1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #354 ヒンディー語の分裂能格..
2021-09-01 09:45

#354 ヒンディー語の分裂能格(ハイレベルトーク) from Radiotalk

参考文献
Basic Linguistic Theory: volume 2 (R. M. W. Dixon, Oxford University Press)

Verbeke, Saartje & De Cuypere, Ludovic. (2009). The rise of ergativity in Hindi: Assessing the role of grammaticalization. Folia Linguistica Historica - FOLIA LINGUIST HIST. 30. 367-389. 10.1515/FLIH.2009.006.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:01
世界で最も多くの人に話されている言語は、中国語ですよね。
これ、ご存知の方も多いんじゃないかと思います。
2番目に多くの人に話されている言語は、英語と思っている方もいらっしゃるかもしれませんけど、
今はスペイン語なんですね。英語は3番目です。
で、4番目にヒンディー語が来るということになっています。
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今日のトークはですね、この4番目に多くの人々に話されているヒンディー語の話をしたいと思います。
ちなみに5番目がベンガル語、6番目がポルトガル語、7番目がロシア語、日本語は8番目っていうことになってるんですね。
こうやってみるとインドヨーロッパ系の言語ばっかりですね。
マンダリンっていうかチャイニーズっていうか中国語は違いますけど、ほとんどインドヨーロッパ語族の言語となっています。
今日のテーマのヒンディー語もインドヨーロッパ語族なので、広い意味では英語の親戚っていうここなんですね。
このヒンディー語の特徴としていっぱいありますけど、まず発音上の特徴としてソリジタ音っていうものを持っています。
その名の通りですね。舌を反って、舌の裏側を上あごに向けるような形で、キャーとかギャーみたいな音の発音になるんですね。
これはインドア大陸で話されている言語に共通した地理的な特徴と言われています。
あるいは文字の面で言うと、デーバナーガリーっていう文字で書かれていて、今回トークのサムネにしているものがそうですね、デーバナーガリーと言われる文字で、
あ、なんかインドっぽいなーっていうのが感じられるんじゃないかなと思います。
このようにヒンディー語ってたくさんね面白い特徴があるんですけど、今回お話しするのは分裂の覚醒という特徴ですね。
分裂の覚醒、まあやたらかた苦しいし、実際ややこしい問題なので、今日のトークは結構ね骨が折れるんじゃないかなと思います。
気合入れていきましょう。分裂の覚醒のお話をする前に、そもそも能覚醒っていうのはどういうことかっていうのをねお話ししないといけません。
03:06
これは主語とか目的語をどうやって表すかっていう、まあそういうシステムの問題っていうかな、
まあ日本語は能覚醒を持っていない言語です。 日本語の主語や目的語を考えたときに、
まあ自動詞だったら私が走る、多動詞だったら私が本を読むっていう風に、
まあ自動詞だろうが多動詞だろうが主語だったらがっていうのがついて、目的語だったらをっていうものがつきますよね。
まあこういう言語を対角型言語という風に言います。 一方能覚醒とか能覚型言語といったときは、
この主語や目的語の表し方が異なるんですね。
まあちょっと日本語で考えてみると、
自動詞の主語は私走るっていう風に何もつかない。
まあそんな感じなんですね。で一方多動詞はどうなるかというと、私が本読むみたいに、
多動詞の目的語にも何もつかなくて、多動詞の主語だけがっていうものがつくっていうね。
まあそういった言語になります。 つまり能覚型言語っていうのは、
多動詞の目的語が 自動詞の主語と同じように扱われる言語と、まあそういうことなんですね。
でヒンディ語の分裂能覚性ってどういうことかっていうと、分裂っていうぐらいなので、
まあ部分的にしかこの能覚性っていうのがね観察されないんですね。
まあざっくり言うと、官僚系の時にしか能覚性が見られないんですね。
現在時勢だったら、私本を読むみたいに、目的語の方にをみたいなものがつくんですけど、
これが過去形になると、私ね本読んだみたいに、多動詞の主語の方に、
実際ねっていうのがついて、目的語には何もつかないっていうね、まあこういう表し方に変わるんですね。
当然日本語はそんなことないですよね。私が本を読む、読んだ、別に現在だろうが過去だろうが、
主語はが、目的語はをなんですけど、ヒンディ語は官僚系になると、目的語に何もつかなくて、
多動詞の主語にだけ特別の形がつくという、能覚型の表示になります。
どうですかね。今までの話、お分かりいただけましたかね。
06:02
本当はね、版書とかしたいんですけど、まあこれ音声配信なんでね、何とか音声だけで頑張っていこうと思うんですけど、
ではなぜヒンディ語では、その官僚系が能覚型の表示になっているか、
まあこれについて面白い仮説があるんですね。 それは現代のヒンディ語の官僚体っていうのは、
もともと受動体だったっていう仮説なんですね。 受動体っていうのは、
多動詞の目的語が自動詞の主語になって、
もともとあった多動詞の主語は特別の形になるっていうものですよね。
だから私が本を読んだに対して、私によって本が読まれたっていうふうに、もともと目的語だったものが主語と同じ扱いになりますよね。
こういうふうに考えれば、 受動体から
能覚型の格表示にね、 変化するっていうのは
理にかなってるんですね。 理にかなってるって言ってちょっとこれが伝わってるかわかんないんですけど、
つまり受動体も能覚型の言語もどちらも目的語に相当するものが、
自動詞の主語と同じ扱いを受けるという意味では共通しているということです。
これは形の面のお話なんですけど、意味の面でも受動体と官僚系っていうのは共通していて、
というのが受動体っていうのはさっきも言ったように、 多動詞の目的語だったものが自動詞の主語になる。
目的語から主語になるっていうことで、 そのものがハイライトを受けるっていうかな、
ある意味目立つ形になるっていうことなんですね。 例えば象はネズミを踏みつけた
に対してネズミは象に踏みつけられたっていうと、ネズミの方がこう ハイライトされている感じになると思うんですよ。
このように目的語がハイライトを受けるっていうことは、目的語にどのような変化が与えられたか、
状態が変わったかっていうことに重点を置かれるっていうことで、
これは官僚体と非常に相性がいいんですね。 つまり受動体も官僚体もどちらも何がどうなったっていうその結果に着目する
構文であるっていうことですね。 まあこういった理由でもともと
受動体であったものが現代ヒンディ語では 官僚系に変わってしまって、
09:00
そうなると 格表示の方もですね、もともと受動体の格表示だったものが
能格型の格表示になってしまっているということです。 さあ今回のトークは相当レベルの高いトークだったと思います。
最後まで聞いてくださった方お疲れ様でした。 もし質問等あればですねお便りで教えていただけると助かります。
僕はねこれは非常に面白いと思うんですけど、それを人にうまく伝えられるだけのね 技量がないっていうのがね
まあ凹むとこだし反省しなきゃいけないとこだなと思います。 ではまた次回のトークでお会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。
09:45

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