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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ビフタネンです。
我々が普段使っている単語っていうのはね、まあ意味を持っていて、で、その意味っていうのは、和社の間でね、共通したものであるわけですね。
犬って言えば、まあそれぞれイメージは違うかもしれないけど、ある程度共通したあの生き物、あの動物を意味しているということです。
だからこそ、意思の疎通っていうのが和社の間でできるわけですけど、
ただそういう単語の中には、その意味っていうのが、かなり今現在この場所っていうね、その発話したその時その場所に左右されるというか依存しているっていうものもあるんですね。
まあどういうことかっていうと、例えば、まさに今っていう単語ですけど、僕が今今って言った今は、過去にとっては未来であるし、未来にとってはまあ過去のことであるわけですよね。
同様に今日っていう単語も、今日というのが今日を表すのは今日に限ったことであって、昨日にとっての明日だし、明日にとっての昨日であると。
まあこういうふうに発話した実感というかね、発話時にかなり依存した単語ということになります。
場所を表すのもそうで、ここっていうのは僕にとってはここですけど、皆さんにとってはここではない、そこということになるんですね。
逆に僕がそこといった場合は、皆さんにとってのここになると。
あるいは代名詞というものもそうで、私というのはその発話した話者を指す言葉だし、あなたっていうのは話しかけた相手、聞き手を指す言葉なので、その時その時でその指す対象っていうのが変わっていくわけですよね。
こういうふうに今ここに依存している言語の現象を直辞というふうに言います。直に示すと書いて直辞、英語だとdeixisと言います。
こういう現象はどんな言語でも見られることだと思いますね。
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そんな中でも今回のトークは日本語の指示詞、いわゆるコソワードについてお話ししていこうと思います。
コソワードのうち、どはどれとかどことか、疑問詞に関わるものなので今回はちょっと置いといて、これそれあれ、この3つについてお話ししていこうと思います。
もちろんこれそれあれだけじゃなくて、場所を表すときはここそこあそこ、方角だったらこちらそちらあちら、人だったらこいつそいつあいつっていうふうに形を変えるわけですけど、便宜上これそれあれを代表させて考えていこうと思います。
日本語には3つ指示詞があるっていうことになりますね。コソワ、これそれあれの3つ。英語は2つですよね。thisとthatしかないわけです。
英語のthisとthatっていうのは先ほどお話しした直次的なもので、つまりthisっていうのは和舎に近いもの、thatっていうのは和舎から離れているものが基本的な典型的な意味なわけですよね。
一方日本語のこれそれあれはどうなっているかというと、これも直次的という点ではthisとthatと一緒です。ただこれそれあれの場合は話し手だけではなくて聞き手も関わってくるんですね。
どういうことかというと、これっていうのは和舎に近いもの、それっていうのは聞き手に近いもの、あれっていうのは話してからも聞き手からも遠いものを指すんですね。こういう参考対立になっています。
改めて言うことでもないんですけど、ただ改めて言われないと気づかないぐらい皆さんの脳の中というか体に染み付いているものではないかなと思います。
冒頭申し上げました通り、僕にとってのこれっていうのは皆さんにとってはそれ、逆に僕にとってのそれっていうのは皆さんにとってのこれになるわけですよね。
それを使う人によって変わってくるというか、今ここに大きく依存している言語形式ということになります。
この指示詞の面白いところは、具体的なものや場所を表すだけじゃなくて、その文の中の抽象的な要素を指すことができるということです。
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昨日久しぶりに田中に会ったけど、あいつ相変わらず面白いやつだったみたいなものですね。
このあいつっていうのはその場にいる人を指しているわけじゃなくて、その文の中の田中っていう人を指しているわけですね。
ここであいつっていうのは、話しても聞いても田中っていう人を知っている場合にしか使えないんですね。
もし聞き手が田中っていう人を知らない場合は、
昨日田中ってやつに会ったんだけど、そいつは面白いやつなんだよみたいに、そいつっていうのを使わなくてはいけません。
同様に聞き手だけがその人の情報を知っていて、話して自分が知らない場合もそいつっていうのを使うんですね。
あるいはその人みたいに言い換えてもいいんですけど、その人って面白いの?みたいに、いずれにせよ話しても聞いても共通して知っている場合にのみ、
あいつやあの人っていう言い方をして、どちらか一方しか知らない場合はそいつとかその人っていう言い方をするんですね。
当然これは人を指す場合だけじゃなくて、例えばあの話しようよって言った場合は共通の話題があるわけですけど、
その話聞かせてよって言った場合は自分は知らないけど相手だけが知ってるみたいな状況ですよね。
日本語母語話者はこの辺りをかなり巧みに使い分けてるんですね。
指示詞のこれそれあれっていうのは、元々は現場指示的っていうかな、実際にある具体的な場所や人やものを指しているわけですけど、
それが拡張されて文の中の抽象的な内容も指すことができるっていうお話をしました。
このこれそれあれみたいな指示詞の直辞的な使い方とよく似てるものに、行くと来るっていうのがありますね。
かなり大雑把に言えば、行くっていうのは話者のいるところから離れていくようなもので、
来るっていうのは逆に話者の方向に向かってくるような移動を表します。
かなり大雑把に言えばですけどね。
この行くと来るっていうのは、英語のgoとcomeに対応してると普通思うと思うんですけど、微妙にズレがあって、
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例えばご飯できたよって言われたときに、日本語だと今行くっていうところを、英語だとI'm comingみたいな言い方になるんですよね。
この辺の違いも言語ごとにあって面白いところではないかなと思います。
というわけで今回のトークは直辞というかね、ダイクシスという、今ここに大きく依存している言語表現のお話でした。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
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ではまた次回のトークでお会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。