東京都現代美術館について
はい、アートテラー・とにのそろそろ美術の話を。この番組は、私アートテラー・とにがアートに関わる方をゲストにお迎えして、トークを繰り広げるポッドキャスト番組です。
本日は、東京都現代美術館学芸員 八巻香澄さんをゲストにトークをしていきたいと思います。
はい、ということでご出演いただきありがとうございます。
いいえ、お招きいただきありがとうございます。お招きというか、こっちに来ていただいているんだけど。
そうなんです。今、東京都現代美術館閉館後の美術館で、一番吹き抜けの空間ですから、めちゃめちゃ天井高いです。
すごい広いところですごいちまっと収録しております。
八巻さんは、この番組が始まったときから出てほしいなと思った。
ありがとうございます。
そうなんですよ。覚えてますか?ちょっと本編入る前になんですけど。
僕が一番最初に横浜美術館で活動を始めたんですけど、その後全く横浜美術館の仕事もなくなって、超低迷期だったときに。
超低迷期だったんだね。
美術館の学芸員さんとのコネの作り方もわからないしというときに、八巻さんが連絡いただいたんですよね。
別に友達になってくれ的なことじゃないですよ。
ブログを読んだから。
ブログを読んで、作家を男性と間違えてたんだけど、実は女性作家だから訂正してくれっていう連絡を入れました。
でもその後に、「いらっしゃいませんか?」みたいな感じでしたよね。
行きましたもん、俺。
私そんなに親切なことしたかな?
いやいや、たぶんやりたいです。僕もそういうのを気に使ってた方だから、当時。
そんなに押しかけたりはしないので。
呼んでいただいて、庭園美術館にその後行って、そこから気づいたらちょこちょこお会いするような。
毎年一緒にトークイベントみたいにやっているので。
そうなんですよ。だからあの時に声をかけていただかなかったら、たぶんもう僕は美術館との接点って一生ないんだろうなと思ったので。
そんなことないでしょ。
八巻さんは僕の中では恩人だと思ってますので。
今日はいろいろとお話していただきたいと思います。
その頃は東京都庭園美術館の学芸員さんだったんですけど、数年前から東京都現代美術館に移っていた。
今何年目になるんですか?
5年目になります。
5年目になりますが、3年働いてなかったので、まだ2年目のぺいぺいでございます。
そんなぺいぺいの。
ぺいぺいでございます。
八巻さんに聞くのもあれなのかもしれないですけど、東京都現代美術館についてお話をまず伺えたらなと。
大丈夫、暗帳庫があるから何でも聞いて。
まず今回収録する東京都現代美術館について簡単にまずは教えていただけたらと思います。
東京都現代美術館と。
めっちゃ読みまくってるじゃないですか。
1995年3月に開館いたしました。
開館した時にあまりにも地の果てにあるので。
駅からちょっと距離ありますね。
そういう意味でね、まだ牙駅が最寄りだったんですけど。
当時は。
当時は。
清澄白河がなかったんですか。
そう、まだなかったんですよ。
そうなんですね。
なんかそもそもその駅が存在していなくて。
だから皆さん東京駅からバスで来るか、牙駅から縁をごらん歩くかみたいな。
なんでこんなに美術を見る前につらい目に合わなきゃいけないんだろうみたいなね。
そういう美術館でした。
それは確かに地の果てですね。
そうですそうです。
そんなこと言うとこのエリアに住んでいる方に怒られちゃいますけども。
それから30年弱経っているので、その間に清澄白河もちょっとギャラリーができたりいなくなったり、
サードウェーブコーヒーのおしゃれなお店ができたり。
だってブルーボトルコーヒーの第一号はこの辺でしたもんね。
そうなんですよ。
そうですよね。
そういう意見をあちこちに作っちゃって。
レア感がなくなっちゃいましたよね。
そうなんです。
地元はちょっと冷ややかな目で見てるんですけど。
そんな情報も織り混ぜつつ。
そんなところにある江東区にございます。
巨大な美術館でございます。
ここは現代美術専門の公立美術館。
美術館のコレクション
そうなんです。森美とかより古いですからね。
そうかそうですよね。
東京都の美術館としては何個目くらいなんですかね。
庭園美術館の方が先ですよ。
もっと前にありますよね。
都美が一番前ですよね。
東京都美術館が一番古くて。
庭園美術館があって。
たぶん90年が江戸白とか。
そうですね。
社美とどっちが早いんだろう。
社美がたぶん92とかだった気がします。
単純に書いてないわ。
でもたぶん一番最後じゃないですか。
だから一番新しいと思いますよ。
東京都としてはってことですよね。
その後いろいろできたので。
公園通りギャラリーとかね。
そうですよね。
東京都現代美術館の特徴としては
床面積、延べ床面積が33,515メートル平方メートルという
日本最大の美術館建築。
そうなんですか?
らしいですよ。文館を含めた場合、日本2位。
1位は?
たぶん大塚国際美術館じゃないですかね。
たぶん3位の国立新美術館。
新美より大きいんですか?
たぶん延べ床だったら大きいんじゃないですか。
なるほど。
あと天井高も高いですよ。
そんじませんでした。
そんじませんでした。すいません。
あとでも、僕は都原美さんでいうと
リニューアルしたじゃないですか、数年前に。
リニューアルしていいんですけど
昔の時に通路みたいなエントランス開いたところに
ドーンと突き抜けるところにあった
なんかめちゃくちゃフカフカソファみたいなのありませんでしたか?
なんかわらび餅みたいなのありました。
人をダメにするソファができる前からあった。
相当ダメになりましたね、あれは。
あれがなくなっちゃったのがめちゃめちゃ寂しいんですけど。
あれは私たちもお気に入りだったんですけど。
あれどこに行っちゃったんですか?
どこにあるんですかね?
それは知らない。
あれ欲しいですよね。
欲しいですよね。でももうないんじゃないかな。
そうか。
リニューアルもちょっとしたりとかしながら続いているということですね。
そうです。
ちなみにコレクションは何点くらいある?
コレクションは約5700点です。
どんなコレクションが多い?
コレクションは多いです。
アンチョコに書くことでもないし。
本当だね。
いろいろあるんですけど、コレ何て説明したらいいんですか、トニーさん。
俺がやるんですか。
でも今も収蔵作品で増えていっているんですか?
もちろんです。
こちらで展覧会をやった作家さんを買い上げさせていただいたり、寄贈いただいたりというのもありますし、
もう既にご活躍されている方からとか、ご遺族の方からまとめて寄贈していただくなんてこともあるので、順調に増えておりまして。
あれ、汚くなっちゃう。
それはコレクション展という形で中身を入れ替えながらも見せつつ、それと別に企画展もやっているということですね。
そうですね。
企画展は年間どれくらいやっているんですか。
年間はですね、年間3フェーズに分かれ、だいたい3ヶ月ずつぐらいやっているんですけど、企画展リストが3フロアあるので、最大3つ。
それぞれ別々にもできるし。
そうし、2フロア使っているのと、1フロアだけのとで2つだけやるという時もあるので、全部でいくつだ?
例えば今年度だと10みたいな感じですね。
結構やってますよね。
コレクションも今数えちゃったから。
そうかそうか。
山木さんの展覧会
そうなんです。
うちはよくね、美術館のコレクションで常設展みたいな言い方して、ずっと変わらないじゃないみたいなイメージがあるんですけど、
うちはかなり毎回、キュレーションが立った形でコレクションを見せているので、コレクション展って呼んでいて、だからもう展覧会なの。
なるほどなるほど。
という誇りを持ってカウントしてみました。
結構やってますもんね、そう考えると。
そうですね。
企画展のテーマはみんなで会議して決めていくものなんですか?
みんなで会議をする。
最近だとあれじゃないですか、クリスチャンディオルテンがだいぶ話題になってましたよね。
ディオルテンすごかったですね。
結構入れなかったとか、あと展売屋が出たみたいな。
展売屋すごい多かったです。
チケットが。
10時開館なんですけど、朝6時ぐらいからチケット実券をお買い求めのために並んでいる方とかもいらっしゃったりして、
なんかちょっとディズニーランド的な感じの。
すごいですね、中の人も大変だったですね、そしたら。
そうですね。
あの祭りはなかなかないと思います。
でもあと何ですか、石岡英古展の時とかも、なんか口コミでバーっと。
結構コンスタントにそういうことが多いなと思うし、
しかもやっぱり都心の美術館じゃない。
まあ都心なんですけど、さっき言ったように。
大徳は都心だ。
都心ですけど、でもやっぱり駅から距離があるのに行列ができることが多々あるっていうのはすごく特殊な美術館だなと思います。
上野とか六本木とかはよくあるんですけど、そういう意味ではすごく若い人も特に集まりますもんね。
ありがたいことです。
で、今回は今会場に来てるんですけど、せっかくということで、それはやっぱり山木さんの担当の展覧会について。
ありがとうございます。
これはアンチョコなしで全然いける。
アンチョコ自体がないんですよ。
ここからの話はもう全然いける。
わかんないけど、できる限り全書します。
全書していただきます。
はい、ということで、まず現在開催中の山木さんの展覧会のタイトルから教えていただけたらと思います。
あ、共感とかじゃなくて。
これはもう正式タイトル。
正式タイトル。正式タイトルはカギカッコ付きで、あ、共感とかじゃなくて。
まずどんな、なんでこんなタイトルなんでしょうかもありますけど。
これを企画したのが去年なんですけど、去年の6月に越後つまりで、
修学旅行に来た中学生が作品を触って壊しちゃうという事件がありましたよね。
ありました。この番組でも取り上げました。
そうなんですよ。
そのニュースを聞いてとても心を痛めたんですが、触って壊しちゃったことは、まあいいのよ、いいのよって言っちゃいけないんですけど。
まあそこはさておき、触って壊しちゃった中学生に対してすごいバッシングが起こったじゃないですか。
中学生なんかどうせ美術わかんないんだから美術館なんか入れるなとか、
大人の叩きに反発
なんかねすごくその中学生、まだ子供の年齢の人に対して、なんかもうお前が弁償しろとか顔を出せとか、
すごくいろんなことを言っている大人たちがネット上にワンサー書いて、
それがねすごくびっくりしたんです。
ああ、そっちの反応にってことですね。
そう。え、そこまで言う?みたいな。
私たち美術館は子供たち、中学生とかにも来てほしいし、
あとどうしてそういうことに至っちゃったかわからないけれども、
例えば思春期のモヤモヤした気持ちがあったりとか、
お友達同士といるから盛り上がっちゃってついつい暴力的なことに出ちゃうってありますよね。
ありますよねって言うのもおかしいけど、あってもおかしくない。
そういう人たちも含めて受け入れたいって美術館は思っているのに、
何が嫌か勝手に分断させているんだと思って。
それはもう本当に怒り浸透だったんですね。
なおかつ、コロナ禍で多分修学旅行、その前の年とか行けないような状況だったじゃないですか。
ようやく行けた修学旅行。
でも多分ちょっと例年よりもダウングレードしてたりとか。
そうですよね。県内なわけですもんね。
いろいろ多分、学校生活不自由あるだろうこの子たち。
そりゃうっくつしてるでしょ。かわいそうじゃないっていうのを、
全く考えていない大人たちの叩きっぷりに腹が立って、
子供たち側からのセリフなんです。
教官とかじゃなくて、大人がわかった口聞くんじゃねえよという意味でつけたタイトルなんですね。
そこからタイトルがこうだとして、展覧会自体はどういう作品にしようとか、
どういうものを見せていこうというのは、そこからどうやって進んでいくんですか?
うーん。
何の時間か今。
いやいや、なんて答えたらいいんだろうと思う。
展覧会ってどうやって作るんですかっていう質問って、
案外直急すぎてびっくりしちゃった。
先にタイトルが決まったってことですか?
まずこの教官とかじゃなくてって言葉が浮かんで、
そこからどう進んでいくのかな?
本当ですよね。タイトルが真っ先に決まっちゃったんですわ。
でも珍しくないですか、そういうことって。
大体タイトルから決まる。
そうなんですか、これまでの展覧会。
間違いなくタイトルかキャッチコピーから決まる。
決めてるんだ。
そこからどうするんですか?まずコンセプトが決まるんですか?
それとも、この教官とかじゃなくてっていうフレーズが思いついたから、
あの作家とあの作家とあの作家に声をかけようになるのか。
どう進んでいったんですか、そこから。
しばらく、教官って何だろうみたいなことを考え続ける。
誰を入れようとか、作家は誰にしようみたいなことは、
しばらく考えなかったです。
まずその教官という出てきたフレーズに対して、
自分なりに考える。
子どもたちを巡る、中学生からスタートしてるから、
子どもたちを巡る状況として、
どんなことに着目しなきゃいけないかなとか、
ということを先に考えていって、
どの作家さんだったら一緒に考えてくれるかな、
って言って探すという感じかな。
今回その教官というのは、その時に山木さん的には
まずどういうことを思い立ったんですか、その教官という言葉に対して。
パドゥン?
全然共感してもらえなかった。
教官という言葉もいろいろとあるじゃないですか。
僕だったら、教官というとシンパシーとかの意味だから、
どっちかというとハッピーな感じの印象を受ける。
まず教官という言葉だけだった。
共感する、共感できてよかったね、みたいな。
でも多分今回、僕が手の中で先に見させてもらったんですけど、
教官というタイトルだけど、みんな共感してねっていう感じではないな。
共感しなくてもいいよね、みたいな。
できると思ったら大間違いだぞっていうのが。
とかじゃなくてって言ってるから、多分そういうことなんだなと思うんですけど。
教官をして、展覧会としてはまず皆さん、
展覧会は本当にどう受け取ってもいいと思うし、
作品をどう受け取ってもいいと思うんですけど、
この展覧会について、まずそもそもメッセージとしてはどういう感じで進めていったんですか?
教官ってハッピーなものじゃないですかって、今トニーさんおっしゃったけど、本当そうなんだよね。
で、もしかしたら世の中のマジョリティ、みんな、
教官ってむしろハッピーなことに結びついている言葉かと思うんだけれども、
それがハッピーに取れない時期だったり、人だったりっていうのは必ずいるはずで、
そういう人たちに向けて、大丈夫だよって言いたいっていうのがメッセージなんですね。
これだからすごいなと思うのが、展覧会って多くの人に来てほしいというのが、
たぶん基本的にどの美術館も目標じゃないですか。
ってことはやっぱり本来、それが正しいのかわかんないけど、
人がたくさん来てくれる展覧会を企画してほしいんだと思うんですよ、美術館側としても。
でも今回展覧会って、そうじゃない人に目線が行っているのが、僕はちょっと新鮮だったというか、
教官ハッピーっていう人を呼べば、なんか言い方すごい悪いですけど、
展覧会のタイトルと企画
インスタ女子がいっぱい来るし、それで今回また行列できるし、
ディオール店のように、ディオール来て、今別にディオールバカにしたらダメだからね。
それが多分美術展としてバズったりとか人が来て、
一つ指標じゃないけど、目標のような気がするんですよ。
だけどこれをちゃんと都立の美術館が、こっち側をね、しかも夏休みに、
人が一番来るであろう夏休みに、こっち側に手を差し伸べたっていうのは、
僕はすごく新鮮だったなと思って。
山木さんの思いももちろんあったと思うから、
これからいろいろどういう作品があったのか聞きたいですけど、
この企画を考えましたって言って、美術館に提案した時に。
企画通ったよねって話ですよね。
そう思う。
どうなったんですか、それは。
確かにね。
あのね、すごくいいポイントついてますね。
ユニークな展示内容
いい質問ですね。
本当ですか。
今うち、デイヴィッド・ハクニー店をやっておりまして、
ハクニーでお客さんは来る、マジョリティは獲得できる。
じゃあ、そうじゃないとこ抑えておこうかっていう。
それは同時開催、いろんなことをやっている美術館だからこその強みでもある。
これしかやっていないというわけじゃないからっていう。
そうなんです。
全体がこの教館とかじゃなくて、ひねくれているとちょっと問題だと思うんだけど、
割り返しバランスをとれるので。
なるほど、コレクション店もあるし。
今回の展覧会は、ちなみに何人の作家さんが参加している?
5人の作家さんです。
これは結構少ないような気もしたんですけど。
そうかな。
グループ展とかいうともう少しいるイメージない?
それもないですよ。
でも展示室の数的にこんな感じかなと。
結構この人にしようっていう人に声かけたらOKな感じでした、今回。
真剣にお願いしたら断らない。
なるほど。
真剣にお願いしました。
今回は基本的に皆さん新作を作ってくださった感じですか?
そうですね。旧作を再構成の方もいますが、新作もあります。
ということで今回はその作品を実際に会場を回りながら。
見れないんですけどね、ポッドキャストだからね。
雰囲気を味わっていただこうかなということで。
わかりました。
いいですか?
もちろん。
じゃあ移動しながら色々と見ていきたいと思います。
足痺れたんですけど。
今ね、座りながらチャブ台の前でやってましたからね。
チャブ台で休暇してたんで。
じゃあ移動しましょう。
最初の展示室に今入ってきてるんですけども。
はい、来ました。
あちこちから音が聞こえてきて、なかなか賑やかな展示室になっております。
映像作品が今だからこう。
パッと見てる限り5点今見えてますかね?
右に2つ、左に2つ今モニカーがあって、正面にもありますが、
ここが有川茂雄さんという方の講座ですか?
はい。
企業紹介ブースみたいな形に、就職フェアみたいな感じのブースがあって、
その中に映像作品が展示されているという形なんですけども、
それぞれのブースで、その映像で映されている仕事を紹介しているという設定なんですね。
だけど、ちょっとすごく不思議なことをしている人たちが映っているので、
この人たちは何をしているのかなっていうのを考えてもらうための作品です。
それぞれのブースに入ってみたほうがいいですかね?
いいですよ。どれが気になりますか?
そうですね、どれも気になります。
このゴールドタウンから。
ゴールドタウン、はい。
本当に、まず映像で海外の方が仕事をしている映像があるのと、
その前にトイレのいわゆるスッポンが今5個きれいに並んでいます。
トイレのスッポンじゃないです。精密さにこだわった素晴らしい技術で作った精密機械です。
そうか。
絡みづらいみたいな。
映像じゃないから、なるべく伝えたつもりでいるんですけど、
今、みんな頭の中が混乱した。
スッポン風に見えるけど、これは精密機械なんですね。
これを使って、海の底を抜こうとしているのかな。
すごく不思議な行動をしている人が映っている映像作品が流れています。
本当だ。映像の中にも精密機械がもっとたくさん並んでいますもんね。
これは、この企業のお仕事風景なのか。
そうです。
出勤風景というか。
意外とみんなぼーっと見ちゃうんですよね。
映像作品ってなかなか見てもらえないんですけど、お客さんに。
うっかり見ちゃうっていう人が多いです。
確かに。
この企業ブース風なのがいいのかもしれないですよね。
なんだろうって。
ちょっとシュールなので。
もうちょっと見たらわかるかなっていう期待感で引っ張り続けて、最後までわからないんですよ。
これは本当にわからないんですね。
わからないと思います。
わからないように作ってあるということですか?
作家さんの頭の中では、ちゃんとストーリーというか整合性があるんですけど、
それを当ててもらうわけじゃないから、
あえてわかりにくいように、ちょっと曖昧さの向こう側に持っていく感じで作っている映像なんですね。
なんでこういうのを作っているかというと、
やっぱりお仕事がまさしくそうだけど、
効率よく、テンポよく、合理的に生きることを求められがちじゃないですか。
いや、それだけじゃないよねっていう。
あえて共感を避けることで得られるもの
そういう深い人に基づいて、こうなっているみたいです。
そうやって架空のお仕事を紹介するみたいなことを、この有羽さんはよくされているんですか?
そうですね。全然違うシリーズも作っているんですけど、今回はそれを出品してもらいました。
この展覧会のために作った作品ですか?
これね、ゴールドタウンは小金町で収録しているんです。
そうですね。よく行ったことある場所でした。
なんなら一回、天野さんとここで収録しました。
天野さんエリアですからね。
これをここに来て、答えを知ろうとするものではないということですね。
そうですね。展覧会自体が、効率よく答えを求めるなという感じになっているので、
教官とかじゃなくてっていうのが展覧会のタイトルで、
見知らぬ人を想像する展覧会というキャッチコピーがついているんですね。
わかんないんですよ。本当のことはわかんないけど、
でも極力他の人のことを想像して知ろうとすることはすごく大事だよね。
でも完璧にわかったとは言えないよね。
そこのニッチなところをついていきたいという展示なので。
これも一見、即量の仕事ね、みたいになるんですけど、
何を測っているんだって。
でも今なんて本当に何でもかんでも答えがわからない時代になっているじゃないですか。
わからなかったらすぐググればいいしみたいな。
でもそれでじゃあわかったからなんなんだっていうか、
そこで終わっちゃって、また全然次のことに興味持って、
結局今調べていたことがスポット抜けちゃうと思うんですよね。
ゴールドタウンとディープリバー
答えがわかったということだけに。
そんな満足感だけで生きている。
でもそうやってモヤモヤしている方がずっと考えますもんね。
今回はこの方の新作もあるんですよね。
新作あります。新作こちらです。
新作のタイトルはディープリバー。
ディープリバー。深い川。
深い川っていうとすごく遠藤修作味がありますが、
このエリア深川エリアという地名でございますので、新作はディープリバーです。
金網の囲われているところにモニターがあって、
奥にYDA417という電光掲示板が出てますけど、
これもいよいよいろと謎が多すぎて。
これは仕事とかでは、さっきのシリーズとはまた別で?
でもこれもこの仕事なんです。
この彼女たちが今やっているモニターに映っていることが仕事だと考えてみたら、
一体彼女たちは何をやっているのかなというのを想像してみてくださいという作品ですね。
これはこの展の中のために?
そうです。ここで収録しているので。
なるほど。
ほら、映っているでしょ?この同じ作が。
はいはい、本当だ本当だ。
他の展示ができてから急いで撮って、急いで編集して。
このだから、設営中に撮ったとこですか?
そうです。
結構大変ですね、これは。
ね、楽しかった。
まあ何よりです。
謎の滑車を使って何かを持ち上げている感じの。
なんか封筒が地下からなのか、どこからか届きました。
それを?
確かにこれは見入ってしまいますね。
見ていたらオチがあるんじゃないかって思っちゃうんですよね。
0.43秒。
なんか読み上げます。
本当に見入っちゃって、番組上本当は無音が続くんですけど、
いい感じでモニターから音が流れているので、
なんとかなってくる。
謎の音が聞こえてくるんです。
5作品があるので。
これはずっとループして流れているってことですね。
そうです。
山本真希子さんと作品紹介
これもやっぱり答えは別に。
答えはないけど、でも考えてみようっていう作品です。
ちょっと待ってくださいね。
これは答えがネタバレになっちゃうんだったらカットするんですけど、
これ柱だと思い込んでたんですけど、
ここに柱がないからこれ立てたんですか?この柱ごと。
この柱はいつもあるよ。
あるんですか。
じゃあ柱の中に開けたんですか?
柱の中に?
うん。
え?どういうシステムなの?そんなわけなくないですか?
いやいやいや。
えー?なんで騙されなきゃいけないの?
30年近く前に建てた美術館は、このディープリバー収録のために
変なところに点検口があるんですね。
おー、そういう設定とかじゃない。
設定とかいない。中の人とかいない。
わかりました。
じゃあ次の場所にやってみます。
山本真希子さん。
じゃあお家に入りましょうか。
なんかちょっとでっかいプレハブ小屋みたいな感じにも見える。
プレハブ小屋な感じですね。
イメージとしては、昔話のおじいちゃんおばあちゃんのお家みたいなのを
舞台でやっている大道具みたいなイメージですかね。
かき割りというか。
そういう感じで作った空間なんですが、
山本真希子さんご本人のお家をそのまま、
そのままというか形とかちょっと変わっているけど、
イメージして作りました。
ここに写真もあるんですけどね。
これ山本さん家。
山本さん家をお邪魔しているという設定です。
山本さんはどんな方なの?
なんかちょっといろんなものが結構散らばっているというか。
山本さんはなかなか紹介しづらいタイプの人間なんですが、
落とし物を拾うのが好き。
植物が好き。
あと巨人が好き。
真ん中だけ普通だったんですけど。
真ん中だけ普通でした?
1番目と3番目がちょっとなかなか。
ちょっとどういうことってなりますけど。
落とし物を拾うのが好きって。
落とし物を拾うのが好き。
街中で拾ってくれるってことですか?
そうです。
落とし物を?
そうです。
昔から好きなんですかね。
昔から好きですね。
10年以上それを作品化したりとかしています。
誰かがいらなくなって捨てちゃったものとか、
たまたま失われてしまったものとかは、
また次どこかで役に立つっていうのが彼女のコンセプトなんですけど。
例えばロンドンで拾ってきた落とし物を、
日本で作品のパーツに使ったりとかっていう。
それは落とし物だから何でもいいんですか?
例えば布状のものだとか小物とか。
何でもいいんじゃないかな。
その辺も全部落とし物なんで。
ここにあるものは落とし物なんですか?
落とし物なんです。
人によっては私が落としたやつだってのが、
ここで見つかるかもしれないですね。
どうですかねこれは。
もしその場合はちょっとご相談いただいたら。
勝手に持っていかれると困るので。
それを作品にして落とし物が好き。
だから実際自分家にこれがあったわけなんですね。
今回この展覧会のためにそれを持ってきている。
巨人が好きってのはどういうことなんですか?
指さされても皆さんわからないですけど、
僕の目の前にめちゃめちゃでかい歯があります。
巨人の歯ってことですか?
巨人の奥歯ですね。
当たり前のように。
奥歯ですよね。
じゃあちょっと靴を脱いで。
これどうするんだろう。絡まないと。
大丈夫、全然問題ないです。
奥歯です。
今まだ僕も共感ができないです。
それすごい大事なの。
ヤマコイさんって呼んでるんですけど、山本舞子さんのこと。
すっごい好きなんだけど全く共感ができないの。
山木さんもですか。
でもわからないから何度でも話を聞くの。
でも全くわからないの。
ヤマコイさんはこれは巨人の歯だって言ってるんですか?
巨人の歯です。
当然本当の巨人の歯を作ったんですってことですか?
そうですね。
巨人は好きなのはわかったんですけど、
巨人のパーツなんていろいろあると思うんですけど、
なぜに歯なんですか?
他に目玉とか、ここの場所にも巨人の目玉とか。
目玉嫌だな。
爪とか。
ありそうじゃないですか、巨人の指とか。
鹿木孔子と友達になったからこれを作りました。
結構単純な理由だというかそうなんですか。
この大きな歯を作って、この歯を鴨側に落として、
鴨どんぶらここと流れていく歯のロードムービーを撮ったんですよ。
それは映像で流れてるんですか?
流れてます。見えるかもしれない。
こっち来られますか?
そこで流れてます。
つっかかると近所の子供たちが頑張って流してくれるんですけど。
すごく聞くのヤボかもしれないですけど、なぜ鴨側に流すんですか?
京都に住んでるから。
あとは言い伝え的なやつなんですか?
流すと大人の巨人の歯が生えてくるよみたいな。
僕の時には屋根の上に投げるといい歯が生えてくるって聞いたことがある。
どうなのかな?
京都ではこういうシステムなんですか?
滋賀県に住んでる巨人がくしゃみをして歯が抜けて鴨側に流れていったっていう物語がない。
もうなんなんすか。
ないんですけど、そういう映画を作ったんです。
もう1つ気になったのが、歯の横に寝袋みたいなものが置いてあるんですけど。
これは何ですか?
これはここで寝るためのものです。
寝ていいんですか?
もちろん。ここで一緒に歯と添い寝をすることができるアトラクションです。
これアトラクションなんですか?
アトラクションです。
すごい冒険に出ましたね。
今やハリーポッターのアトラクションが年前のアトラクションにできたというのに、
巨大な歯と寝るというアトラクションで勝負。
素晴らしいですね。
なんでこれをやっているかというと、作家さんがそういうふうにして制作をしているんですよ。
ここに歯の横に作家本人が寝ている写真があるんですけども。
しかも小学校で眠るって書いてますね。
そうなんです。これすごい大事な話なんですが。
通人小学校で眠るというふうに書いてあって、小学校の校庭で歯の横で寝袋で寝ている女性がいる写真があるんですけども。
自転車が横に置いてあって。
一応日がささしながら。
なんでこの昼間に寝ているのかはちょっと疑問ではあるのですが。
歯とともに眠って、その夢の中で見た風景を作品化するということをしていて。
この辺に横に展示されているのは、その夢で見た自分の夢を映像化して。
それを刺繍で表現している。
じゃあこれ、その通人小学校って何なんじゃい?という話なんですけども。
京都駅のすぐ近くにある土地で、もともと非差別部落だったところなんですけども。
今はちょっとだんだん再開発してきれいにしていっている。
土地の思い出を守る取り組み
高い住宅とかが廃絶になっていくっていうところなんですけども。
もともとあった小学校とか、市営住宅的なマンションみたいなところとかを、どんどん壊していくことになっちゃったんですね。
そういうことなんですね。
そうするとそこに住んでいた人たちも、どこかに引っ越さなくちゃいけない。
という、ちょっとなかなか胸にグッとくる土地なんですけれども。
そこで、その土地の思い出を残すために、そこで巨人の鳩が眠って、そこでトートスに引く顔をするのをやめてくれました。
急にアクセルかというか、急カーブ。話の途中からのカーブだそうなんです。
途中までウンウンって聞いたんですけど。
だから巨大な鳩って言われても、急に結びつかなかった。
私もだからって言うからいけないんだな。
じゃあなんだろう。それなのに。
鳩と共に眠って、
あ、いきなり鳩と共に眠っちゃダメだ。
その前に、そのエリアの人たちとたくさんお話をして、その土地についての思い出とかも聞くわけですよ。
そこもさらちにしてしまうので、そこに植わっている木とかも全部切られてしまう。
じゃあ木は挿し木で残しましょう。
それからお花とかはすりつぶして、それで糸を染めましょうみたいにして残していって、
その地域の人たちから聞いた話は彼女の中に蓄積していて、
巨人の鳩眠ると夢となって出てくる。
そういう効果が巨人の鳩にはあるんですね。
ないんじゃないか。
いやもう乗ってるんですから、俺も何とか頑張って。
でも本人にとってはね、彼女にとってはすごく大事なものなので、
もしよかったらここで眠ってみてください。
だからあれですか、床のところにソーイングセットみたいなのもある。
そうですね。
じゃあここで寝た結果、なんか見た夢をもしよかったらちょっとやってみていいよ。
いやさすがに。さすがにそれは。
それはダメ?
さすがにそれは。
でもなんかじゃあすごい夢が見れるかもしれない。
かもしれない。
渡辺篤氏のアイムヒアプロジェクト
たぶん前回のアートウォッチングの時に
新井丸さんが感銘を受けたという作品に来ております。
これね。
こちら改めて渡辺篤さんのですね。
はい。
アイムヒアプロジェクト。
そうです。渡辺篤さんはご本人が引きこもりだったことがあって、
今はもう引きこもってなくて、アーティストとして活躍されてるんだけれども、
自分の作品、作家性を全面に出していくっていうのではなくて、
引きこもりであったりとか、シングルペアレントであったり、
障害を持っていたり、セクシャルマイノリティだったりっていうふうに、
ちょっと心に傷を負っているとか、孤独、孤立を感じる人たちとともに、
一緒に作品を作るっていうようなことをしている作家さんなんですね。
ご自身一人で発表されるときは渡辺篤っていうふうに名前使われるんですけど、
みんなで作るときはアイムヒアプロジェクトっていうユニット名を使っています。
今回ここには、結構巨大なインスタレーションのように見えますけど、
作品としては何点くらいあることになるんですか?
1、2、3、4、5、6。
5、6点ですね。
まずあれですよね、渡辺さんご本人の顔がプリントされているんですか?
そうですね。コンクリートにプリントされているんですけども、
これはご本人が引きこもりをやめるって決めた日に撮った。
自身を撮っているんですね。カメラを持っている。
これもでもコンクリートに転写しているんですけど、
ただそれだけじゃなくて、ひびが、いわゆる金継ぎのような感じになっています。
これは意図的に。
そうです。こういうシリーズの作品、他にもたくさん作っていらっしゃるんですけども、
1回コンクリートでモニュメント的な、自分にとって大事なものを作って、
それを割って、自ら割って壊して、その後金継ぎで元の形に直していく。
でも100%元のものには直っていないですよね。金継ぎという形だから。
やっぱり違う形になっているし、違う美しさも手に入れているしということで、
心に偽造っていると100%の改悪はしないけども、
でもまた違うものが見えてくるかもしれないね、ということの表れなんじゃないかなと。
この作品があり、ちょっと不思議なのはカーテンが開かれて、
その奥に写真がチラッと見えているような状態ですよね。
カーテンも半開きというか、という感じになっていまして。
これはお家の窓という設定なんですけども、
カーテンの中から窓の中を覗き込むと見えてくるのは、引きこもりの人たちの部屋です。
これは実際のということですか。
一番右側にある2点が渡辺さんご本人が引きこもっていた時のお部屋の写真なんですけども。
生々しいという言葉があれなのかわからないですけど、本当にその時を撮ったということですよね。
でも自分を紹介するだけだと老悪的というか、
自分の傷を見せるだけみたいになってしまうんだけれども、
他の引きこもりの方にも呼びかけて、
あなたの自分の部屋を見せたかったら提供してください。
それで一緒に写真集を作りましょうというプロジェクトをしたんですね。
引きこもりの方って日本にはたくさんいるんだけど、
イメージとしては若くて、男性で、ゲーム好きで、ニートでみたいなイメージがあるじゃないですか。
メディアが作り上げた。
でもそんなんじゃなくて、本当に一人一人個別の理由があって、
個別の苦しみがあって引きこもっているし、
全然写真を見ていくと部屋の感じも違うんですよ。
本当に写真一つ一つ、部屋一つ一つに人生が一個ずつあるというのがすごく伝わってくるので、
これを見て、引きこもりの人たち、
こういう人もいるんだ、こういう人もいるんだということに心を寄せてほしいなということで作った写真集なんですね。
今回の展示は、人の家を覗き込むという罪悪感であったりとか、
いいですかという気持ちで見るというのも仕掛けているという感じかな。
結構面白いって言い方はちょっとあれなんですけど、
例えば自分は引きこもったこともないからあれですけど、
自分の部屋取れって言われる。
それを言うと、僕は実家が、そもそも部屋がないんですよ。
引きこもれなかった。
兄弟との部屋もないんで、団地なんで、それこそ全部クスマですし、
逆に引きこもりの人と違って、自分がどんだけきつくても家族と絶対顔を見合わせていなきゃいけないから、
空気を読むようになっちゃって。
しんどいです。
部屋はそれでしんどかったなというのはあるんですけど、
それに慣れちゃっていて、なかなかオフになれないのは今も名残な気がするんですけど、
それとはちょっと別で、今は自分で一人暮らしてますから、
部屋の写真を撮ると言ったら、きれいに片付ける気がするんですけど、
結構皆さんそんなに片付けてないのを撮っているのがすごく新鮮な感じがしました。
すごいセキュララな感じでね。
やっぱりさすがに撮りますと言ったら、もう少し片付けるのかなと思ったけど、
結構皆さんさらけ出しているんだなという印象ですね、これを見ると。
そうで、散らかっているタイプの方もいるし、逆に何にもないお部屋とかもあるんです。
引きこもりをテーマにした作品展示
これはでも興味深いんですけど、これとまた真逆に一番目立つのが作品として、巨大な月がスクリーン。
こちらにも月の写真がたくさんある、屏風のように仕立てられているものがありますけど、月はこれはどういう?
これはですね、渡辺さんがコロナ禍で緊急事態宣言で、
みんなお家にいてくださいね、ステイホームの時に始めたプロジェクトなんですけども、
コロナの時って、夜遊びせずみんなお家に帰って、何ならリモートワークしていて、
学校もお休みでみたいな。
ステイホームでしたからね。
家族関係とかすごいつらいうちはあったと思うんですけども、
その時に議事的にみんなが引きこもりだった。
その時に引きこもりに限らず、今孤立孤独を感じている人たち一緒にやりましょうと呼びかけて応募してくれた人に、
お月様の写真をスマホにつけて撮れるカメラをお送りして、
天体望遠鏡みたいなものをお送りして、それで写真を提供していただいているという。
それを今回は映像として写したり、集めた写真を描く?
そうですね。
これまでも愛知芸術祭とか瀬戸内とかでも展示をしていたので、
比較的これは見たことがあるという方が多い作品かなと思うんですけれども、
今回は月の写真がいっぱい並んでいる屏風みたいなライトボックスの作品が、
引きこもりの方のお部屋と相対しているというところに今回のこだわりがあるのかな。
このお部屋の中から月を見ている。月もお部屋の中を見ている。
このプロジェクトは何人くらいの方が参加してくださった?
50人くらいの方が参加してくださった。
あの時の月なんですね。
そうですね。
という見方もできるじゃないですか。
今でこそこうやって美術館に来れるようになって、
あの時の月を見ている人という。
逆にその時の月は見られていなかったわけですね。
そうですよね。
こういう形でではね。
でもこれ終わったわけではなくて、
実は今でもこのプロジェクトが続いていて、
だからコロナの時に孤立・孤独だった人に
送ってくださいって呼びかけたから、
その時はたくさん来ているんですよ。
だんだん数は減っているんだけど、
でもやっぱり今でも送られてきている。
実はこの渡辺さんとアイムケアプロジェクトの作品は入り口にもあったんですよね。
そうなんです。
そして今入り口に戻ってきましたけれども、
入り口にも実は作品があったということですね。
そうです。
入り口に入ってきたところでは特に何の解説もついていないんですけど、
展覧会を全部見た後に出口側に説明がついていまして、
これが7つ丸い球体ライトが天井からぶら下がっているものなんですが、
大きさもまちまちで。
あそこにいない人の明かりというタイトルがついているんですね。
ついているライトとついていないライトがあるんですけど、
ちょうど4つついていますかね。
そうですね。3つが消えていて4つがついています。
これオンオフをしているのは、私たち美術館でもなくアーティストでもなく、
今引きこもりをされている方とか、
そういう自分で孤独・孤立を感じている人が、
他には来ないけれども操作をしてくれている。
スイッチを持っているということですね。
そうです。
7人いるということですか。
そうです。
7人それぞれが持っていて、その人が押したら連動するということなんですね。
そうです。
美術館での雰囲気の工夫
その人たちはここの様子は見えているんですか。
はい。カメラがあるので、一応それで私が押したら着いたというのが確認できるようになっています。
ただお客さんの顔が映らないように設定されているので、
着いたかなが確認できるようになっています。
これは閉館後は基本的には、たまたま収録中だからということではなく、
閉館後もずっとこの電気はついている。
すみません、一応節電をさせていただいております。
今ちょっとたまたまということですけど。
はい、今トニーさんのためにつけております。
でもちょっともしかしたらカメラに映っていた方がいいですかね。
まさかその7人の方も閉館時間に今人がいるよとなっているか。
ここで見えるかどうかわからないですけど。
顔は映らないかもしれないですけどね。
誰かが見てくれているなってわかると、
結構点滅とかさせてくれます。
ぴゃぴゃぴゃぴゃって。
でもそうすると、今どういう人がそうしているのかなってまた考えるのも楽しいというか。
でも逆に言ったら、自分が来た瞬間に全部消えたら悲しいですね。
さっきまでついていたのにみたいな。
俺が来た瞬間ゼロになったよみたいな。
悲しい。
逆に全部ついていても結構つまらない。
そうですね。
でも面白いですね、これは確かに。
そうなんです。
展覧会の開催期間と告知
美術館にたくさんの人に来てほしいなという気持ちはもちろんあるんだけど、
みんなが来られるわけじゃないよね。
健康状態だったりとか、そもそも遠いところに住んでいたりとか、
あと経済的な理由だったりとかもあるから、来られない方もいるけど、
一緒にこうやって楽しめるというね。
確かに。
実はまだ3人しか紹介しなくて、あと2人作家がいるんですけど、
残念ながら前半がもう終わりの時間です。
後半は本当に番組の後半に持ち越したいなと思うので、
改めてこの展覧会の開期を最後に告知していただけたらと思うんですけど。
はい。教館とかじゃなくて、11月5日まで開催しております
東京都現代美術館企画展示室地下2階。
行われておりますので、ぜひぜひ皆さん足を運んでいただけたらと思います。
ということで、では後半にツアーを続けていきたいと思います。
後半のツアーへの期待
山木さんどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
次回は山木さんのご経歴を交えつつ、美術についての話を続けていきたいと思います。