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#110 タイヤはなぜ黒い?丈夫さとリサイクルをめぐる化学
2026-07-12 18:03

#110 タイヤはなぜ黒い?丈夫さとリサイクルをめぐる化学

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#ものづくり系ポッドキャストの日 の共通テーマ「クルマ」に関連してタイヤの話をしました!何で黒いの???

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サマリー

今回のエピソードでは、「ものづくり系ポッドキャストの日」のテーマ「車」に合わせ、タイヤに焦点を当てました。タイヤが黒いのは、天然ゴム本来の色ではなく、強度を高めるためのカーボンブラックが練り込まれているためです。ゴムを丈夫にする「加硫」という硫黄を使った化学反応は、一度行うと元に戻せないため、使用済みタイヤのリサイクルは熱回収が主流であり、マテリアルリサイクルには技術的な課題が残ります。さらに、タイヤの摩耗によって発生するマイクロプラスチックが環境問題となっており、安全運転や適切なメンテナンスがその抑制に繋がると解説しました。化学産業が自動車業界と間接的に深く関わっていることも紹介しています。

導入:なぜタイヤは黒いのか?
こんにちはかねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、「ものづくり系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。 主に、ものづくり系のポッドキャスト番組が共通テーマに沿って話す企画です。
今回のテーマが、「車」。 愛車や自動車歴,憧れの車,そして仕事での自動車業界との関わりなど,
車を軸にものづくりの話ししちゃいましょうとのことです。
化学にとって自動車産業というのは欠かせない存在になっていて, 車全体をあれこれ見ていくのも面白いんですけど,
今回はあえてタイヤ, あの黒くて丸いゴムの塊,それに絞ってとことん掘り下げてみようかなと思います。
そこでまず質問です。 タイヤってなんで黒いんでしょう?
ゴムだから黒いって思うじゃないですか。 でも実はこれ逆なんですよね。
ゴムって本当はあんなに黒くないんです。 今回はそのなんで黒いのって話から始めて,
最後にはタイヤのリサイクルの話までつなげていこうと思います。 それでは行きましょう。
タイヤの組成と補強材カーボンブラック
まずなぜタイヤが黒いのかというところから始めますと, 先ほど話した通りゴムそのものは黒くないんですよね。
天然ゴムの木って画像で見たことありますかね?
天然ゴムってもともとはゴムの木っていうものの樹液なんですけど, その樹液は乳白色で牛乳みたいな色をしています。
その樹液のゴムの細かい粒が光に散乱して白く見えているっていう状態です。
そこからなんであんなに黒くなるかっていうと, カーボンブラックっていうものすごく細かい炭素の粉が入っています。
これをゴムに練り込んでいるから黒くなるんです。 この炭素の粉,色をつけているわけではないんですよね。
補強のために入れています。 ゴムって実はそのままだと結構やわですぐすり減っちゃいます。
身近なものだと和ゴムですかね? 何度か使っていると伸びてきたり,
ちょっと力をかけすぎるとちぎれたり, 後ほど話す下流っていう操作でゴム自体もちょっと強くはなっているんですけど,
それでもやっぱりタイヤに使うにはまだ弱いっていう状態です。 そこでカーボンブラックを混ぜてゴムの分子と炭素の粒ががっちり絡み合って,
強度とかすり減りにくさとか段違いにあげるわけです。 結果として黒い色になっています。
あと個人的に今回調べてみて面白かったのは, タイヤってゴムの塊っぽく見えるじゃないですか?
外から見たら真っ黒なんで, ただ重さで見るとゴムってだいたいタイヤの半分ぐらいらしくて,
残りはカーボンブラックとか補強材とか, 中に入っている銅のワイヤーとか繊維とか,
後で話すイオウとか, そういうものなんですよね。
ゴムを強くする「加硫」の化学
タイヤの半分くらいがゴムじゃないって意外でした。 ここからゴムがどうやって固くなっていくのかっていう話をしていきます。
まずは最初に話した木のところからですね。 天然の生ゴムがどうやって固くなるのか,
下流という操作が行われます。 イオウを加えると書いて,下流と読みます。
もともと天然ゴムから取れたゴムの分子っていうのは, 紐みたいな感じの構造になっておりまして,
その紐の分子構造同士をイオウで端掛けするようなイメージですね。 網だくじみたいなイメージです。
この下流というものは19世紀のアメリカでグッドイヤーさんが見つけました。
グッドイヤーってなんか聞いたことありますね。 タイヤメーカーであります。
ただそのタイヤの会社の名前はグッドイヤーさんにちなんではいるんですけど, 本人とは全然関係ないみたいですね。
もともとのゴムの紐みたいな分子をイオウで端掛けすることで, 強度とか弾力とかが出て初めて皆さんが知っているゴムの感じになるんです。
ちなみになんですけど, イオウをたくさん入れて加強させ続けると, 今度は逆にカチカチの硬いゴムになっちゃいます。
このあたりはメーカーの量のさじ加減というか, 技術のところです。
そして大事なのが, この下流操作, イオウで分子同士をつないでしまうと, 基本的には元に戻せません。
プラスチックみたいに熱で溶かして, また別の形に作り直すっていうことができなくて,
つまりは,タイヤってそう簡単に元に戻せないんですよね。
使用済みタイヤのリサイクル現状と課題
そうなると,ギサイクルって大変です。
車を乗っている方だったらわかりますけど, だんだん溝が減っていって交換する時期ってきますよね。
そうなると,この使い終わったタイヤってどうするんでしょうか?
タイヤって日本だけでも毎年ものすごい本数が使用済みになるんですよね。
年間でだいたい9000万本くらいみたいなんですけど,
これどうなるかというと,ちゃんと回収されて, 実はほぼ100%が何かしらの形で使われています。
さすがに処理しきれなくて山積みみたいな状態はないんですけど,
ただその使われ方の中身っていうのがこれから問題になってくるなっていう状況です。
使い終わったタイヤのリサイクル方法,サーマルリサイクルというものになっておりまして,
つまりは,タイヤを燃やして熱として使うっていうことなんです。
熱回収とも言いますかね.
タイヤには炭素の粉が入っていたり,石油から作った合成ゴムも入っていたり,
よく燃えて火力が高くなったりします.
だから特に製紙の工場,紙の工場とか,セメントを焼く工場とか,
そういったところで石炭や重油の代わりに燃料として燃やされているんですよね.
だいたい今,8割くらいが燃料として燃やされていまして,
あと2割くらいはマテリアルリサイクルという名前で,
代料として再利用されているっていう状況です.
使い終わったタイヤ,また溶かして新しいのにすればいいじゃんって,
通常は考えやすいんですけど,それができない理由があります.
過流ですね.
硫黄でゴムの分子をがっちり走ってつないじゃってるんで,
熱で溶かして,こねて,別のタイヤに作り直すっていうのができないんですよね.
例えばリサイクルで有名なのはペットボトルですね.
溶かして別のペットボトルにするみたいな,こういうことはできるんですけど,
タイヤっていうのは単純に溶かしてもう一度作るっていうのが難しいんです.
じゃあそれを諦めているかっていうと,そういうわけでもなくて,
硫黄で加強しているんだったら,それをなくせばいいじゃんという考え方で,
脱流という操作が取り組まれています.
つまり,端掛けした硫黄の結合を何とか部分的に切って,
もう一回ゴムを柔らかい状態に戻そうというアプローチです.
実際に再生ゴムっていうのもあるらしいんですけど,
やっぱり性質が新品通りには戻らないという問題があります.
あともう一つ,単純に燃やして熱として手に入れるだけじゃなくて,
タイヤを熱分解するという使い方があります.
空気をなくして,ものすごい高温で蒸し焼きにして,油とかガスの状態にします.
その状態にしてカーボンブラックを回収しようという方向です.
どちらにしても技術的に問題があったり,コスト的に問題があったり,
課題は山積みです.
タイヤ摩耗によるマイクロプラスチック問題
あともう一つ参考に,タイヤの今の問題というのは,
実はマイクロプラスチックに関係しています.
道路を走ると,タイヤってちょっとずつすり減っていきますので,
その削れた細かい粉がマイクロプラスチックとして問題になっています.
だいたい陸から発生するマイクロプラスチックのうち,
タイヤ由来ってどれくらいあるんでしょうか?
30から55%がタイヤ由来と言われています.
単純にタイヤのゴムが海の方に行っているだけじゃなくて,
タイヤの中に入っている成分ってゴム以外にも半分ぐらいあるって話でしたよね?
当然自然由来のものでもなくて,自然に変えるものでもないので,
それが海の生物に悪影響を出してしまうということです.
このタイヤの難しいところは,
タイヤを捨てた後じゃなくて,走っている最中に出ちゃうやつなので,
根本的に何とかしないと解決しないものです.
運転の速度を落とすとか,
タイヤに使われる材料を海に影響が出ないものに変えたり,
難易度がおそらくとんでもなく高くて,
そもそもの自動車の概念自体を考え直さないといけないかもしれません.
タイヤで走っている以上は必ずすり減っていくでしょうね.
タイヤ摩耗を減らすための対策
とは言っても,環境省のデータを見る感じだと,
タイヤの摩耗量に影響する要因って一番は運転操作らしいです.
アクセル,ブレーキ,ハンドル操作,速度,
そういったもので解消できる部分もあるらしいです.
なんなら道路表面の状況とか道路の設計段階よりも運転操作の影響が大きいみたいで,
安全運転を心がけることでタイヤの摩耗を減らせますよ.
っていう話が環境省のページに書いてありました.
そしてもう一つ,車を定期的にメンテナンスしてくださいね.
ということで,タイヤの空気圧を適正に管理して,
ホイールアライメントを適切に保ちましょう.
ホイールアライメントというのは,タイヤの向きとか角度を整えるということですね.
直進性とか曲がりやすさに関係してきます.
こんな感じで,意外と問題になっていることも,
私たちのちょっとした取り組みで改善されるということがあるんですね.
化学産業と自動車業界の繋がり
今回は,ものづくり系ポッドキャストの日のテーマ,
車に合わせてタイヤの話をしてみました.
ゴムって黒じゃないんですね.
ちなみに,私も化学メーカーにいますので,
自動車業界との関わりももちろんあります.
当然,直接取引するようなことはないのですが,
最終的に回り回って,自動車に使われているということがよくあります.
例えば,私が関わった製品で言うと,
まず,自動車がありまして,
その自動車には,エンジンとかハンドルとかシートとか,
いろいろパーツがありますよね.
そのパーツの一部品があって,
その部品に使う材料の原料を作っていました.
わかりましたか?
自動車のとあるパーツに使われる,
とある部品の中にある材料で,
その材料に使われる原料を作っていました.
という感じで,
巡り巡ってその業界に関わっていますっていうのが化学では多いです.
例えば,半導体とか航空機とかもそうですね.
食品なんかもそうです.
だから,この一部の製品のエリアだけ,
食品用途だから管理の仕方が違いますよとか言うのはよくあります.
化学製品というのは結局,
いろんな最終製品に使う材料を取り扱っていますので,
なんだかんだいろんな業界との関わりが出てきます.
気になった方は,
化学メーカーのホームページとか製品情報を見てもらいたいんですけど,
そうすると,こういう用途で使われていますよっていうのがいっぱい書いてあります.
参考に見てみてください.
まとめと番組情報
今回はここまでです.
プラントライフでは,化学や工場に関するトピックを扱っています.
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しておりまして,
もし番組の感想をいただける場合は,
概要欄のお便りフォームですとか,
Xにハッシュタグプラントライフをつけて発信してもらえると助かります.
そして,ノートにてメンバーシップかねまるのここだけの話というものを公開しておりまして,
発信での裏話とか,オープンな場では話しにくいようなこと,
そういった内容を発信していますので,
もしよろしければ入っていただけると嬉しいです.
それではお聞きいただきありがとうございました.
18:03

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