1. SCP話
  2. #403 Tale - 055についてお話..
2025-06-21 27:54

#403 Tale - 055についてお話しましょう 【リクエスト】

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紹介SCP/Tale


タイトル: 055についてお話しましょう

原語版タイトル: We Need To Talk About Fifty-Five

訳者: ukarayakara

原語版作者: qntm

ソース: http://scp-jp.wikidot.com/we-need-to-talk-about-fifty-five

原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/we-need-to-talk-about-fifty-five

ライセンス: CC BY-SA 3.0

作成年: 2016

原語版作成年: 2015



タイトル: 反ミーム部門ハブ

原語版タイトル: Antimemetics Division Hub

訳者: C-Dives

原語版作者: qntm

ソース: http://scp-jp.wikidot.com/antimemetics-division-hub

原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/antimemetics-division-hub

ライセンス: CC BY-SA 3.0

作成年: 2017

原語版作成年: 2017


SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3


©️SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/


BGMタイトル: Farewell

作者: H.Lang

作者ページ: https://dova-s.jp/_mobile/_contents/author/profile459.html

DOVA - SYNDROME楽曲リンク: https://dova-s.jp/_mobile/bgm/play19024.html


1・5・9・13・17・21・25・29日更新予定


#SCP #SCP財団 #podcast

サマリー

このエピソードでは、O5の存在やマリオンが直面する緊張感、そして反ミームを扱うハンミームについての会話が展開される。彼女の過去やSCP-055の特性についての理解を深める重要な瞬間が描かれている。SCP-055についての会話が進み、Wクラス記憶補強剤とその効果についての詳細が語られる。マリオンはSCP-055の特異性やハンミームについての情報を提供し、クレイとの対話を通じて自身の記憶の脆弱性を指摘している。

受付での緊張
Tale-055についてお話ししましょう。
タバコを吸っても?
受付は今度こそ冷ややかな眼差しをマリオンに向けた。
ダメです、彼女は言った。
あなたは、
いいえ、サイト200は全館禁煙です。
ここが本部施設だからといって、
私たちに肺がないわけでも、労働法が適用されないわけでもありません。
マリオンはその若い女性の顔に浮かぶ怒りに気づいた。
さっきも尋ねたかしら?
この15分のうちに2回も。
受付は言った。
よほど喫煙したくてたまらないのですね。
繰り返される質問に彼女は心底困惑させられ、
その言動は戸惑いを隠せていなかった。
メメントみたいだなって思ったでしょ?
マリオンは寛大に言葉を返した。
私は長期記憶を保てなくて、ある場所に留まっていたら、
なぜそこにいたかすら忘れてしまうって。
受付は若かったが、その映画をかろうじて覚えていた。
私がそう思ったと?
マリオンは心情を察して微笑み、頭を振った。
ことはそう単純ではない。
数分がたった。
彼女はしきりにライターを持て遊んでいる。
彼女は今年で50歳になり、だんだん白髪も増え、
ほっそりした女性から小柄な老婦人へと差し掛かりつつあった。
バッグの中の携帯電話が通知音で薬を飲む時間を知らせるが、
後にしろと黙らせた。
彼女の指はわずかに震えていたが、
それは過励によるものではなく、神経質になっているせいだった。
イライラの原因は、彼女がO5に会うためにここにいるという事実であり、
O5たちは恐怖の存在であった。
O5たちはサジのために人との面会を望んだりしない。
世界の終わりか、あるいは何でもないかだ。
40分ほど遅れて、ようやく内部オフィスへの扉が開いた。
レベル4か5の後衛職員たちがラップトップやブリーフケースを携え、
あふれるように出てきた。
1個の集団として彼らはまっすぐ受付を後にし、
待たせていた車へと向かった。
反ミームの会議
マリオンは2人の知った顔、
サイト19管理官と西欧方面の主任リクルーターを認めた。
彼らは彼女に一別もくれなかった。
彼らが行ってすぐ、O5Aとの穂さやくがドアの向こうから頭を覗かせた。
彼は20代とは思えないほど若々しく、
お父さんのビジネスシャツを押し着せられたティーンエイジャーのようだった。
髪型はコロージュで整えられていた。
片手には彼のボスの1日の予定が表示されたタブレットを抱えており、
予定はびっしり詰まっていた。
その男はどうやら寝ていないようだった。
マリオン、どうぞ入ってください。
それ自体がオフィスの壁に組み込まれた機械の一部であるかのように、
扉はガチャンという異様に重い機械的な音を立て、
彼らの背後で閉じた。
マリオンが指定された椅子に腰掛け、バッグを床に下ろす間、
おさやくはドアに向き直って何がしかの紛らわしい追加操作を行っており、
それが元でさっき以上の奇妙な騒音が様々発生していた。
O5たちは重大なプライバシー及びセキュリティ要件を有しているのだ。
オフィスは広々としていたが、部屋の二隅には大きな窓が配置され、
外が白昼であるにも関わらず、どういうわけか部屋は暗くされているようだった。
壁は全面が本棚で、ダークウッドのパネル張りが施されていた。
申し分なく洗練されてはいるが、若干使い古された90年代のスタイルであり、
まだ再流行するほどの年月は経っていない。
机の前に座る男はどうかといえば、さて、
O5は決して人々が想像するような外見ではない。
マリオンは深く息を吸った。
それで話とは?
私が受けたのは面会の招待だけで、競技事項や議題は一切伝えられていません。
つまり、O5は飛んでこいと指示した。
急いで飛んでこい、出なければ。
彼女は右へ振り向き、穂沢役が一切喋らず、
いかなる物音も立てずにタブレットをテーブルの上に置き、
取り出した銃で彼女の頭部を狙っていることに気づいた。
マリオンは話すのをやめた。
彼女はしばらくの間、椅子に座ったまま気持ちを整理することに没頭し、
ハチドリ並みに心拍数が上昇した後に再び落ち着き始めた。
いいかしら?
マリオンは思い切って言ってみた。
彼女が唇を舐め、肘掛けに置いた腕を掴む一方で、
自体は依然として全く動かず、誰かの発言を待っていた。
穂沢役の表情は、これが会議進行の手段に過ぎないという風に全くの無表情であった。
あるいは、この場にいる彼らにとっては日常茶飯事ということか。
君は誰だ?
O5-8は彼女に尋ねた。
マリオンは目を白黒させた。
何ですって?一体何を?
聞き方を変えよう。
O5-8は言った。
マリオンホイーラー 49歳
愛する夫と虹の息子を持つ
趣味はキャンプ、ハイキング、小類学。
我々が調べられる限りでは、背後関係や財務情報に全く隙のない、うんざりするほど完璧な母親だ。
そして、君は完全な財団職員資格証明を有していた。
これまでに発行された記録のないものを、な。
そのクリアランスは一連の施設や部屋へのアクセス権限にまで及んでおり、
そのうちのいくつかは存在しないか、数十年前に取り壊されている。
少なくとも一つはまだ建造されていない。
にもかかわらず、君はそこの正面入り口のキーを持っていたわけだ。
君のSCPアクセス管理リストを目の当たりにした時は、
これはひどい、という言葉しか出てこなかったよ。
よって、君は我々とは目的をことにするスパイであり、
クレイは君にクシー3を消しかけようとしたが、
私は彼の意向を変えさせることができた。
面と向かって説得したのだ。
君を防弾仕様の部屋に監禁して、
馬鹿丁寧に尋ねるようなやり方には期待できないと思った。
君にも余命を惜しむだけの分別はあるだろうからね。
マリオンはずっと黙って話を聞いていた。
このそこつ者。
彼女はようやく口を開くことができた。
私はあなたの部下、ハンミーム部門のオサよ。
私たちはハンミーム部門などという部門は有していない。
クレイは言った。
その通りだ。我々はそのような部門を持たない。
O5-8は続けて言った。
我々が持つのはミーム部門、
超能収容部門、
消防部、
OPS軍事作戦部AB、
一般職員、Dクラス職員、
そしてツーダースほどの部署だ。
我々はハンミームを司る部門を有していない。
ハン語部門はあったかしら?
マリオンは尋ねた。
彼女は期待して返答を待った。
ない?結構。では、こう考えてみて。
どうして自分はハンミーム部門がリスト上で公開されていると思ったのだろう、と。
こんなものは作り話に過ぎません。
マリオンを目で捉えたまま、クレイはO5-8に言った。
もっともらしく聞こえますが、彼女は前もってへりくつをこねていたんでしょう。
クレイ、銃を下ろすんだ。
O5が言った。
クレイは渋々、指示に従った。
マリオンは緊張をいくらか緩めていった。
危険なミーム特性を持つSCP、物理的な脅威と同様に収容を要する伝染性の概念というものが存在します。
それらはあなたの頭の中に入り、他者の精神へ広がるためにあなたの精神を支配する。
よろしいかしら?
ああ。
O5-8は言った。
この説明に合致するSCPは数多いが、それらを挙げることなど彼には造作もなかった。
反ミームという特性を持つSCPが存在します。
マリオンは続けた。
これらの観念は拡散することができません。
それは情報、特に事故についての情報を収穫、消費する実態、あるいは現象です。
あなたがそれのポラロイド写真を撮っても、現像されることはありません。
あなたがペンで紙上にその説明を記録し、誰かに手渡したとしても、
あなたの書いたものは小型文字に変わり、あなたを含めて誰にも解読できない。
あなたはそれを直接見ることができるし、まして不可視というわけでもないけれど、やはりあなたはそれを知覚できない。
保ち続けることのできない夢、分かち合うことのできない秘密、虚構、いける陰謀。
それは概念的なサブカルチャー、観念であり他の観念を喰らうもの。
時にその対象は現実の断片、そして人々にまで及びます。
その事実は反ミームを脅威たらしめる。話はごく単純です、本当に。
反ミームは危険であり、私たちはそれらを理解していない。
したがって、それらは問題の一環です。そのために我が部門があります。
私たちはあなた方の戦闘訓練を文字通り食べてしまえる何かと戦うために必要な水平思考を行うことが可能です。
O5-8はしばらくの間、彼女を見つめ返した。
記憶処理と対抗手段
クレイは気をもみつつ、その話の内容を疎み、いぶかしんだが、O5は彼よりはその考えを受け入れているようだった。
一つ、彼は言った。
一つ、反ミームSCPの例を挙げてくれ。
SCP-055
マリオンはすぐに返答した。
SCP-055は存在しない。
クレイは反駁した。
もう一度言うわ。SCP-055がそうよ。
マリオンは言った。
存在しないと言ってるだろう。
クレイは断言した。
SCPのナンバーは順々に割り振られるわけじゃない。
リストには空撃があるんだ。そのナンバーは未だ割り振られていない。
迷信を担いでるわけじゃないぞ。
我々には恣意的な数皮術じみた神秘主義にこだわっている余裕などないんだ。
我々はSCP-666やSCP-013を有しているが、SCP-001は存在しない。
SCP-055も同様だ。
クレイ
O5-Aとは言った。
これに見たまえ。
彼が自身の端末モニターをクレイの方へ向けると、たった今彼が引き出したファイルが見て取れた。
クレイは鏡、この記録の端から端までに目を通した。
唖然とする。
彼は記録をスクロールバックし、再度その内容の全てを改めた。
そんな。
このファイルは2008年に作成されている上に。
O5-Aとは言った。
あらゆる正当なフラグと署名を得ている。
暗号化も施されている。
これは本物だ。
今までこれに目を通したことがありましたか?
クレイは彼に尋ねた。
一度もない。
O5-Aとは言った。
いずれにせよ、私が覚えている限りでは…な。
一方で、この記録の内容が正しいとすれば、我々二人はおそらくこれを何十回と見てきたことになる。
クレイはマリオンをねめつけた。
こんなことがありえるか。
マリオンが吐き捨てるように言った。
いい加減になさい、クレイ。
あなた財団に勤めてどれくらいになるの?
だが、このSCPの影響がここまで強力だというなら…
彼はのたまい始めた。
何ですって?
誰がこの記録を書いたんだ?
O5が付け加えた。
加えて尋ねるが、記録内のインタビューはどのように行われた?
バースト・ロミュー・ヒューズとは誰だ?
そして最も重要なことはミセス・ホイーラー。
君はどうやってこれに関する知識を保持している?
バート・ヒューズがその記録を書き、そして死にました。
マリオンは答えた。
彼の身に何が起きた?
あなたが知る必要はありません。
O5-8とその補佐役がこの発言を反数する間、非常に長い沈黙があった。
実際には彼らは種々様々な感情を飲み下した。
見せかけの無礼に対する憤慨、
害意ある上司を前にしてのホイーラーの不適さへの困惑、
その主張の重大さについての驚き、
純粋な懐疑、理解、そして恐怖。
O5-8は慎重に尋ねた。
もし我々がそれを知ったとすれば、
一体何が起きる?
あなたの身にも同じことが起きるでしょう。
マリオンは淡々と述べた。
他の質問に答えましょうか。
私たちは薬学的手法によってハンミームに対処しています。
財団がAクラス記憶処理剤、何かを確実に忘れなければいけない人向けの薬品を保有していることは知っていますね?
もちろん知っているでしょう。
財団にAクラス記憶処理剤の存在を忘れるような輩がいますか?
さて、ハンミームへの対抗手段ですが、
私たちは記憶処理剤とは異なる、
それなしには覚えておくことのできない事柄を覚えていなければならない人向けの薬剤、
記憶補強剤を有しています。
クラスはWからX、Y、Zまで。
記憶法という言葉同様にギリシャ語由来の命名です。
最初のMは発音しません。
彼女のバッグの中から再び携帯の通知音が響いた。
05のよろしいという頷きを受けて、
マリオンはバッグの中に手を伸ばし、携帯の電源を切った。
Wクラス記憶補強剤の効果
今度は通知を遅延させる必要はなかった。
彼女は別のポケットから薬剤の包装シートを取り出し、
一つの錠剤を取り出した。
六角形型のそれは緑色をしていた。
彼女はそれを手に持ち、
058がかすかな既視感を抱いていることをその表情から見て取り、満足していた。
彼は平時の状態に戻りつつあった。
マリオンは言った。
これらの錠剤がWクラス記憶補強剤。
効き目が最も弱く、継続的な使用に適しています。
一日に月二錠服用します。
サイトの錠剤所まで出向き、尋ねてみてください。
錠剤師は、「そんな薬剤は在庫にない。」と言い張るでしょう。
彼らは誤った記憶をインプットされています。
もう一度記憶補強剤のことを伝えてください。
058がため息をつく。
さて、おそらく君の話は理解できた。
とにかく我々がこの会話を行っているわけはわかった。
結構。
マリオンはそう言い、二つの錠剤を取り出して彼に手渡した。
現状の混乱の原因はあなたが服用を書いたことにあります。
あなたは私や私の部下たちと同様にこれを服用することになっています。
それこそ私たちが職務に従事するための唯一の方法ですから。
あなたは錠剤を飲むことを忘れ、錠剤が補充を助けていたあらゆる記憶を失ってしまった。
どうして記憶補強剤を服用していたのか、誰があなたにそれを与えたのか、
どこで追加の錠剤をもらえるのかということをあなたは忘却したんです。
私やハンミーム部門のこともすっかりね。
そして今、元の状態に戻っていただかなくてはなりません。
それで、私がこれを服用したとして、
058は言った。
私はこれまでの会話を覚えたままで、同じやりとりを繰り返したりはしないのだな。
うまくいけば。
マリオンは答えた。
クレイが突然割り込んできた。
あの、私はその錠剤を服用すべきでしょうか。
すまないが、君。
058は言った。
Need to knowだ。
おそらくは君が05になった時にわかるだろう。
彼は錠剤を飲み込んだ。
SCP-055の特異性
マリオンも彼に続いた。
それで、SCP-055とは何なんだ。
058は尋ねた。
SCP-055は取るに足らないものです。
今やすっかり緊張を解いて、マリオンは答えた。
ファイルで説明されていたように、SCP-055は強力な情報自動隠蔽子です。
実験で明らかになった範囲において、それは否定的な表現でのみ定義することが可能です。
私たちはそれを〇〇でないという形でしか記録できません。
私たちはそれがセーフやユークリットではないことを知っています。
私たちはそれが円形や四角形、緑色や銀色ではないことを知っています。
私たちはそれが愚かではないこと、そして単一ではないことを知っています。
ですが、私たちが真に知っていることは、それが弱いということです。
なぜ弱いと言えるのか。
それは私たちの専用科にあるハンミム因子の中で、SCP-055だけが物的な記録を残せるからです。
私たちはSCP-055に関する紙の記録や収容手順を有しています。
セーフではないということは危険を意味します。
それでも、SCP-055は収容されています。
収容手順があるのか。
一体どこに。
マリオンは自らの頭を指し示した。
それで、ハンミムは他にどれくらい存在しているんだ。
それらはどれほどの危険性を有している。
私が知っているのは10個ほどです。
マリオンは言った。
統計的には、私の把握していないハンミムは少なくとも5つ以上存在していると思われます。
この資産には収容下にないもの、つまり自由に放浪しているハンミム実体は含まれません。
少なくともそのうちの2体は今、この部屋にいます。
探さないように。
探すなと言ったはずよ。そんなことに意味はないわ。
SCP-058は事故の心を立するという難業をやってのけ、マリオンに意識を向け続けている。
クレイにはとても真似できなかったようで、すぐさま部屋全体を見回し、さらに自分の背後をチェックした。
どうしようもなく馬鹿げた振る舞いだった。
結局彼は何も見つけられないまま、倒脇しているようだった。
私の後をついて回り、私の記憶を好んで捕食する不可思の怪物が存在します。
マリオンは丹念に説明した。
SCP-4987です。
探そうとしないで、実体はありませんから。
私はそれを魚するための手段を学んできました。
飼うのが難しいペットみたいなものです。
私がわざと美味しそうな記憶を作り出せば、パスワードやコーヒーの入れ方といった大事な記憶には口をつけません。
それで、もう一体の方は…。
クレイが尋ねた。
O5-8のうなずきを受けて、マリオンは再びバッグに手を伸ばした。
彼女が今度取り出したのは拳銃で、そのままクレイの心臓を二度打った。
痛みよりも驚きの方が大きかったか、クレイは背後の初夏に向かって急に倒れ込んだ。
マリオンの方を向くために頭を上げると、彼は何とか言い放った。
なぜ…わか…
マリオンは立ち上がり、慎重に彼の頭部を狙って三発目の銃弾を打ち込んだ。
O5-8は再び心の動揺を抑えつけた。
それはクレイの銃だ。
彼は無表情に言った。
彼からそれを盗んだんだな。
誰からも気づかれずにこの重い銃を盗むのは骨が折れるでしょうね。
マリオンは銃から弾丸を抜き取り、慎重に下ろしながら説明した。
だけど銃を盗んだ後にあなたたちから盗んだという記憶を盗むことはそんなに難しいことではないんです。
言ったでしょ?ペットだと。
そのうちのいくつかは飼いならすことができる程度にはおバカさん。
そうか。
O5-8は冷静に返した。
そこまでは予想がつく。だが、なぜ?
それはあなたがWクラス記憶補強剤を副用することになっていたから。
マリオンは言った。
人間とハンミームの関係
あなたにはWクラス記憶補強剤の副用を抜くことはできない。私も試しましたから。
副用を先延ばしにすることはできても、何者かが積極的に妨害しなければ副用を忘れることなんてできない。
それができるくらい身近な人物はただ一人、あなたの補佐役です。
私が彼に、「財団に勤めてどれくらいになる?」と尋ねたことは覚えているかしら?
彼は答えなかった。
O5-8は言った。
君の無別的なレトリックだと思ったが。
彼はここで働いてなどいません。
マリオンは言った。
彼はハンミームです。
あなたはいつから補佐役を従えていました?
補佐役なんて初めからいなかったんですよ、ブレント。
オフィスを見てごらんなさい。デスクは一つしかない。受付所は部屋の外にいる。
彼女こそあなたへの訪問を審査し、会議予定を管理するただ一人の人間です。
今までクレイはどこに座っていました?
彼はどこに収まるんです?
自分を責めないで。
あなたは人の身に過ぎず、奴らは貝山の権下です。
それを出し抜くには宇宙人じみた思考を行う必要があります。
O5-8は他の職場においては不条理であろう質問をした。
彼は死んだのか。
おそらくは。
マリオンは答えた。
彼の死体を私たちの研究待ち対象とします。
彼を切り開いたとき、分かることが分かるでしょう。
だけどここで二元性という問題が出てくる。
彼らは同じ空間を共有する平行宇宙のような存在なんです。
それは概念的な対偶相であり、継承的な対物質でもある。
そういったものが形あるものと交わることは非常に珍しい。
クレイが何であるかは分からないけれど、彼は人間としての肉体を持っている。
これは私たちの基準からすると恐ろしく奇妙なことなんです。
これまで通り、固着状態を破るための研究は続けられます。
何か分かり次第、あなたにお伝えしましょう。
この薬品に副作用はあるのかね。
058は尋ねた。
吐き気、水蔵ガンのリスクの劇的な増加。
マリオンは言った。
それから、ひどく夢見が悪くなりますわ。
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