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始まりました、志賀十五の壺。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
この番組は言語学ラジオっていうことで、もう1年半ぐらいやってるんですけど、
この番組のコンセプトというか、もっと広く言えば、言語学っていう学問は、
正しい日本語とか美しい日本語っていうのを求めてないし、
それを押し付けるものでは全くないんですね。
むしろ間違っているように見える言語表現の中に面白い発見があったりするので、
そういったことにむしろ注目するような学問だと思います。
でね、僕はね、言語学の番組してるくせに、
なんだその言い方は、みたいなクレームが入ってこないかなとちょっと期待してるんですよね。
僕はね、今までそういった人とまだ出くわしたことがなくて、
まあそういった人っていうのは、
正しい日本語を、美しい日本語を使えっていうふうにおっしゃってる人に実際に出くわしたことがなくて、
そういうのがこの番組あてに来ないかなとちょっと思っています。
というのが、間接的には確かにそういう人がいるっていうのは知ってます。
ネットの記事やなんかで、言ってるなとかね、書籍なんかにもそういうのあるなとか、
見ることはあるんですけど、自分あてに来たことがないので、
なのでこの番組では、意識的にしろ無意識的にしろ、
いわゆる間違った表現というか、妙な表現というか、変な言い方っていうのも織り混ぜるようにしてるんですね。
けどまあこの番組のリスナーさんの質がいいっていうのもあると思うんですけど、
未だそういうクレームめいたのは来たことがございません。
まあいわゆる釣りとして、そういった間違った言い方みたいなのを盛り込んでるんですけどね、
なかなか引っかからないといったところでございます。
ただ僕はその正しい日本語、美しい日本語を使えっていうことをね、主張することが悪いとは別に思いません。
僕の考えとは全く違いますけど、そうしたいんだったらすればいいと思います。
その人の人生なので好きにすればいいと思うんですけど、
言語学を知らない人の感覚として多分そういったものがあると思うので、
そういった一般意識、言語に対する一般意識のサンプルとして僕の番組宛に来ないかなとちょっと期待してるんですよね。
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例えば、時々ね、僕はしますとかしましたっていうのをしあすとかしあしたっていう風に言ってみてることがあります。
で、そういうことによって、なんだそのしあすとかしあしたとか、
言語学の番組のくせにちゃんとした日本語も使えないのかって噛みついてくるのを待ってるんですけど、
まあないんですよね。
で、これは、まーっていう音がやーに変わってるわけですけど、
ある意味で日本語の音の変化の大きい流れに乗ってると思うんですよね。
というのが、日本語の歴史をかえり見てみると、
唇を使う音っていうのがだんだんなくなっていってるんですよね。
昔パピプペポっていう発音だったものが、
口の閉鎖が弱くなってファヒフフェフォっていう摩擦音になって、
で、現代ではハヒフフェホっていう音になってるんですよね。
で、これは歯行の発音が唇を使う音じゃなくなったっていうことであるし、
あるいは現代日本語のイコウみたいな関流形って言うんですかね。
これはもともとイカムっていう動詞の未然形にムっていう助動詞がついてたわけですけど、
これも今ではムっていう唇を使う音じゃなくなって、
イコウになっちゃってるわけなんですよね。
他にもカジっていう単語は、
もともとクアジっていうふうにクアっていう唇を使う音だったんですけど、
それも現代語ではなくなっています。
っていうふうに唇を使う音がどんどんどんどんなくなっていってんので、
しますっていうのもマっていうのは唇を使う音なので、
まあします、これがしあすになってもまあおかしくはないと思ってるんですよね。
なので言語変化の最先端としてある意味そういった言い方をしてるっていうことはあるんですけど、
別にクレームはまだ来たことがございません。
あとはね、これはねどっちかっていうと無意識にやってることなんですけど、
自分の収録したトークを聞き返してるとよくやってる言い回しとして、
文のねじれっていうのがめちゃくちゃあって、
まあよくあるのはね、
何々というものはほにゃららというものを何々と言いますみたいな言い方をするんですね。
なんていうかな、
髪の毛というものは頭に生えているものを髪の毛と言いますみたいな言い方をめちゃくちゃやってるんですね。
これはね、無意識にやってて面白いなぁと思いました、我ながら。
文としてはめちゃくちゃねじれちゃってるんですけど、
ある意味重要なことを補強してるっていうかな、サンドイッチしてるので、
なんかそういった意識が働いてんのか何なのかわかんないんですけど、
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なんかこういった言い方がね、
詩画公文とか言って構成に残んないかなぁとちょっと思ってるんですけどね。
皆さんもぜひ使って広めてほしいと思います。
意外と通じます、これはね。
そんな不自然じゃないんですよ、聞いてて。
髪の毛というのは頭に生えているものを髪の毛と言います。
改めて聞くとむちゃくちゃなんですけど、
意外と通じるし、
さっきも言ったように、なんだその言い方はっていうクレームもまだ入ってきておりません。
そういう正しい日本語、美しい日本語を使えっていうクレームは来ないなら来ないならね、
それに越したことはないのかもしれないんですけど、
その一般的な、一般的なっていうとあれだけど、
話者の持っている言語の規範意識みたいなものを実感するためにちょっとクレームを待っているとこなので、
そういったお便りが届いたらまた皆さんにお知らせしようと思います。
クレーム入ってから、実はこういう意図があって変な言い方入れてましたっていうのは後出しじゃんけんというか負け惜しみっぽいので、
クレームが来る前にこういうトークを事前に撮っておこうと思います。
というわけで、今回のトークはここまでということにしたいと思います。
いつも番組を聞いてくださっている方、
リアクションボタンを押してくださる方、
ギフトを送ってくださる方、どうもありがとうございます。
もしこの番組を応援してやってもいいぞっていう方はね、
ラジオトークのアプリだったらですけど、下のギフトを送るっていうとこから色々送ることができるので、
僕の場合はライブ配信はそんなギフトを送るような、それに値するようなものをやっているとは到底思えないですけど、
収録トークはまあまあ自信があるので、
もし応援してやってもいいぞっていう方がいらっしゃったら、
是非収録トークの方からギフトを送っていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです。
というわけでまた次回のトークでお会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。ではまた。