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建コンのアレこれの建コンのアレです。よろしくお願いします。
今回は、久しぶりに各分野を説明していくシリーズに戻ってまいりました。
そして一発目はですね、ダムについて語りたいと思います。
ダムというのはですね、意外に一部の方には人気のある土木構造物でして、
ダムファンとかね、かつてダムマニアって言い方をしたんですけど、今はもうマニアっていうのかな。
とにかくダム好きの方っていうのは結構いるみたいで、
ダム協会、これは一般社団法人かな、一般社団法人ダム協会とか、
そういう業界団体のようなところともタイアップをしてイベントをしたりとかしてるみたいです。
ウィズダムナイトとかですね。聞いたことある人は必ずしも多くはないかもしれませんけども、人気がある。
で、どうしてそういうものが人気に魅力があるかっていうと、やっぱりこう、やっぱ存在感があるってことなんですかね。
ドーンと大きいコンクリート構造物ってことで。
でですね、それだけじゃなくて、一般の方でダムに興味があったりダムが好きな人っていうのは、
ダムの機能というのをよく理解されてます。
で、これがですね、意外に分かりにくいので、ダムの機能っていうのがですね、
ちょっとその辺の話をしていきたいと思います。
いきなりですね、このポッドキャストでよくある、分かりやすいか分かりにくいかよく分からない例え話なんですけど、
ちょっとそんな例え話からしていきたいと思います。
それでは、参ります。
この例え話はですね、設定から入ります。
銀行預金というのがない世界を想像してみてください。
銀行にお金預けられないと。
そうすると給料とかバイト代っていうのは、全額現金で手渡しだとしてください。
そうすると、給料日になって何十万円も手渡しで現金でもらうの嫌ですよね。
で、お家に帰る道すがらも持っていくのも嫌だし、
無事ぶんどられずに家に着いたとしても、家に置いておくのも嫌じゃないですか。
銀行がないからって言って、現金を引き出しの中にこうやって一万円積むの嫌じゃないですか。
ということを考えてみると、銀行の機能っていうのに気づくわけですけど、
我々銀行のお世話になるとき、いつも引き出すことばっかりですよね。
給料とかバイト代って自然と振り込まれるんで、お金を出すっていうことしかあんまり日常ではしないですけど、
実はもしなかったらっていうことを想像すると、
預ける、要は手元に今使わないお金を預けるっていうことも大事な機能だということに気づくわけですね。
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そうするとつまりですね、銀行っていうのはお金の流れ、もらって使う。
もらうときは一気にドサッともらうわけです。
使うときはちょこちょこ使うわけです。
で、これのバッファーになってるってことですよね。
そうすると、いらないとき、すぐには使わないときには貯めておいて、
使いたいときに引き出すっていうことができるっていう意味で銀行っていうのはありがたいというわけなんですけど、
ダムもですね、これにかなり近いんですね。
水についてこういうバッファーの機能になっているというのがダムの機能です。
だからですね、意外と複合的なんです、ダムの機能って。
ではここからダムの機能の説明に入っていこうと思うんですけど、
ダムによって水が今すぐ使わない水を貯めときたいっていうのは、
余金ですよね。引き出すじゃなくて余金するっていうのに近い機能はどういうときかっていうと、
これが大雨のときなんですね。
ダムがないとドサーッと川に水が流れてしまうところを、
ダムがあることによってそれを止めてくれる。
それでちょろ出しをしてくれる、下流に向かって。
それがダムの治水効果。治水は治療の治ですね。治すっていう。
治水効果と言われます。
これはですね、近年象徴的な出来事があって、
ちょっとすみません。
近年象徴的な出来事があって、
ヤンバダムっていうですね、群馬県にあるダムがあるんですけど、
これが最近建設されたダムの中ではかなり大規模なダムで、
50年くらいかな?もっとかな?計画されたのはすごく古いんですけど、
地元が景勝地、自然豊かで景観が綺麗なところだということもあって、
温泉地になっていてですね、そこでなりわいをしていた人たちもいたということで、
反対運動なんかもあって、ずっと建設されなかったんですけども、
ついに2019年かな?2020年かもしれないです。ごめんなさい。
完成して、その完成する間際、最後の仕上げの工事みたいなことをやっているときに、
2019年の台風19号という非常に強い台風がやってきました。
で、その時にダムの本体のコンクリートが上までできてたんで、
その時工事中だからほとんど空っぽだったんですけど、水溜まってなかったんですけど、
台風がバーってきて、バサーって雨降ったやつをそのヤンバダムがボワッと止めて、
下流に水をたくさんは流さなかったわけですね。
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たくさんというか、その分溜めた分は流さなかったわけですね。
それでダムの地水効果というものが、目で見える形で知られるというか、
伝わりやすく伝わった一つの出来事だったと思います。
それで当然ですね、そのダムに溜めた分下流に水が行かなかったわけですから、
後々ちょっとずつ出していったと思いますけれども、
下流の川、これは阿賀妻川という川があって、
その阿賀妻川はいずれ利根川に合流するんですけど、
その阿賀妻川および利根川の下流の水の量を減らす効果があったわけですね。
で、これが本当にダムがなかったら洪水になってたのか、
要はヤンバダムが洪水を防いだのかというと、
ちょっとこれは難しい計算になったりするシミュレーションによるので、
分からないんですけど、
少なくとも下流の水の量を減らして水位を下げたということは間違いないですね。
そういうようにですね、ちょっと話戻すと、
雨が多すぎる、水が多すぎる時にダムで水を溜めることによって、
下流の水害リスクを下げる、そういう効果があります。
非常にダムの重要な効果です。
で、もう一つは、今度は逆に欲しい時に水をもらうということですね。
銀行で言うと引き出す、コンビニのATM行ってガチャンって引き出すみたいな感じで、
って言うとダムが好きな人に怒られるかもしれないですけども、
逆に雨が少ない時に水を下流に供給して水が利用できるようにするという効果ですね。
これを利水効果と言ったりします。
実際には川に水が流れて欲しいのはなぜかというと、
私たち蛇口ひねったら水が出ますよね。
私が生まれてから断水、雨が少ないので断水っていうのは私が住んでた地域ではないですけども、
給水制限とか取水制限とかっていう風にダムの効果を持ってしても、
あまりに雨が少なすぎて水道の水を供給できなくなっちゃうようなことっていうのは、
現象としては起こり得ます。
ただそれを成りにくいようにダムに水を貯めておいて水を供給するっていう機能がダムにはあって、
そのおかげで我々は蛇口をひねれば水が出るっていう状態になっているし、
生活用水だけじゃなくて農業に使う灌漑用水とかですね、
結構これは春の時期にダムによっては結構大きな流量が必要になる場合があって、
そのシーズンに水を供給するっていう重要な機能になってたりもします。
それとダムによっては似たような形で工業用水、工場で水を使うっていう場合、
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の部分も川に流してあげて、下流で水を収水している工場があったりすると。
こういう時にはその工場を持っている企業なんかもダムを建設するときの費用を一部負担したりして、
水を利用する権利というのを取得した状態でダム建設が計画されるっていうこともあったりします。
人間が誰も使わない川だとしても、
人間が使う目的だけじゃなくても河川の流水の維持ということで、
単純に川が枯れちゃうとお魚住めなくなっちゃうんで、
そういう自然環境的な意味で川には一定の水を流しましょうっていう機能もダムが担っていたりします。
最後にもう一つは、水をそのまま水として利用するというよりも、
水の位置エネルギーを使って発電する水力発電ですね。
というダムもあります。
そういう機能も担っているっていうことですね。
これは今までのとは違って、水をどこかで使うとか止めるっていうんじゃなくて、
冷えてある水を鉄管にシューンって流して、
それでタービンを回して発電をするっていう、そういうものですね。
これは発電専用のダムっていうのも日本にはあって、
発電をするためにダムを建設して発電していると。
それは関西電力の黒部川第4ダム、いわゆる黒部ダムっていうのも有名ですよね。
同じように東京電力とか北陸電力とかダムを持ってたりすると思います。
それでちょっと違うのは、最初の治水効果と利水効果っていうのは、
下流の川に人が住んでて、その人の暮らしと関わってるわけですね。
水の流れ、川の流れと人の暮らしが関わってるっていうのが治水と利水なんですけど、
発電っていうのは、もし仮に下流にあんまり人が住んでない川だとしても、
そこで作った電気を電線で送ればそれで利用できますよね。
という意味でちょっと傾向が違うんです。
だから治水と利水っていうのはだいたいセットでダムの機能として計画されることが多いんですけど、
発電の場合は、場合によっては発電専用にして、
その下流に人があまり住んでないけれども電気を欲しいからここにダムを作りますっていうパターンもあり得るっていう意味で、
ちょっと毛色の違う機能だと思います。
実際に担っている主体も、さっきの治水効果、利水効果を持ってるダムっていうのは、
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多目的ダムとか言ったりしますけれども、そういうダムは都道府県とか国土交通省が作る場合が多くて、
一方で発電のダムっていうのは、電力会社とかJパワーっていう電源開発っていう会社が作ったりする場合があります。
ちょっと複雑なのは、かといってそんなに機能がきっぱり分かれているかというと、
治水、利水の自治体とか国交省が作るダムにも発電を付加したりして、
発電も行っているっていう場合もありますので、
せっかく一個ダムを作るんだから、そこで貯水をする、水を貯めることで得られるベネフィットは、
いろんな形で活用しましょうということで、ダムには複合的な目的と機能が備わっていることが多いです。
もう一つ、水を貯めるダムの形式にはいろんなタイプがあります。
大きく分けると、これは以前にも話しましたけど、コンクリートと森の構造物っていうのがあるって話しましたよね。
ダムもまさにそれで、コンクリートで作るダムとコンクリート以外の土をもって作るダムっていうのがあります。
コンクリートで作るダムには重力式コンクリートダムっていうものとアーチ式コンクリートダムっていうのがあって、
重力式コンクリートダムの方が重くてでかいです。
その重さで水を貯めるというか、水を貯めるとその水で押されるわけですね。
主に横向きに。
そうすると横向きに押されることによってダムが後ろにずるずるっと下がっちゃったりとか、
あるいはずっと転んでバッサーってなっちゃったら困るわけで、絶対そうならないように作るんですけど、
そうならないようにする方法にはいくつかあるってことで、重力式っていうのがそのダムの重さで水を支えるという。
アーチ式っていうのはちょっと橋梁に似ているって言っていいかもわからないですけど、
アーチ構造で水を支えるってことですね。
アーチ式ダムで有名なのが黒部ダムですね。
重力式はいっぱいありますけどどうでしょう。関東で言えば宮ヶ瀬ダムとか有名ですよね。
先ほど出てきたヤンバダムも重力式コンクリートダムです。
それとコンクリートでない、メインの部分がコンクリートでないものはロックフィルダムと言われます。
他にもいくつかあります。アースダムとかロックフィルじゃないものもあるんですけど、
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近年建設される形式としてはロックフィルダムっていうのがオーソドックスなんですかね。
これはまた平たく言えば土を持っているダムなんですけど、
ただ単純に同じ材料を下からどんどん堤防のように盛り立てるんじゃなくて、
その土の材料を変えることで車水槽、水を止める槽とか、
リップラップっていうんだっけな、大きい岩をごちごち最後の仕上げで乗せることで安定するみたいなのとか、
ちょっとごめんなさい、私専門的なところ自信ないんですけど、とにかく土で持ったダムです。
これらの形式、なんでいくつか形式があるのかっていう問題なんですけど、
ダムの形式は主には地盤との関係で決まっています。
ですので、ちょっと正確じゃなかったら申し訳ないんですけど、
ものすごく強力な岩盤がある山、ダムっていうのは大体谷間に作るんですけど、
その山が右の山も左の山も、そして川の底の岩盤もごちごちに強い場合は、
アーチ式のコンクリートダムを作るのが一番経済的らしいです。
コンクリートの量が少なくて済む。
だけどアーチ式っていうのは、右と左の両側の山が強くないと作れないんですけど、
日本の地質って結構複雑らしくて、あまり一筋なら行かないみたいですね。
そういうダムが作れない場合は重力式コンクリートダムが次にいいのかな。
早いんでしょうね、施工がね。
アーチよりはコンクリートのボリュームは多い。
けど重力式のコンクリートも過小の地盤が十分良くないと、
あれだけたくさんのコンクリートを乗せられないっていうことになって、
それでですね、地盤があまり良くないところに作られるのがロックフィールダムみたいです。
ロックフィールダムの方がコンクリートより多分密度というか単位体積重量も低いし、
形状として広く乗せるんですよね。集中しないっていうんですかね。
それで地盤が悪いところにはロックフィールダムが採用されるみたいです。
あと最近の新しい形式として、台形CSGダムっていうコンクリートと森戸のあいのこみたいな、
CSGっていうのはセメンテッドソイル&グラベルとかなんかそんな意味で、
要はセメントを混ぜた土砂みたいな意味だと思うんですけど、
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そういうCSG材っていう材料を使ったダムも最近作られています。
これも同じように地盤が弱いところに作ることができるんだけど、森戸構造物よりも施工が早くて、
それで強い?強いのか?わかんないけど、そういう新しい景色もあるみたいです。
という感じでコンクリートのダムと森戸のダムがあるということをご理解いただけたと思いますし、
あとポイントは、さっき言った機能がいろいろあるけど、
治水ダムにはコンクリートがいいとかじゃないんですよ。
離水ダムにはロックフィルダムがいいとかじゃないんですよ。
そうじゃなくて、目的は目的で多様なんだけど、形式はあくまで地盤とか、
そういう物理的な特性を考慮して決められます。
そこがリンクしてるわけじゃないよっていうのは一つご理解いただきたいなと思います。
あとですね、そういう話でダムをどこに作って、
そしてどんな形式にするかっていうのを決定するのは非常に簡単ではないんですね。
地盤も気にしなきゃいけないし、さっき発電と離水の話したみたいに、
下流にニーズがあるかないかっていうところにもよるし、
ニーズが少ないけどないよりあった方がいいとした場合に、
じゃあコストと見合うかって話も当然出てくるわけですね。
そういうふうにしてそのダムの計画っていうのはされます。
当たり前っちゃ当たり前ですけど、日本の地形って昔から大きく変化はしてないので、
もうそれこそすごーく昔の昔からどこにダム作ればこんな風にいいなっていうのは
かなり調べられてたんですね。
多分明治の日本政府も調査してるし、明治の時代に作られたダムもある。
そんな中でも当時の技術では簡単に作れなかったりとか、
当時と今でニーズが変わってたりはするわけですけど、
結構ダムの開発っていうのは、
適地っていうのは早い段階で見極められてたっぽい印象がありますね。
黒岩ダムなんかも戦後すぐ作ったんですよね。
そういうふうに、
効果の高い、ここにダム作ったらすげー効果でかいのになっていうところには
まず優先で作られてきたわけですね。
このポッドキャストも前半のほうの回で、
日本のインフラの歩みとこれからみたいな話しましたけど、
ダムについても結構文脈が当てはまって、
昔々から計画されてて理想なポイントと言われてるものっていうのに対して、
優先的に作っていって。
今はっていうと、単純に新規のダムの建設数は非常に減りました。
今は本当に多くないです。
それっていうのは道路とか以上に地形に左右されるし、
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ダムじゃない方法もあるわけですよね。
水を利用しようとした時、あるいは地水にしようとした時に、
下流に調整地作る方がいいのかとか、大体案もあったりするっていう話の中で、
新しいダムを作ろうっていう件数は減ってます。
かといって、本当にいらないかっていうとそういう話じゃなくて、
いくつか前に流域治水の話をしましたけれども、
水害のリスクっていうのはこれから気候変動の影響を受けて高まっていくんですよね、むしろ。
高まっていくけど、ダム作りたいけど、これ以上ダム作りやすい場所っていうのはないぞ。
どうするっていう課題が実はあるんです。
そういう中で、ダム界隈でよく言われてるのは再開発といって、
今あるダムをグレードアップしようと、
もっと地水機能を高めるように改造しようっていうことが結構行われています。
新しい穴を開けて、コンクリートダムに新しい穴を開けて、
そこからたくさん水を出せるようにすることで柔軟に、
これ水を出すって言ったら洪水を助けちゃうじゃんって思うかもしれないけど違うんです。
水を出す理由は洪水に備えて事前に水を出しておいて、
溜める幅を増やすみたいなことですね。
そういう取り組みも行われています。
もう一つは、ダムの適地に対して優先的に作られた、
今となっては年齢高齢のダム、
もう50年とか60年とか70年使ってるダムってのがあるんですけど、
そういうダムには結構砂が溜まってきてるんですよ。
川には必ず土砂が流れているので、
その砂を何とかしないと今まで通りの効果は発揮できないけど、
この砂どうしようって問題も結構日本の多くのダムで問題になっていて、
これは建設当初から分かってたことでもあるんですよね。
ダムってのは最初から砂がここまで溜まるもんだっていう大差の量っていうのを計画して作られるわけなんですけど、
60年前とか戦前に作ったダムでどうやってその砂を取るんだっていうのは、
また今から改めて考えなければいけない課題だったりするし、
取ろうと思ったらガバッとすくって取れるんですけど、
それにかかるお金っていうのが結構かかってるんですよね。
それを低コストで工場的に取るにはどうしましょうかって話もあったりして、
間違いなく今の我々の暮らしを支えてる、
しかも暮らしから遠い場所でね、山の中に大体ダムってありますから、
遠い場所で暮らしを支えてるダムっていうものなんですけど、
それが今後の暮らしにも引き続き効果を発揮し続けるためには、
やはり我々建設会社も含めて日本のダム関係の技術が必要になると、
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そういう感じだと思っています。
ダムって結構新設の件数も減ってきたから、
多分私が入社する前の頃と比べて活気が失われつつあるような気もしなくもないんだけど、
でももう一度光が当たって暮らしを支えるものとして認知が広がったらいいなと思ったりしています。
ということでダムのご紹介でした。
最後まで聞いていただきありがとうございました。