1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-11-29 10:28

#499 英語は他動詞中心言語? from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/782322
https://radiotalk.jp/talk/846583

主要参考文献
『世界言語への視座―歴史言語学と言語類型論』 (松本克己、三省堂)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:08
お便りです。レイレイからギフトと一緒に頂きました。ありがとうございます。
Cへ。毎回聞くと賢く慣れているような収録をありがとうございます。おかげさまで日常生活でいつも使っている言葉に意識するようになりました。
さて、シャープ497 to be continued からの日英対象の収録から質問です。
日本語が自動詞ばかり使って英語が他動詞ばかり使うのが民族性に起因しているとすぐに考えない方がいいと思うとおっしゃっていましたが、
それは言語学の視点から、なぜ日本語が自動詞ばかり使っていて英語が他動詞ばかりを使っているのでしょうか。Cのお考えを聞かせてください。ということで、レイレイどうもお便りありがとうございます。
ぜひこのシャープ497を聞いていただきたいのですが、to be continued というのは受動態になっているわけですよね。
日本語だと単に続くというところを言ってみれば、続けられるみたいな言い方になっているわけです。
そこからどっちかというと英語は他動詞中心で、日本語は自動詞中心だみたいな話をしてですね。
お便り中にもあったように、だからといって日本人の民族性みたいなのが自動詞ばかり使うように、そういったものに関係しているとは考えない方がいいと。
では、なぜ英語は結構他動詞中心なのかっていうのをねお話ししていこうと思います。
今日はどっちかというと日本語よりは英語がメインのお話になると思います。
これはね、端的に言えば語順っていうのが一つ要因になっているとは思うんですよね。
英語っていうのはSVOというのが基本語順ですけど、主語、動詞、目的語と。
これが英語が他動詞中心であるっていうのと一つ関わっていると思いますが、もちろん他にもいろんな要素が絡んでいるとは思うんですが、今回はこの語順を中心にお話ししていきます。
始まりました。シガジュウゴノツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。翼の折れたエンジェルです。
03:05
英語っていうのはSVO語順で、この語順っていうのがすごい大事なんですよね。
これについては関連エピソードがあるので、ぜひそちらを聞いていただけたらと思います。
で、なんでこの語順が大事かっていうと、英語はその名詞側でも動詞側でも何が主語で目的語かっていうのを表さない言語だからなんですね。
これは代名詞は除いてですね、普通名詞っていうのが、例えば犬っていうドッグっていうのが主語だろうが目的語だろうが形を変えることはないんですよね。
で、あるいは動詞の方もB動詞は別にして、いわゆる普通の動詞だと三単元のSっていうね、三人称単数現在の時だけ主語によって動詞の形を変えるっていう現象がありますけど、
それ以外の場合には、例えば過去の時とかね、あるいは助動詞がついた時とか、こういった時には動詞の形が変わるということは英語ではありません。
ということは、名詞にしろ動詞にしろ、それだけでは誰が何に対して何をやってるかっていうのはわかんないんですね。
つまり主語も目的語もわからないと。
その代わり、語順っていうのが非常に大きい役割を担っていて、というか語順が全てですよね。
動詞の前に現れている名詞が主語で、動詞の後に現れている名詞が目的語。
これがかなり固定化されています。
これは日本語の場合と大きく異なって、日本語の名詞には何が主語で目的語かっていうのが表されるんですよね。
それが格助詞というもので、犬がと言ったら主語だし、犬をと言ったら目的語だしっていうことで、
だからこそ日本語の語順は英語に比べたら自由っていうことになっています。
で、今言ったように英語っていうのが語順が非常に重要な言語であって、
ある意味そのSVOっていうのが最も基本的な型というかね、安定した語順になっていると思います。
で、その安定している語順というか、よく使う語順が何というかな、いろんな表現に拡張されてですね、
まあ分かりやすいのは所有文とかじゃないかなと思います。
日本語だと彼には子供がいるみたいに、いるっていう自動詞を使って所有文を表しています。
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一方、英語だったらhe hasっていうふうに、haveっていう他動詞を使って所有文を表すんですよね。
で、他動詞っていうのは最もプロトタイプなというかね、原型的な他動詞と言われているのが、
主語が何か意思を持って目的語の状態を変化させるような動詞が、
まあそういう原型的なね、他動詞と言われています。
例えば殺すとか温めるとか、こういったものは何か意思を持って目的語に状態変化を引き起こすものとなっています。
それに比べると所有するっていうような意味は、あんま他動詞っぽくないんですよね、本当はね。
というのが目的語に何か変化を与えるわけではないので、だからこそ日本語は自動詞でいるとかね、そういったものを使っているわけです。
が、英語は繰り返しですけどね、SVOという型がかなりカッチリ決まっているような言語なので、
そういうあんまり他動詞っぽくない、本来は他動詞を使わないような意味にも他動詞公文SVOを使っているということなんですね。
英語の語順っていうのは昔からSVOであったわけではないんですね。
古英語とか中英語と言われる古い時代の英語では、名詞にしろ動詞にしろ変化がもっと豊富にあったんですよね。
なので名詞には主語の形、目的語の形、あるいは間接目的語の形っていうふうにいちいち動詞の形を変化させていたんですが、
現代英語ではそれが廃れてしまっています。
例えば、昔の英語だったら予格主語っていうのがね、よく観察されたんですよね。
この予格っていうのは日本語のにに当たるものと考えていただいていいと思うんですが、
日本語でいうところの私にお金が必要だみたいなものです。
主語は私にっていうふうににっていうので表されています。
で、昔の英語はまさにこういう私にお金が必要だっていうのが主語が私にっていうような予格と言われる形で表されて、
お金の方が主語の形というかね、主格というもので表されていました。
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しかし名詞の方がそういう主格だとか予格だとかそういう変化をなくしちゃって、
現代英語ではね、I need the moneyみたいにneedっていう多動詞を使って表しています。
というわけで、なんで英語が多動詞中心になってるかというと、
歴史的に見ればですけど、その名詞の変化形っていうのがだんだんなくなって、
主語や目的語っていうのを語順で表すようになってしまったと。
そうなるとSVOっていうのが非常に安定した構造となって、
あんまり多動詞っぽくない意味合いにも、いわば多動詞構文を拡張させているということなんですね。
ぜひ関連エピソードも合わせて聞いていただけたらと思います。
冒頭言ったようにですね、これが全ての原因ではないと思うんですが、
一つの要因ではないかなと思います。
というわけで最後まで聞いてくださってありがとうございました。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
それではまた次回お会いしましょう。
お会いしましょう。
10:28

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