広告をやって楽しむ、見て楽しむ、話して楽しむ。
アドバタラヂオパーソナイティーの富永誠です。
今回もですね、前回引き続きゲストをお越しいただいております。
AD-LAMP代表中村ホールティン梨華さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
早々ですけども、すごい盛り上がりましたね、前回。
すいません、長々と。
すごい、僕もやっぱり広告の話をしている番組というのもあって、
昔の広告良かったよねとか、今こういうキャンペーン盛り上がっているよねというところだけではなくて、
広告というものをちゃんと見るということを考えたときに、やはり炎上というか、
そういうクレーム的なものも踏まえて盛り上がってしまったものというのを取り上げる機会も多かったので、
先ほどスープストックさんの話とかも、僕がこう思ってましたっていうのは、
この番組を通して発信はしてましたけど、それをアカデミックにとらえられて学ばれている方からまたご意見いただくというのも、
すごい非常に勉強になったので、尽きないですね、ちょっと話題が。
本当です。ありがとうございます。
なかなか広告業界の最前線で働いている方と、こういう風に炎上について腹を割って話すみたいな機会はなかなかないので、
本当に楽しいなと思って、先ほどすごい長く話してしまいました。
若干だって中村さんに会いたくない人もいると思いますもんね、世の中。
そうですよ。
でもそれはSNSのアカウントの名前が強烈だから。
そうですね。これは戦略ミスです。
だから広告炎上チェッカーというXのアカウントを運営されている中村さんですけれども、
僕はそれをきっかけでやり取りを始めさせていただいたというところがあるんですけど、
ちょっと今回は株式会社広告炎上チェッカーではなく、
アドランプという会社ですもんね。
そうなんです。ツイッター上ではちょっと挑発的な方がいいかな、
その方がインプレッションを取れるかなと思って広告炎上チェッカーという生意気な名前にしているのですが、
アドランプという事業の方は、炎上から学べる社会を作るというところにも本当に集中しています。
広告主様、代理店の皆様、製作会社の皆様にセミナーとかワークショップを提供する事業になっております。
今回はですね、アドランプのお話をメインで伺いつつ、
実際に前回のエピソードでもたくさん話がありましたけれども、
炎上した広告というのをピックアップしつつ、どういったダイヤを作られたかというところを中心にお話させていただければなと思いますので、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まずアドランプという会社で、さっきおっしゃったように企業さん、国代理店とかいろいろなところに対してコンサルティングをするというところが主体になっていますよね。
はい、おっしゃる通りです。
実際に前回の告知でもあったように、市民の方々に来てもらって一緒にワークショップをするというのもサービスというか事業の一つというところなんですか?
ビジュアルもあんまり良くなかったのかなっていうところはあるんですけど、実際はどういうところで炎上したんですか。
もうすでに指摘されたのでそういうことなのですが、基本的にはお前っていう呼び方がブッキラボだとか昭和的だっていうところと、
おっぱいっていうのが不快だとか、おっぱいに見せた顔が不快だっていう不快みたいなところのポイントがあった上で、
もうちょっと深い点に行きますと、先ほどおっしゃったように、お前一人のおっぱいじゃないんだぞっていう言葉ってどういうことかっていうと、
女性の体が他者のものっていう思想前提で作られているコピーだと思うんですね。
トラディショナルにはお前一人のおっぱいじゃないんだぞって言ったら、それは多分子供を産んだ人に対して、
お前一人の体じゃないんだぞっていう言い方だったら、
女性が子供を産みこもった時に、お前だけの体じゃないんだぞ、だから大切にしてねみたいな感じで言うと思うんですけど、
それを文字ってコピーにしているのは、クリエイティブのツイストみたいなのがあって、いいっておっしゃるんじゃないかなというふうに思っています。
この広告を見た時に、乳がん検診の広告なんですね。
そうなった時に、女性が自分のために検診ってあるはず、女性の主体性がないっていうところですね、この広告に対して。
あとのこのコピーを見ても、旦那にバレて怒られましたとか、あなたのためにも行ってきますっていうのは、
女性が人のために生きているっていう前提でコピーを書かれているんじゃないかなって、
女性側からは思ってしまった人もいるっていうところで炎上してしまったという形になっています。
なんか、このお母さんのキャラクターがもっとちゃんとわかってたらいいですよね。
家族にすごい時間を使っているお母さんで、自分のことはないがしろにしてでも子供だったり、旦那さんのために家事をやってたりとか、
そんな背景がわかった上で、旦那さんに言われたんです。だったらわかりますけど。
そうです。富永さんはすごく鋭いです。なぜかっていうと、今この属性のアロケーションができているんですよ。
何かっていうと、この広告、そもそも子持ちの寄婚の多分30代ぐらいの女性に向けてのみ書いてるんです。
前提として、このお母さんは多分専業主婦でずっと子供と旦那さんのお世話をしているっていう設定があったと思います。
ただ、実際に乳がん検診を受ける人って40代が多い。なぜかというと40代が発症率が一番多いっていうデータがあるからですね。
そうなった時に、すべての40代がこういう専業主婦で子供がいて旦那さんを大切にしててっていう属性なのかっていうところが、
結構ステレオタイプ的だっていうところで、そうじゃない人に乳がん検診ちゃんと届けないといけないのに、
広告を見たら全部女性の30代ぐらいで家族を大切にしている女性前提で書かれてしまっているっていうところで、
結構怒りを持つ人もやっぱりいるんじゃないかなというような形になっています。
これはクレームがすごかったんですか?
これはツイッター上で萌えに萌えましたね。
萌えただろうな、これは。
批判が集まっておりました。
私も女性なんですが、わりと見ると海外の乳がん検診の広告とかって結構乳がん検診大切です言ってくださいとか、
40代で発症率何パーセント言ってくださいみたいな感じのすごくシンプルなものなんですよね。
日本ってどうしてもクリエイティブが大切な国ですから、
気づかせるとかね。
クリエイティブの質だから高いっていうのはあるんですけど、
それを考えた時にこのターゲットに差しに行こうっていう気持ちがすごく強くて、
そうじゃないそうから見た時にちょっとジェンダー文脈でこれは昭和的なんじゃないかっていうような声があったというような。
パッと見は炎上してたかしてないかを知らなかったらちょっとしたNHKのドラマの一幕みたいな温かさもあるような内容だと思うんですけど、
それさえも多分ステレオな発想だと思うんですけど。
ただ海外のイギリス人に見せた時に日本語読めないじゃないですか。
ビジュアルだけ見た時に結構日本では炎上した一つの要因として胸を顔にしてるのが不快みたいな声もあったんですけど、
好きっていう人もいて可愛いねとかいう意見もあったので、
これが刺さる人はいるっていうのはすごい事実です。
炎上したのも事実です。
炎上したの事実です。
そこからアドランプのサービスとして代案を出されたと。
ワークショップとかで重ねて代案を出されたと思うんですけど、
それはどういった形になるんでしょうか。
これは炎上した広告の炎上しない代案を作ってみようというところで、
複数人の女性当事者含めて話し合って出した代案になっています。
代案のポイントをちょっと見てみますね。
コピーにはちょっとした決断で私が守る私の体というふうに書いてあります。
イラストはもともとの広告が胸を顔にしているぬいぐるみを出しているのに対して、
代案では女性か男性かあんまりわからないなという人が
自分の体を抱きしめているイラストが書かれているようなものになっています。
プラスで小さい文字で、乳がん検診は早期に発見することで
死亡率を大幅に減少させられます。
9人に1人が乳がんになっています。
自治体よりお届けするがん検診の案内をご覧ください。
ピンクリボンというふうになっています。
これどうですか。広告業界から見たら。
そうですね。
でもこれって別にピンクリボンだけに関わらず
自分の体は自分が一番大事にするべきだよというところで言うと
誰の気持ちもそがないと言いますか。
そこはセーフティーな表現なのかなと思いますね。
ありがとうございます。そこが私たちがすごく気にしていた点で
もとの広告が何が一番の炎上ポイントだったかというふうに考えると
女性の主体性がない。男性とか旦那とか子供のために生きなさい
みたいなメッセージに取られてしまうという側面があったので
そこをちゃんと女性が女性のために自分自身のために
乳がん検診に行くんだというメッセージに変えました。
私たちが代案を考えるときに大切にしているのは
なるべく広告主のもとの案を変えないというところなんですね。
今回炎上したポイントが乳がん検診に行けって言うなんてひどいとかじゃなくて
乳がん検診に行けっていう方法論が間違っているみたいな声だったので
もともとの乳がん検診に行ってくださいはそのまま残した
目的は変わらずですね。
まま代案をこのように考えたというような形になっています。
有識者のコメントもいただいているので読み上げても大丈夫ですか?
広告代理店に勤務するフェミニストのふえみさんからのご意見です。
海外では乳がんのスティグマをなくすために実際の患者さんが出てきて
明るい顔で手術の後を出す広告もあると。
日本ではやっぱりまだ乳がんを隠す意識があるんじゃないかという風に分析されています。
乳がんの啓発ポスターを公募で作っている限り
ストラテジーも深められないし知見もたまっていかないし
表現のとっぴさだけで勝負することになってしまうと
一度腰を据えてプロのチームを作ってもいいのかなと思いますという風なコメントをいただいています。
この元の炎上した広告がですね
ピンクリボンの広告って毎年公募で
公募で選ばれる広告ってめちゃくちゃ炎上多いのってご存知ですか?
そうなんですね。ちょっとそれ面白い話。
興味深いですね。
なんでかっていうと今ふえみさんのコメントでもありました通り
結局公募で勝とうって思った時に
人と違う案を出さなきゃとか目立たなきゃっていう
クリエイターに圧がかかってしまうっていう事実があると思います。
そうなった時にやっぱり笑わせなきゃっていうところで
ジョークを言おうとしたらそのジョークがちょっとギリギリだったので
炎上してしまうってあったりだとか
みんながいいねいいねってトラディショナルに言うジョークって
割とジェンダー問題をはらんでいたりだとか
社会的な弱者をバカにした文脈があったりするっていう傾向があるので
そこで燃えてしまうみたいなことがあるっていうところで
結構公募で勝ちながらもいいクリエイティブを作るのって難しいんだろうなって
私のワークショップではみんな言っていました。
なるほどね。
でも公募にする理由って
その問題について主体性を持ってほしいからっていうところもありますよね。
それは公募側のキャンペーン目的だったんですね。
そうだと思うんですよ。
ここクリエイターが普通にやるよりも
このピンクリボンという社会課題に対して
主体性を持ってくれる人を少しでも増やそうというところで