第六十一話『転がり続ける』-【福岡篇】 作家 檀一雄-
2016-10-29 11:40

第六十一話『転がり続ける』-【福岡篇】 作家 檀一雄-

福岡・博多座。11月の公演は、市川海老蔵演じる『石川五右衛門』です。
石川五右衛門を小説に書いて直木賞を獲った作家がいます。
檀一雄。彼は『真説 石川五右衛門』と『長恨歌』という二つの作品で第24回直木賞に選ばれました。
檀一雄は、福岡にゆかりのある作家です。
父の実家は、柳川市。祖父は久留米市に住んでいました。
幼い頃から住居を転々としてきた檀にとって、福岡の地は、原風景であり、さまざまな思い出に彩られた場所でした。
晩年、自宅にしたのが、能古島。
博多湾に浮かぶ、小さな島です。
わずか10分ほどフェリーに乗るだけで、福岡の喧騒から逃れることができる憩いの島。
秋には、丘一面にコスモスが咲き誇ります。
ここに檀一雄は居を構えました。
別荘ではありません。彼は生涯、別荘を持ちませんでした。
能古島は、休息の場所ではありませんでした。
ここは、再び立ち上がるための場所。
彼には一生でどうしてもやり遂げねばならぬ仕事がありました。
満身創痍。体は病にむしばまれ、悲鳴をあげていましたが、彼はこの地を再起の地に選んだのです。
彼がどうしてもやりとげたかったもの。
それは自らのことを包み隠さず書いた小説『火宅の人』を完成させることです。
昭和50年8月、着稿以来20年かけて、『火宅の人』はできあがりました。
最後は床に伏したままの口述筆記でした。
翌年の1月、63歳の生涯を終えた、檀一雄。
壮絶な人生の果てに、彼がつかんだ明日へのyes!とは?

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