1. 100円で買い取った怪談話
  2. #20 三角屋根の家【長野の怪..
2021-07-14 11:21

#20 三角屋根の家【長野の怪談】

今回は夏の特別企画第一弾ということで、プロの怪談作家の方から買い取った怪談を4週にかけてお届けします。初回にお話いただくのは、怪談作家の丸山政也さん
丸山さんは2011年に第3回『幽』 怪談実話コンテストで大賞を受賞され、作家デビューされました。それ以後も、『怪談実話 死神は招くよ』、『実話怪談 奇譚百物語』シリーズなどの怪談本を次々に出版してこられました。海外を舞台とした現代の実話怪談には定評があり、現在も精力的に怪談を書き続けられています。
そんな丸山さんが今回語られるのは、ご自身がお住まいの地域にまつわるお話です。
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第2位、怪談作家の宇都郎しかたろうです。
この番組では、私が行っている怪談売買所で買い取った、
世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
今回は、夏の特別企画第1弾ということで、
プロの怪談作家の方から買い取った怪談を、4週に分けてお届けします。
今回ご登場いただくのは、丸山雅也さんです。
丸山さんは、2011年に第3回U怪談実話コンテストで大賞を受賞され、作家デビューされました。
それ以後も、怪談実話、死神は招くよ、
実話怪談、鬼壇百物語シリーズなどの怪談本を立て続けに出版してこられました。
中でも、海外を舞台とした現代の怪談実話には定評があり、
現在も精力的に怪談を書き続けられています。
そんな丸山さんが今回語られるのは、ご自身がお住まいの地域にまつわるお話です。
今日これからお話しさせていただくのは、今まで本やテレビなどでも紹介していない、
言うなれば最新の話になります。
私の生産の息子がいるんですけれども、
今から半年ほど前に、うちの通学路にある売り物家の看板のある家があるんですけれども、
地区30年から40年ぐらい渡っているかなというような感じですね。
昭和50年代ぐらいの家の作りなんですけれども、
三角屋根の家なんですね。
その家の前を通るのが嫌だと言うんですね。
何かわからないんですけれども、なんか気持ち悪いと。
単に空き家なので、そんな風に感じているのかなという風に思って放っておいたんですけれども、
私から見てもですね、三角屋根がやけに鋭角的で不均衡と言いますか、
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アンバランスなんですよね。
普通は三角屋根と言ったら、二等辺三角形をイメージしますけれども、
なんか不等辺というか、見ていると落ち着かない気分になってくるんですよね。
自分はこの土地に引っ越してきてからまだ7,8年ほどでですね、
それ以前のことというのはあまりよくわからないので、
その家のことについて少し近所の人に聞いてみたんですね。
するとですね、やはり30年ほど前に、
夫婦と小学生の男の子、3人家族が住んでいたそうなんですけれども、
ある日ですね、その家の男の子が交通事故にあって亡くなってしまったと言うんですね。
そしてそれを気にやんだその家の奥さんが、家の中で首をつって自殺してしまったと。
そしてご主人もこれは病気か事故かはっきりしないそうなんですけれども、
ほどなく亡くなってしまったということがわかったんですね。
しかもそれらはですね、すべて1年半から2年くらいの間に起きた出来事だって言うんです。
その短い期間にその家の一家全員がいなくなってしまったと言うんですね。
そうしたある日、息子がですね、小学校である噂話が広がっていると言ったんですね。
どういった話かというと、ある一人の高学年の男子児童が塾の帰り道にですね、その例の三角屋根の家の前を通ったそうなんですね。
そしたら、「僕?僕?」そんな声がしたので思わず振り返ってみると、
その家の壁にですね、すごく大きな女の人が立っていて、涙をハラハラとこぼしながら泣いていたって言うんですね。
しかもですね、よく見るとその体はですね、顔と右半身は壁から出ているのに、左側は壁の中に入っている状態だったと。
そこは窓でも何でもない場所なんですね。本当に壁のところなので、男の子はそれを見て一気に怖くなって、家に向かって走って駆け出したということだったそうなんです。
私ですね、以前自治会の役員を数年にわたってやっていたことがありまして、この地域に非常に老人の顔見知りが多いので、
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何人かの人にですね、それとなく普段の家について尋ねてみたんですね。
そうしたら、大まかには前に近所の人から聞いた話どおりの出来事があったということがわかったんですね。
その後もね、借家になったり、買う人もいたそうなんですけれども、理由はわからないんですけれども、みんな長くいつかずに出て行ってしまったそうなんです。
そしてある人はね、私にこんなことを言ったんです。
あそこの家の首くくった奥さんは、そりゃ大きかったよと。
確か実業団か何かのバレーボールの選手だったんじゃないかな。身長も180センチはあったと思うよと。そんな風に言ったんですよね。
現役怪談作家の日常の一端を垣間見るようなお話でした。
お子さんの一言をきっかけに、とある一軒の家について調べ始める丸山さん。
身の回りで起きるほんの小さな貝の片鱗をとらえ、あらゆる方面に働きかけて実像にさまるその姿は、貝を追い求める作家そのものだと思います。
丸山さんの視点は、日常の光景にまじってほんのわずかに顔を覗かせている貝を見逃しません。
例えばその屋根。見る者の心に不安をかきたてるようないびつな三角形をしていたとのことですが、貝への観察眼がなければ、そうとは気がつかないでしょう。
この観察眼ですが、子供の頃は多くの人が本能的に察知する能力を持っており、誰にも備わっているようです。
しかし、長寿につれてその力を失せてしまうのが常です。
そんな中で、そのような能力をなくした後も、貝に対して興味を持ち続けた一部の人は、日頃からそれを意識することによって、貝に対する鋭敏な感性を知らず知らずのうちに培っているのでしょう。
また丸山さんは近隣に聞き込みをし、その家で過去にどんなことがあったのかを調べ始めます。
一般の方でそこまでする人はまずいないでしょう。それも貝に敏感かどうかの差です。
これは、丸山さんが階段作家を生業にしているからというよりも、貝に対する悪なき好奇心と探求心を持ち合わせているからといった方が正しいのかもしれません。
そのような資質を持っているからこそ、丸山さんは作家であり続けられるのです。
日常に潜む貝を救い上げ、その本質を見極めて作品へと昇華する。
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丸山さんの作品の階段としての完成度の高さは、この階段的資質を持っているからこそだと私は思います。
さて、今回の話で丸山さんが退治した貝は、近隣の空き家で起きる貝の噂とそこで過去に起きた悲劇にまつわるものでした。
ここで興味深いのはその過去についてです。
過去といっても、せいぜい10年ほど前のこと。
ところが、その程度の過去のことであっても、そこで何があったのか、その事実に行き着くまでに、丸山さんは何人もの地元の人に聞き込みをしなければなりませんでした。
しかもそこまでして知り得たことも、まだまだ曖昧な部分が残ったままなのです。
過去はすぐに遠くに過ぎ去ってしまい、たった10年前であったとしても、現在を生きる私たちがそれに触れるのはとても困難なことなのです。
ということは、私たちの身近で過去に何か悲惨な出来事が起きていたとしても、私たちはその事実を知ることなく生活している可能性があるのです。
自ら進んで調べようとしない限り、私たちは今住んでいるところで、5年前、10年前に何があったのかを知ることはありません。
ましてやそれが50年前、100年前となると、調べても答えを得ることは難しいでしょう。
しかし、私たちがその事実を知ろうと知るまいと、過去をなくしてしまうことはできません。
どれだけ時間が経とうとも、過去は土地にこびりつき、そこに足を踏み入れるものに対して、目に見える形で、あるいは目に見えない形で、深く静かに影響を与え続けるのです。
この番組では、あなたが体験した怪談をオンラインで買い取りしています。詳細は概要欄のリンクよりお待ちしています。
それではまた次回お会いしましょう。
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