Balloon Channelは、デザインクリエイティブスタジオBalloon Inc.が配信するメールマガジンと連動してお届けしているポッドキャストです。
メールマガジンにてお届けしている最新のデザインニュースや日々の仕事で得られた知見、おすすめの書籍情報などについて、音声でお届けしていきます。
みなさん、こんにちは。
Balloon Channel第12回目は、私、広報の沙耶が担当させていただきます。
今回は、2つのデザインニュースと、雑談「エヴァをよくわからないまま旧劇場版を見たら限界突破した話」についてお話しさせていただきます。
まず、ご紹介する2つのデザインニュース。
1つは、厳格な伝統文化の形式に溶け込んだブランド。
もう1つは、新興のポップカルチャーの熱量をまとったストリートウェアブランドです。
どちらも、ブランドが社会や文化の文脈にどう寄り添えるかを考える上で、非常に参考になると思います。
まずは、1つ目のデザインニュース。
伝統の城をデザインするカールスバーグとウィンブルドン。
まず1つ目は、ビールブランドのカールスバーグとテニスの聖地、ウィンブルドンのコラボレーション広告です。
ウィンブルドンといえば、1世紀以上守られてきた厳格な全身白、オールホワイトのドレスコードが象徴的です。
シューズも靴底や靴ひもを含めて、ほぼ完全に白でなければいけません。
白以外の色のラインが入って良いのは、最大で幅1センチまで、かつ袖口や襟の縫い目付近など、特定の部位に限られます。
ビールブランドのカールスバーグは、このウィンブルドンの象徴である全身白をモチーフに、純白のビール缶を限定で製作しました。
缶の構成は非常にミニマルなんですが、テニスウェアのネックラインを想起させる単色のトリムが施されていて、ビール缶の上にぐるりと緑と紫のラインが入っています。
緑と紫は、ウィンブルドンの大会のロゴなどに用いられている色です。
このウィンブルドンのドレスコードにのっとったパッケージは、単に色を変えただけではなく、広告やタグラインにもテニスの文化の要素が巧みに取り入れられており、
ブランドが単なるスポンサーではなく、ウィンブルドン大会の一員であることを表現しています。
このように細部までこだわったデザインは、伝統の形式を引用し、ファンが缶を手に取る瞬間までユーザー体験全体が資料深く設計されています。
具体的には、ビール缶の広告に使うキャッチコピーに、
READY TO SERVE、サーブ準備完了、や、QUIET PLEASE、静かにしてください、といったタグラインを用いて、テニス界への巧みなオマージュがなされています。
このような緻密に設計されたパッケージデザインとビジュアルアイデンティティは、わずかな変化で大きなインパクトを生み出せることを証明しているといえます。
実際の画像は、概要欄のURLからご紹介しておりますので、ぜひ見てみてください。たくさんの画像が紹介されています。
続いて、2つ目のデザインニュース。アニメとブロックチェーンの組み合わせが生む新しいアイデンティティ、セルシオールリュクス。
ウィンブルドンの事例とは対照的に、未来の振興文化の熱量をまとっているのが、セルシオールリュクスというストリートウェアブランドです。
このブランドは、アニメとブロックチェーン文化を融合させた新世代のストリートウェアを展開しようとしています。
具体的には、アパレルを通じてテクノロジーとファンダム、つまり熱狂的なファン文化の交差点に生きる人々の存在の証として機能させようとしています。
つまり、服を買って終わりではないということなんですね。
このブランドにおいて、服を買うということは、ブロックチェーンを通じてウェブコミュニティとつながることを意味します。
そこには、同じ熱量で共感し、議論できる仲間が集まるんです。
このセルシオウルリュクスを着る、あるいは買うということは、単なるファッションではなく、コミュニティとアイデンティティを結びつけ、ライフスタイルそのものになる。
これは、信仰文化の熱量をまとって未来を描く、デザインとデジタル文化の新しい融合点を示しているといえます。
私は、このニュースを読んで、そこまでして、選別されたコミュニティでつながりたいのだろうか、という疑問を感じました。
ここからは、このニュースについての個人的な感想なんですが、
このストリートウェアを購入する人々を仮で、リスペクトを込めてオタクと呼ぶとしまして、
従来のオタク文化は、ツイッターや匿名掲示板など、誰でも自由に発信できる場で発展してきました。
これは、社会学でいうグラノベッダーの弱い虫体の強みが活かされた形です。
ゆるいつながりからは、予期せぬ情報や別の文化への偶然の出会いが生まれて、文化の多様性が支えられてきました。
一方、今回のアパレルブランドのように、NFTやアパレル購入という金銭的・心理的なハードルを設けて参加できるコミュニティは、熱量の高いファンを選別し、
意図的に強いつながりを作り出そうとしています。
強いつながりは、深い共感という心地良さを提供しますが、価値観が内側で閉じてしまうエコーチェンバー化のリスクも伴うのではないかと感じます。
つまりは、心地良さか多様性かというトレードオフですね。
さらに、服を買う行為が存在の証となる点については、マックス・ウェーバーが論じたプロテスタンティズムの倫理の視点を重ねてみると、
服の購入はコミュニティへの熱量の深さの可視化であって、私はこれだけの投資を捧げているという自己証明、
つまりアイデンティティを確立するための倫理的な努力になっているのではないでしょうか。
ファン活動が単なる趣味ではなく、自己の正当性を証明する行為へと変質してしまう可能性があります。
ブロックチェーンとファンダムの融合は、ファン文化を弱いつながりから強いつながりへと変貌させ、熱狂的な少数派を囲い込んでいく流れを生むかもしれません。
文化の多様性を広げるのか、興味の幅を狭めるのか、今後の動向に注目したいなと思います。
今回ご紹介した2つのデザインニュースは、どちらもブランドがストーリーを伝え、つながりを生み出すことに成功しています。
伝統の形式を引用して洗練さを表現するアプローチ、そして進行文化の熱量をまとって未来を描くアプローチ。
私たちが日々目にするブランドのデザインは、どの時代の価値観を翻訳しているのか。
そんな視点からブランドを眺めてみると、その背景にある新たなストーリーが見えてくるかもしれません。
最後に、おまけの雑談です。
エヴァをよくわからないまま、旧劇場版を見たら限界突破した話。
私、エヴァンゲリオンのことは、もちろん存在はなんとなく知っていたんですけれども、アニメ放送時は小学校入学くらいの頃で、正直よくわかってなかったんですよね。
その後、コミック版を読んで、よし、これでエヴァがわかったと思っていたんです。
ちなみに、コミック版のネタバレをしっかりすると、コミック版最終回は雪が降ってきて、パラレルワールドの平和な世界で暮らしている主人公が出てきて終わりました。
コミック版を読んだ後に、リアルタイムでジョ・ハ・キューの映画版を映画館で見ました。
ふーんと思っていたんですが、先ほどのコミック版とジョ・ハ・キューとは別で、アニメ版、それからジョ・ハ・キュー以前の映画、旧劇場版というのがあって、それはまたどうやら別物らしい。
エンディングがたくさん分岐するというのは、日暮らしのなく頃にぐらいしかイメージがなかったので、なるほど平成初期からエンディング分岐をやっていたのかと思いまして。
そこで見てみたのが、新世紀エヴァンゲリオン劇場版エアー真心を君にという、これまた長いタイトルの映画です。
で、見てみたんですけれども、結果、はちゃめちゃな終わり方をしていました。
その後、好奇心でアニメ版の最終話だけを見てみたんですけれども、それがまた衝撃でした。
綾波玲衣が食パンを加えて走っていて、セーラームーン第1話を見ているような気持ちになりました。
紙芝居というかスライドショーというか、ハンター×ハンターの9歳前以上にめちゃくちゃワイルドな表現で終わっていました。
おめでとうおめでとうが連発されていました。
この私が見た旧劇場版は、アニメ版の総集編も入っているという事前情報を得てから見たんですけれども、
全然映画版とは違うじゃないかと混乱しました。
という事で、結論、コミック版序端級エアーを見て、アニメの最終回も見てみたんですが、結論、よくわかりませんでした。
ただ一つ言えるのは、この旧劇場版のラストやアニメの最終話を見た後で序端級まで何年も待ったファンの皆さんが本当にすごいと思いました。
そしてこのはちゃめちゃに終わった話を、新エヴァンゲリオン劇場版としてきっちりまとめて終わらせるには、
やっぱりマキナミ・マリの存在が本当に必要だったんだなぁとつくづく思いました。
特にオチはありません。
エヴァという作品に触れて、当時のファンの皆さんの熱量、そして忍耐強さを体験したというお話でした。
という事で、今回はレザインニュースと雑談をお届けしました。
是非次回のバルーンチャンネルもお楽しみに。
本日ご紹介した情報は、ポッドキャスト概要欄に詳細を記載しています。
また、メールマガジンへの登録ページも記載しているので、是非ご購読いただけると嬉しいです。
ではまた次回のバルーンチャンネルでお会いしましょう。