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始まりました、志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
イカリア長助です。
イカリアさんといえば、ドリフ。
ドリフといえば、8時だよ、全員集合、ですよね。
この、「ぜいいん」ですけど、みなさんはどうですかね。
「ぜい」っていう風に、伸ばし棒的にね、発音してるんじゃないかなと思います。
実際ね、Twitterで、「ぜいいん」っていう風にひらがなで検索してみると、結構な数ヒットするんですよね。
ただ、文字を見ればわかるように、「全員」っていう風に打ち込まないと、
最近のスマホはね、結構気使ってくれるんですけど、
まだね、「ぜいいん」では、「全員」っていう風に漢字変換してくれないんですよね。
同じような例は他にもあって、
まあ、芸員とかね、店の定員とかね、
こういうのも、「ん」っていう文字なわけなんですけど、
発音はなんか伸ばし棒っぽくなってるということです。
これはどうやって考えるかというとですね、
まず、「ん」っていう音がこういう風に伸ばし棒っぽくなるのは、
「ん」の後の音が、母音の時が多いですね。
全員とか芸員とか定員とか、これは全部いいっていう母音ですよね。
こういった場合は、「ん」っていう発音は口を閉じずに、
専門的には離母音という発音になると言われてるんですね。
だから鼻に抜けて全員っていう風に、
そういう発音になるっていうのが音声学的には言われてるんですけど、
僕の反省ではですね、全員とか芸員とか定員っていうのは、
別に鼻に抜けなくても言えてるというか通じちゃってる気がするんですよね。
なので、「ん」っていうその、
鼻音っていうんですけど鼻の音と書いて、
鼻空というか鼻を抜けていくような発音とされてるんですけど、
この「ん」っていうのは全員とか芸員とか定員っていう風に、
その鼻音の要素が全くなくなっちゃってると言っていいんじゃないかなと思います。
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だからこそ全員とか芸員っていう風に、
そういう風に間違ってツイッターとかで書いちゃって漢字変換できないみたいな、
そういった事例があるわけなんですよね。
そもそも日本語の「ん」っていうのは一つの音声を表してるわけではないんですね。
かなり象徴的な存在というか、変幻自在でいろんな表れ方をするんですね。
例えば同じ「ん」という文字で書いたとしても、
後ろが唇を使うシーンだった場合は、
先輩っていう風にMで書くような「ん」っていう音になるし、
センターみたいな歯茎を使う音だったら、
Nで書くような音になるんですね。
あるいは観光みたいに「ん」の後が南郊街って言って、
その上あごの後ろの方を使う音だと、
なんて言うんですかね、英語のNGで書かれるような、
あるいは微濁音と言われるような発音になります。
つまりこれは後ろに出てくるシーンに「ん」っていうのは引きずられるということですね。
先輩、センター、観光、それぞれ後ろに出てくるシーンは、
唇を使う、歯茎を使う、南郊街を使うということで、
それぞれ後ろに出てくるシーンに合わせた、
「ん」という形になってるわけなんですね。
そういう風に考えると、前音とか下音とか低音とかっていうのは、
さっき言ったように後ろに出てくるのは母音なので、
母音っていうのは口の中でどこにも閉鎖を作らない音なんですね。
閉鎖というか邪魔しない音なので、
ただ鼻に抜けさえすればいいということになります。
けど、やっぱり僕にはね、ただの超母音にしか聞こえないことが多くあるというか、
鼻に抜けてる感じは別になくてもいいんじゃないかなと思います。
例えば店の定員っていうのと、
MAXまで入れる人みたいな、その定めるっていう字の定員っていうのを、
皆さん発音仕分けてますかね?
当然文字の上では定音と定音なので違うんですけど、
発音上これらは区別なくなっちゃってるんじゃないかなと思います。
ちょっとわかんないんですけど、
母語ってかなり反省しづらいので、
もし店の定員とMAXの方の定音が同じ発音になっているとすれば、
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この母音の前のンっていうのは、
その象徴的なンっていう音が持っている、
鼻音声というか鼻に抜けるという共通した特徴を失っているということになります。
つまりMとかNとかNGみたいな音っていうのは全然違う音声ですけど、
鼻に抜けるというその唯一の共通点によって、
ンっていう一つの象徴的なものとして認識されているわけなんですけど、
母音の前のンは、その鼻に抜けるっていう特徴がかなり薄れて、
微母音ですらなくなってるんじゃないかなというのがね、僕の印象ですね。
ただこの母音の前に出てくるンっていうのが、
母音と一緒くたにして発音されるということもあるんですね。
これは歴史的な遺産といった方がいいかもしれません。
英語でワンオブとかいうところをワンノブとかこういった発音になるのと似てます。
例えば、反応とかですね。
それぞれの漢字は反と応なんですけど、
Nの音がくっついちゃって反応になったりとか、
いっぱいありますよ。銀なんとか天皇とか因縁とか、
こういったものは、ンという子音が次の母音と一緒くたになっている連常、
連なる声と書いて連常と言われる音変化です。
面白いのは、三味一体説とかありますよね。
あれって3っていう数字の3と、暗いっていうイっていうその漢字が並んで、
三味となっているわけなんですけど、Mの音が出てるんですね。
これは歴史的に、三っていう漢字語は、
三っていう風に唇を使う音だったと、そういう証拠なんですね。
で、これは漢語なので中国からやってきたわけですけど、
現代の中国語では、三っていう風にNの音になってるんですけど、
その漢語が入ってくる途中の朝鮮半島の韓国朝鮮語では、
今でも三っていう風に唇を使う音が残ってるんですね。
これはなかなか面白いですよね。漢語のその起源というかね、
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出身地である中国では、NっていうMのような音は残ってないのに、
韓国朝鮮語やあるいは日本語の連常と言われる現象で、
そのMの名残が見られるということです。
というわけで、今回のトークは日本語のNにまつわるお話でした。
まあかなり変幻自在だっていうことですね。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
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お相手はシンガ15でした。