第三百九話『隠れた現実を知る』-【東京篇】民俗学者 柳田國男-
2021-07-31 14:27

第三百九話『隠れた現実を知る』-【東京篇】民俗学者 柳田國男-

今から146年前の7月31日に生まれた、日本近代民俗学の父がいます。
柳田國男(やなぎた・くにお)。
彼が民俗学を体系化するまで、日本における「歴史の研究」は、主に、名をなした偉人の政治的な大事件を扱っていました。
しかし、柳田が目を向けたのは、名もなき市井の人々。
度重なる自然災害や歴史的な出来事に翻弄され、それでも力強く生きてきた庶民の生活や風習に光を当てたのです。
民間伝承や土地に伝わる昔話にも耳を傾け、常に「日本人とは何か?」という問いを追及しました。
彼が民俗学を「農民の暮らしを少しでも向上するための学問」と位置付けたのは、幼い頃の経験と関係があります。
のちに柳田は自らの生家を「日本一小さな家」と称しましたが、貧しい一家は、7人で狭い家に暮らしていました。
毎日、喧嘩が絶えない。
子ども心に「家が狭いせいだ」と思ったと言います。
やがて兄嫁は耐えきれず、家を出て行ってしまいました。
さらに何年にも及ぶ、飢饉を体験。
貧しさや家の狭さはひとの心まで変えてしまう。
そもそも、どうして貧しさが生まれてしまうのか…。
柳田少年の心に芽生えた疑問が、民俗学の扉を開いたのです。
「歴史が教える最も実際的な知恵は、民族が進展の可能性を持っていることである」
そう彼は、唱えました。
民は、常に向上する可能性を秘めている。
それを阻むものとは何か、逆にその背中を押すものとは何か、ヒントは歴史にある。
土地にある。
見過ごされてきた現実にある。
柳田は、それらを繙くため、日本中を訪ね歩き、民俗学を開拓したのです。
東京都世田谷区成城で87年の生涯を終えた偉人・柳田國男が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

14:27

コメント

スクロール