第百六十一話『自分でつくった枠にとらわれない』-【北海道篇】作家 久生十蘭-
2018-09-29 12:48

第百六十一話『自分でつくった枠にとらわれない』-【北海道篇】作家 久生十蘭-

北海道・函館市文学館には、函館ゆかりの作家の直筆原稿や手紙、身の回りのものなどが展示されています。
石川啄木、亀井勝一郎、長谷川海太郎らに並んで、他に類をみない文体で文壇を驚かせた小説家がいます。
久生十蘭。
推理小説、時代小説、SFから冒険小説まで、幅広いジャンルの作品を残す一方、その読者を突き放すような無駄をはぶいた文体は、ある意味不親切で、「オレの文章がわからんやつは、ついてこなくていい!」と言っているかのようです。

芥川龍之介に傾倒したかと思うと、劇作家、岸田國士に師事、演劇の世界にも首を突っ込みました。
生きのいいウナギのように、とにかくつかみどころがありません。
彼に流儀があるとすれば、こうでしょう。
「オレは、嫌なことはしない。好きなことは、とことんやる。ただ、飽きたらまた次へいくまでのことだ」
直木賞を受賞し、さらには第二回国際短編コンクールで第一席に選ばれるなど、華々しい実績をあげながら、気まぐれで無欲。
どんなに「先生!」とまつりたてられても、自身の流儀を変えることはありませんでした。
「みんな、やるべきことにしばられすぎなんだ。人生は一回きり。やりたいことをやらないと、そのうち、何がやりたいかわからなくなるぜ」

彼の生き方そのものともいえる変幻自在の文体は、今も多くのファンを持ち、熱狂的なファンは「ジュウラニアン」と呼ばれています。
おのれの心情を吐露することを極端に嫌った彼の人生は謎に包まれ、そのことがファンの想像をあおっているのかもしれません。
孤高の作家・久生十蘭が55年の生涯でつかんだ、明日へのyes!とは?

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