地元への思い入れ
上坂あゆ美の、私より先に丁寧に暮らすな。次のお便りです。ラジオネーム、ひとどうらくさん。
私はあまり地元に思い入れがありません。大学入学おきに地元を出て、それ以来年に1,2回帰省していますが、かつての友人と会う約束をしたこともなく、親に顔を見せるという義務感だけで帰っています。
地元で暮らしていくのには肌に合わないと思って出てきましたが、特別嫌っているわけでもありません。
むしろ、せっかくなら、どうにか好きなところでも見つけたいと思っています。お二人の地元との距離感について教えてください。
ということで、ありがとうございます。
ありがとうございます。
あの、私は地元嫌い代表ですけど、
そうですね。
うかいさんはどうですか?
僕はもう、嫌いも何も地元にいますからね。
そうだよね。
うん。
でも、1回東京出たり、イギリス行ったりってぐらいか。
そうですね。
それは戻る前提みたいなところ。東京はちょっと違ったけど、
地元を好きになる
うん。
どっかで京都にいんでやろうなって感じはしてましたね。
じゃあ、この街をもう出ていきたいって思ったことはない?
昔はずっとあったよ。
うん。
昔はそれこそ、だから東京に行ったっていうのはあった。
うんうん。
今はもう、何?受け入れてる。
だから、受けるにはちょうどいいんですよ、京都って。
あー。
これが何もないとか、すっごい嫌なとこがあるとか、
それなら全然いいんですけど、
割と京都は地方都市の中では、いろんな側面がある街なんで、
わかるわかる。
うん。なので、そういう意味ではラッキーでしたね。
そっかそっか。
うん。
今は好きか嫌いかと言われたらどう?
まあ、好きかな。
うん、好きより。
好きよりですね。大好きとは言えないけど、
うん。
好きだよって言う。
熟年夫婦のようなね、安定感でね。
好きというのも恥ずかしいみたいな。
地元の再発見
なるほどね。
そうですね。植坂さんは地元、もう出て何年ですか?
14とかっすか。
大学、私もこの方と一緒で、大学入学と一緒に上京つーか、
その大学が山奥すぎて、厳密に言うと神奈川県だったんですけど、
最初にね、引っ越したのは神奈川県の端っこだったんですけど、
に来てからもうずっと東京にいるので、
18からだから、でも14、15年とかじゃないですかね。
わりと長いですよね、もう。
長いね。もうすぐ東京期間のが長くなるって感じだね。
そっかそっかそっか。
だから18までいたからね、あと数年で東京のが長くなりますけども、
なんかあの、まじで10代の時は、もう本当に嫌いで地元が、
おんでてやるよっていう、その、おんでるって日本語あんま言わんけど、
なんか、もう沼津をおんでることが生きる意味というか、そのモチベだったんですけども、
だからそれぐらいもう憎んでいたんですよね。
で、なんか沼津っていうのがまた中途半端な地方都市で、なんか超田舎でもないんですよ。
ほうほうほうほう。
なんか普通にある程度のものはだいたい揃うし、
はい。
まあ映画もそれなりにやってるし、
うんうん。
で、東京行こうと思えば1時間半で行けるみたいな。
あーそれぐらい行けるんだ。
そう、だって横浜とかだとたぶん1時間ぐらいだからね。
静岡県の東寄りのところなので、全然行けちゃえて、
それでなんか田舎ってほどでもないが、都会というには文化が乏しくて、
最新の見たい映画とかはまだ映画館でやってなかったりもするし、
それこそ単価の本なんて置いているお店すごく少ないし、
ほうほうほうほう。
本はね、本当に、なんか独立型書店にしかない本とかジンとかあるじゃないですか。
ありますね。
まあまあまあ、そういうのは本当に入手できないし、
本は出るもんね、そういうのがね、街が出る。
そうそうそう、街が出るじゃん、そう。
そういうのないし、なんかあれなのよ、地方都市あるあるなんですけど、
なんかバイパス、私が沼津と言われて思い浮かぶのは、
でっけえバイパス沿いにチェーン展開を全国でしているラーメンや、
チェーン展開を全国でしている牛丼や、
チェーン展開を全国でしている大型医療服店、
チェーン展開を全国でしている電気屋みたいなのが立ち並ぶ景色って感じで、
そう、なんかね、沼津だからあるみたいなものって、
実はあんまないなっていう印象なんですよね。
で、海あんじゃんって話なんですけど、
なんか沼津港ってね、沼津駅から車でちょっと行かないとなくて、
ほうほうほう。
私の生活圏内沼津駅周辺だったので、
子供、車乗れないから、ほぼ行かないんです海とか。
生活圏にないんです海。
ないからさ、まじで、
ただのコンクリートの地方都市みたいなのが、私の沼津の原風景なんですけども。
かといってさ、もっとめちゃくちゃ田舎だったらさ、
漁業の文化とかさ、農業の文化とかさ、
地元にしかないお祭りや風習があったりもするじゃん。
そういうのも特にないんだよね。
絶妙だなーみたいな、
そのやっぱ、地方都市あるあるだと思います。
千葉県とか茨城県とか群馬県とか埼玉県の方も、
もしかしたら近い思いがあるかもしれませんが、
なんかそういう街だったんですよね。
で、なんていうか、
個性が這いされてるなーって、やっぱそのチェーン店ばかりの街並みを見て、
すごいなんか思ったりして、
そんな街でもやっぱさ、自由できる時も狂気乱舞だったからね、沼津民は。
そう。
自由が来るぞーって。
そうそう。
まじで自由を勝ち得た民衆のように湧いてたからね。
なんかそういうのを見てさ、個性とはみたいな。
で、やっぱみんなが聞いているもの、みんなが好きなものがなんかこうよしとされるような、
やっぱ学校とかでもなんかそういう感じだったので、
なんかこう出る杭打たれる的な感じを感じてたんですよね。
そう。っていう思い込みが強くて、東京に行ったんですけど、
今もやっぱり東京の街はすごく好きなんですけれども、
スーモタウンっていうさ、街エッセイの媒体があってさ、
ありますね。
そう。で、それの執筆のご依頼を数年前にいただいて、
沼津のこと書いてくださいって言われて、
で、それを書くにあたり、今さら沼津の観光名所を行ってみたの。自分で。
そしたら、悪くないなって思った。
なんかね、私が当時こう自分でディグロートしてなかっただけで、
全然あった。固有の文化。
あと、私がいた当時はなかったけど、今はもう沼津はラブライブの街なんで。
あ、そうなんよ。
ラブライブのアニメの舞台が沼津なんですね。
でも週末になると、全国各地からラブライバーが来るんですよ。
もうラブライバーが経済をぶん回してるんですよ。
すげーな。
すごいですよ。ありがたいですよね。だから地方都市としてはね。
でも、ラブライブ以外にも、見て見ぬふりをしてただけで、
よくわかんない謎の喫茶店とかあるんですよ。
なんかね、店内にね、川が流れてる喫茶店なんですよ。
最高やんけ。
やばいでしょ。
でね、注文すると、たらいに乗って、その川をどんぶらこどんぶらこと流れて、
パフェとかコーヒーが届くのよ。
意味わかんないじゃん。
意味わかんない。
詳しくはスーモタウン、植坂あゆみとかで検索したら出てくると思うんで、
ちょっと記事読んでほしいんですけど、なんか、やっぱそういうのもあるし、
その漁業が発達してるから、めちゃくちゃおいしい、
食ったことねぇぐらいおいしいひもの屋さんとかあるし、
なんか、あったなぁと思って。
あと、沼津は港町なので、駅前になんかね、謎の横丁がね、乱立してる地帯があって、
ちっちゃいちっちゃい飲み屋が、こう、なんとか横丁と名乗るやつあるじゃんか。
うん、ありますね。
そう。で、あれが、なんかね、宇宙のようにね、歩いても歩いても横丁が見えてくるみたいな地帯があるの。
ほうほうほうほう。
そう。で、何個あんの?ってレベルで横丁ばっかりがある地域とかがあって、
え、なんかすごいこの町の文化だみたいな、めっちゃ古いお店ばっかりなの。
でも、閉じちゃってるとことからもあるんだけど、
なんかちゃんとあったんだなーみたいな。
もう、私の生活系に海ないぐらいに思ってたけど、海もあったし文化もあったなーみたいな。
はいはいはい。
うん。ことをね、大人になってから改めて思ったりしたので、
この人とか、地元嫌いな人とかも、一回ちょっと見過ぎだと思って、
地元の観光名所とか、自分が好きそうな場所めちゃくちゃディグってみると面白いかもしれない。
うかいさんもまだ知らない京都があるよ、きっと。
全然ある、全然ある。
あるでしょう。
全然あるし、それってある意味では、今の歳になったからこそ分かるものみたいなものはない?
あるよ。多分当時は何言われても信じなかったと思う。
そうそうそうそう。
なんかそういうのも強いと思ってて、
なんかやっぱり10代って、俺マクドが最強やと思ってたもん。
京都なのに?
うん、京都なのに。
なんや湯葉って、みたいな。
なんやコシのないうどん出しやがってって思っとうよ。
今コシのないうどん大好きやもん。
京都のうどんうまいよ、マジで。
マジでだし。
だし。
みたいな。
でも、そういうのはあるからこそ、なんか知らんたしかに一面はどんどん出てくるよね。
そうそうそう。
でさ、やっぱりかつてめっちゃ地元嫌ってた私がそれを、今の私がその人生を経て再発見できるっていうのはいいじゃないですか。
いいっすね。
そう、生きるってこういうことだなとか思いますよ。
だからやっぱ嫌いとか興味ない無関心なものが多いよりは、いいじゃんっていうものが多いほうがやっぱいいからさ、人生。
いや、そうなんすよ。
で、まあ許せないとか許せないとこであっていいんですけどね、なんか。
無理に許さんでいいんですけど。
私も沼津の嫌いなとこまだ全然ありますけど。
そう。
スーモタウンの記事書いたときね、上坂さんちょっと悪口がきつすぎるのでもうちょっとみたいな。
だいぶトロしてたね。
そうですよ、リテイク2回ぐらいやったから、悪口が強すぎて。
今は帰ってるんですか、たまに。
帰ってますよ、近いからさ、あと最近祖父が亡くなったりとか、一周期だなんだとかで結構頻繁に帰ったりもしてたし、
この間静岡県の仕事があったりしたときは、やっぱ母とか来てくれて一緒に行ったりとかしまして、
地元の変化と感じ方
でも私もこの人と一緒で地元にほぼ友達いなくて、親親族に会う以外の用事ほぼないんですけどね。
むしろね、変わらないものってあります?
昔と?
いろんな意味で。
変わらないものか。
沼津でも東京でもサイゼリアはうまいなとか。
ちょっと違った。
違った?どういうこと?
なんていうかね、僕はね、ずっとね、地元とかふるさとって言う言葉が感覚にないままなんですよ。
っていうのは、上坂さん知ってるし、友達とかも知ってるけど、めっちゃなんか繁華街の中にある寺なんですよ。
そうだね。
だから逆に言うと、ほとんどの景色が変わっちゃったんですよ。
確かにね、あそこらへん入れ替わり激しそう。
そうそうそうそう。
で、本当に変わらないものって寺の並びぐらいで、
なんかその時に、ふるさと感みたいなのが、すごい欲しくなった時だったんですよ。
でも、このままじゃずっと俺、京都に居続けなあかんのだろうかみたいな時に、東京行ったんですよ。
もうちょっと理由はあるんですけど、東京に行った時に、地元っていうのが見えるんかなみたいな。
確かにね。
一回、それ以外を知らないと比較できないからね。
で、その時になんか、半端に大阪とか行ったらあかんと思って。
もうどうせなら、日本一のところに行こうみたいな。
で、なったらもう東京しかないわってなったのが大きかったっすね。
なるほどね。
じゃあ、行った後、地元の見え方変わったんですか?
変わりましたね、だいぶ。
まず、人が全然ちゃうじゃないですか。
その、東京と京都以外も一緒で、
自分が住んでた町の人の感性、それは言い悪いじゃなくてね。
と、東京で生きてく人たちの感性の、こんなちゃうんよみたいな。
確かにね。
何を大事にするかとかって、こんなに変わるもんなんやっていうのは勉強になりましたね。
確かに確かに。
そうだよね。
私も東京行ったら結婚しないんですか?とか、滅多に言われないけど、
やっぱり地元では言われるとか、
言われる言われる。
なんか、何丁目のなんとかさんが自殺したらしいよとか、東京で聞いたことないから。
そういうのありますよね。
でも、同時に東京の居づらさもあったりして、
結局そこでどうみんな折り合いをつけるかで、
俺はある意味ずるい立場で、帰れる場所があるから、
帰ってもいいかなって思う場所がある中でそれをやってたから、
ちょっとずるいやり方やなと思いながらやってた。
そんなことないけど。
でも、私とか親離婚して、実家もうないから、
今、母とか姉が住んでる家は、私は暮らしたことがない家が実家だから、
その寂しさみたいのはちょっとあって、
私がね、引っ越したから言っていいと思うんですけど、
私が暮らしてた家は、沼津駅から徒歩10分ほどの場所にある、
駅からほど近い、それなりに人通りがあるところの、
3階建てのビルに住んでたんですね。
1階が美容室で親がやってる、
2階、3階が住居みたいな感じだったんですけど、
そこをやっぱり、私とか父親とかが離婚して出て行ってから、
空き物件として売られていたんですよね。
で、私かつて住んでた時、その家の目の前に、
目の前のビルの3階に、
エブリワンっていう英会話教室があったんですよ。
そこに姉と一緒に通ってたのね、かつて。
でさ、数年前に地元帰った時に、
その生家の家を通ったの、車で。
そしたらさ、売られてたんだけど、もともと。
私が住んでた家がさ、エブリワンになっててさ、
エブリワンだと思って、
元からもう私たちは、君も私もエブリワンで、
エブリワンの中で生きていたのでしょうか、みたいな、
変な気持ちになりましたね。
エブリワンは私たちなのか、みたいな。
エブリワンとは、みたいな感じになってね、
かつて住んでた家が、かつて通っていた英会話教室になっていたっていう、
なんか不思議な気持ちになりましたね。
変な、なんか世にも奇妙な物語みたいな。
エブリワンって、このまま膨張し続けるんだろうか、みたいな。
みんなを飲み込んでいくんじゃないか、みたいな気持ちになりましたね。
エブリワン氏になるかもしれない。
街の変化と良いところ、悪いところ
別に、エブリワン、今も実在してる店舗だと思うので、
別にエブリワンは悪くないんですよ。
私が勝手に思っただけ。
なんか、こないだ地元帰った時に、
なんと、沼津に独立型書店ができておりまして。
なんだと?
ニュースじゃない?これ、まじ。
インディペンデントブックストアが。
そう。
それってさ、文化のある街にしかできないものの象徴じゃん。
すごい言い方する。
びっくりしてさ。
で、私の本を置いてくださってることも知ってたんで、
ご挨拶に行ったんですよ。
それがね、沼津市にあるリバーブックスさんっていう書店さん。
沼津にある鴨川っていう、鴨川じゃなくて、鴨川っていう川の近くにある本屋さんでね。
なんか、もともとその店主さんも沼津出身で、東京で編集のお仕事してた後に沼津帰ってきて本屋さん始めたみたいな感じで。
いやー、ありがたいと思って。
だって、これからは沼津の人、そこでタンカとかシーカとか珍しい本が買えてさ、
それってすごいことだなって思ってさ。
話変わってくるよね。
そうなの。だから、友達はいないけど、沼津帰るとそういう本屋さんがあるとかは結構嬉しいなって。
なんか、話できる店主さんがね、すごいお話してくださったから、
なんか、そういう話とかもできるなと思って。
嬉しかったな。
街は変わっていきますね、やっぱり。
ねー、大きく何かが変わってるね。
再開発とかも今ゴリゴリじゃないですか。
してます、してます。
だから、うかいさんみたいに、ふるさとの風景がどんどん変わっちゃう人とかも多いだろうね。
京都も変わってきたしね。
そうだね、京都もね。
変わらないものもあるけど、やっぱりすごく変わるからね。
じゃあ、みなさんも地元にもいいとこ悪いとこがあって、
東京にも大阪にも京都にもそれぞれにもいいとこ悪いところがあるねという話でした。
まあ、足を運ぶことは今でもできるってことだよな。
そう、だよ。
で、やっぱさ、実存してるうちに行ったほうがいいっていうのは真理だね。
それはそうね。
どんどん消えちゃうから。
私の大好きな形勢立て室とかも全然変わっちゃいましたから。
みんな、まだ残ってるうちに行こう。
上坂亜佑美の私より先に丁寧に暮らすな!では、
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