BUILD UP LOCAL!
BUILD UP LOCAL! 番組ナビゲーターの常田幸永です。
この番組は、30年のスポーツ界でのキャリアを経て、現在は地域金融機関に勤務している私が、スポーツを通じて、街を豊かにしようという番組です。
さて、今月のマンスリー・ゲストは、トライアスロンの元日本代表、現在は日本トライアスロン連合オリンピック・ナショナルチーム次世代ヘッドコーチの、田山寛豪さんにお越しいただきました。田山さん、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
さて、今週は田山さんのトライアスロンの競技生活、それからトレーニング環境についてお伺いしたいと思っております。
まず、本格的にトライアスロンを始められたというのが、大学の時だったということでお聞きしているんですけれども、
駅前部の寮に入られていたということなんですけれども、今振り返ってみて、どんなような競技生活というのでしょうかね。
トレーニングを続けられていたのかということをちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、スイムってどこで練習していたんですか。
スイムはですね、大学の近くにあるスイミングスクールに通って、
そこの選手コースに入れてもらいながら練習をしていました。
そうなんですか。
そこの選手コースのコーチにメニューを作ってもらって、中学生、高校生と切磋琢磨しながら泳いでましたね。
なるほど。選手コースっていうことは早い選手がいっぱい泳いでいるわけですよね。
早いです。自分より早い高校生がたくさんいたので。
本当ですか。
分かりました。ということはランは駅前部で練習をして、バイクは自分で乗らなきゃいけないですよね。
そうですね。
バイクのコーチはいたんですか。
バイクのコーチはいなかったんですが、その当時ジュニアのコーチということで、長期の合宿の時にはそのコーチのところに行ってスイムバイクランの練習を行って、
自分が大学に寮に戻ってきてもそのコーチとのコミュニケーションを取りながら、もっとこういう練習を入れた方がいいとか、
この大会に向けては坂が多いから、もう少し上りの練習をしようとか、そういう話をしながらメニューをいただきながら取り組んでいました。
なるほど。トライアスモンというのはスイムバイクランなんですけども、その練習する順番、これはどんな感じだったんですか。
やや駅伝部の寮に入っていたので、どうしてもランがスタートだったんですが、長期合宿ではスイムバイクランの順番に行うことの方が多くて、
よりこうレースに近い、トライアスに近い感覚で練習ができたので、大学にいるときはランからスタートで、ちょっと今日ランからかみたいな感じにはなるんですけど、
でも、その中でもしっかりコントロールしながら、夜のスイムになったとしても、夜のスイムでしっかり結果を出せるようなトレーニングをしていましたね。
ということは、わりと違和感なく4年間続けられたってことなんでしょうかね。
大学生って夏休みと春休みって期間が長いので、その期間が長いときはトライアスモンの順番で練習することが多かったので、
その授業があるときの期間にランからスタートされても、全く違和感はなかったですね。
なるほど。バイクなんですけども、ローラー台、室内ローラーとか、その辺は結構利用されてたんですか。
はい。外で一人で行くっていうのは、なかなか危険もありまして、安全性の面からローラーのメニューを自分で考えたりだとかいただきながら、寮の中でローラーをやってましたね。
あれも結構辛いですよね。
そうですね。自分のレースを見ながらだったりだとか、自転車のレースを見ながらやるのはテンション上がっていいんですけど、何にもない中でずっと黙々と漕ぐっていうのは本当になんかちょっと修行みたいな。
常に自分と対話しているような、そんな感じがありますね。
なるほど。何分くらいやるんですか。
長いときはでも90分とかやりますが、ただやはり3種目あるので、時間を短く40分ぐらいで終わることの方が多かったですね。
そうですか。なるほどね。あと、実業団とかに入られると思うんですけども、初め入られたチームというのは定研っていうチームですね。
そこではやはり変わらずトレーニング方法っていうのは、大学時代のものを引き継がれながらやられてたってことなんですか。
いや、そのときはですね、やはり実業団の監督、矢尾監督に指導を受けまして。
スイムは今までよりも距離が短く、バイクはしっかりやったんですけど、特にランニングの方ですね、そこの練習方法がちょっと変わってまして。
タヤマ、ゆっくりでいいって言うんですよ、走るの。え、オリンピック行きたいんですけど。タヤマ、ゆっくりでいいから2時間走れ。20キロ走れって。
とにかく距離を走ることをその監督は言われてまして、これをやったらお前はオリンピック行けるって言われてました。
なのでポイント練習でインターバルとかスピード練習っていうかっこいい練習ではなく、どちらかというと地味なそういう練習を徹底的に実業団に入ったときはやってましたね。
そうなんですか。スイムは短く。距離短く。距離短く。はい。で、ランはスローなペースで2時間ですか。
2時間っていう時間指定のときと、あと20キロっていう距離指定のときがありました。
なるほど意外ですね。
そうですね。私もその当時は本当にこれで強くなるのかなっていうところはあったんですけど、
長い時間ゆっくりでもいいから走ることによって走るコツだったり、足の接地面とか、その有酸素トレーニングを行うことによって代謝が変わっていったり、体のグリコーゲンっていうところも変わってきたんですね。
なのでそれが全てトライアーソロンに生きてきて、走るだけじゃなくてトライアーソロンでパフォーマンスを発揮するための基礎作りっていうところをランニングのLSDで作られたなっていうのは感じました。
なるほど。田山さんご自身は早く行きたいっていうふうに思われると思うんですけども、その気持ちをグッと殺しながらそのスローのペースで続けられたということなんですかね。
そうですね。大体5分から5分15分ぐらいが気持ちいいジョグのペースなんですけど、あえて6分から6分半に落としてゆっくり、ただゆっくり走るんですけどフォームは整える。ゆっくりだけじゃなくてしっかり腰の位置を意識しながら足の接地面を意識しながらゆっくり走るっていうのは、ゆっくりでいいんですかって皆さん言うんですよ。
ただゆっくり走るほど難しいことはないですよ。ゆっくり走れるようになったら皆さん早くなりますっていうのはよく伝えてますね。
6分から6分半って一般の方のペース配分もおそらくそうだと思うんですけども、腰の位置だとか姿勢だとかその辺がやっぱり我々とだいぶ違うんでしょうね。同じ6分、6分半でも。
ゆっくり走ればいいだけではなくて、ゆっくり走るプラスフォーム意識をどこに持っていくかでこのLSDの効果っていうのが出てくると思いますね。
なるほどね。そうなんですね。ちょっとやっぱり我々の一般の人からはちょっとやっぱり次元が違いますね。
そうですか。でも6分から6分半だったら一緒に走れますよねこのペースは。
絶対走れる。
僕も多分ついていけるなきっと。
そうやってよく一般の方と一緒にエイジの方と走るときがあるんですけど、その方はどうしてもそれよりも早く走ろうとするんですよ。
いや大丈夫です。もっとゆっくり行ってください。自然に体がペースが上がっちゃってっていう。
そこのコントロールができるかできないかっていうのが練習の内容が変わってきますから、いかに我慢をしてしっかりペースを維持する、フォームを維持することがトライアスロに生きてくるっていうことを皆さん早くしてと思ってますね。
自分のことを知って自分がどうすればどういうふうに食事をすればそのパフォーマンスが上がるのか、練習を継続してできるのかっていうのを自分で実験しなさいと。自分で知りなさいっていうのは常日頃言ってますね。
なるほど。それによって自分のベストの状況を選ぶというか、つかむというか、そういうことなんですかね。
そうですね。
なるほど。あとですね、メンタルというかですね、私、田山さんを見ていると相当ストイックな方なんじゃないかなと思っているんですけども、ご自身ではどうですか?
自分ではストイックとはあんまり思わないですけど、よく周りからはストイックだっていうふうには言われることはありますね。
でもね、ストイックさって僕はアスリートにとっても必要なことではあると思うんですけども、特にトライアスロンって3種目もありますし、それを継続させるストイックさだったりとか、あとレースに対する姿勢であったりとか、いろいろそういった部分においてそういったものが必要なのかなと思うんですけども、そこら辺はあんまりこだわらない?
そうですね。こだわらないっていうか、私の中でいろんな経験を知った中でですね、やっぱりうまくいかないこと、もうダメだなと思った時は自分にとってチャンスだなと。弱点が見つかって、ここから立ち直れないって思うことってたくさんあると思うんですよ。目標が高ければ高いほど。
その時に、そのうまくいかなかったところからどうやって目標に近づけるか、どうやって一歩を踏み出すか、それは心が全てだと思ってます。
メンタルっていうことにつながるんでしょうかね。
そうですね。そのメンタルの持ち方、考え方をどう変えていくか。やはり人間なので、私もうまくいかないと違う言い訳を考えたりだとか、全く違うことを思いついたりとかすることもあったんですけど、それではオリンピックに行けないんですね。
オリンピックに行こうと思ったら、やはり人に勝たなくちゃいけない前にまず自分を知って自分に勝たなくちゃいけないと思ってます。そうなった時に自分をコントロールできるメンタルの強さ、うまくいかなかった時にそれを力に変えられるメンタルの強さ。
調子がいい時ってみんなメンタル何でも強いんですよ。そこはもう誰も手をつけられない。それは自分自身でもわかってるんですけど、うまくいかなかった時にそのモチベーションの上げ方、一歩踏み出す勇気の持ち方、ここで全てが決まると思ってます。
なるほど。ということは、俺これメンタル弱いなって思うんじゃなくて、その失敗を次につなげる心の強さというか、それをやっぱり鍛えていかなきゃいけないってことなんでしょうかね。
そうですね。私が自分でも考えることがあるんですけど、メンタルが強い人って誰一人いないと思うんですよ。自分もメンタル弱いなと思ってます。メンタル弱いからそういう考えに行き着くんだなと思ってるんで、やっぱりメンタル強いなっていうのは誰もいなくて、どれだけ強いかというのはうまくいかない失敗を誰よりも多くして、
その失敗から一歩踏み出す勇気を持ったか、失敗から経験を学んで、どういうふうにすれば自分の力が発揮できるか、どういう心の持ち方をすれば目標に近づけるかって分かった経験の数でメンタルの強さって変わってくるのかなと思います。
すごいこと聞いちゃったな。さすが日本選手権11回優勝されてる田山さんなんですけども、奥深いですね。メンタルについてね。
ほんと競技って練習ってみんな同じようなことやってるんですよ。みんな頑張ってるんです。ライバルに勝とうと思ったら練習で勝つ前にまず気持ちで勝たなければ勝てないんですね。なのでそこは常日頃自分の中でモチベーションをどうやってあげるか。
日本選手権の前とかは恥ずかしいんですけど車の中で優勝インタビューの練習するんですよ。今日のレースはスタートラインに立った時にもう勝ちを確信しましたとか言って。インタビューを練習したそれを言うためにはどういう練習をするかって逆算ですよね。
スタートラインに立った時に勝ちを確信する練習ってどういう風な練習なのかな。どういうメンタルでいないといけないかなっていうのを考えるとやっぱり楽な練習では勝てないです。人よりも苦しい練習をいかに強くなるためにうまくいかないことをいかにこれを力に変えるためにって考えられるそういう選手じゃないとオリンピックにはつながっていかないので。
そこはもうメンタル。人のせいにしない。自分に言い訳をしない。それができる選手は強い選手ですね。