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2020-07-14 07:38

【第17夜】「賢さ」は自分を心地よく楽しませることだけに使っていい

「最近、テレビやネットのニュースの情報が強すぎて見聞きできません。社会とほどよく距離を取りながら自分の気持ちを整えられるような本を教えて」というリクエストに、最果タヒさんのエッセイ集『コンプレックス・プリズム』をご紹介します。劣等感は苦しいけど、鈍感な誰かになりたいわけじゃない。微差に気づいてしまう自分の賢さを愛おしく思える、そんな本です。

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みもれ真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて第17夜となりました。今日のお便り参りましょう。神奈川県にお住まいのナナさんからいただきました。
バタやんさんこんばんは。こんばんは。最近テレビはネットのニュースの情報が強すぎて見聞きできません。
社会とほどよく距離を取りながら自分の気持ちを整えられるような小説やエッセイ作品はありますか。
とにかくストレスフリーになりたいです。といただきました。ありがとうございます。
ありますね。最近私もテレビもあまり見ないですし、ネットのニュースまとめサイトとか、LINEの通知で来るやつとかもあまり見なくなっちゃいましたね。
ネガティブな方へ思考が中断されるだけだなと思って。
今日ナナさんへご紹介する勝手に貸し出しカードは、詩人の最果てたひさんのコンプレックスプリズムにしました。
最果てたひさんは大好きで見漏れでも何度もいろんな作品をご紹介しているんですけど、このラジオで話すのは初めてかもしれません。
コンプレックスプリズムは詩集ではなくエッセイ集なんですね。
10代の頃のコンプレックス、劣等感に光を当てながら大人になった今を語るエッセイ集です。
コンプレックスというものについて最果てさんは冒頭にこう書かれています。
劣等感とは言うけれど、それなら誰を私は優れていると思っているのだろう。
理想の私に体を入れ替えることができるなら、喜んでそうするってことだろうか。
劣っていると繰り返し自分を傷つけるわりに、私は私をそのままでどうにか愛そうともしており、それを許してくれない社会を憎むことだってあった。
劣っていると言いながら別に別の誰かになりたいわけじゃないっていうね、気にしいな自分を愛しているところがあるわけなんですよね。
最果てさんっておしゃれもお買い物も大好きなようで、私のセンスを試さないでくださいっていう章があるんですけど、大好きなのでちょっと読みますね。
テッカーを買ってマックブックに貼ろうかなんて考え始めたら、背中らへんに汗が出る。
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あえて片方の袖が長くて、あえて片方の肩が出ている服。しかも首をこちらから通すこともできるんですという説明を受けながら、
いろんな着方ができる服というのが本当に怖い恐怖と繰り返し思った。
すごいわかるってちょっと笑っちゃうんですけど、そういうことを全然気にせず、
ステッカーとかもらった側からマックにバンって貼っちゃうタイプの人もいるでしょうし、片側だけ肩が出ている服を着ることに何のためらいもない人もきっとたくさんいると思うんですよ。
だから流行ってるのかね。でもいちいち気になっちゃう人もいて、そういう気になっちゃう自分が嫌いじゃないってことですよね。そこがわかるから愛おしいですね。
この最果てさんの面白さがわかる自分に癒されるみたいな感覚がこの本にはたくさんあって、
投稿してくださった奈々さんのおっしゃる、社会と程よく距離を取りながら心を整えたいっていう言葉にとても共感したんですけど、
それもそういうことなんですね。私にとって奈々さんが言ってることがわかる自分に癒されるみたいなね。
この本に賢さについて書かれた、私はバカじゃないっていう章がありまして、またこの話がすごく好きなので、今日はここを紙フレーズとしてご紹介したいと思います。
賢さは常に自分を心地よく楽しませるものでしかないと賢い人は知っているのではないか。
賢さそのものが魅力として映るとき、その人はその人のためにしかそこにない気がする。
結果としてたとえ世界を大きく変えることになったとしても、その人のきらめきを最前線で感じ取って、その鮮やかに心底しびれているのはその人自身であるはずだ。
はい、その章なんですけど、賢さは常に社会のために使ってもいいけど、その献身をいつも求められる必要はないんじゃないかと。
自分の人生のためだけに使っていいわけで、明記な賢さがあってもいいって書いてあるんですけど、すごいいい話だなと思って。
でもそれを読んでちょっと思い出したことがあって、美容エディターの松本千歳さんに以前インタビューした際に、
おしゃれな人とおしゃれに見えたい人は違うっていう話をされていて、それを急に何か思い出して、
賢い人と賢く見えたい人は違うっていうフレーズを思いついちゃったんですけど、自分で勝手に思いついて自分でちょっと傷つくっていうか、
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私は賢く見えたい人なのかもしれないとか思ったりして、
でも人からどう見られているかとか、バカって思われたくないなとか、そういうことは一旦置いといて、
賢さは常に自分を心地よく楽しませるものでしかないんだって思えたら、気持ちが楽になるっていうか、ウキウキするような感じがしたんでした。
社会のためにいつも貢献しなくてもいいし、距離を置いてもいいってことですよね。
今日は奈々さんお便りをありがとうございました。皆さんからのリクエストやご感想はMIMOREのサイトから募集していますので、ぜひお気軽に投稿していただけたら嬉しいです。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろんなテーマでお話ししたり、本をご紹介したり、
緩やかにやっていきたいと思います。また来週水曜日の夜にお会いしましょう。今日は最後までお付き合いいただきありがとうございました。
おやすみなさい。おやすみ。
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