考えが浮かぶ。
ジェイオンはいち早く無線機の電源を入れ、1対1チャンネルを開いた。 エージェントカディック。
え? どうやら我々は部分的ながらヴェール政策に反しなければならないようです。
スピーカー 1
ああ、クソ。 無線機を通じて聞こえるカディックの冗談地味たい言い方にジェイオンはにっこりと笑った。
スピーカー 2
そして腰回りから何かを外す。 青白い光が揺れ動き、目元が眩しくなった。
その物体はタンブラーの形にもについたものだったが、蓋と本体を連結する部位から光が漏れ出ていた。
ジェイオンがタンブラーの蓋を開けたと同時に、まっすぐトラックへ向けて投げつけた。 トラックはそのまままっすぐ、加えられていた重力極が逆転した。
午前4時26分、ソウル特別市、カンナム区、ヨンドン大橋、南端交差点。
エージェントマダラザは更新を受けて、再度他のアンダーソンロボティクス社のトラックを待っていた。
チームBが引き受けたトラックとは違い、彼らチームCは一度に2台のトラックに相対することとなっていた。
スピーカー 1
ゆえに彼らは待機している車両の後部座席に座る双子兄弟と3名で、2台を防がなければならなかった。
スピーカー 2
たとえ叩き潰されようが、タイヤに穴を開けられて動かなくなろうが、何が何でも、双子の方といえば彼女はあまり率直に信頼をおけるような仲間だとは言えなかった。
21:00
スピーカー 1
エージェントとしては比較的小柄な方で、底抜けに善良な市民のような印象。
むしろエージェントなどではなく、警備員として雇用されていれば荷使わしかっただろう。
スピーカー 2
それに彼らの身体的特徴を踏まえると、あまりに不自由なのではないだろうか。
彼らが双子であるという事実は、この場ではあまり重要ではなかった。
それより、結合創生児であるという事の方がさらに重要だろうか。
一体どうしてこのような者たちが機動部隊に配属されているのか、エージェントマダラザには理解しがたいことだった。
スピーカー 1
ともかく、戦闘が始まればそれも分かるようになるだろう。
全体チャンネルで情報部エージェント、チームリーダーのキム・ミヨンの言葉を、ハリウチエイドの声で伝達した。
スピーカー 2
チームC、そのまま待機。オリンピック通り方面でターゲット2体が移動中。
オリンピック通りですか?ヨンドン大橋はなく?
U、ジョン・ホンが喫嚙の声で問うのが聞こえた。
スピーカー 1
即位追跡をジャミングさせる異常性が搭載されているようだ。
スピーカー 2
追撃時に監視室からのサポートが遅れることも考えられる。十分注意して挑んでくれ。
了解です。チームC、アウト。
ほどなくして、エージェント・マダラザは後ろを振り向きながら、気の乗らない内心を隠して言う。
スピーカー 1
行ってみましょうか。 双子が同時に首を頷かせた。
スピーカー 2
エージェント・マダラザから見て、左側のエージェントが広角を上げる。
今の今まで、その言葉だけを待っていましたよ、お姉さん。
エージェント・マダラザがアクセルを振る。 車が虚空目がけて突進し始めた。
2台のトラックが並行して、都参・王子に直行する姿が見えた。
3人の乗った車がエンジン音を吹かして現場へ急行する。 トラックは狂ったように疾走していた。
スピーカー 1
エージェント・マダラザは近くに荒々しく迫る。 車両がぶつかりながら変形する音が響く。
スピーカー 2
ジョン・ウォンが口笛を吹いた。 エージェントさん、見かけ以上に熱いですね。
備えてください。 エージェント・マダラザが言い返した。
あなた方は奇跡論を駆使することができると聞き及んでいます。 それはジョン・ウォンが。
ジョン・ウォンはにたりと笑みを浮かべた。 おあいにくさまですけど、そのような力は持ち合わせていませんので。
スピーカー 1
余計な冗談に食ってかかる時間なんかないぞ。 ジョン・ウォンが静かに答えた。
スピーカー 2
お前は武器の整理と準備をしろ。 あ、当たり前のことじゃないか。
24:04
スピーカー 2
ジョン・ウォンが滑稽な態度で言う。 エージェント・マダラザはため息をつく。
スピーカー 1
トラックは速度を上げていた。 彼らの車と衝突したトラックは3人を妨害するかのように激しくぶつかり
その横で兵装していたトラックが彼らを追い越して走りすぎていった。 エージェント・マダラザは助手席の窓を下げ、
スピーカー 2
拳銃を複数発発砲した。 このままでは危険だ。増援もない状況であのトラックを逃がすということは単純なミスなどではないはずであった。
スピーカー 1
ミスを招く状況よりもさらに恐ろしい結果が待ち受けているからだ。 バックミラーには双子の姿が映っていた。
スピーカー 2
彼らは状況に気づくと全く同じような驚いた表情を浮かべていた。 直後、さらに全く同じ決意に満ちた顔をして、同時に両側へと動き始めた。
スピーカー 1
そして彼らは悲鳴を上げた。
スピーカー 2
ああ、痛い、動かさないで。 頼むから、私たちが上の時はゆっくり動いて。
ジョン・ホンが歯を食い縛り大声を張り上げた。 エージェント・マダラザは呆れた表情で二人を眺めた。
スピーカー 1
立ちどころに双子は左側の窓から身を乗り出した。 ジョン・ホンが窓を開けて左腕を抜き取る。
スピーカー 2
武器を持っていなかった腕はお互いの肩に巻くようにして肩組みの姿勢をとった。 反動を最小限に留めるためのようだった。
ジョン・ホンの手先から緑の炎が燃え上がる。 炎はまっすぐ空中を漂いながら変貌していった。
原型となる円形の魔法陣が形成された。 ジョン・ホンがその中間部分を引き寄せ、打ち返した。
燃えるエンジンが数本の矢の形を取って飛ぶ。 そして閃光していたトラックの窓から爆発した。
トラックがよろけ、歩道の方へと横転する。 幾人かの現場を目撃した市民は悲鳴を上げて逃げ惑った。
双子はまた右側に席を移した。 ジョン・ホンが窓を開けて罵声を上げた。
今度はてめえらの番だ。 ジョン・ホンの言葉はトラックが車を強く押し潰してくる音でかき消されてしまう。
エージェントマダラザは後方をちらりと確認すると双子が横向きに転げ落ちていた。 シートベルトをしていなかったことによって生じた事故であった。
スピーカー 1
体を起こしたジョン・ホンが叫ぶ。 こんぬ野郎、お約束くらい守れよ。
27:01
スピーカー 1
変身中の自己紹介の時くらい手を加えないってことすらわからねえのか。 そして開いている窓から腕を突き出す。
彼の利き腕にはコンペンセーターを装着したAK-74MR小銃が携えられていた。
ジョン・ホンが身を乗り出して左腕を伸ばす。 そして重心カバーを握った。
彼はアグレッシブ姿勢をとっていた。 結合ソーセージだと一人で撃ちにくいだろうし、そうなるよね。
スピーカー 2
エージェントマダラザはハンドルを切りながら考えていた。 彼らのそれは非常に奇抜な行動だった。
スピーカー 1
銃撃が始まる。 トラックのコンテナ部分に弾丸がめり込んでいく。
トラックはバンパーカーのごとく飛びかかってきたが、窓辺に銃撃をかますと驚いたように火事を切っていく。
「韓国の特産品だぞ!」 ジョン・ホンが叫ぶ。
スピーカー 2
銃口から花火が飛び散った。 退いたトラックは立ちどころにまたも迫ってくる。
閃光して花火をかぶったトラックは車道を再び失踪してくるも、粘り強く追従する後方のトラックの陰りに覆われ、それははっきりと目視できなかった。
エージェントマダラザさん、他のトラックが見えないです。 このトラックを追い越す必要があるんですが、可能ですか?
トラックはあまりにも健康だった。 少し前方へとスライディングして追い抜こうとすれば、すぐさま体当たりをかましてくる。
ガタガタ音を立てる車両に幾度となくハンドルを逃がすところだった。 突き抜けて逃げる術など思いつきもしなかった。
スピーカー 1
トラックはそのままに、自分らを妨害する彼らと別の場所に向かうことにしたらしい。 仲間たちが目標地点に行くまでの間、自分を犠牲にしてでも、方法なんてなかった。
スピーカー 2
支援要請をしなければならないことは変わりなかった。 そもそも3名であの2台のトラックを妨害するということ自体無理難題だったのだ。
スピーカー 1
ふとエージェントマダラザは後方を眺めた。 双子は彼女をじっと見つめていた。
ジョンウォンが身を挺してトラックを引き離そうとしていた。 焼銃から弾丸が打ち乱れ、トラックのサイドミラーを破壊した。
しかしそれでもトラックは退かなかった。 引かなかったのは双子も同じだった。
スピーカー 2
彼らの顔は手に負えないものであるかのように見えたが、決して弱く見えはしなかった。 強靭な生命力が感じられた。
いかなるものにも屈辱しない深い深い力が。 そしてようやくマダラザ・マリナは彼らがどうしてエージェントとして雇用されているのかを理解した。
30:04
スピーカー 2
エージェントマダラザはしばらくためらいを見せて、直後に強くうなずいた。
追い越し、ね。 ええ、一度やってみましょう。
30:21

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