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ビルドアップローカル、番組ナビゲーターの常田幸永です。
この番組は、30年のスポーツ界でのキャリアを経て、現在は地域金融機関に勤務している私が、スポーツを通じて街を豊かにしようという番組です。
発達のピラミッド
さて、今週も早稲田大学スポーツ科学学術院の教授で、アスレティックトレーナーの広瀬則一さんにお越しいただきました。
広瀬さん、どうぞよろしくお願いします。
今週は、遊びによる機能発達とそのリスクの研究について、ぜひお話をお伺いしたいと思っているのですが、
遊びによる機能発達、そのリスクの研究についてということなんですけれども、
子どもの機能発達のピラミッドの構造があるというふうにお聞きしているのですが、
まずこの辺をお話しいたきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
発達のピラミッドという考え方ですね。
これは機能もそうですし、心もそうです。あるいは社会性ということもそうですが、
子どもの全般的な発達、これがこの4つの層で成り立つピラミッドのような、そんな形をしているという考え方なんですね。
3つ層があるということですね。
一番下にあるのが感覚なんですよ。
これが例えば聴覚、視覚というような聞いたり見たりという感覚がありますよね。
これに加えて触覚、いわゆる触る、あるいは触られる、そういったときにどんな状態かというのを知る、こういった感覚ですよね。
こういった今言った3つの感覚というのは、どちらかといえば自分の周りがどうなっているかを知るような感覚ですよね。
もう2つすごく大事な感覚があって、1つは固有覚と言われるように、自分の筋肉が今どれくらい力を出しているかとか伸ばされているかとかですね。
あるいは自分の今関節が今どれくらい曲がっているのかとか、こういったのを感じる感覚なんですよ。
固有覚ですね。
例えば、今これを聞いてくださっている方も試していただきたいんですけど、目の前に何かコップが置いてたりしますよね。
当然目を開けた状態でそのコップを取るということができるじゃないですか。
できますね。
でもそれ同じことを目をつぶってもできるか、多分多くの方はこれできると思うんですよ。
これ見ていないのにできるっていうのは、なぜかといったら固有覚、これがちゃんと働いて、自分の体の位置が目をつぶっててもどういう状態にあるか分かっているから取れるんですよね。
さらに言うと、コップを取るときに力を入れすぎて潰しちゃうということも多分ないでしょうし、入れなさすぎて落としちゃうということもないじゃないですか。
でもこれ無意識にやってますよね。
これも固有覚、これが働いてどれくらいの力で取ったらちょうどよくこのコップが取れるのか、これ調整しているからなんですね。
こういう見えない自分の体の中を知る力。
これは前提覚といって、耳の中にあるいわゆる三半規管なんですけども、これは自分の動きを知る力なんですね。
例えばパッと何かバランスを崩して、体が前に行ったときに足をポンと前に出したり、あるいは全身の筋肉がしっかりと緊張して倒れないようにする。
これも前提覚、これが働いているからちゃんとバランスを取れるようになっているんですよね。
こういった感覚が一番下にあって、その一つ上にあるのが姿勢とか、あるいは運動なんですけども、
例えばこのバランス、先ほどの前提覚がちゃんと働くことでこのバランスを取るということができますよね。
あとはまっすぐな姿勢、あるいは何かをするときにその姿勢を整える。
これも固有感覚が働いているから、自分の体の筋肉の緊張状態を知って、その姿勢を整えるということができるわけなんですよね。
あとは眼球運動という目の動きですよね。
こういった目の動きというのも何かを見るということができないと、その次の動きというのはできないので、いわゆる視覚も働きませんので。
こういった眼球運動というのもすごく大事になってくるんです。
その上にあるのが、今度は認知する力というので、これが例えば両足強調といって、全身を強調させる動き。
例えば皆さんイメージしていただきたいのは、ご飯を食べるとき。
例えば右利きであれば、右でお箸を持って、左でお茶碗を持っているんですよね。
でもお茶碗をしっかりと持ちながら、お箸をコントロールするって、これ皆さん普段意識してやらないですよね。
でも自然にできているじゃないですか。
あるいは歩くときに、右足が前に出たら左手が前に出る。逆に右手は後ろに行きますよね。
こんな交互の動きって、皆さん普段意識しますか。
考えてやってないですね。
こういうのを自然とできる力というのが両足強調という力なんですよ。
それ以外にも注意を何かに向け続けるという注意の持続だったりとか、
あるいは運動を企画する。これからボールを投げる。
こういう風に投げようという風に運動を自分の中で計画しておいてやってるじゃないですか。
ボールを投げるときの強弱であったりとかそういうことも含むんですかね。
そういうことも含みますね。
そういうのもいわゆる認知の力なんですよね。
こういったようなことだったり、なかなか耳慣れない言葉なんですけど、
身体図識といって、身体の地図ですよね。
例えば自分の頭がどこにあるとか、あるいは自分の肩がどこにあるとか、
これをちゃんと認識できているかどうか。
これができていないとどういうことが起こるかというと、
例えば服をちゃんと着れなかったりするんですね。
なるほど。身体図識。そりゃそうですね。
意外と気にしていないことでも、こういった第三層の力というのが、
いろんな日常生活を送る上でもすごく大事になってきて、
これらの上に例えば学習能力、新しいものを知る力だったりとか、
あとは目と手を強調させる。何かを見て実際にそれを取る。
こういうような力であったりとかですね。
あるいはコミュニケーション。人と何かを、情報をお互いに伝達し合う力。
で、情緒の発達。常に自分の情緒、落ち着いている、喜怒哀楽ですよね。
そういったのを整える。こういった力があって、これは全部4層になっていて、
これが積み重ねではなくて、螺旋的にぐるぐる回りながら、
常にお互いが影響し合って、共鳴し合って発達し続けるというのが、
これが発達のピラミッドの考え方なんですね。
なるほど。4つの要素。無意識に機能が発達しているということなんですね。
はい。
遊びとリスクの関係
そして、遊びとリスクの関係についてもお聞きしたいんですけれども、
その関係ですね。リスクがどのような形で存在しているのかと。
いったようなところも少しお話を伺いたいんですけれども。
遊びのリスクというのが、いろいろなところで言われているのが、
遊び自体にリスクがあるというよりも、むしろ遊びの中で生じ得るリスク、
それを大人がすべて排除する、そちらの方のリスクというのが、
最近はいろいろと言われ始めています。
例えば、最近公園でジャングルジムとかそういうのがなくなったりしてますよね。
確かに。
それ何でかというと、ジャングルジムで子どもは遊ぶわけなんですけど、
それで例えば転倒する、落ちる。そういったようなことで子どもが怪我をする。
怪我します。
それは当然遊びのリスクになるわけなんです。
遊びというのは、今お話したようなリスクというのは、やはり伴いますよね。
ただそれがあるからといって、それを全部撤去してしまう。
すなわち遊びで生じ得るリスクを大人が排除するということなんですね。
こちらの方にも課題があるんじゃないかというふうに言われてきています。
現代の遊び場
なるほど。どんな課題があるんでしょうか。
一つにはリスク、すなわちジャングルジムの例で言えば、そこから落ちてしまうリスクですね。
それを子どもは大怪我をしない程度に経験することによって、
これ以上登ったら危ないなとか、あるいはこういう登り方したら危ないなとか、
危険を察知する能力、あるいは危険を回避する能力というのが育まれるんですよね。
でもそれを経験しないまま大人が全部排除してしまうと、
本人は何が自分にとって危険なのかわからないので、
危険を察知する、あるいは回避する能力というのがどんどん下がってしまうということも言われていますね。
なるほどですね。確かにジャングルジム、目にしなくなったんですよね。公園に行くとね。
こう排除することによって、子どもの危険察知能力がどんどん低下することによって、
そのまま大人になったら、これはどういう大人になってしまうんでしょうかね。
2つのことが考えられますよね。
1つは自分自身でもそういったリスクを察知することができなかったり、
あるいは今のようなジャングルジムってなるとですね、
例えば最後飛び降りたりもするわけですよね。
そうすると飛び降りるところで、いわゆる衝撃を自分で吸収する能力なんかも着地能力ですね。
そういったのも育まれますけど、それが育まれないと今度はスポーツとかをやったときに怪我につながるんですね。
怪我をしやすい体になってしまう。そういったリスクもありますよね。
もう1つのリスクとしては、自分がそういったリスクあるような行動っていうのをずっと経験してないので、
当然子どもたちにもそういったリスクを経験させられなくなりますよね。
そうするとリスクを察知したり、あるいは回避するっていうような、
そういった習慣であったり考え方、それがどんどん途絶えていく。
そういった長期的に見た課題というのも出てくるように私は思っています。
遊びの重要性と今後の活動
そういうリスクがある優遇を撤去するのではなく、危険察知の能力を高めてもらうという、
そこも1つ大事だということですね。
そうですね。私はリスクをそのままのばなしにするのがいいとは思っていません。
ただそれと共存しながら、大人が子どもたちと一緒にどういうふうに回避したり、
どういうふうに察知するのか、そういったことをお互いに経験し合いながら、
その能力を高めていくということが大事なんじゃないかなというふうには思っています。
遊ぶということの重要性っていうんですか、これには本当に大変大きな意味があって、
運動能力だけではなくて、いろんな能力が育まれるということですね。
おっしゃる通りですよね。
それでは広瀬さん、今後についてなんですけれども、
今後もこのような研究あるいはその他いろんなことを続けられるということでよろしいでしょうか。
はい、そのように考えています。
私は遊びを通じて全ての子どもの笑顔に貢献したいというふうに思っています。
私、はい。
なので、それに関する研究であったり活動、いろいろな特性を持ったいろいろな子どもたち、
場合によっては大人もそうですけど、そういった方々が遊びを通じて本当に豊かな人生が送れるように、
いろいろな活動をしていきたいなと思っています。
わかりました。ありがとうございます。
今週はですね、早稲田大学スポーツ科学学術院の教授で、
アスレティックトレーナーの広瀬のりかずさんに、
遊びによる機能発達、リスクについてお聞きいたしました。
来月もですね、新しいゲストを呼びしてスポーツと地域について深掘りしたいと思っております。
広瀬さん、3週にわたりましてどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
常田幸永がお送りしているビルダップローカル、本日はここまでとなります。
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そして、いつも番組をお聞きくださっているリスナー様に素敵なお知らせ。
今月のゲスト、広瀬のりかずさんからプレゼントをいただきました。
早稲田大学オリジナル、クリアファイル、不織布バッグ、タオルのセット抽選で、
計3名様にプレゼントをいたします。
詳しくは渋沢くんFM公式Xをご覧ください。
皆様のご応募、どしどしお待ちしております。
お相手はビルダップローカル、番組ナビゲーターの常田幸永でした。
それではまた。