どうも、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、
化学や工場に関するトピックをわかりやすく紹介する番組です。 皆さんは、10月23日が何の日かご存知ですか?
実は、化学の日なんです。 これ、実は今日のテーマ、モルに深く関係しています。
化学の世界には、アボガドロ定数というすごく大事な数字があります。 その数が、6.02×10の23乗という数字なんですね。
日本では、10月23日を含む月曜日から日曜日は、化学週間と決められています。 今年2025年だと、10月20日から26日が化学週間です。
そして、この放送が公開された翌日は、化学の日です。
そんな化学の日に関係の深いモルについて、今回は紹介していきたいと思います。 では、モルとは一体何なんでしょうか?
一言で言うと、モルは単位です。 単位といえば、長さを測るメートルとか、重さを測るキログラムとか、
時間を測る秒なんかがありますよね。 こうしたメートルやキログラム、秒というのは、世界中の人が同じ基準でものを測るための大事なルールになります。
こうした世界共通の単位体系をSI単位系と呼びます。 このSI単位系には、すべての単位の基本となる7つが定められています。
一旦7つ紹介しますと、長さのメートル、 質量のキログラム、
時間の秒、 電流のアンペア、
温度のケルビン、 光の明るさのカンデラ、
そして7つ目が物質量を表すモルなんです。 世の中の様々な単位は、このSI単位系同士をかけたり割ったりして、SI単位系だけで表すことができます。
例えば、面積はメートルの2乗です。 メートル×メートルですね。
圧力になると、ちょっと複雑ですけど、キログラム割る、 メートル割る、秒割る、秒、
という形で表すことができます。 それだと複雑すぎるので、日常ではパスカルという単位が使われています。
つまりパスカルは、SI単位系でいうところのキログラムとメートルと秒で構成されているんですね。 そしてモルはメートルやキログラムと型を並べる世界基準の単位の一つです。
科学の授業だけで出てくるローカルルールじゃないんですよね。 じゃあモルが表している物質量って一体何なのかというのをここから深掘りしていきましょう。
昔から授業で言われるのはダースと同じ意味合いですよっていう感じですね。 鉛筆は基本的に12本入りで、
この12本の集まりを一般的にはダース、1ダースと呼びます。 いちいち鉛筆24本くださいっていう感じで言わなくても、
鉛筆2ダースくださいっていうので24本というのが伝わります。 たくさん数を扱うときの便利な塊の単位ですね。
ただ最近は鉛筆使う機会っていうのはだいぶ減っていますので、この例えって いつか使えなくなるんじゃないかなーって個人的に思っています。
その他の例だと ペアとか組なんかもそうかもしれないですね。
ワンペアとか一組って言うと2つを表しますよね。 靴下や手袋、イヤホンみたいな感じです。
ダースやペアみたいに ある特定の数をひとまとめにして呼ぶ単位がモルなんです。
同じってことですね。 その特定の数が価格の比に関連する6.02×10の23乗というとてつもなく大きい数なんです。
この大きい数がアボガドロ定数です。 ある物質が6.02×10の23乗こあったら1モルと言います。
もう少し詳しく話をしてみます。 化学が扱うのは原子や分子といったとてつもなく小さい粒子です。
例えばスプーン一杯の水の中には水分子がもう天文学的な数 それこそ数えきれないほど入っています。
これを水分子が1個、2個、3個と数えるのは絶対に無理ですね。
そこでダースやペアみたいに原子や分子もある決まった数の塊で数えようとなったわけです。
それがモルです。 水分子が1モルありますよって言うと
水分子が6.02×10の23乗こありますよという意味を表します。 6.02×10の23乗
どれくらい大きい数かイメージつかないですね。 23乗というと6.02×10を23回かけた数字です。
ちなみに1000が10の3乗 100万が10の6乗
10億が10の9乗 10億までたどり着いてもまだ10の9乗なんです。
23乗というと10億ポッチじゃまだまだ遠いくらいの大きさです。 そして6.02×10の23乗は
6020階という数字で表現できます。 万や億みたいな感じで
がいがあるんですね。 モルの意味がなんとなくわかったところで一つ疑問が出てくるかもしれません。
塊で数えるのはわかったけどそれが何の役に立つのっていうところです。 単位のモルが本領を発揮するのは化学反応の場面です。
化学反応式って見たことありますか? 例えば2H2プラスO2右矢印書いて2H2Oという表現をします。
これは水素分子2個と酸素分子1個が反応して水分子が2個できますよという意味です。 まあこの辺はあんまり気構えずに料理のレシピと同じぐらいな
気持ちで考えて大丈夫です。 小麦粉200gと卵2個を混ぜるとパンケーキができますよみたいな感じです。
ただ料理だったら卵2個は用意できると思うんですけど 化学反応で水素分子2個だけ用意するっていうのは小さすぎて絶対できないです。
そこでモルの出番です。 化学反応式を個数ではなくてモルで読み替えているんです。
水素分子2モルと酸素分子2モルを反応させると水分子が2モルできますよという感じです。
意味は一緒でこう考えたら扱う量がとてもシンプルになります。 そしてモルという単位の便利なところは私たちが測れる重さ
グラム換算できるんですよね。 実は物質の種類ごとに1モルあたりの重さっていうのは決まっています。
水素分子2モルは何グラム 酸素分子1モルは何グラムという感じで計算できます。
今回例に出した化学反応式だと2H2プラスO2という式なので2対1のモルの比率になります。
実際の科学者の考え方だとまず化学反応式を作ります。 その反応式からモルの比率を理解します。
モルの比率に合わせてそれぞれの分子で必要な質量を計算します。 ものによっては質量じゃなくて体積で換算する場合もあります。
もし計算してみたいなーって思った方は分子量という言葉で検索してみてください。 換算ができます。
簡単に紹介すると水素原子はだいたい1 酸素原子は16
水はH2Oだから 1たす1たす16で18
1モルの水は18グラムぐらいというような計算ができるようになります。
そんな便利なモルですが実は最近2019年にその定義が大きく変わるっていうイベントがありました。
それまでの定義はこんな感じです。 質量が12グラムの炭素の中に含まれている原子の数を1モルとする
という内容でした。 炭素12グラムを基準として1モルを計算していたということなんです。
この考え方だとすごく正確に測り取った炭素12グラムの用意が必要です。 まあ測ったらいいじゃんとも思えることなんですけど
この定義ってすごく大きい弱点があるんです。 12グラムっていう質量の基準に頼っています。
何が言いたいかというと質量の基準がずれちゃうとそれに合わせてモルの基準もずれちゃうんです。
2019年まではその質量の基準である1キログラムというのをとある重りで決めていました。
その重りの名前が国際キログラム原器というものです。 白金とイリジウムの合金で作られた
人工的な重りが世界基準だったんです。 もしこの重りが汚れたり
ほんの少しでも削れたりしたら世の中の質量の基準が全部ずれてしまいます。 それに伴って物質量、モルの基準もずれてしまいます。
この重り自体は2つあって定期的に2つの質量を比較しているらしいんですけど やっぱり微妙にずれてきているみたいなんですよね。
人工物なのでさすがにいつかは劣化したり汚れたりしてしまうんです。 こうした背景があって2019年の5月にモルの定義が変わりました。
正確には質量のキログラムと電流のアンペアと温度のケルビンと物質量のモル 4つが見直されました。
そこで決まった1モルというのは厳密に 6.02214076×10の23乗この粒子の集まりという感じで表現されるようになりました。
もう1回言いますね。 1モルというのは6.02214076×10の23乗この粒子の集まりですと定義されました。
ちょっと言い換えると粒子の数がアボガドロ定数だけあると1モルと言いましょう となったんです。
新しい定義では炭素もグラムも出てこないんです。 ただの数です。
今までは炭素12グラムを基準にしていたところ、今回は数そのものを定義しました。
その結果どうなったかというとモルは特定の物質ですとか いつか変わってしまうかもしれないものへの依存というのから完全に解放されたんです。
いつでもどこでも誰でも同じように再現できる単位に生まれ変わりました。 この変更って2019年なんで
大人の方で科学から離れていたらこの定義の変化って気づいていない人も多いんじゃないかなって思います。
知っているとちょっとだけ自慢できる話です。 余談ですけどモルの海底と一緒に重さの基準である国際キログラム原器も使われなくなりました。
新たにプランク定数っていう物理定数を使って表現するようになりました。 ここで物理までやるとお腹いっぱいになっちゃうんで
最近キログラム原器って使われなくなったんだって って言えたら十分です。
アボガドロ定数である6.0214076×10の23乗にちなんで毎年10月23日は科学の日です。
そして科学の日を含む2025年10月20日から26日の1週間は科学週間です。
日本科学未来館に行くとだから科学は面白いという科学の日関連イベントが開催されています。
イベントだけじゃなくて科学の日缶バッジとか 周期表クリアファイルの配布もあるらしいです。
10月26日日曜日まで行われていますのでぜひ遊びに行ってみてください。 最後に2つ宣伝させてください。
まず一つ目。 10月24日金曜日にフォートメッセ名古屋で行われる大型展示会のメカトロテックジャパン
通称MECTでポッドキャストイベントに登壇します。 その名もものづくり系ポッドキャストの日in MECT。
ものづくり系ポッドキャスト6番組が集結して自由に語るイベントです。 科学分野のほかに機械や電気制御、ネットワークセキュリティなど幅広い分野の方が登壇されます。
時間は16時から行われます。 企業ではなく個人名義でも参加可能ですのでぜひお越しください。
とても会場が広いので 埋まると嬉しくなります。
何卒よろしくお願いします。 そして2つ目。
MECTの翌日。 10月25日土曜日はリッスンのイベントお祭りっすんに参加します。
11時から始まって私は13時半頃から40分ほど話をする予定です。 京都でありますのでぜひ近くにいらっしゃる方はお越しください。
イベントの紹介音源がありますのでお聞きください。
京都初のポッドキャスト配信サービスリッスン主催のオブラインイベントお祭りっすん2025開催。
10月25日京都は山城喫茶多門を貸し切ってトークとともに素敵な時間を楽しみましょう。 時間は11時から17時。
共に盛り上げてくれるゲストは 喋りの相談室から早坂まき子さん
三島車ラジオから三島さん 植坂あゆみの私より先に丁寧に暮らすな
原うかいよしきさん 桃山翔二から森田さん
株式会社雑談特勤マッシュから渋ちゃんです ポッドキャスターがスタッフとして立つ喫茶ブースもお楽しみいただけます
チケットはワンドリンク月3000円 さらにライブ配信並びにアーカイブ視聴が可能なオンライン視聴チケットもございます
すべてはリスイベントページにて好評発売中 ポッドキャスターもリスナーもぜひ京都でお会いしましょう
どちらも概要欄にイベントのリンクを載せています 不明な点は私金丸まで
XのDMやお便りフォームから連絡ください 今回はここまでです
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています 毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので
通勤時間や朝の準備などにお聞きください 最近は日曜版も出すようになってきました
最後にこのプラントライフがいいなぁって思っていただけたら 番組のフォローや各ポッドキャスターアプリから評価お願いします
Xで発信していただける場合は後で追いやすいので ハッシュタグプラントライフをつけてください
それではお聞きいただきありがとうございました