第百二話『失敗を尊ぶ』-【盛岡篇】画家 萬鐵五郎-
2017-08-12 14:06

第百二話『失敗を尊ぶ』-【盛岡篇】画家 萬鐵五郎-

岩手県盛岡駅から車で10分ほどのところに、近代的な美術館があります。
岩手県立美術館。
ひとたび中に入れば、そこは欧米のミュージアムのような佇まい。
広いエントランスに緩やかなスロープは、開放的な空間を演出しています。
庭に敷き詰められた芝の緑、そして、ひっそりと置かれたテーブルや椅子は、まるでそれ自体がオブジェのように、来館するひとを待っています。
美術館の中には、郷土ゆかりの作家たちの作品。
夭折(ようせつ)した画家、松本竣介、彫刻家、舟越保武、深沢紅子。
そしてひときわ目を引くのが、今年、没後90年を迎えた日本画壇の風雲児、萬鐵五郎です。
萬は、いち早く西欧絵画の技法を取り入れた作家のひとりとされています。
マチスなどに見られる、太いシンプルな線で輪郭を描く画法。
ピカソに代表されるようなキュビズム。
試しては苦しみ、苦しんでも試す。
彼は言っています。
「いまだかつてできなかったことを成し遂げようとする。僕にとって、失敗こそ尊い」。
彼の真骨頂は、自画像でした。
最も有名なのが、『赤い目の自画像』。
全体が赤いだけでなく、目も充血したように真っ赤です。
上目遣いに何かを見つめる、赤い目。
彼が見ているのは、不安か、焦りか、はたまた絶望か。
自分がこれだと思えば、なんでも試し、失敗を厭(いと)わなかった精神は、当時の画壇から揶揄(やゆ)されていました。
それでも彼は、自らの革命をやめませんでした。
鉄人と言われた画家、萬鐵五郎が42年の生涯でつかんだ、明日へのyes!とは?

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