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おととい6月4日の夜にNHKで放映されましたサハロフのドキュメンタリー番組を本日観ましたので、その感想を一言お話したいと思います。
この番組は、2022年、すなわち一昨年にロシアで作成された番組でして、
この番組はアメリカで出版されたサハロフの伝記ですかね、そういった非常に大部の本のようですが、それをもとにして作られたもので、
そこにはサハロフの回想録とともに、これまで非公開だった様々な文書が利用されているということで、サハロフの新たな側面が描かれているのだと思います。
ただ私自身、サハロフについてあまりよく知りませんでしたので、どこが新しいのかということはよく分かりませんでしたが、それでもとても興味深く見ることができました。
サハロフは水爆の父とよく言われていまして、第二次大戦後、ソ連において水爆開発を担った理論物理学者でして、ちょうど第二次大戦中に原爆開発を進めたオッペンハイマーと似たような立場にいたと思います。
ただオッペンハイマーは理論物理学者ですが、原爆を作るということに関して何か科学的な貢献をしたというよりは、むしろその研究プロジェクトを進めるリーダーとして非常に活躍したわけですが、
サハロフは水爆の設計などにもかなり貢献したということで、科学者として非常に優秀だったということでもあるのかと思います。
それでサハロフはそのためにソ連から勲章を3つもらったということで、ソ連の国家に対しても非常に貢献をしたということがあるわけですが、その後その3つを剥奪されたということにもなります。
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それはある種国家の方針に反対したということからですね。そしてサハロフは6年間、流刑というんでしょうか、外部との接触を禁じられるようなそういう境遇にも置かれることになりました。
それでもそういった様々な弾圧には屈せずに、平和運動あるいは人権擁護の活動を続けたということで、最終的には選挙でですね、当選し政治家にもなるようなそういう生涯を送った人です。(この部分,訂正あり。概要欄参照)
オッペンハイマーと比べてみますと、懲問会で様々な権限を剥奪された後にですね、もうほとんど公的な活動をしなくなったオッペンハイマーと比べますと、
サハロフはソ連からですね、弾圧されたにも関わらず、できる限りの様々な活動をし、その中にはハンガーストライキなども含まれているんですが、ともかくやれることは何でもやって、社会に影響を与えようとした。
そういうところがオッペンハイマーとはかなり違っているなというふうに思いました。
どうしてそうなったのかということは、老いたちであるとかですね、それまでの様々な人生の中で決まってくることですから、そう簡単には比較できないと思いますけれども、
でもですね、似たところもありました。その強力な兵器を作るということが戦争をなくすという、そういう考え方を持っていたようで、これはオッペンハイマーにも共通するところなのかなと思いました。
しかし当然それはそうならなくて、その強力な兵器をどう使うかというのは政治家に任されるということで、そこで科学者と政治家が対立してしまうわけですね。
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そこのところはとてもよく似ていました。また、その強力な核兵器を作れば戦争がなくなるという発想自体が、ちょっと私には信じられないんですけれども、そういうことを考えたということ自体が、
科学者の甘さというか、そういうところなのかなというふうに思ってしまうんですね。
政治家に対する考え方、あるいはもっと言えば人間に対する考え方が非常にナイーブ、性善説に立っているというのでしょうか、そういうところがあるんだなというふうに思いました。
もちろんこれは私が核兵器が既に使われた世界に生まれたということもあると思います。それが当たり前の世界ですから、私自身も甘いところはたくさんあるわけでして、とても人のことをどうこう言える立場ではないんですけれども。
ということで、このサハロフについてはあまり情報がないんですけれども、その中でとてもいいドキュメンタリー番組になっていたなと思いまして、
最近あまり再放送しないんですけれども、ぜひこれはまた再放送してほしいなというふうに思った作品でした。それではまた。