1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2024-04-30 10:22

#647 「友人に会う」と「友人と会う」のちがい from Radiotalk

主要参考文献
久野暲 (1983)『日本文法研究 第9版』東京: 大修館書店.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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「友人に会う」と、「友人と会う」 この2つに何か違いはあるでしょうか。
大した違いはないというふうに感じられると思うんですが、 使われている助詞が「に」と「と」ということで、
形の面で違いがあるんだったら、意味の面でも何かしら違いがあるだろうというふうに考えるのが言語学でございます。
今回はこの助詞ですね、「に」と「と」についてお話ししていきます。
BGM、かかれい。 今では私がおじいさん。
孫にあげるのはもちろん、ベルタース・オリジナル。 なぜなら彼もまた特別な存在だからです。
会うという動詞について言えば、「友人に会う」、「友人と会う」 両方使えるわけですけど、
どっちかしか使えないという状況も当然あるんですよね。 で、「に」っていうのがどういう時に使われるかというと、
目的地とかっていうのが多いですかね。 渋谷に行く。
これが渋谷と行くにはならないですね。 言えたとしても渋谷という人物、人名としてね、解釈されると思います。
そういった意味で、「に」っていうのは かなり場所に近いんじゃないかなという感じがしますね。
それに対して、「と」っていうのは 誰々と会うっていうふうに、
人間っていうのがよくあるパターンかなという感じがしますよね。 特に一緒にするみたいな時に、「と」っていうのが出てきますよね。
友人と勉強した。 これ全然変な文ではないですよね。
ここに「に」っていうのが使うことはできません。 友人に勉強した。
こういったことから、「に」っていうのは典型的には場所で、 動かないものっていうふうに考えることができると思います。
対照的に、「と」っていうのは人間が典型的で、 向こうも一緒に動くっていうのが
イメージされるんではないかと思います。 そういうふうに考えると、友人に会うと友人と会うというのも、
前者の方が、友人に会うの方が、 ある意味、友人を場所扱いしているということで、
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友人というのは動かない対象で、そこに自分が向かっていくっていうふうに 言えるんではないでしょうか。
一方、友人と会うといった場合は、友人の方も動いて、 お互いに動いて、
落ち合うというふうにね。 どちらも会うという目的のために動くような場合は、
友人と会うという言い方になると思います。 ですので、動かない場合は、場所とみなされてにが使われて、
動くような場合は、「と」が使われると。 そんなふうに一般化できると思います。
で、このことは別の例でも確かめられます。
例えば、 暗闇の中でドアノブに手が触れた。
こういう言い方できますよね。 で、この場合に、っていうのが出てくるわけですけど、
ドアノブじゃなくって、誰かの手っていうふうに考えた場合、 暗闇の中で誰かの手に手が触れた。
これも言えますし、「と」っていうのも使えるんですね、この場合。 暗闇の中で誰かの手と触れた。
これがさっきのにとての違いがね、そのまま当てはまって、 とっていうのは何か動くものについて使われるものだと。
ですので、誰かの手と触れた。 これはいけますけど、ドアノブっていうのは動きませんので、
ドアノブと手が触れた。 まあこの場合はドアノブが何かこう動きを持つような、
擬人化されたような場合はもしかしたら言えるかもしれません。 このように、「に」っていうのは場所っぽく見なされて動きを持たないものというふうに解釈されるので、
友人に相談したといった場合は、 こちらから働きかけて、
ある意味一方的に相談しているわけですけど、友人と相談したといった場合は、 お互いにこう歩み寄っている感じがすると思います。
まさに一緒にっていう感じがするんですよね。 このように、「に」っていうのは繰り返しですけど、
動かないものに使われて、「と」っていうのは動くものに使われる。 大雑把にこういうような使い分けがあって、
この「に」と「と」というのを我々は無意識に使い分けているということでございます。
で、今この「に」と「と」っていうのを 助詞として扱っているわけですが、
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果たして同じレベルの助詞なのかというと、 ちょっと不思議なところがあるんですね。
どういうことかというと、助詞は助詞でも格助詞と言われるようなもので、 格助詞っていうのは動詞との
関係を表す、文法関係を表す助詞ということができると思います。 動詞というか述語と言った方が正確ですが、
大まかに言って、「が」っていうのは主語、「を」っていうのは目的語、
「に」っていうのは今言ったように場所とか間接目的語とか、
「と」っていうのは随反射とかね、そういった言い方ができるとは思うんですが、
果たしてこの「に」と「と」っていうのが同じ格助詞と見なせるかというと、 どうなんだろうということで、
どういうことかというと、 格助詞っていうのは双方分布的で
同時に出られないみたいにね。 だからこそ一つのグループだと考えられるんですよね。
「がとを」とかね、「をとに」とか、この辺は当然一緒に出てこられません。 ただグループが違う助詞だったら一緒に出てこられます。
例えば「わー」とかね、こういったものは 格助詞ではないので、
友人にはあったとか、友人とはあったみたいに、 まあ「に」にしろ、「と」にしろ格助詞っていうのは和と一緒に出てくることができます。
この和について言うと、がとをとは一緒に出てくることできないんですよね。 が和とかを和とは言えなくって、
そのために和っていうのが、がとかをと一緒に出ないから 格助詞だと勘違いされることもあるかもしれないんですけど、
がとをの場合はちょっと特別で、やっぱりにはとかとはとは言えるので、 和っていうのは格助詞とは別の助詞とみなされるんですね。
で問題は「と」の場合で、 今言ったように友人とはあったみたいに、和とは一緒に出てこられるので、
そういった点では他の格助詞と一緒ですけど、問題は「と」っていうのが 他の格助詞とも一緒に出られるということです。
例えば、 ご飯と漬物を食べた。
まあこういう文があったとして、 この文はご飯と漬物とを食べたっていうふうに、
和の前にも「と」っていうのが出てこられるんですよね。 つまり格助詞っていうのがここで連続しているように見えます。
こういうふうに 一緒に出られる、双方分布していないという点で「と」っていうのはちょっと変わっているし、
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さらに言うと、 この「と」っていうのが本当に動詞との
文法関係を表しているかということですね。 今の例だと、
ご飯と漬物とを食べた。「と」っていうのが表しているのは動詞との関係というよりは、
名詞をこう繋いでいるという感じがしますよね。 なのでこの辺はね結構ややこしいです。
「と」っていうのを複数認めるっていうやり方も あるっちゃあるとは思いますね。
友人と会うみたいに動詞と関係を持つ「と」 と、ご飯と漬物みたいに名詞関係を繋ぐ「と」
他にも引用を表す「と」っていうのもあるので、 何々と言ったみたいな場合の「と」ですね。
そういった意味で「と」っていうのはね、意外と奥が深いんですね。 というわけで今回のエピソードはここまでということで、
また次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガジュウゴでした。 またねー!
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