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2024-06-07 15:39

デザインの起源【ショート編】

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長崎大学情報データ科学部の講義「デザイン情報学」から,デザインの起源についてお話した内容を一部切り出してお話します.   柏木博「デザインの教科書」▶ https://amzn.to/3Vxq6xv   デニス・ダットン「美の進化論的起源」▶ https://www.ted.com/talks/denis_dutton_a_darwinian_theory_of_beauty?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare   ニュースレター「STEAM NEWS」▶ https://steam.theletter.jp/  

サマリー

柏木博史先生の「デザインの教科書」という本では、デザインが身の回りのものを工夫することで、より豊かな生活を実現すると説明されています。

デザインの起源
いちです。おはようございます。
今回のエピソードは、デザインの起源にまつわるショート編です。
僕が、長崎大学情報データ科学部で担当している講義、
デザイン情報学から内容を切り出してお届けをします。
このエピソードは、2024年6月6日に収録しています。
柏木博史先生のデザインの教科書という本があるんですね。
本書では、デザインとは何かという質問に明確に答えられているんですが、
デザインとは何か。
デザインとは身の回りのものを工夫することで、
より豊かな生活を実現する行為だというふうに、
読んでいらっしゃいます。
例えば、腰かけられるような木箱を作ったとしましょう。
この木箱にお尻を乗せれば、足を休ませることができますし、
木箱を持ち上げて、設置場所を変えて、日当たりのいい場所であるとか、
物を食べるのに便利な場所へと設置場所を変えていくこともできるんですね。
これは非常に原始的な例ですが、
それでも人類が椅子をデザインした例というふうに呼ぶことができると思います。
これは少し余談になるのですが、
デザインという単語、言葉、その言葉自身の語源というのは、
古代ローマで喋られていたラテン語のディシグナーレという単語が語源だと言われています。
ディシグナーレ。
英語のディシグネーティッドと同じで、あらかじめ決められた、あらかじめ決めておくという意味なんですね。
例えば、次の部長、次期部長とかはディシグネーティッドマネージャーというふうに、
これがデザインの語源。
このデザインという語源が、後にイタリア語のデッシニューレ、フランス語のデッサンのように、
素描という意味も付け加わっていくので、
設計という意味と、それから絵を描くという意味と、両方に枝分かれしていくわけなんですが、
デザインというのは前もって決めておく、設計するというのが語源になります。
話を戻すと、このデザインというのが美学、神秘学ですね、美術と共通の意味を持つのは、
ひょっとしたらこの日用品を作る、日用品をデザインするという行為が、
日用品というのは常に目の届く位置にあることから、それが美しくあってほしいという願いを持つ、
この人類共通の思いから、2つの意味というものが生まれたのかもしれません。
では、人類最初のデザインとは何でしょうか。
これは残念ながら、柏木博士先生の教科書には触れられていなかったのですが、
人類最初のデザインとは何だろうと、僕自身もすごく興味があって調べていたことがあります。
例えば、布と衣服はどうかなというふうに考えたのですね。
布なんですが、これはおよそ5000年前から作られていたそうです。
5000年前というと、古代エジプトであるとか、
メソポタミアとかコーガ文明とか、
人類初期の文明と同じくらいの歴史になるんですね。
これは糸から布を織るという布で、これで衣服を作った。
これは5000年くらいなんですが、
ただ、布の発明よりも、より早く、もっと前から、
おそらく数万年前から人類は服を着ていたそうなんです。
なので、5000年より昔の人がスッポンポンだったかというと、そんなことはなくてですね、
おそらくは動物の毛皮とか植物とかで服を着ていたというふうには考えられます。
これは直接的な証拠はないんですが、
人類についていた白身の研究なんかからわかっているそうです。
では、器のほうはどうでしょうかね。
器、ご飯を食べる器、煮たり炊いたりする器。
一番古い器というのが土器になるんですが、
デザインの歴史
およそ1万から1万2千年ほど遡るそうなんですね。
これは人類が農耕を始めた時期と一致しています。
そして農耕を始めた時期というのは、最後の氷河期、最終氷期が終わった時代と重なります。
氷期、氷河期というのは、地球全体がどうも氷で閉ざされていたようだというふうに言われています。
これは仮説なんですが、今よりも気温がぐっと低かった時代ですね。
その後、地球は1万から1万2千年前から少しずつ暖かくなっていって、
地球のあちこちで、まずは麦を育てられるようになったわけですね。
麦は生では食べられませんから、煮たきするために火と水と器が必要になったというわけです。
この器なんですが、土を水でこねて火で焼くことで作っています。
麦と火と水と土が人類に土器をデザインさせたということですね。
土器が最も古いデザインでしょうか。
よくよく考えてみると、石器、石で作ったナイフですね。
これはもっと時代を遡ります。
石器はおよそ260万年前から、もしかすると300万年前というふうに言われています。石器の歴史ですね。
ひょっとすると300万年前から使われている。
300万年前、これは特別な意味があります。
我々人類、ホモサピエンスの歴史は、20万年から30万年しかないんです。
ということは、人類が石器を使ってきたという時には、これはホモサピエンスだけじゃないんですね。
実際、ホモサピエンス以前のホモ族、ホモネアンデルターレンシス、これはネアンデルタール人のことですね。
ネアンデルタール人も石器を使っていました。
ホモハイデルベルゲンシス、ホモエレクトス、ホモハビリスといった、
すでに絶滅したホモ族たちも石器を使っていたことがわかっています。
柏木博士先生の定義に従って考えるならば、
ホモ族、これは別名、ヒト族ですが、
原生人類、ホモサピエンスに進化する前からデザインという活動をしていたようなんです。
デニス・ダットン教授という方がいらっしゃいます。
彼はテッドトークの中で、ホモエレクトスにも美学の才能があったということを示しています。
デザインと美しさが常に強く手を結ぶのは、人類共通の思いなんだそうです。
ここで人類というのは、我々ホモサピエンスだけではなく、
絶滅したホモ族全体、およそ300万年の思いなのかもしれないんです。
このポッドキャストエピソードの概要欄に、デニス・ダットン教授のテッドトークへのリンクも貼っておきますので、
よかったら一緒に見ていただければと思います。
というわけで、ショート編をお届けしました。
今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
お相手はSteamFMのいちでした。
よろしかったら、ニュースレターの方もご登録をお読みいただければ幸いです。
では、また次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
次のエピソードでお会いしましょう。
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