1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-12-15 09:52

#399 関係節と階層性(ハイレベルトーク) from Radiotalk

関連トーク
「サンマを焼く匂い」の言語学
https://radiotalk.jp/talk/369548

参考文献
Keenan, Edward L. & Comrie, Bernard (1977). Noun phrase accessibility and Universal Grammar, Linguistic Inquiry, 8(1), 63-99.
『寺村秀夫論文集』 (寺村秀夫、くろしお出版)
『明解言語学辞典』 (斎藤純男ほか編、三省堂)

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始まりました。志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今回のテーマは関係節ということでやっていこうと思います。
関係節ね。
まあ一応、言語学の専門的な用語ってことになりますかね。
端的に言えば、文である名詞を修飾することを関係節構造とか言ったりしますね。
名詞を修飾するっていうのはいろんなやり方がありますけど、
まあ一番メジャーなのは形容詞による修飾ではないでしょうか。
若い男とか小さい男みたいに、形容詞で名詞を修飾するっていうのはよくありますよね。
それが文というか、まあ節と言った方がいいんですけど、
まあ文っぽいもので名詞を修飾することがあると。
パフェを食べている男みたいに。
で、このパフェを食べているっていう文、まあ節ですね。
この節のことを関係節と言うんですね。
まあ英語にもあります。
英語だと関係代名詞っていうのが出てきて、
まあやりましたよね。
人間名詞だったらwhoで、
ものだったらwhichで、みたいなものですね。
ザッとだったらどっちも使えます、みたいなもので。
英語の場合は日本語と逆で、
関係節が名詞の後ろに出てくるんですね。
a man who is eating a parfaitみたいな感じで、
そのwhoっていう関係代名詞を挟んで、
関係節が後ろに出てくると。
まあ目的語相当のものが修飾される場合は、
関係代名詞は出なくてもいいんですね。
a parfaitで、その後whichとかザッとあってもなくてもよくて、
a man is eatingみたいに言えると。
僕はね、この関係節っていうのが非常に苦手でしたね。
特に習いたての時はよく理解できないまま、
なんとなくフィーリングというか、雰囲気で解いていた気がします。
で、後々高校でね、
英文法っていうのをやるようになって、
理解できるようになっていくんですけど、
何が難しかったかっていうと、
今言ったように、
修飾される名詞が主語なのか目的語なのかっていうのが、
いちいち考えなきゃいけないのが、
ちょっと面倒というか難しかったんですね。
それと日本語と語順が逆っていうのも、
03:02
それに拍車をかけているっていうかな。
日本語の場合は、さっき言ったように、
大きい男、若い男、小さい男みたいに、
形容詞は前から名詞を修飾するわけですよね。
で、それと同じ順で関係節が前に出てきて、
パフェを食べている男っていうふうに、
説明名詞っていう語順は固定されてるんですけど、
英語の場合は関係節は後ろからやってくるのに、
形容詞とか、あとはthisとかthatみたいな指示詞っていうのは、
名詞の前に出てくるので、
そこもたぶん理解しがたかったんじゃないかなと思います。
今言ったように、パフェを食べている男っていうのは、
この名詞が主語に相当していて、
男が食べているパフェっていうのは、
名詞が目的語に相当しているわけですよね。
英語もそれに対応する文というか、構造があるわけなんですけど、
これは何でもかんでも、関係節によって修飾できる言語ばかりでもないんですね。
物によっては、主語しか関係節によって修飾できないっていう言語もあるんですね。
目的語はダメで、つまりパフェを食べている男っていう言い方はできるけど、
男が食べているパフェとは言えないっていう言語があるんですね。
これはマダガスカルで話されているマラガシ語っていうのがそういった言語で、
言語学では有名なんですけど、
このマラガシ語っていうのは、主語しか関係節によって修飾できないので、
だからどうするんだろうな、
ちゃんと調べてはないんですけど、
受動体とか使えばね、
男に食べられているパフェみたいな言い方をすれば、
パフェは主語扱いになるので、
そういったことをするのかな、
調べてみたら多分面白いと思うんですけど、
ひとまずマラガシ語っていうのは、主語しか関係節によって修飾できません。
こういうふうに関係節によって修飾される名詞に制限があるような言語は結構あって、
それが階層を成しているんですね。
最も関係節によって修飾されやすい名詞っていうのは、主語なんですね。
物によってはマラガシ語みたいに、
主語しか関係節によって修飾できませんっていう言語もあるんですね、実際。
その次に修飾されやすいのは、直接目的語。
その次に間接目的語。
その後、社格名詞句っていって、それ以外の名詞句。
その下に所有者。
その下に比較の対象っていうふうに、こういう階層性があって、
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こういうのを日本語で接近可能性の階層とか言ったりするんですね。
英語だとアクセシビリティハイアラーキーとか言ったりするんですけど、
この階層性っていうのはどういうことかっていうと、
直接目的語は関係節で修飾できるけど、
主語はできないっていう言語は考えられないっていうことなんですね。
つまり、あるものが関係節で修飾できるんだったら、
それよりも階層が上のものっていうのも必ず修飾できると、
そういったことを表してるんですね。
あるいは間接目的語が修飾されるなら、
だから、私が本をあげた少年みたいな言い方ができるんだったら、
必ず直接目的語や主語っていうのも関係節で修飾できると、そういうことなんですね。
子供に本をやった男とか、そういった言い方が必ずできるということです。
さっき言ったように、マラガシ語っていうのは主語しかだめで、
ウェールズ語っていう言語は、ブリテン島で話されているケルト系の言語なんですけど、
この言語は主語と直接目的語は関係節で修飾できるけど、
間接目的語は関係節で修飾できないみたいなんですね。
だから、私が本をやった少年みたいな言い方はできないそうです。
時々この言語学の理論の話で、階層性っていうのが問題になることがあって、
この接近可能性の階層以外にもいろんな階層っていうのが発見されています。
日本語の場合は、わりかし主語でも直接目的語でも間接目的語でも修飾できるんですけど、
ただ、日本語でこういった言い方があります。
パフェを食べている姿。
この姿っていうのは主語でも何でもないです。
主語でも目的語でも間接目的語でもなくて、姿がパフェを食べているわけでもないし、
元の文に戻せないです。
こういうのを外の関係の名詞修飾っていうことがあります。
こういう言い方は寺村秀夫っていう先生がしたものなんですけど、
つまりパフェを食べている男っていうのは、男がパフェを食べているっていうふうに戻すことができるんですけど、
パフェを食べている姿っていうのは、そういう元に戻すっていうことができないんですね。
そういった意味でパフェを食べている姿っていうのは関係説とは言わないですね、普通ね。
09:05
単に名詞修飾って言うと思います。
この外の関係の名詞修飾に関しては、過去のトークでお話ししていて、
三魔王薬に酔いっていうのを確か例に挙げたと思うんですけど、
関連トークがあるのでそちらも聞いていただけたらと思います。
今回のトークは割とハイレベルだったんじゃないかなと思います。
結構ね、言葉だけじゃわからないと思うので、何回か聞き直していただけたらと思います。
というわけで今回のトークはここまでということで、
お相手はシガ15でした。また次回のトークでお会いいたしましょう。
09:52

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