1. 技術者かねまるの「プラントライフ」
  2. #78 中東情勢の件で学ぶ石油化学
2026-03-18 17:58

#78 中東情勢の件で学ぶ石油化学

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最近話題になっている中東情勢に関連して、石油化学への影響やプラントの運転事情について話してみました!

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こんにちは、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、科学を軸に皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、石油化学の話をします。 ここのところ、中東情勢が不安定ですよね。
アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃。 それによってガソリンの価格も上がっていってます。
中東から原油を輸入しているっていうのは、比較的有名な話ですけど、 それが途絶えると、私たちの生活にどんな影響を及ぼすのか。
科学的な視点からお話ししたいと思います。 もともと、にんじんさんからお便りをいただいておりまして、石油化学の話をしようと思ってたんですけど、
そこから中東情勢も変わってきて、その話も絡めて話をしたいと思いました。 にんじんさんからこんなお便りをいただいています。
配信ありがとうございます。 新年の顧客周りで、石化が不況で、どこも業績が良くなく、設備投資や保全費用が縮小している感じがします。
いいのは半導体、AI、電池くらいと聞いています。 今後が心配になっています。
そこで、いまいち石化のことを理解してないと感じ、改めて石化の製品などを調べています。
かねまる様の視点から石化を話しいただけたらと思います。 併せて今後伸びていくであろう科学事業などを聞かせていただけたら幸いです。
とのことで、お便りありがとうございます。 そして1月31日にもらったお便りを3月中旬に配信するという、遅くなってごめんなさい。
お便りにある石化は石油科学のことですね。
まず、今後伸びていくであろう科学事業についてなんですけど、
人参さんのおっしゃる通り、半導体、AI、電池がやっぱり勢いがあると思います。
少し政治的な影響もあって不安定な部分もあると思いますけど、それを差し引いても強い勢いがある気がします。
半導体やAI、電池と対照的に、石油科学の分野っていうのは着実に縮小を始めています。
ずっと話題になっているカーボンニュートラルとか炭素循環の話です。
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なるべく石油製品を使わないようにということで、一定の需要はありながらも伸びづらい状況です。
あとは、事業をもっと広げていこうとされている企業さんがよく話すのは、
ヘルスケアとかライフサイエンスの分野はよく選ばれている印象がありますね。
そんなところでしょうか。私もこのあたりあまり詳しくないんですけど、やっぱり半導体や電池ですよね。
こういった業界と一口に言っても、例えば半導体だったらその構成部品を指すのか、半導体を作るときの洗浄剤を指すのかとか、
電池だったら電解質なのか電極なのかセパレーターなのか、またはそれらを作るときの補助的な材料なのか、
いろいろ分かれてくると思います。
それでは、今あまり伸びてないと言いながらも、まさに大きな問題になっている石油化学の分野について、中東情勢の話を中心にお話ししていこうと思います。
一つ注意点なんですけど、この配信は2026年3月16日朝5時ごろの収録になっています。
お聞きのタイミングによっては情勢が変わっているかもしれませんので、そこはご注意ください。
まず、石油化学っていうのが何なのかですね。
石油に関する化学、つまり石油から得られるものを使っていろんなものを作っていきましょうっていう話なんですけど、
じゃあ主に中東から持ってきた石油っていうのは何になるかと言いますと、
車のガソリンですとか、燈油、その他に軽油に重油、ナフサっていうのもあります。
一番最初の分離する前の石油は原油と呼んでいます。
それを蒸留することで、原油からガソリンとか重油、軽油などを手に入れています。
基本的には燃料になることが多いですね。
一部は潤滑油として使われます。
そして石油化学の分野では、原油から取り出したナフサがすごく重要になります。
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このナフサをさらに分解してエチレンとかベンゼン、
その他様々な化学誘導品と呼ばれるものを作っていきます。
石油が手に入らなくなると、まずこの化学誘導品が手に入らなくなります。
じゃあこの化学誘導品、例えばエチレンとかプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
そういったものが何に使われているかというと、大体のものに使われています。
プラスチックとか化学繊維、ゴムに塗料に洗剤、その他にもたくさんあります。
結局プラスチックみたいな化学品が手に入らなくなるってことは、
最終製品、車とか電子機器とか、建材、服、日用品とかもそうですね、
いろんなものに最終的に影響を及ぼすようになります。
一旦整理しますと、中東から石油が取れなくなると、その分離物であるナフサが不足します。
ナフサが不足すると、化学誘導品と呼ばれるエチレンとかプロピレンとかが取れなくなります。
さらにそれらはプラスチックとかゴムに使われているので、最終製品である車とか日用品とか、影響を及ぼすようになります。
まさに今困っているのは、身近なものだとガソリン代ですよね。
それももちろん影響を及ぼしているんですけど、実は後々石油の在庫がなくなってくると、
家電に車に日用品、いろんなものが手に入りにくくなります。
特にいろんなものを組み立てて作るような完成品っていうのは、どれか一つでも部品が不足すると製造が終わりません。
私が昔経験したもので言うと、とあるディスプレイがありまして、それを買おうと思ったら品切れなんですよね。
メーカーに問い合わせると、基本的にほとんどの部品は揃っているけど、
USBのコネクターですね、差し込むところの部品だけがないから完成してませんっていう話を受けて、
ただ私はそのUSBのコネクターって使わないんですよ。
使わないけど、ちゃんといらない部品が取り付くのを待っておかないといけないという状況でした。
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だから何か素材が手に入らないっていうことは、最終製品にどこまで影響を及ぼすかがわかんないんです。
プラスチックとかゴムとか、もういろんなところで使われてますよね。
それが不足するとどうなるのかっていうのはなんとなく想像できるんじゃないでしょうか。
ちなみに今回の中東に関する影響で言うと、石油以外にも天然ガスも入手が難しくなっています。
その他、石油科学の分野以外だとどんな原料を使うかという話を簡単にしておきましょう。
例えば木材もそうですね。
その他には海水から塩を取り出したり、
鉱物も代表的な原料ですね。
これから不足が予測されるゴムに関して言うと、ゴムの木というものから素材が取れたりもします。
ただ、ゴムの木にも限りがありますし、石油を分離して取るナフサから作るゴムの素材っていうのは科学的な構造が違います。
100%代替できるってわけでもないです。
石油が手に入りにくくなって、ナフサを使った化学品を作っているメーカーっていうのがどういう状況になっているのかを紹介します。
ナフサを分解していろんな化学誘導品を作る設備をエチレンプラントと呼んだりします。
基本的にはナフサを分解してエチレンを手に入れるので、エチレンプラントとナフサ分解のプラントっていうのは同じような意味で使われていきます。
原料が少なくなるのでエチレンプラントの稼働っていうのが少なくなります。
稼働が少なくなって止めたらいいのかって言われると、そういうわけでもないんです。
各社は減産しながら運転しています。
生産量を落としながらゆっくり生産を続けているっていう状況です。
じゃあなんで止めたり動かしたりっていう形で運転しないのかっていうと、動かすのも止めるのも大変なんですよね。
だいたいナフサを分解する温度が700℃から800℃くらいになっておりまして、
装置を止めた後、そこから700℃、800℃に上げようと思うとかなり時間がかかります。
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それだけじゃなくて、化学製品を作るとき、定常状態っていうものにしないといけません。
原料を流して、加熱して、蒸留で分離して、その後綺麗にしてっていう操作をずっと連続的に24時間行い続けるんですけど、
最初は中の温度がばらついてたりとか、分離して出てきたものの素性がバラバラだったり、安定しないんです。
そこから運転を続けていくと、だんだんと変化がなくなってくるようになります。
これが定常状態です。
安定して運転ができている状態って思ってもらっても大丈夫です。
つまり、1回設備を止めてしまうと、また温度を上げるだけでも時間がかかりますし、
安定して運転ができるようになる、定常状態になるまでにも時間がかかって、
結局スタートから1週間以上かかって運転ができるようになるっていう話をよく聞きます。
実はスタートだけじゃなくて、終わりの設備を止めるときもややこしくて、
おそらく装置とか配管の中に入っている石油関係の液体を全部取り出さないといけないんですよね。
これは設備によるような話だとは思います。
ただ、粘度が高い、粘り気の高いような液体だと、
1回加熱を止めて設備を止めてしまうと硬くなっちゃうんですよね。
そうなるとどうしようもなくて、
1回取り除いておかないと、次開始するときに大変なことになります。
昔聞いた話だと、とある設備で異常が発生して、
中の液体が取り出せなくなって固まっちゃったことがありまして、
そうなると次再開するまでに1ヶ月以上かかりますっていう話が過去にありました。
これは今回の石油の関係の設備とは全く関係ないんですけど、
固まるってものすごくややこしいんだなっていうのをイメージしてもらえたらと思います。
結局、設備を動かすのも止めるのも大変なので、
原料が調達できなくなってきたら、ゆっくりでもいいから動かし続けるっていう考えになるわけです。
反対に、1月末ぐらいから定期修理という形で2ヶ月程度修繕をしているようなプラントもありまして、
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そちらのエチレンプラントについては稼働再開を延期しているそうです。
3月末ぐらいに修繕が終わりますけど、そこから再開っていうのは延期している状態ですね。
生産量を落として運転するっていうのは、運転中だったら得策ではあるんですけど、やっぱり効率は悪くなります。
もともと運転してないんだったら、その運転してない期間を伸ばして後から思いっきり運転するっていうのは間違いではないと思います。
今回は中東情勢に合わせて石油化学の話をしてみました。
これからどうなっていくのかが全く読めないんですけど、もしかしたらガソリン代だけじゃなくて、いろんなものが手に入らなくなるような話が出てくるかもしれません。
一応国内にも石油の備蓄っていうのがありますので、それがなくなっていくまでは話がないとは思うんですけど、
だんだんと各社が在庫を集めようとして需要が一気に増えて、それに伴って供給が困難になってくるっていう状況は大いに考えられます。
まずは石油化学系のものっていうのはかなり広範囲まで影響を及ぼすっていうことと、設備を止めるとか動かすっていうのがすごく大変な作業なんだっていうことは覚えておいてもらえると嬉しいです。
今回はここまでです。プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しています。
番組への質問やご感想は概要欄にあるお便りフォームからお待ちしています。
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最近Apple Podcastの評価が増えてきて、個人的にちょっと喜んでいます。
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最後にお知らせです。
ノートにてメンバーシップカネマルのここだけの話を公開しています。
オープンな場では少し話しにくいけど残しておきたい本音を綴っていますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。
それではお聞きいただきありがとうございました。
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