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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今回お便りを2ついただいているので、まずそちらを読み上げたいと思います。
まずは、はるはるさんからいただきました。
志賀さんこんばんは。過去の配信回も楽しく聞かせてもらってます。ありがとうございます。
いえいえ、こちらこそありがとうございます。
実は今回のラジオを聞くまで、「やばみ」という言葉があるのを知りませんでした。
自分の知らないところで、新しい言葉が生成されているのかと感じました。
時代とともに言葉が変化し、たまに日本語の乱れとか聞くときもありますが、それはその年代の人々の気持ちや感じ方が影響しているのですね。
以前、日本では、「平家物語」の発音が、「せいけ」だったと記憶しております。
今の若い方たちは自分の年代とは違う感性を持っているのも面白いと感じましたということです。
ハルハルさんお便りありがとうございます。
確かに言葉の乱れとか言われることは非常に多いんですけど、僕自身としては過去のトークとかでも言っているんですが、どうでもいいんですよ、そういうのは。
言いたいやつは言っとけばって感じで、そんなことより、なんでそういう表現になっちゃってるのかっていうことの方に興味があるので、そういうことをよく話してるんですよね。
平家物語の発音が、「せいけ」だったっていうのは、まさに前回のトークでお話ししていることですので、
ハルハルさんも多分お聞きになったと思うんですけど、皆さんもそちら、前回の聞いていただけたらと思います。
ありがとうございます。
そしてもう一つ、ラジオネームでもれもさんからいただきました。
志賀さんこんにちは。いつも楽しく拝聴しています。
前回のヤバミの言語学とても面白かったです。
その流れでカレピ、スキピの言語学も聞いてみたいと思ってしまいました。
過去にやっていたら申し訳ありません。よろしくお願いいたしますということです。
はい、ありがとうございます。
これね、カレピ、スキピ、なるほど、このピですね。
これの話をちょっと今日はやってみようと思います。
でね、このカレピとかスキピとか、こういう単語の後にピがつく表現は、
なんか最近っぽいって皆さん感じるかもしれませんけど、意外と歴史があって、
ノリピ語っていうのが昔あったんですよね。
坂井のりこさんが使ってた独自の表現で、今の若い子たちは知らないか、
知らないかって言って僕も知らない世代なんですけど、
僕が坂井のりこさんを知ったのは例の事件から知ってるんで、全然世代ではないんですよね。
そのノリピが使ってた言葉で、ノリピ語っていうのがあって、
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マンモスウレピとか聞いたことあるかなって感じですよね。
あとはタノピとかね。
っていう風に、単語の後にピっていう音をつけるっていうのは、
意外と歴史があったわけですけど、それが直接の起源となって、
今のカレピとかスキピみたいな表現があるとは到底思えないので、
おそらく独自の発展をしてきたんでしょうけど、
一応、今から30年くらい前ですかね、にもそういう表現はあったということをとりあえず言っておきますね。
このピっていうのがくっつくことで何をしてるかっていうのは、
僕自身使わないっていうのもありますけど、よくわかりません。
どうなんだろう。やっぱりちょっと可愛らしさみたいなのを演出してるみたいな意味があるんでしょう、おそらく。
あとはこのピっていうのはまず音の面からちょっと見てみますね。
ピっていうかパピプペポっていう音は結構日本語の中だとある意味で目立つんですよね。
これもまた前回のお話に関わるんですけど、
パピプペポっていう音は日本語の歴史の中で1回消えてるんですよ。
パピプペポがファフィフフェホ、そしてハヒフヘホっていう音になって、
その後に外来語が入ってくることによって、1回消えたパピプペポが復活したって感じなんですよね。
だからちょっとね、スタイリッシュな印象を受ける人がいてもおかしくないかなって感じですね。
その外来語でこの音はよく使われるからということで。
ハンダクンがね、日本語の中で見られるのはその外来語以外でも一応ありますけど、
例えば漢語の熟語とかでヒョっていうのが発表とか、
ハンっていうのが出版っていう風にこの熟語の後ろの要素のファフィフヘホの音がパピプペポになるっていう
現象はあるんですよね。
あるいは音便って言ってちょっと発音しやすくするためにそういう風になってるっていうのもあって、和語であって、
引っ張るとかっていうのは引き張るですけど、引っ張りになってたりとか、
ぶち放すがぶっぱなす、酔い払うが酔っぱらうとかね、
こういう風に単語と単語の組み合わせの時に部分的に観察される音なんですよね。
それ以外は外来語で観察されると。
なのである意味で珍しい言語音といえばそうかもしれません。
あるいはピカピカとかね、そういうオノマトペみたいなものではいっぱいありますけどね。
そういう意味でノリピーが使ってたノリピー語っていうのも新しい差はあったんでしょう、おそらく。
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普通は出てこない音が積極的に使われていたということなんですね。
レモレモさんのお便りにあったカレピーとかスキピーですけど、
果たしてカレピとスキピのピっていうのは同じピなのかっていうのはありますよね。
やっぱり文法的に僕は考えてしまうので、
カレっていうのは名詞でスキっていうのは形容動詞ですから、
なんか違う品種にくっついているので、そうなっちゃうと同じものと言っていいのかなとか思うんですよ。
例えばね、すごい極端な例で言うと、
英語のSっていうのは複数形の時にもSがくっつくし、
三人称単数現在三単元のSっていうのも全く同じ形ですけど、
当然くっつく品種が違うので別々のものと見なしてますよね。
それを勘違いする人はいないわけですけど、
そういうこともあるのでカレピとスキピが同じピなのかはピンときてないんですよ。
僕自身使わないっていうのもあって。
なのでとりあえず今日は最近のピというよりは伝統的ってわけでもないですけど、
ノリピー語のウレピーとかタノピーとか、
そういう形容詞につくピっていうのをちょっと考えてみようと思います。
この形容詞につくという点においては、
こないだ話したミとかなり似てるということなんですね。
ヤバイのイを取ってミをつけてヤバミですよね。
あとツライのイを取ってミをつけてツラミ。
同じようにおそらくヤバピとかツラピって言えるんですよね。
こういうのはTwitterで検索すれば山ほど出てくるんで、
自分が言わなくても使われてるんだなっていうのがよくわかるんですよね。
前回のヤバミツラミのときはミっていうのがくっつくと名詞になるっていう話をしたんですけど、
このピはピをつけたとこで名詞になってるかというとちょっとわからないですね。
名詞っていうのは後ろにガとかオとか格助詞って言われるものがつくとかなり名詞っぽいんですよ。
なので他のピがあるとか売れピがあるとかそういう言い方はたぶん厳しいので、
品詞は変わってないと思いますね。形容詞のまんまなんじゃないかと思います。
そういった点でミとはちょっと違うんですよね。
ミと同じところはちょっと繰り返しになりますけど、形容詞につくというところですけど、
ミの方は形容詞から名詞っていう品詞を変えるっていうことをやってるんですけど、
ミの方はおそらくそれはありません。
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さらにピの面白いとこは、これはミと比べた場合ですけど、
ミっていうのは楽しいだったら楽しみ、嬉しいだったら嬉しみになるんですよね。
一方、ピは楽しピ、嬉しピということもありますけど、
ノリピ語だったら他のピなんですよね。
あるいは売れピということもあるみたいなんですよ。
これ両方あるんですよ。
詞を残して楽しピということもあるし、
詞を取って他のピということもあるみたいなんですね。
ここがこないだお話ししたミと違うところです。
これの面白いところはこれどうなってるかっていうと、
古典でみなさん形容詞の句活用、式活用って習ったの覚えてますかね。
いきなり過程話しすんじゃねえよバカって感じですけど、
現代語ではこの句活用と式活用って言い方はしないんですよね。
そういう区別やったってもう活用の仕方一緒なんで、
そういう区別なくなっちゃってるんですけど、
古典では例えば高いっていうのは句活用なんですよ。
古典だと高しですね。
高しっていう句活用。
楽しとかだと式活用なんですよ。
これはちょっとめんどくさいですけど、
連用形になったときに高くってなって句しか出てこない場合は句活用で、
楽しくでしくが出てくるときは式活用ってことなんですね。
今お話ししてたのは、句活用の形容詞の場合は、
例えばやばいとかも一応句活用っぽいものなんですけど、
いを取ってやばぴーでいいんですよね。
一方式活用由来の形容詞の場合は、
しを取ってたのぴーということもあるってことなんですね。
このぴーの付き方っていうのが古典の句活用と式活用に連動してるんですよ。
こんなことを言った人は多分日本では僕が初めてでしょうね。
なぜなら誰もやらないからってことですけどね。
というわけで、今日はぴーの話をしてみました。
いかがだったでしょうか。ではまた次回。