1. Audio Japan 〜あなたと一緒に日本を学ぶ〜
  2. 9. 選択的夫婦別姓:日本だけ..

■話の流れ

2月13日は「苗字制定記念日」/ 経団連会長の十倉氏が言及 / 「選択的夫婦別姓制度の導入を一丁目一番地へ」 / 選択的夫婦別姓とは / 事実婚や通称ではダメなの? / どうして棚上げの状態が続いたのか? / 法律を改正するには? / ①原案作成 / ②原案の審査 / ③閣議 /④国会に提出して承認 / ⑤公布と施行 / 2022年4月1日から成人年齢の引き下げ / 2024年4月1日から女性の離婚後100日間の再婚禁止期間の廃止


■参考

夫婦別姓「一丁目一番地」 十倉経団連会長、導入に賛成

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13CSK0T10C24A2000000/

法律はどうやって改正される?法改正の流れや所要期間を解説

https://www.docusign.com/ja-jp/blog/how-laws-to-be-amended


民法改正:成人年齢の引き下げ

https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf


■番組内で紹介した本

『「選択的」夫婦別姓: IT経営者が裁判を起こし、考えたこと 』

https://amzn.to/3SU3ztf


[公共702] 高等学校 公共 高校教科書 公民科用 教育図書

https://amzn.to/3UGr4ay


アンケートフォーム

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Audio Japan 〜あなたと一緒に日本を学ぶ〜
この番組は、日本の文化やトレンド、マニアックな情報などを掘り下げて楽しく学んでいく、そんな番組です。
英語で聞きたい方は、Audio Japan Learning Japan with you よりお聞きください。
Spotify、YouTube、Apple Podcastなどで配信を行っています。
パーソナリティの教育デザイナー、Arai Taikiです。よろしくお願いします。
2月も中旬に差し掛かってきましたね。
2024年のうち、約45日、8分の1が終わりましたね。
今回も、淡々といい声で番組をお届けしていきます。
先日、2月14日はバレンタインデーの日でしたが、その前日、2月13日は何の日か知っていますか?
2月13日は、苗字制定記念日です。
苗字を名乗ることが義務付けられた日なんですよね。
というのも、江戸時代までは、苗字を持つのは貴族と武士、この2つの職種、階級のみに限られていたのですが、
これまで苗字を持っていなかった人も、苗字を決めて登録することになりまして、
その結果、1万種類程度だった苗字は、これを機に、なんと10万種類以上に増えたと言われています。
これを見た時に、苗字にも民主化があったんだなぁと思いましたね。
どうして今この話題を出したのかと言いますと、
2月13日に経団連会長の徳良雅一さんが定例の記者会見で、
選択的夫婦別姓制度の導入について、女性の働き方などをサポートするために、
一丁目一番地としてやってほしいと述べたからなんですよね。
これまで国連からも、夫婦に同姓を強制する制度の改善をするように、
複数回勧告が行われてきたのですが、
経団連会長が同制度の導入に明確に賛成を示したのは初めてだそうです。
このニュースを見た時に、あえて2月13日に合わせたのであれば、
すごいなと思いましたね。
苗字制定記念日の日に、選択的夫婦別姓制度について述べる。
もしそれが本当なのであれば、
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それに気づいた私、新井隆之もすごくないですかね。
これは冗談半分で置いておいてほしいのですが、
今回は選択的夫婦別姓制度について話をしていきます。
前半部分では、選択的夫婦別姓制度の概要や他の結婚制度との違い、
どうして日本だけ導入されていないのかについて触れながら話を進めていきます。
後半部分では、視点を少し変えまして、
そもそもの法律を改正するにはどうすればいいのかについて掘り下げていきます。
さらにエンディングでは、今回のテーマに関するおすすめの本を紹介できればなと思っております。
では始めていきますね。
選択的夫婦別姓制度というのは、もともと民法上では選択的夫婦別内制度と呼ばれています。
夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の名字を名乗ることを認める制度のことです。
現在の民法上では、結婚する際に男性または女性のいずれか一方が必ず名字を改めなければなりません。
実際、現実としては男性の名字を選んで女性側が名字を改める例が圧倒的に多いです。
では、経団連会長の徳良さんが言及したように、どうして選択的夫婦別姓制度を日本にも導入した方がいいのか。
なんとなく当たりをつけている方もいると思うのですが、女性の社会進出に伴って結婚後に名字が変わることで不便に感じる人が多く出てきたからなんですよね。
これは一部、私、新井大輝の知り合いの話も含む内容になるのですが、結婚後にまずは市役所に行って名字変更の手続きを行わないといけません。
その後、銀行名義、携帯電話の契約、保険やクレジットカードなど、それまで使っていた名字で登録していたものは全て変更しないといけないんですよね。
しかも、仮に名字変更の手続きを行うとなると、日中働いている人は有休休暇を取るなどして仕事を休む必要がありますと。
もしこれが自分にも当てはまるような状況下になったら、至極面倒くさい極まりないと思いましたね。
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至極と極まりない、同じ意味をあえて使っているのは、面倒くさい度合いを表現したかったからです。
他にも仕事や研究などで実績やブランドを作っていたとしても、結婚向きに名字が変わってしまうと、効果が損なわれる可能性もありますと。
一方、選択的夫婦別姓制度が導入されて夫婦別々の名字で暮らしていくと決めた場合、結婚後の公的な手続きがかなり緩和されていきますと。
他にも仕事や研究に支障が出なかったり、あるいはプライバシーの保護にも貢献することができます。
例えば、名字が変わると、結婚あるいは離婚のことを周囲に知られてしまうので、プライバシーを侵害されたと感じる人も出てくるんですよね。
では、名字変更の手続きがあるのであれば、籍を入れない事実婚でいいのでは?と思う人もいるかもしれません。
確かに日本国内において一部、事実婚を選択している人もいるのですが、法律婚と違うところがあります。
1つ目は、子供の親権は原則として母親のみになります。
子供が生まれると、その子は自動的に母親の戸籍に入ることになります。
そのため、2人で親権を持つことはできません。
法律的に父親になるためには別途手続きが必要で、これを放置してしまうと、子供の父親欄は空欄のままになってしまいます。
2つ目は配偶者控除が適用されません。
例えば、税金での配偶者控除とか医療費の控除などが適用されないことになります。
タダでさえ子育てするのに負担がかかるのに、配偶者控除がないとなると、結構きついですよね。
3つ目は、賃貸や保険の契約などがスムーズにいかないこともあります。
事実婚には戸籍のように家族関係を証明できる公的な書類がありません。
2人が家族であるという証明が必要な場合は、事実婚であることがわかる住民票、生命保険の証書、親族からの証言などが必要となってきます。
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負担が倍増していきますよね。
他にもこのように考えた人がいるかもしれません。
一部現在使われている通称を使うことで解消されるのでは?と思う人いるかもしれないのですが、
通称とは戸籍上の本名ではないけれども、日常生活で使用し、世間一般にも通用している名字・氏名のことを指しますと。
特に仕事など社会的活動の場においては、
結婚者が弁儀上、結婚後もそれまでの名字を通称として使うことが多いです。
例えば、結婚して戸籍上では山本さくらになったとしても、仕事場ではそれまでの井上さくらとして名乗ることなどが挙げられます。
しかし通称使用も問題があって、特に海外でトラブルが起きます。
仮にホテルの予約名を旧姓でしていた場合、身分証明書としてパスポートを提示したとしても、本人としては認められません。
今、事実婚や通称使用なども踏まえて話をしてきたのですが、結婚後も今までの名字を使いたい場合、
時代背景も踏まえて民法の改定を行った方がいいんじゃないと、私、新井大輝は改めて思いましたね。
現状では多くは女性が名字を変更しているのですが、男性でも名字が変わる場合は全然ありますよね。
では、日本以外の国は結婚後に名字を変えてもいいですし、変えなくてもいい状況となっているのに対して、
どうして日本だけ未だに導入されていないのかについて触れていくと、これも理由がいくつかあります。
一つ目は、その制度が導入されると、名前のところに夫婦別姓とついていることもあり、
絶対に変えてはいけないという間違って認識する人も出てしまうからです。
でも実際は選択性なので、同じ名字にしたい人は同じでもいいですし、別々の名字がいい人は別々にすることもできます。
これに関してはメディアなので、継続的に発信していけば問題ないかなと思います。
二つ目は伝統を守るべきという価値観です。
1898年に民法改正によって、夫婦同じ名字であること、つまり夫婦同姓が義務化となったんですよね。
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しかしそれまで夫婦の名字というのは、結婚後も別々のままでしたと。
夫婦同姓が始まってから約120年程度なのに対し、夫婦別姓の価値観制度はそれ以上に続いていました。
最たる例としては、鎌倉時代の源頼友と王城政子、それぞれ別々の名字だなぁといつも思いますね。
三つ目は政治です。
というのも、安倍首相が在命中の時は、自民党の方で個人としては選択的夫婦別姓制度、賛成だとしても、自民党全体では賛成と言えない雰囲気、空気感がありました。
他にも、名字が別々になることで家族の一体感が失われると言及している場面もありました。
一方で、近年では自民党内でも賛成の流れが動いていますし、そもそも名字が異なると家族の一体感というものは失われるのかなと思いましたね。
昨今では、3組に1組が離婚してしまう時代なのですが、離婚の原因は家族の一体感というよりはコミュニケーション不足であったり、夫婦のすれ違いが原因でそうなってしまうのではないかなと思います。
ここまでが選択的夫婦別姓制度の概要についてでした。
後半戦始めていきますね。
選択的夫婦別姓制度をはじめ、今ある法律を改正するにはどのような手順を踏まえればいいのか。
そのプロセスはざっくり分けると5つになります。
1つ目、法律案の原案を作成する。
2つ目、原案の審査。
3つ目、法律案の閣議決定。
4つ目、国会に提出。
5つ目、法律の交付と施行となります。
詳しくは概要欄にあるURLを見ていただきたいので、この放送ではざっくりなんとなく分かってほしいなという思いで説明していきますね。
まず、法律案の原案を作成に関してですが、原案を作成するのは内閣または国会議員となります。
これまでの法改正において、約80%以上が内閣による提出だったので、今回は内閣作成のみで進めていくと、
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内閣が法律案の原案を作成する場合、厚生労働省や経済産業省などの各省庁が関係省庁との意見調整であったり、審議会への諮問、校長会における意見聴取などを経て、法文化の作業を行っていきます。
提出用の原案ができたら、2つ目の原案の審査へと移っていきます。
具体的には憲法や他の原稿の構成との関係であったり、条文の表現や配列など構成は適当であるかなどチェックしていきます。
そこで問題なければ、3つ目の法律案の閣議決定へと移っていきます。
閣議決定においては、慣例的に全会一致で行われ、可決された法律案のみ、内閣総理大臣によって国会に提出されます。
4つ目、国会に提出された後は、衆議院・参議院において審議されまして、提出された法律案は衆議院・参議院両方で審議されていきます。
この時、どちらの議員へ法律案を提出しても構いません。
衆議院に提出した場合は、衆議院の委員会で話し合いを行って採決となれば、衆議院の本会議で採決。
その後に参議院でも同様に話し合いを行って採決となったら、参議院の本会議で採決となっていくのですが、
法律を成立させるためには、どちらか2つのみとなっておりまして、
1つ目は、衆議院・参議院の両方で可決された時、衆議院で可決し、参議院で否決された後に、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で採決された時のみとなっております。
この時点で成立されたとしても、まだ改正法に効力が生じるわけではありません。
5つ目の交付・施行のプロセスが完了して、初めて改正法が効力を持つことになります。
今説明した①から⑤までの期間は、改正する法律の緊急度や重要度によって異なっていくので、一概に平均を出すことは難しいです。
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今、法律の改正するまでのプロセスを話したのですが、過去に法律が改正した例何があるか調べてみたところ、
例えば、2022年4月1日より成人の年齢が20歳から18歳に引き下げが始まったり、
今年の4月1日からは、女性の離婚後100日間の再婚禁止期間というのが廃止されます。
成人年齢の引き下げに関しては、1876年に制定されてから初めてのことで、146年ぶりの変更となります。
というのも、OECD加盟国の中ではほとんどの国が成人年齢を18歳としているんですよね。
成人年齢を18歳に引き下げることで、若者の投票率を上げたり、18歳、19歳の自己決定を尊重したりするためです。
なので、成人年齢の引き下げによって、親の同意がなくても携帯電話やアパートを借りるなどの契約をすることができます。
一方で、お酒やタバコなどは20歳になってからでないと接種することはできません。
もう一つの、女性の離婚後100日間の再婚禁止期間廃止に関しては、それまでは離婚した後、女性のみ再婚禁止の期間があったんですよね。
それだけでも、ある種男女差別があるのではと思うかもしれないのですが、離婚後すぐに女性が再婚して出産した場合、子供の父親は前の夫か現在の夫かといった争いを避けるために設けられていたんですよね。
しかし、昨今ではDNA鑑定などで親子の証明をできる制度が高まっていますし、やはりその期間があるということは、ある種男女差別があるから、今年の4月1日に廃止されることになりました。
ここまで前後編にわたって話を展開していきました。
私、荒井大輝が調べたり話をしたりしてきた中で、ルールは守っていくものであると同時に、時代背景に応じて変えていくものであり、ルールを変えていくには時間がかかるものの、一人一人がやはり政治に関心を抱くことが重要なのかなと痛感しましたね。
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本来であれば、中学校3年生の公民の時間で政治分野を触れることになるので、そこで興味を持つあるいは知ることになると思うのですが、この年齢になってようやく興味を抱いたというか、
ちゃんと調べれば法改正もできているんだなということを再認識できたので、いかに自分ごととして考える関心を持つきっかけをどう作っていくかが大事かなと思いましたね。
オーディオジャパン、あなたと一緒に日本を学ぶエンディングの時間となりました。
今回が初めてかもしれないのですが、おすすめの本を2冊紹介させてください。
1冊目は、細胞図社長の青野さんが書かれた、「選択的夫婦別姓 IT経営者が裁判を起こし考えたこと」という本です。
選択的夫婦別姓制度と聞くと主に女性の問題として見られがちなのですが、これは細胞図社長の青野さん、男性の視点から書かれています。
青野さんは結婚を機に奥さん側の苗字へと変えたのですが、苗字変更に伴って大変だったこと、裁判を起こしてどういうふうに至ったのかについて詳しく書かれておりまして、
この本が発売されたのは2021年なのですが、改めて私、新井大輝も再読したくなったなと思いましたね。
2つ目は高等学校公共高校教科書公民科用教育図書という、今名前だけ聞くと完全に教科書だよなーって思ったかもしれないのですが、はい、新しい教科書です。公民ではなくて公共の教科書です。
というのも、2022年度より高校では公共という科目を習うことになります。なので、もしかすると公共という科目を初めて聞いた方いらっしゃるかもしれないのですが、
この本は、コルクの里島さんと鈴川先生が関わっている教科書でして、中身も従来のテキストベースだけではなく、各章ごとに4コマ漫画があったり、コラムにおいては考える、ディベートする用のお題などが書かれておりまして、
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私、新井大輝はパラパラと今眺めているところなのですが、高校生の内容というよりは大人も学べる素敵な教科書だなと思いましたね。なので、これを聞いて、今回少しでも興味を持った方は、今お勧めさせていただいた2冊読んでほしいなと思います。
冒頭でもお伝えしましたが、オーディオジャパン、あなたと一緒に日本を学ぶ、英語版で聞きたい方は、オーディオジャパン、Learning Japan with you よりお聞きください。
2月より毎週火曜日と金曜日、朝6時に配信しております。
火曜日は馴染みやすいテーマ、金曜日は日本の時事ネタを取り上げていきます。
次回の火曜日の放送では、外国人に人気な食べ物について話をしていきます。
また番組の感想やお便りもお待ちしております。概要欄にあるアンケートフォームよりご記入お願いいたします。
あなたからのお便り楽しみにしていますね。
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最後まで聞いていただきありがとうございました。
お相手はパーソナリティの教育デザイナー、新井大輝でした。
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