第百二十八話『二つの自分を手放さない!』-【島根篇】作家 森鴎外-
2018-02-10 13:11

第百二十八話『二つの自分を手放さない!』-【島根篇】作家 森鴎外-

文豪・森鴎外は、島根県の津和野町に生まれました。
かつて津和野藩亀井氏の城下町だった、古き良き日本の風景をとどめるこの盆地は、小京都のひとつとして注目され、今も観光客が頻繁に訪れています。
津和野には、森鴎外が幼少期を過ごした家とともに記念館があり、直筆原稿など貴重な資料が展示されていて、彼の波乱の人生を追体験できます。
森鴎外の肩書は、もちろん小説家。
でも、実は陸軍の軍医であり、官僚、ドイツ留学を生かした翻訳家、評論家でもあるのです。
彼の実家は、津和野藩の医者の家系。藩の医師はそれなりの権威を与えられ、教育の場も守られていました。
嫡男として生まれた鴎外は、幼い頃より論語やオランダ語を学び、英才教育を受けました。
しかも、まわりの大人が驚くほどの学力を持っていたのです。
フツウに人生を歩めば、陸軍の軍医としてお国のために奉公し、尊敬を集め、勲章ももらえたのかもしれません。
でも、鴎外は、あえて文学の道を捨てませんでした。
いや、むしろ、文学の道を我が本流として貫いたのです。
寝る間もおしみ、なぜそこまで自分を忙しくするのか。
そこには、鴎外自身の存在価値への不安があったのかもしれません。
なんのために命を授かり、何をすれば命を全うしたと言えるのか。
ひとは迷い、探し、なかなか答えを見いだせないまま、この世を去っていきます。
だからこそ、彼は捨てなかったのです。
自らの可能性は全て試し、両手でつかむ。
少しでも指にからんだものは、手放さない。
彼の小説にはいつも、うまく生きられず、運命に翻弄される人物が出てきます。
それは彼自身の投影だったのかもしれません。
文豪・森鴎外が、数奇な人生でつかんだ明日へのyes!とは?

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