1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #356 She is gone っていう表..
2021-09-06 09:38

#356 She is gone っていう表現知ってる?ん?(助動詞選択) from Radiotalk

参考文献
Perlmutter, D. (1978) "Impersonal Passives and the Unaccusative Hypothesis," BLS 4, 157-189.

Sorace, A. (2004) "Gradience at the Lexicon-Syntax Interface: Evidence from Auxiliary Selection and Implications for Unaccusativity," in A. Alexiadou, E. Anagnostopoulou and M. Everaert (eds.) The Unaccusativity Puzzle: Explorations of the Syntax-Lexicon Interface, Oxford University Press, Oxford, 243-268.

Washio, R. (2001) "Auxiliary Selection: A Universal Phenomenon," in K. Inoue and N. Hasegawa (eds.) Linguistics and Interdisciplinary Research, 139-167.

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00:01
始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今回のトークのタイトルにもあるような、She is gone みたいな言い方、みなさん見たり聞いたりしたこと、ございますでしょうか。
なんかこういう、She is gone みたいな歌があるみたいなので、ご存知の方もいらっしゃるかもしません。
これは何なのかっていうことですよね。
まあ、isはB動詞で、goneっていうのは、動詞goの過去分詞形なので、
B動詞プラス過去分詞形っていうことは、受動態かなとね、まあこう思われるかもしれませんけど、
まあこれは受動態ではないんですね。
受動態は、まあ特に英語の場合は、他動詞しか受動態になれないので、
たぶん、日本語の場合は受動詞も平気でね、受動態というか受け身分になれるんですけど、
まあこれは受動態ではありません。
なら何なのかというと、これは官僚形なんですね。
でも官僚形って言うと、まあ中学の頃とか思い出してほしいんですけど、
英語の場合は、haveプラス過去分詞形でしたよね。
だからここは、She is goneじゃなくて、She has goneだったらまあ、
彼女は行っちゃったっていうね、まあそういう官僚形になるんですけど、
このShe is goneも、まあ彼女は行っちゃったっていう官僚形なんですね。
これは何なのかっていうことなんですけど、
まあ英語だと、これが官僚形って言われるとね、確かにギョッとするようなとこがあるんですけど、
他のヨーロッパの言語だと、こういうbe動詞プラス過去分詞形の官僚形っていうのが広く使われるんですね。
英語の場合は、まあかなり限られたとこでしか見られないというか、
まあis goneとか、ある程度化石的にね、残ってるというような表現になっています。
ではどういった言語でこのbe動詞プラス過去分詞形の官僚形が見られるかというと、
まあゲルマン系の言語ですね。まずはドイツ語とかオランダ語とかのゲルマン系の言語。
英語もゲルマン系の言語なんですけど、まあさっき言ったように化石的にしか見られません。
あるいはロマンス系の言語のイタリア語とかフランス語でもbe動詞プラス過去分詞形というね、こういった官僚形が見られます。
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というわけで今回のトークは、英語以外のこういったヨーロッパの言語で官僚形はどうなっているかっていうのをね、お話ししてみようと思います。
今挙げた言語のドイツ語オランダ語あるいはイタリア語とかフランス語とかこういった言語には
be動詞プラス過去分詞形以外にも英語と同じハブプラス過去分詞形という官僚形も存在しています。
つまり2つあるということですね。
過去分詞形の前に出てくるのがbe動詞なのかハブなのか、この使い分けがある言語となっています。
さっきも言ったように繰り返しになりますけど、英語の場合はハブプラス過去分詞形の官僚形しかないということになっているんですね。
その使い分けがどうなっているかっていうのをちょっとお話ししていきます。
今日お話しするのはあくまで一節なので、どんどん新しい理論は出てきているんですけど、とりあえず一つの説明として聞いていただけたらと思います。
まず動詞っていうのは自動詞と多動詞に分けられて、多動詞っていうのは目的語を取ることができる動詞のことですよね。
この多動詞について言えば、英語と同じハブプラス過去分詞形の官僚形が使われるんですね。ひとまず。
じゃあ自動詞は全部シーズゴンみたいなbe動詞プラス過去分詞形の官僚形が使われるかというと、ここが面白いところで、自動詞も2つに分けられるんですね。
ちょっと専門的な言い方ですけど、非能格動詞と非体格動詞というものです。
僕はちょっとねこれ昔苦手だったんですけど克服しました。
非能格動詞っていうのは意思的に何かを行うようなもので、例えば踊るとか歌うとか働くとか、こういう意思的に何かを行うような自動詞のことを非能格動詞と言います。
この非能格動詞にはハブプラス過去分詞形の官僚形が使われます。
だから英語と同じ形になるということですね。
でもう一方の非体格動詞っていうのは何か意思的に行うわけじゃなくて、何か自然とそうなるみたいなものが多いんですね。
落ちるとか始まる終わるとか燃えるとか溶けるとかこういったものです。
時々言われるのはこういう非体格動詞の主語っていうのは他動詞の目的語に似てるっていうのがよく言われるんですね。
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こういった非体格動詞の場合はbe動詞プラス過去分詞形の官僚形が使われます。
今までの話をまとめると英語は別にしてゲルマン系の言語やロマンス系の言語では、
ハブプラス過去分詞形とbe動詞プラス過去分詞形の2つの官僚形があります。
ハブプラス過去分詞形の方は他動詞とか非能格動詞で使われて、
be動詞プラス過去分詞形の方は非体格動詞の官僚形として使われると。
まあそういう使い分けがあるんですね。
今までの話はまあそうなんだって感じで聞いていらっしゃると思うんですけど皆さん。
あるいは学生時代にドイツ語とかフランス語とかイタリア語とかこういった言語を勉強したことある方は、
なんとなく思い出されるようなとこがあったかもしれません。
ただ、実は日本語もこの非能格動詞と非体格動詞の区別が関わっているんですね。
ただこれは現代日本語というよりは古文の話なんですけど、これ皆さん覚えてらっしゃいますかね。
官僚の助動詞につうとぬっていうのがあって、
つうの方だと森妖怪の舞姫の冒頭の石炭オーバー早積み破鉄のこのつうですよね。
一方ぬの方は風立ちぬとかのぬですよね。
両方意味としては官僚を表すんですが、
この2つの使い分けがさっき言った羽部プラス過去分詞形とB動詞プラス過去分詞形と似てるんですね。
つまりつうの方は早積み破鉄みたいに意思的に何かを行う動詞にくっついて、
ぬの方は風立ちぬみたいに自然にそうなっちゃうみたいな、そういう動詞につきます。
だからつうは非能格動詞についてぬは非体格動詞につくっていう、さっきと似たような話になってますよね。
しかも両方官僚の話ですし。
こういうヨーロッパの言語の官僚系の羽部とB動詞の使い分けと、
日本語のつうとぬの使い分けが類似してるっていうのを指摘した先生が和潮先生っていう先生で、
これは相当面白いですよね。
全然系と関係にない日本語とヨーロッパの言語の現象が同じような理屈で説明できるっていうことで、
なかなか興味深いところではないかと思います。
というわけで今回のトークはヨーロッパの言語の官僚系ですね。
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羽部を使うものとB動詞を使うものと2つあって、
その使い分けっていうのが非能格と非体格と、そういった2つの字動詞と関係してて、
それが日本語の助動詞のつうとぬにも関わっていると、かなりスケールの大きい話でございました。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
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ではまたお会いしましょう。
お相手はシガ15でした。
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