1. SCP話
  2. #155 Tale-JP - イヌの生活【..
紹介SCP/Tale

Author: imine
Title: Tale-JP - イヌの生活
Source: http://scp-jp.wikidot.com/bowwow
Year of creation:2014
CC BY-SA 3.0

SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3

©︎SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/

#SCP #オカルト #SF

サマリー

ヤクザの男性は運命の出会いを経て、なんと犬になってしまうという物語があります。

人生の不遇な始まり
Tale-JP イヌの生活
ワンワンワン ワンワンワン
ワンワンワバワン ワンワンワン
僕らは犬だぞ、元気だぞ。 今日も今日とてパトロール
我ながらついてない人生だと思う。 母親は俺が幼い頃に飲んだくれの父親に
あいそつかして出てったし、 その父も酔って電車に轢かれちまった。
クソったれの親父がこさえた借金のせいで、 俺を引き取ろうという親戚はいなかったし。
ガキなりに頭働かせて思いついたのが、 見ず知らずの他人の道場を引いてよくしてもらったところ、
金品いただいてドロン。 そんなこと繰り返してりゃ当然捕まるし、
おっかねえ野郎に殴られて歯を折られたこともあった。 かわいそうな子供が通用しなくなったら、
飽きすぎ転身した。 誰かを傷つけようとかって思ってなかったんだよ。
誓って本当だ。 だからあの時鉢合わせた女をやったのはうっかりなんだって。
あいつが悲鳴を上げたから口を塞ごうとしただけなんだ。 それを見てた隣のババアも口封じしなきゃならなかったし、
ババアの家族も始末しなきゃならなかったのも、 たまたま運が悪かっただけだって。
犬になってしまった男性
裁判所で俺は主張したけど、全くもって聞き入れてもらえなかった。 俺は檻の中に入れられ、
まるで犬にでもなった気分だった。 捨てる神あれば拾う神あり、だっけ?
とにかくチャンスは突然やってきた。 1ヶ月働けば自由の身になれるっていう夢のような話だ。
難しい話はよくわからなかったが結構危険な仕事もあるらしい。 俺が原子力発電所とか買って聞いたら似たようなものですと答えた。
かくして俺はDクラスって呼ばれる仕事に就いた。 番号までは覚えきれなかった。
俺はオレンジ色のつなぎを着せられ、通信機の使い方だとか漢字の読み方だとかをさせられた。
参ったな。俺の最終学歴は小2だぞ。 飯はそれなりにうまかった。
数日に渡るお勉強の後、 ついに俺に初めての仕事が与えられた。
どこかの民家に連れてこられたと思ったら、床下に入れとさ。 正直バカバカしいとも思ったが、こんなことで釈放されるのは今までの月の悪さが帳消しになったような気がした。
いや待て、死体が埋まってるとか殺人鬼が潜んでるとかの可能性も捨てきれないぞ。 気を引き締めよう。
俺は店っぽい場所に出た。 床下からこんなところに繋がってるとは思いも寄らなかった。
見回してみると埃が積もってるし、ガラスは割れてるし、 どう見ても廃墟だ。
人の気配はない。 アキスが言うんだから間違いない。
女の件は… あれは別だ。
もしもし?聞こえる? 俺は通信機に話しかけた。
見たものを報告するだけの簡単なお仕事だ。 店っぽいところのカウンターに出た。
レジに金はないよな。
残念だ。 今、窓から外見てる。
すっげー雑草伸びてる。 あと看板がある。
めっちゃ錆びてて読みにくいけど、 うわー、ワンワンランドって書いてある。
ひらがなだから俺でも読めるぜ。 俺は店内を実況しながら歩いた。
開きっぱなしの空の檻を見て、 もうすぐ俺もこうなるんだと思うと胸がワクワクした。
俺は喋ってる途中で止めた。 物音がした。絶対に。
あの時と同じだ。 カウンターの方を見る。
隣の階段… 全身がゾワッとした。
なんだあれ? 階段の上から何かが俺を見てる。
犬? 違う、犬じゃない。
犬?犬って、おい、あれ? 犬のような何かがゆらりと動いた。
俺はとっさに手にしてた通信機を思いっきり窓に叩きつけた。 が、割れなかった。
待て、おい、待てだ。 犬じゃない。待てなんか聞かない。
俺は店の中で犬と鬼ごっこする羽目になった。 違う、犬じゃない。
入ってきた小さいドアを開けようとしたが、開かなかった。 閉めやがったな、ちくしょう。
カウンターの横の階段を駆け上り、2階へ逃げる。 2階には…
ああ、確かワンワンランドだったな、ここ。 来るな、お座り、伏せ。
あの犬はついてきてる。犬じゃない。 俺は通信機に向かって叫ぶ。
助けてくれ、助けて、犬が… 違う、犬じゃない。犬じゃない犬じゃない犬じゃない犬じゃない犬じゃない犬じゃない犬じゃない犬じゃ…
ワンワンワン ワンワンワン
ワンワンワワワン ワンワンワン
僕らは犬だぞ、元気だぞ。 檻の中には戻らない。
僕らは犬だぞ、元気だぞ。 不幸はどっかに飛んでった。
僕らは犬だぞ、元気だぞ。 幸せいっぱい犬だから。
ワンワンワン ワンワンワン
ワンワンワワワン ワンワンワン
07:37

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