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2025-10-15 17:13

#39 初心者向け解説!ノーベル化学賞2025(有機金属構造体MOF)

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今回は2025年ノーベル化学賞の解説です。金属有機構造体(MOF)に対して贈られました。皆さんはレゴブロックで遊んだことはありますか?もしそのレゴブロックが、目に見えないほど小さな「分子」のサイズだったらどうなるでしょうか?

【宣伝①】

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 申込フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd-WU6m-vg4x4sL4YbNzlOoa1Lb1U0AhyaC1PK7v-fV2ytCVg/viewform

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おまつりっすん2025に参加します!

 日時:10/25(土) ~
 場所:京都府京都市「深夜喫茶 多聞」
 参加費:3000円(1ドリンク込)

 イベント詳細:https://listen.style/event/36

【関連放送】

#37 ノーベル化学賞のカギになる触媒の話

【参考資料】
・リチャード・ロブソン https://www.chem-station.com/chemglossary/2025/10/richard-robson.html

・PCP/MOF の世界へ https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/more/scope/pcp/

・日本初のMOFの実用化は見えてきたか https://arc.asahi-kasei.co.jp/report/arc_report/pdf/RS-1057.pdf

・2025年ノーベル化学賞は、「新しいタイプの結晶構造ーMOFの開発」へ https://www.chem-station.com/blog/2025/10/nobel2025.html

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質問や相談、お便りを募集しています。 https://forms.gle/EDHYXorTnk35gu91A

プラントライフは、化学プラントの技術者である私かねまるが、化学と工場に関するトピックを、分かりやすく紹介する番組です。 毎週水曜日の朝に定期配信! LISTENで公開後、各種Podcastアプリにも配信されます。

X:かねまる@化学プラント技術者 https://x.com/chem_fac

プラント技術解説ブログ「ケムファク」 https://chem-fac.com/

MONOist連載記事「はじめての化学工学」 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/series/40825/

BGM「アイスコーヒー、デカフェで!!(しんさんわーくす)」 https://youtu.be/rhV9sy346vY

サマリー

2025年のノーベル化学賞を受賞した有機金属構造体、通称モフについて解説しています。このモフは、分子サイズのジャングルジムのような構造を持ち、広大な内部空間があり、精密にデザインできる点が特長です。受賞者たちの貢献を通じて、モフの実用性や将来の可能性について考察しています。2025年のノーベル化学賞は、有機金属構造体MOFに与えられ、科学のあり方を変える新たな方法が評価されています。MOFは触媒機能が高く、反応の選択性を向上させる特性を持っています。

ノーベル化学賞受賞の背景
どうも、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
皆さんは、レゴブロックで遊んだことはありますか? 小さいブロックを組み合わせて、家ですとか、車、
もしくは想像上の生き物まで、何でも作れてしまいますよね。 では、そのレゴブロックが目に見えないほど小さな分子サイズだったらどうでしょうか?
今回は、そんな分子サイズのレゴブロックを現実のものにした、2025年ノーベル化学賞の受賞内容のお話です。
有機金属構造体、通称モフの開発に送られました。 モフとは一体何なのか、
そしてこの発明が社会にどのような影響を与えるのか、 専門でない方にも分かるようにゆっくり解説していきます。
まずこの有機金属構造体、モフという名前で呼ばれています。
なんだか難しそうに聞こえますけど、考え方はとてもシンプルです。 これは金属の部分と有機物の部分でできた骨組みという意味なんです。
一番わかりやすい例えは、公園にあるジャングルジムですね。 モフというのは目に見えないほど小さい分子レベルのジャングルジムだと想像してみてください。
このジャングルジムの棒の部分が有機分子、 棒同士をつないでいる継手の部分が金属イオンです。
高校で有機化学を習っていない方は有機物という部分は一旦無視してもらって大丈夫です。 大事なのは棒と継手を使って
ジャングルジムのような骨組みを作ったということです。 この小さいジャングルジムも誰かが組み立てないといけないですよね。
でもそんな必要ないんです。 材料となる金属イオンと有機分子を溶液の中で混ぜるだけで
自然と規則正しい立体構造を作り上げてしまうんです。 ですけれど本当に重要なのは骨組みそのものではなくて、その内側にある広大な空間なんです。
この広大なミクロの空間がモフのすごいところです。 空間の広さは今まで使用された物質よりも圧倒的でした。
似たような広い空間を持つ材料に活性炭ですとか ゼオライトというものがあります。
活性炭は脱臭剤などに使われますね。 こうした物質よりも空間の広さが遥かに上回ります。
そしてここからはモフが科学の世界に革命を起こした最大の理由です。
それはこのジャングルジムの空間を自由にデザインできるという点です。
狙った大きさや形の空間を精密に作れます。 じゃあ活性炭ではできないのかという話なんですけど
活性炭というのはヤシガラーですとか石炭を高温で処理して作られる炭素の塊です。
こうしてできた炭素の塊は内部が不規則で複雑な亀裂や隙間が無数に広がっています。
作り方の関係で大小様々な大きさの空間が混在しているというのが特徴です。 この活性炭よりも精密なのがゼオライトです。
ゼオライトはアルミニウムやケイ素の酸化物になってまして規則正しい結晶構造を持つんですけど
空間のサイズというのは物質の種類によって決まってしまいます。 活性炭やゼオライトとは違ってモフというのは
継手となる金属イオンや棒となる有機分子の種類を変えることで空間の大きさや形
さらには性質というのを自由自在にカスタマイズできます。 最初にモフをジャングルジムのようだと紹介しました。
これって間違ってはないんですけどモフはジャングルジムの四角い形以外にも
アニカム構造みたいな多種多様な形の空間がデザインできます。 そして空間が広いという強みもあります。
さらに作りやすい。 完璧なんです。
受賞者と応用の可能性
ここから今回ノーベル科学賞を受賞した3名の紹介です。 受賞したのはオーストラリアのリチャードロブソンさん
日本の北川スムさん そしてアメリカのオマーヤギーさん3名です。
それぞれどんなことをされたのか紹介します。 始まりはリチャードロブソンさんからです。
モフの原型となる空間を作れるような金属と有機分子の組み合わせを発見しました。 ダイヤモンドのような規則正しい結晶構造だったそうです。
詳しい人向けに一応話しておくと、金属に一化の銅イオン、有機分子には4つのニトリル基を持つテトラニトリル化合物が使われました。
そしてこの構造体がイオン交換という用途に使えるというところもロブソンさんは発見しました。 単に形が美しいものを作ったということではなくて、実用性があるということですね。
ただ、それでも安定性や耐久性の面で課題が残っていました。 そんな中、
北川スムさんが安定したモフを作り出すことに成功しました。 さらにその構造が機体を吸着して放出できることを実証しました。
モフはジャングルジムみたいな構造しているので、ちょっと硬いのかなって思いますよね。 ですけれど、今回北川さんが発見したのは、
ガスを吸い込んで吐き出す、つまり体の肺みたいな役割をしているんです。 こうしてガスを吸ったり吐いたりすることで形を変える、柔軟な性質を持つはずだろう
ということを提唱しました。 そして3人目、オマーヤギーさんがこの分野をどんどん開拓していきました。
ヤギーさんはモフ5と名付けられた極めて頑丈かつ非常に多効質なモフを開発しました。 多効質というのは穴がいっぱい空いていて空間が広いということですね。
今まで用いてた金属は単一のものでした。 今回ヤギーさんは複数金属をクラスターとして用いることで今までの問題を解決しました。
継手部分にも自由度が与えられるような素晴らしい考え方です。 さらにヤギーさんは、望みの機能を持つモフを作るために
どの金属イオンとどの有機分子を組み合わせれば良いかという大事な情報を集めてくれたんです。 これによってモフという概念が一般化されました。
ここで3人の役割をまとめます。 ビチャード・ロブソンさんがモフの概念を提唱して最初に構造を作り上げました。
次に北川すすむさんが安定で機能的な構造を実証して柔軟性という新しい概念を導入しました。
さらにオマー・ヤギーさんがモフ5という極めて頑丈なモフを考案して目的の設計をするための方法を確立しました。
ここからモフが何に使えるのかを紹介します。 モフの空間の中には様々なものを収納できます。
スポンジみたいですね。 CO2がきれいに入るサイズや形にしたらどうなるでしょうか。
工場などの排気ガスから効率的にCO2が回収できます。 大気に放出させないので、地球温暖化対策になります。
回収したCO2は原料として使えます。 今度は水を選択的に集められるモフを使ったとします。
水がほとんどない砂漠で、空気中の水分から飲み水を作れます。 ただ考えとしては素晴らしいんですけど、未だに実用化されていません。
モフ自体が水に弱いという特徴があるんです。 なんでかというとモフの棒の部分、有機分子のところが水と置き換わっちゃうんですよね。
それによって空間の形が変わってしまうんです。 その他にもコストや大量生産の問題だったり
砂漠で使おうってなると過酷な環境で長期的に機能を維持できないという問題もあります。 今紹介した内容は分離という操作ですね。
複数の混ざり合ったものから一つのものを取り出す操作です。 今度は貯蔵の役割を紹介します。
モフは水素やメタンといったガスを低い圧力のまま高密度で貯蔵することができます。 こうした水素やメタンといったガスは非常に高い圧力をかけて保存します。
MOFの特性と用途
圧力にも耐えられるような頑丈な金属容器が求められます。 頑丈にするには構造で工夫するというのもあるんですけど、やっぱり金属の厚みを増さないといけません。
たくさん金属が使われるので重くなります。 モフを使うことでより安全に、より軽く、そしてより効率的に
貯蔵を運搬することが可能になります。 実際にガスボンベの中にモフを入れて使った事例があります。
反動対応の有毒ガスを低い圧力で保存できるようにしました。 次はモフを化学反応に活用する話です。
モフを触媒に使います。 触媒というのは普段だったら進みづらい反応を進みやすくするものです。
この放送の2つ前の回で話をしました。 シャープ37番、ノーベル科学賞の鍵になる触媒の話、ぜひ聞いてみてください。
そもそも特定の金属は触媒としての機能を果たします。 金属を用いたモフは触媒として十分機能します。
そしてモフには有機分子部分もあります。 この有機分子部分を調整することで触媒の機能を向上させることができます。
こうした触媒としての機能はモフ以外の触媒でも持っています。 じゃあモフだと何がすごいのかと言いますとモフの形ですね。
均一な空間サイズを利用できるので特定の大きさや形の分子だけを内部に取り込めます。 こうして内部に取り込んでから反応させることができます。
余計な反応が起こりづらいということです。 さらに空間によって反応の選択性を向上させられるので今までは複雑な分子デザインが必要だった触媒も単純な構造で済むかもしれません。
分離や貯蔵、反応など様々な用途が鍛えされるのがモフです。
ノーベル化学賞と未来の期待
すごいですよね。 今回のノーベル科学賞は単なる新しい物質の発見に送られたのではありません。
それは科学のあり方そのものを変えた新しい方法に対する賞だと私は思っています。
もともと科学というのは特定の物性になるような分子や材料を設計して作ってみるもの なんですけどモフというのは今までよりもデザイン性が上がっています。
分子の形がある程度決まっているので穴の形やサイズが予想しやすいんです。 これからモフの研究が進んで様々な社会問題を解決していく未来が期待できます。
実用に向けてこれからはコストや大量生産の技術革新の部分が進められていくはずです。
次にどこかでモフという言葉を耳にしたらぜひ今回の話を思い出してみてください。 最後に少しだけ宣伝です。
10月24日金曜日にポートメッセ名古屋で行われる大型の展示会
メカトロテックジャパン通称MECTでポッドキャストイベントに登壇します。 その名もものづくり系ポッドキャストの日in MECT
これまでもものづくり系ポッドキャストの日という企画で何度もお話ししてきましたけれど 今回はリアルイベントです。
ものづくり系ポッドキャスト番組6番組が集結して自由に語り合うイベントとなっています。 私は科学分野なんですけど他の方は機械や電気制御
ネットワークセキュリティなど幅広い分野の方が登壇されます。 時間は16時から行われます。
企業ではなく個人名義でも参加可能ですのでぜひお越しください。 概要欄にイベントのリンクを載せています。
不明な点は私金丸までXのDMやお便りフォームから連絡ください。 今回はここまでです。
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。 毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
番組へのお便りは概要欄にあるお便りフォームから投稿ください。 プラント技術に関する専門的な内容はケムファクというブログで解説しています。
最後にこのプラントライフがいいなぁと思っていただけたら番組のフォローや各ポッドキャストアプリから評価をお願いします。
Xで発信していただける場合はハッシュタグプラントライフをつけてください。 それではお聞きいただきありがとうございました。
17:13

コメント

と、とりあえず、分子を格納できる箱を分子のサイズに応じて、分子を狙って格納できる技術が開発された、ってことでよいでしょうか?!お話を聴いてそういうふうに認識しました! MECT2025、行ってみたいけど、名古屋!

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