お便りありがとうございます。共通テストお疲れ様です。 いい結果になることを願っています。
高校生が聞いているっていうことが嬉しくて、さらにお便りまで、ぜひ身近な方々に広めていただけると助かります。
実のところ、10代のリスナーっていうのが現状は少なくて、それもあって聞いていただける人が増えると嬉しいんですよね。
お便りにあります通り、実生活とか将来に関わる仕事にどんな影響があるかっていうのをイメージできないと、苦手意識が起きるかもしれないですね。
せっかくなので今回は、2026年度の大学入試共通テストの科学を見ながら、多分野との関わりですとか、実生活との関わりを考えています。
長くなるかもしれませんが、1問ずつせっかくなので話してみます。 もし可能でしたら概要欄にリンクを載せておきますので、問題を見ながら聞いてみてください。
それでは行きます。まずは第1問。 理論科学の結晶とか溶液とか、気体に関する問題です。
問1は、とある特徴を示す化合物を選ぶ問題です。 二酸化炭素が水に溶けた時に弱い酸性を示すということを選びます。
炭酸になるということですね。 二酸化炭素が水に溶けて炭酸になる、弱酸性になるってどういうことなのかというと、これ
海洋酸性化ということにつながります。 海が若干酸性寄りになるっていうことなんですけど、もともと海って
PH8の弱アルカリ性だったんですけど、 地球温暖化と言われています通り、二酸化炭素が地球上に増えていくと
海に溶ける二酸化炭素の量も増えてきます。 こうして海に二酸化炭素の溶ける量が増えていくと、PH8の弱アルカリ性だったところから中性に近づいてきます。
PH7に近づくっていうことなんですけど、これ貝とか甲殻類とかサンゴとか こういった生物への影響にもつながります。
殻や骨格を炭酸カルシウムで作っているような生物っていうのは、殻を作りにくかったり 維持しにくくなったりします。
二酸化炭素が水に溶けると弱酸性って結構影響でかいんです。 問いにはコロイド粒子を凝縮させるのに適した物質を選ぶ問題。
小さな粒子が分散している状態がコロイドって言います。 塩化アルミニウムが答えなんですけど、
実は似たような名前の物質を水処理の分野でよく使います。 浄水場とか下水処理場とか工場の排水処理とか
パック、ポリ塩化アルミニウムというものをよく使っています。
これは凝集剤と呼ばれています。 マイナスに帯電して水中に分散している汚れの粒子、
コロイドをプラスの電化を持つパックという薬品で捕まえます。
そうすると汚れが沈んでろ過できるようになります。 パックってすごく有名なので覚えているといいことがあるかもしれません。
問3 固体の溶解度に関する問題です。
溶解度っていうのは液体の中に固体がどれくらい溶けやすいかを表す指標です。 選択肢の中に再結晶という言葉があります。
実は医薬品とか電子材料、そういうものをはじめとしてあらゆる物質をきれいにする、 つまり不純物を減らすのに直結する、すごく大事な操作なんです。
選択肢の1番に温度を上げると固体は溶けやすくなると書いています。 まさにその通りで
再結晶はこの温度を上げると固体が溶けやすくなるという特徴を使っています。 温度を上げて固体を溶かして、温度を下げるとまた固体が出てくる。
一見無駄な作業に見えるんですけど、固体の中に含まれている不純物を一旦解き放って、 固体だけもう一度結晶化させる。
重要な再結晶の操作です。 私は研究してた時に再結晶をものすごくやりました。
有機合成するたびに再結晶して分析器で分析する。 これできれいな化合物を分析できます。
問4は、六方細密重点の問題です。 耐震立方とか、綿芯立方とか、
金属の結晶は原子が綺麗に並んでいますけど、その並び方に種類があります。 六方細密構造というのは、同じ大きさの球をできるだけ隙間なく詰めるときに現れやすい並び方の一つです。
直接的に身近なところでは流石に関わりづらいんですけど、 丸いものを四角い入れ物に入れるときに限界がわかるようになります。
みかんでもリンゴでもボールでも何でもいいんです。 箱の中に綺麗に詰めるとき、
六方細密構造の知識が役立ちます。 細密構造の重点率は約0.74。
つまり、同じサイズの球を箱の中にみっちり詰めるとしたら、必ず26%空間ができるということです。
どんなに頑張ってもそれぐらい空間ができちゃうってことは理解しておくと何かの役に立つかもしれません。
問い後はアルコールロケットの問題です。 アルコールが燃えて二酸化炭素と水、つまり気体になることで容器内の圧力が上がります。
その勢いでカップが飛び出します。 燃えたときに温度が上がって気体が膨張するので圧力がさらに上がっているっていう状況です。
実際にこの計算をすることは少ないかもしれないんですけど、現象として身近なのはスプレー缶の爆発事故ですね。
気体が入ったスプレー缶を石油ストーブの前に置くことで温度が上がって爆発するっていう事故が発生しています。
圧力の危険性っていうのをこの問題で知ってみるといいと思います。 ここから第2問です。
理論科学の熱や酸化還元、化学並行などに関する問題です。
問1はエンタルピーの問題です。 エンタルピーっていう言葉なじみがないかもしれないんですけど、要は熱の出入りの話です。
実は気化熱もエンタルピーで計算できます。 反応熱とか液体から個体になるときの凝固熱とか
熱に関する知識っていうのは様々な場面で使えます。 例えばエアコンで冷やすとき、
金属を溶かすとき、 もっと広いスケールで言うと海が蒸発して空で凝結するとき、
どれくらいの熱が必要になってくるかっていうのは、すべてエンタルピーを基に計算していきます。
問2は、小酸銀と小酸鉛を電気分解する話です。 陰極に積出した金属を分析するっていう記載があります。
これはまさにメッキの操作そのものでして、電気メッキという種類にあたります。 不純物を含んだ純度の低い金属を不純物の少ない、純度の高い金属に上げるっていうこともできます。
基板などに含まれている金属をリサイクルするために、目的の金属を回収する用途にも使えます。
結構幅広く活用できる操作なんです。 問題では、どれくらい電気を流す必要があるかっていうような意味の内容なんですけど、
この計算ができたら、使用する電気の量っていうのを想定できますね。 実際に産業用途で使うときに、電気代を事前に予測して再酸性を見ることができます。
問3は、気体の5酸化2窒素を分解して、2酸化窒素と酸素を得る問題です。 5酸化2窒素とか2酸化窒素とか、
身近ではないんですけど、これはそういう問題ではなくて、反応速度に関する問題です。
化学反応がどれくらいの速さで進むのかを示す大事な指標です。 食品の劣化とか薬の分解とか、
化学反応が関わるものは全て関係します。 反応速度っていうのは、加速試験という試験方法にも使われます。
製品を通常より過酷な条件において、意図的に劣化を促進させて、製品の寿命とか信頼性とかを短時間で評価できる試験です。
化学反応というのは高温で活発になるので、製品を高温環境において材料の変化、劣化っていうのを見ます。
そうすることで、普段使う環境での劣化の速度っていうのを予測できます。 例えば100度で何日で劣化したから、
25度の環境だったらこれぐらいで劣化するだろうっていう予測ができるようになります。 問4は、干渉液、干渉作用に対する問題です。
問1は正しい化学反応式を選択する問題です。 個人的に有機化学の反応っていうのは実際使う人に役立つ印象があります。
薬も材料も香りもこうした反応を組み合わせて目的の化合物を作っています。 合成ルートと言ったりしますね。
原料同士を混ぜ合わせて反応する。 ただそれだけなんですけど、このメカニズムを知りたいとき有機化学っていうのは必ず勉強しないといけません。
身近な例だと水素の貯蔵の話があります。 トルエンという液体に水素を反応させてメチルチクロヘキ酸に変換します。
水素は気体で爆発性があって危ないのでメチルチクロヘキ酸という液体に変換することで比較的安全に運ぶことができます。
液体として例えば別の国とかに運んだ後、メチルチクロヘキ酸をトルエンに戻すと水素が得られます。
この仕組みを理解しようと思うと有機化学の反応を知る必要があります。 問いには様々な条件に合う化合物を選択する問題です。
科学の人がすべての分子の形を暗記しているというわけではないんですよね。 科学構造式の中に含まれている特徴的な部分を見て機能を判断しています。
これを理解しているかを解いている問題です。 直接この問題には関係ないんですけど構造から理解するっていう意味で色が付くかどうかっていうのも
科学構造からわかります。 有機化学的に言うと単結合と二重結合が交互に長く繋がっているような分子っていうのは色が付きます。
これは協約と言います。 有機化学を知ると分子の形で特徴が想像できるようになります。
これはプラスチックについても同じです。 問3は分子式から構造異生体と立体生体を答える問題です。
非生体ってちょっと難しいんですよね。 使っている原子の数は同じだけど科学構造式が違うっていう意味なんです。
特に立体生体っていうのは教養として知っていた方がいいと思います。 2次元で見ると科学構造式は同じなのに3次元で見ると別の物質になる。
鏡写ししたような形の分子っていうのがあります。 よく右手型と左手型って言ったりしますね。
この右手と左手の違いっていうのはものすごく大きくて 過去に片方は薬で片方は毒になるっていうことがありました。
気になる方はサリドマイド事件っていうものを調べてみてください。 問4は様々な糖類の特徴に関する問題。
糖は生物にすごく関わりがありますね。 甘味料にも使われています。
ちなみに植物の細胞壁の主成分、セルロースも糖類です。
糖類に関する知識は科学ってよりは食品とか 生物とか植物とか様々な分野で役立つ知識だと思います。
糖類に関する問題が出るくらいなので糖って一種類じゃないんです。 山のように種類があって
砂糖や果物、パスタ、ご飯など どんな食品にどんな糖類が含まれているか
それが体にどんな働きをするかっていうのを理解すると体の維持にもつながります。 痩せたいから糖類を減らすっていうのも考え的には完全に間違っているわけじゃないんですけど
もうちょっとどんな糖類を減らせばいいか どんな糖類ならとっても大丈夫なのか
いろいろ調べてみると面白いかもしれません。 問い後はグルタチオンを例にアミノ酸の特徴を答える問題です。
完全に生物の話ですね。 問題に出てくるペプチド、そしてタンパク質はアミノ酸がたくさん長くつながった分子なんです。
食べ物として取り込んだタンパク質はアミノ酸くらい小さいサイズに分解して吸収します。
食品や医薬品、培養、化粧品など体に関係する仕事に興味がある場合はぜひとも勉強してほしい内容です。
ちなみに余談ですけど、味の素はグルタミン酸でできています。
アミノ酸です。ついに第5問まできました。 総合問題ですね。
問1のaは金属元素、クロムに関する問題です。 問題にある通り、クロムはろっかクロムという形で体に悪い側面があります。
それに対して非常に高精度な面もあります。 クロムは使い方によって良い面も悪い面も示すということですね。
ステンレスでは欠かせない元素となっておりまして、 鉄にクロムを混ぜることで錆びにくい特性を与えます。
そしてステンレスの他に鉄のクロムメッキというものもありまして、 錆びにくい処理っていうのをステンレスよりも安くできるので私もよく使っていました。
世の中はステンレスで溢れていますので、クロムが使われない場所なんてないくらいの話です。
問1のBは、軽素という元素に関する問題です。 周期表でいうと炭素の一つ下にありまして、炭素に近い性質を持っています。
軽素ってものすごく大事で、半導体に太陽電池に光ファイバ、 新しい技術に関わるなら必ず関係する元素です。
問題にあります通り、軽素は酸素の次に近く中に多く存在する元素なんです。
ですので大量に入手できるので安価に利用しやすいという特徴もあります。 ちなみにガラスも軽素でできています。
問2はプラスチックであるポリイミドの合成に関する問題です。
プラスチックっていうのは1から3種類程度の分子を何個も長くつなげてできている分子です。
今回だとイミド結合という結合方法でつないでいます。 イミド結合でたくさんつないでいるのでポリイミドですね。
高い耐熱性と絶縁性が特徴的で電子基板にも使われています。 今回のポリイミドみたいにプラスチックっていうのは様々な業界の材料として使われています。