1. 100円で買い取った怪談話
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2021-08-18 16:16

#28 入れないので帰ります【おすすめエピソード】

夏の特別企画第2弾ラジオトークとのコラボ企画「あなたの怪談、買取ます」の応募作の中から厳選した怪談をお送りします。2人目にお話してくださるのは紫ウサギさん。幽霊が出る家に移り住んでしまったという話は多くあります。では幽霊が出る会社に就職してしまったという話はどうでしょうか?
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この番組では、私が行っている怪談売買所で買い取った、世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
今週も夏の特別企画第2弾としてお送りしている、ラジオトークとのコラボ企画
あなたの怪談買い取ります、の応募の中から、厳選した怪談をお送りします。
2人目にお話ししてくださるのは、紫うさぎさんです。
幽霊が出る家に移り住んでしまったという話は多くあります。
では、幽霊が出る会社に就職してしまったという話はどうでしょうか。
これが家ほどではないにしても、会社に出る幽霊の話も少なくはありません。
これもそんな話の一つです。
数年前にちょっと一人で休日出勤してた時のことなんですけど、
私の勤務先っていうのが、デスクワーク用のジムフロアが一つバーンとあって、
そこはフロア全部、ジムスタッフがいるようなデスクワーク用のフロアなんですね。
その下のフロアが、エンジニアの方の作業道具とか部品とかが置いてある倉庫のようなスペースとか、
研究室とか開発室っていうようなところがあるフロアになっているんですね。
休日出勤した時に、私はジムフロアで普段働いているので、
そこのフロアに行って、デスクに着いた時に飲み物を買ってくるのを忘れたなと思って、
そこのジムフロアには自動販売機とかがないので、その下のフロアに買いに行ったんですよ。
下のフロアに買いに行くのに階段降りて、その下のフロアに入った時に嫌な気配というか、
そういうのをちょっと感じたんですけど、
休日出勤で下のフロアに人が誰もいない、電気もちょっと消えてるっていうような薄暗い状況だったので、
それでそういうことを感じるのかなとかも思ったんですけど、
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まあ気にせず、そのまま階段降りて下のフロアに入って、
左手に自動販売機が3つすぐ並んでるんですけど、
そこの一番奥の自販機で飲み物を買いまして、
私それでかがんで飲み物を取ろうとした時に、男の人の声で、
入れないんで帰りますって聞こえたんですよ。
で、あれって思って、その声のする方がちょっと階段の方だったんですけど、
パッて見たら、その自販機のとこの陰に男の人の腕がシュッて階段の方に消えるのが見えたんですね。
で、腕が半袖のシャツを着てる感じだったんですけど、
その半袖のシャツの色が、うちの会社のエンジニアの人の夏服の制服の色と一緒だったんですよ。
で、私それでエンジニアの人が来たのかなと思って、
たたたって階段の方に向かって行ったら、誰もいなかったんですね。
そこの場所に行くまでに、自販機3つ分なんでそんなに距離もないですし、
人がいたらそこで捕まえられるぐらいの距離だったんですね。
でも誰もいなくて、普通階段の上り下りするようなパタパタという音も何も聞こえなかったんですよ。
だから上に行ったか下に行ったかもちょっとわからないっていうような状況だったんですね。
ちょっとおかしいなぁとは思ったんですけど、そこを気にしてもしゃーないんで、
そのまままた事務フロアに上がって、仕事をずっと続けてたんですよ。
で、夕方近くになって、他のスタッフの方が来られて、
エンジニアのリーダーの方だったんですけれども、
そうだと思って、今日の朝ってエンジニアの方、どなたか来られる予定でしたかって、
今朝これこれこんなことがあって、誰か来てたならフロアに入れてあげたらよかったかなって思ってたんですっていうような話をしたんですよ。
うちの会社ってIDカードで会社に入るんですけど、
入り口の1階の建物の入り口でIDカードをピッて通して入って、
そこの事務フロアですとか、倉庫のところに入るにももう1回IDカードを通すので、
エンジニアの人が来ても、休日出勤って何人かたまにすることがあるので、
入り口のフロアで誰かと一緒に入ってきたけど、カードがないから仕事する場所に入れなかったっていうことで、
私は入れないんで帰りますっていう声が聞こえたのかなっていうのをちょっと思ってたのがあって、
リーダーの方にその話をしてたんですよ。
そしたらリーダーの方が、今日は他の出勤予定とか荷物取りに来るとかは聞いてないし、
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明日からの作業で使う道具もややこしいから、僕が用意するってみんなに言ってやるからって言われたんですよ。
そうですかって言って、いやでも誰だったんですかねっていう話をしたら、
あれなんじゃないのって、それは出たんじゃないのって言われて、
いや時々うちの会社ってそういう話あるやんって言われて、
前にいた課長もそれで1回すごい騒いでたしなっていう話をされたんですよ。
確かにそういうお化けが出る的な噂話は時々出てましたし、
前にいた課長が騒いでたっていう話なんですけれども、
エンジニア部門の課長が残業中に事務フロアの方で白い影を見たっていう話があって、
その方は結構本気でその白い影を見たっていうのが大変だったみたいで、
うちの会社の総務課の方に本気でお払いとか除霊とかをしてほしいっていうことで、
職場改善の書面みたいなのを提出されたりとかっていうのをされてたんですよ。
私もそれで総務課の方に知り合いがいるんですけど、
いやちょっと対応どうしようかって困ってるみたいな話もチラッと聞いたことがあったんですね。
じゃあそういうのだったのかなってはなったんですけど、
でもそれだけだったんで特に他には何もなかったんですっていう話とかもしてまして、
エンジニアのリーダーの方は事務フロアで仕事してる分には大丈夫なんじゃないのって言われて、
ちょっと前に神棚とかもできて、安全祈願と商売繁盛の神棚やけどなみたいな感じで言われてたんですね。
まあまあそうですかねとかって言って、それはその時はそれで終わって、
確かにねそれ以上のことは何もなかったんですよ。
そのまま本当に何もなかった。
たまに確かに会社勤務してて嫌な感じがすることはあったんですけどそれからも、
でも別に何か見たとか何か聞いたとかっていうことはもうそれ以上なかったんですね。
それで去年なんですけれども、新型コロナウイルスが流行し始めて、
会社でも何か対策をしなくてはいけないっていうことにはなったんですけれども、
すぐには在宅ワークっていう体制が取れなかったので、
まずは事務フロアの密の改善と同じ部署内で感染者が重なると業務が滞るからっていうことで、
勤務スペースを分けようという話になりまして、下のフロアの一部、倉庫の部分を整理して、
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そこに事務スペースを作って一部の人はそこで仕事してくださいって言われて、
私もその下のフロアで勤務することになったんですね。
下のフロアで仕事をしてたら営業部長がタタタってやってきて、
なんかこっちのスペースに移動したんかって言われて、
ここで残業とかしてて大丈夫なん?って言われたんですね。
いや特に問題ないですし大丈夫ですよってなんでですかって聞いたら、
いやこのフロアって見えへんとこにお札貼ってあるやんって急に言われて、
初めて聞いた話だったんですね、それが。
え?ってなって、いやいやなんでなんですかねっていう話を聞いたら、
数年前にエンジニア部門の課長が総務部に除霊のお願いを、
申請書的なものを出したときに、
会社としてはそういうお祓いとか除霊とかっていうようなことで経費を出してっていうのは、
変な騒ぎとかにもなっても良くないしっていうことでできないっていうことだったんですけれども、
うちの会社、近所の神社のお祭りとかには寄付金とかそういうのを出してるんですね。
そういうちょっとしたことなら大丈夫なんじゃないのっていうことで、
安全祈願と商売繁盛っていうところのお祈りっていうことで神棚を作ったんですけど、
その時にどうやら合わせてお祓いとか除霊とかを頼んでたらしくって、
その時にお札を貼られたっていうことだったんですよ。
その話をちょっと聞いた時に、数年前の休日出勤した時のことを思い出しまして、
入れないんで帰りますって言った男性の声っていうのは、
私はずっとIDカードがないから入れない人って思ってたんですけれども、
実はそうではなくて、お札が貼られてしまったり除霊されてしまったがために入れなくなってしまった
誰かかもしくは人ではない何かだったのかなっていうのを思いました。
幽霊の目撃団というのは大変多いものです。
自宅でホテルで病院で実に様々な場所で幽霊は目撃されています。
そしてその目撃された場所によって幽霊の特徴も異なります。
つまりその幽霊が生前はどういう人物だったのかということです。
例えばホテルに出る幽霊のほとんどは宿泊客だった人の場合が多いようです。
その部屋で自殺した人であったり殺された人であったりといった具合です。
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自宅に出る幽霊は亡くなった前の住人、
病院に出る幽霊は過去に入院していた患者、
つまりはその場所にゆえんのある人がほとんどなのです。
そして得てして幽霊となって現れる彼らはみな
その場所で異常な亡くなり方をしているのです。
一方、会社に出る幽霊はというと少し事情が異なるようです。
会社に出る幽霊の話を聞く機会は少なくありません。
そんな話の中で圧倒的に多いのは
別の場所で亡くなっているにもかかわらず
生前勤めていた会社に幽霊となって現れるというものです。
中には生前と同じように出勤してくる幽霊までいます。
もちろんその会社の建物内で亡くなった人が幽霊となって現れたという話もないわけではありません。
しかしどこで亡くなったかにかかわらず
亡者が仕事をしているところを目撃したという話は多いのです。
そしてそれらの幽霊は決して異常な死に方をしたとか
会社に恨みがあるというものばかりでもないというのも特徴的でしょう。
日本人はワーカホリックだと言われて久しいのですが
死んでからもまだ会社に通い続けているということを聞くと
なんだか少し悲しくなります。
海外にも会社に幽霊が現れるという話はありますが
日本のそれとは少しテイストが異なるようです。
会談はその土地の文化から多分に影響を受けます。
国が変われば幽霊事情も変わりますので
日本国内で聞かれる会社に出る幽霊の話は
まさに今の日本という国の仕事の現場を象徴しているようにも思えます。
さて紫うさぎさんの体験の場合も
そこに現れたのはおそらくその会社に勤めていたであろう人物の幽霊です。
彼が現れたのは休日でした。
普通に出勤するだけならともかく
休日出勤までしてくる幽霊とは相当の仕事中毒というよりないのですが
エンジニア職の人ということであれば
その仕事が純粋に大好きだったのかもしれません。
大好きなことを仕事にしている人であれば
仕事は趣味の延長だともいえ
休日だろうがなんだろうが
仕事に出かけるのが楽しいということもあるのかもしれません。
趣味を仕事にできた人は幸せです。
ところが彼は職場に入れませんでした。
せっかく仕事のために会社に来たにもかかわらず
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中に入れなかったばかりか
その入れなかった理由がお札なのです。
つまり会社側が彼を拒否したわけです。
紫うさぎさんがその時に聞いた男の言葉を語る際
彼女の声がなんとなく憂いを帯びて悲しげだったのも
そこに現れた者の楽譚ぶりを表しているように思えてなりません。
幽霊は同じ行動を延々と繰り返すともいわれます。
もしもそれが本当であれば
おそらく彼は決まった時間になると会社にやってきて
そしてその度に中に入ることができずに帰っていく
そんなことを毎日繰り返しているのでしょう。
そう思うと入れないので帰ります
という彼の言葉がとても物悲しく聞こえるのです。
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それではまた次回お会いしましょう。
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