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第0回「制作と酒」
2026-05-29 59:04

第0回「制作と酒」

第0回では、制作とお酒をテーマに、初収録のぎこちなさと番組の方向性を探るゆるさの素敵なミスマッチをそのままお届けします。


本編:〜/おまけ:

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00:10
(ジングル)
中川:お疲れ様です。第0回生き延びラジオです。 この番組は「生き延びるためのラプソディ」がお届けします。
汲川:制作は生活を延命している。生活は制作を延命している。――生き延びるためのラプソディは、生活と制作を結びつけたり、結びつけざるを得ない状況で活動する美術作家の集まりです。このラジオでは、制作と生活に関わったり関わらなかったりすることについて、時に緩やかに、時に真剣に、気の向くままに話していきます。パーソナリティは、センスが良いのに頭が悪くて、器用なのにどん臭い、汲川洋平です。
中川:お相手は中川晶子です。本日はどうぞお付き合いください。
汲川: ……始まってしまいましたね(笑)。よろしくお願いします。
中川:よろしくお願いします。
汲川: はい、第0回ということで、まずは我々の自己紹介を少しさせていただきたいと思います。汲川洋平です。彫刻作品を作っています。小さくて軽い、あまり作るのが大変ではないものを作っています。昔は力持ちだったんですけれども、今は病気でちょっと体を壊してしまって力が使えないので、小さいものを作っています。よろしくお願いします。
中川: よろしくお願いします。私は中川晶子と言います。学生の時から持続可能な制作スタイルを考えておりまして、その結果、自分の声だけを使った音声の作品だとか、あるいは生活の中での仕草、たとえばボタンを押すだけだとか、鉛筆削りで削ったとか、そういった簡単なひと手間を加えることで作品として発表する、といった活動をしております。よろしくお願いします。
汲川: よろしくお願いします。今、中川さんの自己紹介を聞いてちょっと思ったのが、「持続性」っていうことについてですね。私も続けていくために小さい作品にしたり、簡単な作品にしたりっていうところがあるので、すごく通じるところがあるなと思いました。
03:15
中川: 汲川さんのスタイルはお体に負担がないように、ということですよね。
汲川: 一応そういうことになってるんですけれども、こだわってしまうと、どれだけ素材を小さく軽くしても、結局自分を追い込んでしまうんです。そこは毎回反省しつつ、改善の余地があるなとは思ってるんですけど。 昔、すごい肉体派だったせいで、考え方とかが結構マッチョな感じになってしまっていて。ここ3、4年ほど試行錯誤してたんですけど、「マッチョは死ぬまでマッチョなのかな」と。体が弱ってもそうなのかなと思って、ある程度はもう諦めるしかないかなと思って制作してます。
中川: 思考はマッチョだけど、出力の仕方をマッチョにできないという状況の中で、どういった作品を出すかっていうのが汲川さんらしさに繋がっていると思うんですけれど、そこがご自身で面白いというか、そういうところはありますか?
汲川: そうですね、結局フラフラになって作ったのが一番出来が良いので(笑)。フラフラになるまで追い込むっていうのはマッチョな考え方だと思うんですけど、すごい細かいことにこだわるっていうのは、全然マッチョじゃないな、みたいな。マッチョに対する偏見がすごいんですけど(笑)。
中川: 自己紹介の後、ちょっと話が弾んでしまったんですけれども、本日は第0回ということで、本日のテーマは「制作とお酒」ということで語っていきたいと思います。よろしくお願いします。
汲川: よろしくお願いします。1発目に「制作と酒」ってなかなかすごいなと思いますけど、やっていきましょう。 ……あ、制作とお酒の話じゃないんですけど、個人的にちょっと今日あったことを話したくて。いいですか?
06:07
中川: お願いします。
汲川: 今日、食器を洗ってたらですね、カニフォーク(カニの身を取り出すフォーク)があるじゃないですか。あれがちょっと、人差し指と中指の間に刺さったんですよ。考え事しながら食器洗いをしてたら。
中川: それは、カニフォークを使ったってことですよね? 何に使ったんですか?
汲川: 蜂蜜に使ったんです。下の方でカチカチになっちゃってて。それを取り出すのに、カニフォークが目に入って、長いからちょうど取り出しやすいなと思って使ったんです。 そのあと、水を入れたコップにスプーン側を浸けて置いておいたんです。よく箸とかをコップに入れてちょっと置いたりするじゃないですか。でも使った側がスプーン側だったんで、刺さる側が上を向いて出てたんですね。カニフォークって箸より長いんで、普通にこう、手を突いちゃったみたいな感じで刺さりました。 刺さった瞬間、何が起こったのかわかんなくて「頭に電流が走った!」と思って。「え、なんか閃くのかな?」と思ったら、もう普通にフォークが刺さっただけだった(笑)。
中川: ちょっと聞くの遅いんですけど、大丈夫でした、それ?
汲川: 赤い点々が2つできたぐらいで、あんまり血は出なかったですね(笑)。
中川:ちょっと怪我しちゃったんですね。
汲川:すいません、全然「制作とお酒」と関係ない話をしてしまいました。多分刺さったことがある人はあんまりいないと思うんですよね。
中川:カニの身を捕るための道具ですからね。
汲川:すいません、0回なので調子が使えなくてめちゃめちゃ脱線してしまいました。
中川:そうですね。お酒とは全く関係ないですけど。
汲川: 「制作とお酒」って言うと、美大生とかアーティストって結構お酒を飲むんじゃないかみたいな偏見とか、昔の画家がアブサンとかお酒を飲みすぎて短命だったりとか聞くので、結構関わりが深いテーマなのかなとは思いますね。
09:17
中川: 汲川さんはちなみにお酒は飲まれるんですか?
汲川: 今は結構心臓が弱ってまして、心臓病になる前はすごい飲んでたんですよ。日本酒の一升瓶を1本空けるとか、そのくらい飲んでました。
中川:一度でですか?
汲川:一度に、ですね。
中川: それは結構飲まれてましたね! お酒が好きで飲まれていたんですね。
汲川:いや、マッチョな思考で酒を飲んでたんですね、多分。
中川:みんなが飲んで盛り上がってるからみたいな。
汲川:強い自分が嬉しいみたいな感じで。
中川:なるほど。いっぱい飲めることがっていう。
汲川:そうですね。若気もいたりというか、結構反省してます、昔の行いについては。
中川:それはもう学生の時というか、結構若い頃みたいなお話?
汲川:美術大学に入学したのが26歳の時だったんで、いい歳した大人だったんですけど、すいませんっていう感じですね。
中川: 今はお体を考えて、飲むコンディションではないということですよね。
汲川:そうですね。何もないと飲まないですね。職場で飲み会とかがあると、職場のおごりとかだと飲んだりはしますね。
中川:おごりかどうかが結構ポイントなんですね、そこは。
汲川:そうですね。おごりだったらしょうがねえなみたいな感じで飲むし、あとは最近、制作について考えると全然頭が働かなくて、コーヒー飲んだり散歩したりお風呂入ったりしたんですけど、どうにもダメで。それでお酒ならいいかもと思って、ウイスキーのロックで言うシングルぐらい、日本酒をちょっと飲んだんです。そしたらめちゃくちゃ頭が働いて、すっごい良かったんですよ。 でも、これ気をつけないと、理由をつけて瞬間的に体に良くないお酒を飲むことになるからまずいなと思いつつ……「あ、もう困ったらお酒飲めばいいんだ」っていうのを最近ちょっと分かりました。
12:31
中川: 制作とお酒ということで言うと、私は結構お酒を飲む方というか、毎日ぐらい飲む作家なんですが。なぜかと言うと、やっぱり「生活」の方が疲れるじゃないですか。 制作と生活という対比で言うと、生活がそんなに軽やかではないというか。人様にお見せできるものでもないことが、ずっと繰り返し続いている感覚で。その繰り返しのなかで、お仕事が終わった夜にお酒を飲むと、ちょっとドリーミーな時間が生まれるというか。 私は家族のご飯を作る担当をしてるんですが、料理を作りながら手を動かす段階でお酒を飲むのが楽しくて。
汲川: 素晴らしい。料理しながら飲むの楽しいですよね。
中川: キッチンドランカーという感じで。その時に初めて、1日にあったことを素直に受け取って反芻できる時間みたいなものがある気がします。それが作品にも繋がるという感覚がありますね。
汲川: すごいですね。生活にとって必要なことが、制作に対しても必要な時間になっていて、すごい。
中川:お酒を飲まれない方が、逆にお酒を飲まれない作家さんがどうしてるのかなっていう不思議です。
汲川:実は私、事前にChat GPTに「制作とお酒でどんな話題がありますか?」ってざっくり聞いたんですけど、AIが「制作とお酒の時間は似てます」って主張してまして。「社会的な時間から少し外れる」という点で似ているらしいです。
15:25
中川: 分かります、すごく分かります! 私もそれは思います。社会の中で生きる時間、私の限界は朝の8時・9時から夕方の5時・6時ぐらいまでで。そこ以外の時間では本当に社会的な活動はできないというか、自分自身に戻りたい。 お酒を飲む、好きなものを食べる、映画を見る、そういうのが1つでもないと耐えられないみたいな。「狐が化けている時間」がその(昼間の)時間、みたいな感じですね。
汲川: 素敵な表現ですね。
中川: だから、それを緩めるためのお酒というか、嗜好品。
汲川:ちなみに私、飲んだ方が制作とかデッサンとか酔ってない時よりうまくいったりする方なんですけど、私は完璧主義というか、きっちりしようとしすぎるところが長所でもあり短所でもあるので、(お酒を飲むことで)ちょうど良い感じに完璧主義が弱まるっぽくてですね。
中川:お酒を飲むことで。
汲川:そうですね。
中川:それを、お酒が抜けて後から冷めた状態で見ても、納得がいくものになってますか?
汲川: いや、「あ、こういうのも作れるんだ。俺」みたいな感じで結構納得いきますね。心臓病じゃなかったら、多分今も結構飲んでると思います。
中川: なるほど、自分の中でも意外性みたいなものを見つけられるっていうことですね。
汲川: あとは個人的なことで言えば、私は「すごい具合悪い日」と「具合悪い日」の2種類しかなくて。
18:00
中川:大変ですね…。
汲川:そういう生活をしてると、制作が身体条件に左右されるっていうことがすごい身に染みて痛感するんです。 飲み会とかでお酒が入ると、普段はフラフラついて歩いてるのに、結構スタスタ歩けちゃうんですよ。疲れとか痛みに対して鈍くなるみたいで。
中川:分かります、でもすごく。鈍くなりますよね、感覚に対してというか。身体の痛みとか疲れとかには鈍くなりますよね。
汲川: で、「お、調子いいじゃん」と思って調子に乗ってると、次の日の朝起きてあまりにも疲れていて、第一声が「バカじゃねえの」だったりするんですよ。無理した自分に対してというよりは、「それにしてもダメージが大きすぎるでしょ、ちょっと意味がわからんよ」っていう疲れの量に対して(笑)。
中川: 客観視みたいなものが、お酒を飲むと若干外れてしまう瞬間がありますよね。
汲川: そうですね。私は普段、周りからどう見られてるかをかなり意識した上で好き勝手してるんです。めちゃくちゃな髪型にしたり、変な眼鏡かけたりしてるんですけど、どう見えているかっていうことにはすごい気を使っていて。 私、病気になってから気晴らしにテレビゲームをよくするようになったんですけど、ゲームって、自分のキャラクターの後ろ姿が見えている視点(三人称視点)と、自分の姿が全く見えない視点(一人称視点)を切り替えられますよね。お酒を飲むと、自分が見えなくなって、俯瞰できなくなる。普段すごい俯瞰してる分、自分のことを気にしなくなって、結果的に周りのことも気にしなくなる。
21:33
中川: それが通常というか、一般のプレイヤー(俯瞰してない状態)の感覚なのかもしれないですね。
汲川: ああ、なるほど。逆説的なことってありますね。周りからどう見られてるかめちゃめちゃ気にして、ギリギリセーフみたいなところで見せられている人、たとえば芸人さんとかって、すっごい考えてやってるんだろうなって思います。
中川: そこは本当に、そういう塩梅を訓練しているなと思います。アーティストは別に人の前や映像に映るわけではないじゃないですか。作家としての振る舞いをそこまで意識することは私自身はないんですけど、芸人さんとかになると、生活自体がもう1つの作品みたいになるから、お酒に頼るシーンも多いんじゃないかなと勝手に想像します。自分をあえて失う、みたいなところで。
汲川: お笑いも文脈や歴史があるし、今流行っていることや問題視されていることも扱ったりしますもんね。
中川: 例えば、ものまねの芸人さんで、大阪のおじちゃんのものまねがすごく上手な方がいらして。私はその大阪のおじちゃんの実物を見たことはないんですよ。だけど「ああ、そういう方が本当にいるんだろうな」っていうリアリティが伝わる。これまで生きてきた文脈で背景を勝手に想像して接続されて、そこで笑ってしまう。
24:17
汲川:やっぱり現代アートっぽいですね、そういうところとか。当事者じゃない人に何かを伝えるために作るみたいな。
中川:ただ、お笑いって差別だったり、誰かを不快にさせることと隣り合わせだから難しいだろうなって。
汲川:配慮した上で安全に笑えないといけない。難しいですよね。
中川: そこがですね~、安全な笑い、あるいはその配慮みたいなものをあえて取っ払っていく鍵になるのが、お酒だったり嗜好品だったりするのかなと思います。お互いの間にあるものというか。
汲川: そうですね。色々気にすることが多すぎると自由に作れないのかなと思ったりします。
(チンという音)
汲川:……と言いつつ、私の作品は見た目だけで勝負したいみたいな感じで、メッセージ的なものはあまり意図的に込めたりはしてないんですけど。
中川: 基本ベースは彫刻でいらっしゃるんですよね。制作の。
汲川: そうですね。立体造形っていう方が正確なところなんですけど、彫刻っていう言葉には結構文脈的なものがついてきちゃって。彫刻家から「こんなの彫刻じゃない」って言われる可能性も結構あるなと思って。
中川: 言われてはないですよね?
汲川: 言われたことあるんですよ。
中川: そうなんですか。
汲川: めちゃくちゃビッグネームの彫刻家が、学部の卒業制作のとき、大学の客員教授っていうことで公開合評会みたいな感じで来たんですよ。私、その方の作品が好きだったんですよ。だからワクワクしてたんですけど、私が一番最後だったんですね。15人くらい彫刻専攻の4年生がいて、それまでは和やかに話が進んでたんですよ。普段指導してるわけじゃないんで、そんな突っ込んだことも言えないじゃないですか。断定的なことも。「面白いね」みたいな感じで、「ああ、そんなこと考えてるんだ」という感じで来て。 で、私が自分の作品のコンセプトを説明したら……なんかちょっと仏教の言葉をモチーフにしたりしてるところがあって、個人的に仏教の本をすごい読んだんですよ、4年生の時に。そしたら、その客員教授の方が「彫刻と仏教に対して失礼」って一言言われて。
28:13
中川: ええ……。
汲川: なんかもう「こいつどうでもいいよ」みたいになっちゃったんです、私の方で。「何言ってんのこいつ、何が分かるわけ? 今のやり取りで」と思って。 で、合評の後に、「せっかく来ていただいたので講義もします」と。「彫刻専攻で卒展の警備の人以外は全員聞きに行くように」って言われて。俺あまりにもショックだったから……本当は4年生は全員行くようにしていて、1年生とか2年生にその日の警備のシフトに入ってもらってたんですけど、「いや、俺いるからいいよ。俺いるから行っていいよ」って言って、1人で警備して。結構ショックだったんですよ。
中川: それはショックですね。
汲川: 学部卒業して2013年だったんですけど、2016年に大学院に進学したんですよ。3年空いてるんですけど、2年ぐらいは「彫刻に対して失礼」っていうのが結構効いちゃって。すっごい制作はしてたんですけど、「彫刻じゃねえのかな」みたいな感じでずっと考えてて。
中川:すごい優しいっていうか、人の話をちゃんと聞けるタイプっていうか。
汲川:失礼だと解釈される。そういう隙が俺にもあっただろうなと思って。だからおそらく失礼に感じるようなことは、程度の差はあれ、あるんだろうなとは思っていて。
30:26
中川: そうなんですね。それが結構残ってるというか、トゲのように。
汲川:そうですね、たぶん死ぬまで覚えてますね。すっごいショックだったんで。これはこういうコンセプトで作りましたっていう主張と、実際作ったものが一致しないじゃないですか、学部生の頃って。取ってつけたみたいなコンセプトだったり、コンセプト面白いんだけど、制作の方がコンセプトを徹底できてなかったりとかあると思うんですけど。私の中では4年目にしてついに「かなり一致したぞー」と思って手応えを感じたんですけど、それを「失礼」って言われたから。すごかったですね。
中川:ガーンって感じですね。
汲川:結構感情顔に出ないんですよ、私。楽しく過ごしてるのにつまんないって聞かれたりとか、めちゃめちゃ疲れて頑張って働いてるのに、「適当にやってない?」みたいなこと言われたりとか、結構見た目からは感情が伝わらないことが多いんだけど、その時は本当に俺が凄い凹んでたらしくて。同級生が「くみさん俺も警備に残ってあげるよ」って言ってくれて。
中川:凹んでた。
汲川:俺もそんなに凹んでなかったら「いいよ、俺一人でやってるから」とか言うんだけど。「ごめんね」ってその時は言って。でも分かんないもんなな、卒業制作でこんなこと言われた俺が制作続けてて、なごやかに講評してもらってた同級生たちはほとんど制作してないんですよね、今。
中川:あるあるですね、でも。
汲川:制作続けてればいいっていうわけじゃないんだけど。美術を志した時に制作は続けたいなって思ってたことが続けられてるっていうのは幸せなことなのかなとは思ってますね。
(チンという音)
33:01
汲川:お医者さんにはね、「汲川さんが必要だと感じたり、意味を感じてることはぜひ続けてください」って言われて。
中川:そんな感じなんですね。
汲川:「あれ思ったより俺悪いのかな?」ってなって、ちょっとショックではあったんですけど、働けなくなったおかげで、「働けないのにその代わりに頑張って作ってて偉いね」みたいなことを言われちゃったりとかして。「別に偉くねえよって、何にも偉くないですよ」みたいな感じで最初結構イラっとしてたんですけど。偉くねえよみたいな。でもなんか、そういうの許されてるのって。巡り合わせというか、そこは良かったのかなって思ってますね、あまり病気になって良かったって言うとおかしいんですけど。
汲川:一つのスタイルとして、自分が確立してるスタイルみたいなものがありますよね、おそらく。
汲川:今はちっちゃい立体作品に関しては、一定のクオリティを出せていて改善の余地があまりないくらいなんですけど、病気のことを考えると作り方が持続可能ではないんです。ただ、構造的な作り方なので、同じやり方で平面作品も作れるはずっていう確信があって。近いうちに平面作品で「確かに同じだ」と思えるものが作れるんじゃないかというのが、最近の楽しみですね。
36:04
中川:制作をされる時間とかって夜中なんですか、大体。
汲川:いや、元気な時。
中川:元気な時、起きてる時とか?
汲川:起きてて、頭の調子と体の調子が一致してくれると結構作れるんですけど。結構時間かかるんですよね、体のエンジンかけるのに。目が覚めてから1時間くらい経ってから起き上がって、最初にコーヒーをゆっくり2杯飲んで、朝ごはん食べて、そこで調子良ければ着替えるんですけど。ほとんどそんなことはなくて、ちょっとシャワー浴びて、そうするともうちょっと疲れちゃうんですよ。ちょっと休憩するんですけど、休憩した時に昼寝しちゃったらもう終わりですね、その日は。休憩してても寝ちゃわない体調の時は制作できるかなっていう感じで。
中川:身体との調子の相談みたいなものがすごいあるってことですよね、制作に関して。
汲川:そうですね、そもそも心臓病でダルくなるんですけど、あと、筋ジストロフィーという病気で全身ダルくなるんですよ、筋肉が壊れやすくて。で、薬を飲んでるんですよ。血圧を下げたり、アドレナリンとかそういうのが心臓に作用しないような薬を飲んでて、やる気が出てこないんですよね。とりあえず動けばやる気って出てくるものだと思ったんですよ、昔は。やり始めたら心臓にエンジンかかるみたいな感覚が最近全然なくて……。結構、そんなに制作してる時間は長くないですね。構想してるっていうか、頭を使ってる時間はまあまああると思うんですけど、手を動かす時間が最近どんどん短くなってて、いかんなあっていうところですね。
39:13
中川:そういうお話を伺うと、私も全く一緒というか、私は全然健康体ではあるので申し訳ないんですが、考える時間が長いというか、手を動かす時間はすごく短いので、自分も作品を作るっていう段階で。なんかね、考えてる時間も制作……。
汲川:はい、考えてる時間も制作時間に入れちゃってもいいですかね、みたいな感じですね(笑)まあでも、私元気な時も結構考える時間長めだったんですけど。「汲川さんいつも本読んでるんですけど、制作いつしてるんですか?」って言われてました、大学生の時。
中川:本を読んでる時って自分のこと考えられなくないですか?
汲川:でも、本に書かれてる内容が、俺もそういうこと考えることあるし「あーそっか、私が考えてることにはこういう名前ついてたりするんだね」みたいな感じで。まあそういう意味では、自分のことも一応本読んでてもちょっと考えたりはしますかね。なんか、これは多分病気と関わりないんですけど、考えてすぐ出てきた答えって、理屈が合ってるだけで別に正しくなかったりとか、良いものじゃなかったりするんですよね。一週間くらい前に考えてたことが、「あれ?なんか俺の脳みそがバックグラウンドでずーっと処理してたのかな?」みたいな、突然閃いたぞみたいな。ある程度時間を置いて出てきたものの方が信頼できるっていうか、考える時間長めなのが処理してたのかなって思ったりはしてますね。
(チンという音)
中川:なんかそのお話を伺ってて思ったんですけど、私も結構考える時間がすごく長いタイプというか、あまりこう手が動かす時間というのはあんまりなくて。そういう時に考えが煮詰まるというか、仕事をしてたりしてもずっと作品のことを考えたりしてしまうんですけど。仕事中は社会システムに沿った「これは良い、これは悪い」という世間の基準で考えてしまうところがあるんですが、家に帰ってお酒を飲んだりする時間で、その固まった考えを意図的に1回シャッフルして曖昧にできる。
43:26
汲川:外し方が分かっているというか、外す手段があるっていうので、もともとそういうものがなくて、アナーキーっていうか、めちゃくちゃみたいな、よりどころとするものがなかったりとか、思考の癖みたいなのがないと多分めちゃくちゃなことになると思うんですけど、社会の枠組みとか価値観に思考が引っ張られている時間があって、作品のある種の普遍性みたいなのがそこで担保されているっていうか、徹頭徹尾、自分のことだけ考えているよりは、ちょっと社会との接点みたいなのがしっかりあって、いいんじゃないかなってお話を伺ってて思いました。
中川:そうですね。その嗜好品をどう捉えるかっていうことに戻ってくるんですけど。
汲川:はい、ありがとうございます。
中川:そうなった時に、もともとの自分が本当につまらない人間だから、
汲川:え?!
中川:社会システムみたいなものを普通に受け入れているというか、それに乗っかっているところもあるし、そこに元気よく抗うタイプでもないっていう、もともとが。なので、お酒だったり、香水だったりとか、ちょっと気分が上がるみたいなメイクだったりとか、そういうマジック的なものの力を借りて、なんかちょっとごちゃごちゃっとさせるみたいなことは意図的にしているかなとは自分で思いました。
45:36
汲川:なんかあれですね、お酒の話はあんまりできていない気がしてましたけど、中川さんと一緒にやってるおかげで、ちょこちょこお酒の方に話を、軌道を戻せてありがたいなと思って。
中川:すいません、ちゃんと戻せないですね。
汲川:中川さんのお話、人づてにお伺いする人柄とかから判断すると、すごい面白い方なんだろうなっていうイメージが私の中ではできてて、全然普通じゃないと思うなっていうのが、人から聞いた情報では。
中川:仕事をしてる時の自分とは全然違うじゃないですか、アート活動とかと関わる自分と。そんなことないですか?みんな一緒なのかな?
汲川:あれでも違う方が一般的なんじゃないですかね。
中川:みんな違うと思うんですよね、そこは。おそらく。
汲川:うーん、大体一緒かもしれない。
中川:本当ですか?
汲川:仕事が美術にかかってるんで、予備校でデッサンとか教えてるんで、同じでいってもさほど問題が起きないっていうだけだと思いますね。
中川:確かにそういう方だとそうかもしれないですね。私は仕事が、アーティスト活動とはラインを引いてる仕事なので。一般向けの顔を作った方がいいみたいなお仕事なので、そうなるとお酒飲んだ時の振り幅も大きくなるっていうのはあるかもしれないですね。
汲川:私は逆かもしれないですね。生徒にデカい顔して教えてる手前、釣り合う作品を作ってないとヤバいぞみたいな。去年やった展示で今教えてる生徒が展示見に来てくれたんですけど、「すごい楽しかった」って言ってて。楽しいっていう感想が出てくるのが良いことなのかどうかっていうのがちょっとあれですけどね。
48:22
中川:前向きに見てくれたっていうことで。
汲川:そうですね、展示を見てからの方がちょっと話を聞いてくれるようになりましたね。
中川:それはお仕事外の活動、作家としての活動が本業に影響してくるっていう瞬間ですよね。
汲川:結局循環してるんですね。制作と生活の話じゃないですけど、仕事と制作の。
中川:影響してるっていうところで。お仕事自体がアートに関わることだから。
汲川:仕事としてはとても良い仕事なので、続けられる限り続けたいのですが、働く頻度がどんどん減ってて。最近は月5、6日くらいしか働けてなくてですね、生徒にちょっと申し訳ないなと思ったりもしてて。もっと見てあげないとダメなんだけどなって思いながら働いてますね。でも、あと今年いっぱい働けるかなっていうぐらいには考えてますけどね。
中川:2、3分休憩をいただきます。
汲川:はい、大丈夫です。お話は一人で、ね。
中塚:カットもしますし。一人で喋ってください。
汲川:あんまり自分のこと、私の個人的なことを話したところで、面白いかって言うと面白くないかなーとは思うのでね。最近はお酒っていうよりはコーヒーにすごいこだわったりしてて。豆からひいてコーヒー。毎朝じゃないけど週に5、6回はコーヒー飲んでるんですけど。なーんと豆でひいたほうが美味しいんですけど、近所のスーパーは豆をあまり売ってなくてですね。たまに粉のものを買ったりするんですけど、粉は粉で別に美味しくないってことはないんですけど。ファミリーレストランのステーキと専門店のステーキぐらいの違いはあってですね。粉コーヒーは別に美味しいんですけど、豆と比べちゃうとね、みたいなところがあって。病気で疲れやすいとか言ってても、ガリガリ豆ひいてますね。うん……、これは多分カットかな(笑)これはカットになる、でしょう。……カットになる前提で喋りますけど。そろそろ終わりにしていったほうがいいですよね?どうやって締めますかね?
52:33
中川:すいません、遅くなって。
汲川:どうも。全然大丈夫です。編集するということなので。
汲川:制作とお酒とか、お酒とコーヒーとか、生活と仕事と制作とか、何でも接点がありますね。つながってきますね、話してると。
中川:何でも話せば広がりそうな感じですね。……大丈夫ですか。すいません、使える素材がちょっと難しいかもですね。
汲川:まあ、なんか、多分、大丈夫……。
(まとめ)
汲川;思ってたよりたくさん喋っちゃいましたね。最初ちょっと不安だったんですけどね。あまりにも話題がどんどん出てきてしまうので、今日のところは第0回ですし、今日のところは以上で終わりにしたいなと思います。今回の収録がうまくいって、今後も「生き延びラジオ」は続けていくと思うので、ぜひ今後も聴いていただけるとありがたいなと思ってます。 それでは、皆さんご機嫌よう。ありがとうございました。バイバ~イ。
54:24
中川:ありがとうございました。
(おまけ)
汲川: とりあえず私、本日のテーマ「制作とお酒」の後に、いきなり今日あった出来事(カニフォークの話)をぶっ込んでもいいですか?
中川: 全然大丈夫ですよ、聞きたいです(笑)。
汲川:お皿洗ってたらカニフォークが指の間に刺さったんですよ。カカニフォークって、蟹甲殻類大腿部歩脚身取出器具って言うんですね。漢字で15文字くらい。
中川:長い(笑)。
汲川:っていう話をします。
中川:わかりました。どうぞ。
汲川;頑張ります。
中川:はい。
汲川:第0回って言った方がいいかな。
中川:言った方がいいと思います。
中川:私が生き延びラジオの前に言いますね。
汲川:ありがとうございます。行きましょう。お願いします。
中川:行きますよ。
汲川:お願いします。
57:00
中川:お疲れ様です。生き延びラジオです。あ、しまった。すいません。第0回言わせた。この後言いますね。ごめんなさい。もう一回お願いします。
(おまけ2)
中川:納豆……とかですか?
汲川:納豆は多分そうだと思うんですけど、世界で研究されてないんで。
中川:えー。なんだろう。豆腐とは違う。
汲川:言っちゃっていいですかね。
中川:言ってください。
汲川:オリーブオイルとトマトです。
中川:オリーブオイルとトマト?
汲川:うん。オリーブオイルが体に悪い人っていないらしいです。トマトとか。
中川:ほんと?どんな人種でも?
汲川:うん。
中川:そうなんだ。
汲川:悪いもの。体に悪い要素がないみたいな感じらしいですよ。トマトとか。
中川:えー。でもカロリー高いですよね。普通に。
汲川:オリーブオイル?食べ過ぎは良くないと思いますよ。良くないから食べ過ぎなので。何でも食べ過ぎは良くない。水でも死ぬっていう。致死量がある。……すごいな。なんかもう、あれですね。どんな話題でも脱線しまくってどんどん続いちゃってるんで……。
中川:私、今(お酒)飲んでますからね。お酒を飲んでいれば、どんな話でも楽しく聞けますよ(笑)。
汲川:私はグレープフルーツジュースを飲んでますね。
てか、この会話(ラジオとして流して)大丈夫ですか?
汲川:大丈夫じゃないんじゃない(笑)。
59:04

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