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2021-12-15 17:00

心のざらざらがつるつるになる前に。子供の頃の繊細さが愛しくなるエッセイ【第87夜】

「なめらかではなかったけど、とんでもなくでこぼこではなかった」とご自身の子供の頃から今までを振り返る三好愛さんのエッセイ『ざらざらをさわる』をご紹介します。かつてざらざらだったけど、今はすっかりなめらかになってしまったすべての大人たちに。反骨精神のあったあの頃の感覚を呼び覚ますエッセイです。

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ミモレ 真夜中の読書会 おしゃべりな図書室へようこそ
こんばんは、KODANSHAウェブマガジン ミモレ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第87夜をお届けします。今夜のお便りをご紹介します。
ゆいママさんからいただきました。バタやんさん、こんにちは。いろいろなジャンルの本が紹介されていて楽しく拝聴しています。
おかげで子育てから遠ざかっていた読書熱が再燃しました。最近は9歳の娘と真夜中の読書会を聞いています。
ありがとうございます。そっか、音声だと一緒に聞くっていうことができるんですね。新しい発見でした。嬉しいです。
以下、相談です。コロナ禍で中止されていた発表会や運動会が小規模ではありますが再開されました。
繊細な我が子はコロナ禍で人と関わらない生活に慣れてしまい、人前に立つことがすっかり苦手になってしまいました。
また、成長からか人と自分を比べてしまうようで言葉にできないもどかしさでもやもやしています。
嫌なことから逃げ出したい子どもにこの壁を乗り越えたら成長できるからとありきたりの言葉しか言えない自分が残念です。
子どもが想像の翼を広げて疑似体験ができて壁を乗り越えられる本はありますか?といただきました。
ありがとうございます。
私の友達で小学校3年生の男の子がいるんですけど、3年生でクラス替えになってからはずっとマスク生活だからクラスの子の顔をちゃんと見たことなくて、
この間初めてマスクを外した隣の女の子の顔を見て、こんな顔してたんだって思ったっていう話をしてて、そうかと思ったんですよね。
給食も前向いて一人ずつ食べるみたいな生活だったりしてね。
コロナ対応の日常、学校生活がデフォルトになっていると、またその前に戻すっていうと違った戸惑いがあるかもしれないですよね。
そんなユイママさんに今日ご紹介する勝手に貸し出しカードはイラストレーターの三好愛さんのザラザラを触るというエッセイの本にしました。
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こちら大人向けのエッセイ本なので、漢字とかは普通に大人向けに難しいところもあるかなと思うんですけど、三好愛さんのイラストが間に挟まれていて、絵本のような趣で読めるのと、内容自体は難しい話ではないので、一緒に読んでいただけるんじゃないかなと思ってこの本を選びました。
三好愛さんのイラスト、ご覧になったら見たことあるってわかるかもしれないですね。ちょっとシュールなというか、かわいいんだけどブラックユーモアがあるような雰囲気のイラストなんですけど、
ちょっと話が飛びますが、こないだアメトークの読書好き芸人の回をご覧になった方いらっしゃるでしょうか。真夜中の読書会聞いてくださっているような読書好きの方はね、ご覧になった方もいらっしゃるかもですが、あれでAマッソのカノーさんでしたっけ。
岸本幸子さんが訳している本は、信頼できるっていう、面白そうだっていう確信を持って買えるっていう話をされてたのかな。そうそう岸本さんが訳してるなら間違いないって私も思っていて、この本の帯が岸本さんが帯を書かれていて、それもあって私もこの本を買ったんですよ。
岸本さんが褒めていらっしゃるってことは、ふわっとしたゆるいエッセイじゃなくて、ちょっと毒があったりとか、ブラックユーモアがあるエッセイなのかなという期待を持って読んだ本でした。
なんでこの本にしたのかというところからお話ししていきたいと思います。
このザラザラを触るというタイトルの由来について、あとがきにご本人の三好さんが書かれているんですが、
これらの文章は私が今まで通り過ぎてきた記憶のザラザラとした部分、滑らかには進めなかったけれど、とんでもない凸凹でもなかったなという部分をふと思い出し、
手触りを確かめては、ああこんな感触だったかと確認して、また通り過ぎるようにして書いてきたものですと説明してありました。
なるほど、ザラザラしていて、滑らかではなかったけど、とんでもなく凸凹でもなかったってわかるような感じがしますよね。可愛いですね。
この本をどうして選んだかっていうと、そういうこぶしたり扉を開いてくれるようなタイプの本ではないかもしれないんですけど、
私の中の小学校3、4年生ぐらい、9歳とか10歳ぐらいの頃のザラザラした部分をちょっと呼び覚ましてくれるようなエッセイだったんですよ。
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でももう今となっては忘れてしまっていた感覚も結構多くて、もしかしたらユイママさんの、ユイママさんだからお子さんはユイちゃんですかね。
間違ってたらごめんなさいですけど、ユイさんとお呼びしましょう。ユイさんならわかるなっていうのがもしかしたらあるんじゃないかなと思って、ちょっと読んでみて欲しいなっていう気持ちでお勧めしました。
この本の一番最初にですね、なんか改札、電車の駅の改札に一円玉を入れてみたっていう話が載っていて、
ちょっとした出来心のいたずらですけど、そしたらBBとエラー音が鳴って、ニンさんが駆けつけてきてすごいビビったっていう話なんですが、
なんかこの、ちょっとした当たり前のことへの反骨精神みたいなものが今は失われてしまったけど、子供の頃はあったというふうに三好さんは書いていらっしゃって、
確かにそういうのってあったような気がすると思いました。
もう一つ面白いのは、エスカレーター、下りのエスカレーターに乗るのが怖いっていう、
足をね、どのタイミングでどう出したらいいかわからなくって、でも後ろからどんどん人が来てしまうっていう焦りと合わさって、今思い出しても冷や汗が出るっていうふうに三好さんは書いていらっしゃるんですけど、
その感覚はわからんではないなーって思うけど、もう私にはすっかり怖いものではなくなっていて、
なんかそんなふうに大人になってツルツルになってしまった感覚っていうか、慣れちゃったっていうのがね、たくさんあるんだなーって思ったりしました。
もう一個結構インパクトがあったエピソードをご紹介しようかな。
なんか教室で授業中に気持ちが悪くなっちゃって、ちょっと吐きそうになって、そしたら先生がトイレまで突き沿ってくれるっていう話になるんですけど、
トイレまで行くまでもなくちょっと戻しちゃいそうになっちゃうんですよ。ちょっとこういう話が苦手だったら飛ばしてほしいんですけど、
そしたらね、そのちょっと熱血感みたいなクラスの担任の先生が手を差し出してお椀のような形にして、ここに吐いていいぞっていうわけですよ。結構びっくりするでしょ。
で、その幼かったというか小学生の頃の美容師さんは、別にこの手に吐かなくてもいいんじゃないかっていう床に吐いたって一緒でしょって思うんだけど、
差し出してくれた手を避けたら逆に悪いかなって思って、その愛情っていうか優しさを拒否するみたいで、
そこに本当に入っちゃったら先生がちょっと逆にギョッとしてるっていう、本気でここに吐くと思ってなかったっていう、
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ギョッとしたことにちょっと気づいてしまって、傷ついたっていう話が出てくるんですけど、なんかそういうことってありますよね。
先生の表向きの熱血感だったり優しさだったり、大人としての対応の隙間に本音が垣間見える瞬間とか、
なんか本当はイラッとしたんだろうなって思ったりすることって、小学生3、4年生ぐらいの頃、私は結構敏感に感じる子供で、
今先生こんな笑ったけど本当はすごいムカついたんだろうなとか思う子だったんですよ。
でもそれどうだろう、今の方が学面通りに受け取っちゃうかもしれないですね。
でもちょっとやだなぁ、そんな手を差し出してきてここに吐けとか言う男の先生いたらと思ったりしました。
後半でももう一つぐらいエピソードをご紹介したいと思います。
三好愛さんのザラザラを触るから、もう一つ好きなエピソードをご紹介したいと思います。
お友達にかけられた呪いの話が出てくるんですね。
中学生の時に仲のいい、ハツラツとした、ルックスもいいタイプの女友達がいて、その子に言われた言葉の節々が自分の呪いのようになって残っているっていう話なんですが、
そういうことって皆さんも記憶にあるんじゃないでしょうか。
この三好さんは、愛ちゃんはポテトの食べ方が気持ち悪いって言われて、そっからなんかポテトを食べられなくなるっていうか、また変な食べ方してるかなと気になっちゃったっていう話が出てきたりするんですけど、
そういうことってありますよね。大したことじゃないし、本人言った側は全然悪気なく言ってるんでしょうけど、
意外と引っかかって、結構一生忘れないみたいなことあったりしますよね。
私の場合はね、なんか、いつだったか、リエちゃんって、私下の名前はリエなんですけど、リエちゃんの話はオチがないって言われたことがあって、
そっかーと思って、そんなに自分の話がつまらないとは思ってなかったし、だからといってこういつもオチがあるような話をしてたわけじゃないので、
そっからすごい気になっちゃって、私の話はオチがないから、今話を聞いてくれてるけど、こいついつ話が落ちるんだろうとか、
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長くてつまんないなぁと思われてるんじゃないかっていうことをね、すごい気にしたりしてましたね。
このポッドキャストを聞きの方はお察しかもしれないんですけど、このポッドキャストもあんまりこの本はこういう本ですとか、
はっきりしたオチをつけないで終わるようにしてるんですよ。それはわざとそうしているんですけど、
先に言っちゃうと、その人が読んでいただく前に感想を奪ってしまうんじゃないかなと思っていて、
この本はこういう本だという、はっきりしたオチをつけずにふわっと終わるようにしてるんですけど、
それは私の中のちょっとした繊細さなんです。で、悪いことじゃないって思えたのは本当に最近のことで、
そうですね、やっぱり何かこうピシャッとわかりやすいオチをつけられる話の方がいいんじゃないかとか、
ウェブで言えばバズりやすいんじゃないかとか、そんなことをずっと悩みながらやっている感じですけれども。
この三好さんは呪いからちょっとね、解放される瞬間があって、もういいんだこの人とそんなに関わらなくてもって思うところまで話が続いているので、
ぜひちょっとそんな思い出がある方はこれを読んで一緒にスッキリしてもらえたらと思います。
今日はザラザラを触るから紙フレーズをご紹介します。
テスト4教科あって間の休みが10分ずつなんです。
その10分の間に塾の友達ととてもうまくしゃべれると問題を解く時にすごく集中できるっていうおまじないみたいなのが、なぜか自分の中にありました。
だから10分の間に友達と楽しく盛り上がれる小話みたいなのをあらかじめ用意しておくんです。
お互い笑いながら気持ちよく休み時間を得られたという成果を得ることができたときは大抵テストでいい点が取れたんですね。
とあります。上手に集中という章に書かれてるんですけど、こういうことができるとこっちがうまくいくジンクスみたいなおまじないって書いてありますが、
そういうのありますかね、結衣さんも。私もあったかなぁ、何だったかなぁ、でも小話を絶対盛り上がる小話を用意しておくっていいなぁって思って、さっきの落ちがないって言われた私は、
そっか絶対笑ってもらえる小話をあらかじめ用意しとけばよかったなぁってこれを読みながら思ったんですけど、
そうですね、なんか例えば前髪がうまくいったらとか、学校に着くまでに信号に一回も引っかからなかったら今日の発表会もうまくいくとか、
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なんかそういうこっちがうまくいったらこっちもうまくいくみたいなジンクスを見つけるといいんじゃないでしょうかって思ったんです。
どうだろう、苦手だったりちょっと嫌だなって思ったりすることを、私はその無理に壁を乗り越えて翼で飛び越えちゃわなくてもいいんじゃないかなって思いながらこの本をご紹介したんですけど、
そういうちょっと引っかかったりザラザラするところ、いつの間にかなくなっちゃったりするので、今引っかかりがあったりザラザラしたりスムーズじゃなくなっているところもとても大切な個性だから大事に過ごしてほしいなぁって思いながらこの本をご紹介しました。
すごくね間に入っているイラストが可愛いんですよ。何度も読みたくなるエッセイです。お二人で楽しんでいただけたら嬉しいです。リクエストありがとうございました。皆さんも最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は皆様からのお便りをもとに、いろいろなテーマでお話したり本を紹介したりしております。
みもれのサイトからお便り募集していますので、ぜひご投稿ください。また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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