デザインの民主化と需要の変化
This is Reina Moro's Podcast 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is Reina Moro. 皆さん、こんにちは。
ニューヨークと東京を拠点にするグローバルイノベーションファーム I&CO 共同創業パートナーの、Reina Moroです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回は、Ask Me Anythingをこの番組のプロデューサー、竹村幸子さんと一緒にお届けします。
はい、レイさん、よろしくお願いします。
今回、番組にお悩みを寄せてくださったのは、ウェブデザイナーの黒卓洋さんです。
黒さんは昨年、デザイナーになりたい人が共に学び、共に働く場を作りたいと、ピンクフリークという会社を創業、デザイナーのコミュニティ作りに邁進されています。
はい、今回はそんな黒さんからいただいた、デザイナーの需要と供給についてのご質問にお答えしていこうと思います。
では、早速いきましょう。
Ask Me Anything
黒さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。株式会社ピンクフリークの黒と申します。
私の自己紹介を簡単にさせていただくと、最初入った会社が地図の会社のデザイナー職というちょっと変わった仕事をやっていて、
そこからゲームのデザイナーをやって、その後ウェブデザイナーをやっているという、いろんなデザイン職を経験しています。
2年くらい前から初心者向けのウェブデザインの勉強会をやっていて、私自身もウェブデザインとかってどこかでやってきたので、
それをいろんな人に学んでもらえるような環境を作りたいよねということで、いろいろ勉強会を開催していて、
会社としてはデザイナーになりたい人みんな一緒に働こうということと、ウェブの表現を追求しようということと、
これからあとは海外を目指していこうというのも念頭によって活動をしております。
はい、それでは今回ご相談されたいのはどんな内容ですか?
そうですね、すでに世の中に綺麗なものかっこいいものが溢れている中で、
クリエイティブの需要っていうのはこれ以上必要なのかと、もしかしたらもうこれ以上デザインっていうのは本当はいらなくて、
別のところに注力した方がいいのにっていうところもあるかもしれないんですが、
やるべきことっていうのはどういうところにあるんだろうっていうのをご意見伺いたいです。
クロさんがまず地図の会社にデザイナーに入られたということなんですけれども、
そのきっかけというかその会社に入った理由っていうのはどこにあったんですか?
中学より前ぐらいから結構地図が好きでっていうのがあって、
ただ地理的なことを読み解くっていうよりかは、
小文社のマップルっていう普通の道路地図があるんですけれども、
それを見たときに今見ている街と地図の街っていうのがすごく鮮やかで面白いなと思って、
感動しちゃったんですよね、中学生の頃なんですけど。
そこで地図のデザインっていうのに初めて触れて、
ただ地図を自分で作れるとは当時思ってなかったんですけど、
大学が都市計画の学科にいたんですけれども、
そこで初めて地図を作るっていうのが、都市計画で地図を作るんですよ、
図面を作るっていうことですね。
それに初めて触れまして、自分で作れるんだと思って、
大学の頃いろいろ地図作って、
それをこの仕事をしたいなと思って就職したっていう感じですね。
そこからゲームデザインに行かれて、そしてウェブデザインにたどり着いたということなんですけれども、
まず地図のデザインからゲームデザインに行った理由というのと、
ゲームデザインからまたウェブデザインに行ったというのは、その経緯はどんな感じでしょう?
デザインの需要への対応
ゲームのデザインって実は位置情報のゲームの会社で、地図の延長線上ではあったんですね。
地図をもっといろんな人に使ってもらえるにはどうすればいいかっていうふうにいろいろ考えたかったんで、
今の地図会社は結構カーナビに注力しているということで、
カーナビ以外のところでいくと、じゃあゲームのほうもやってみようかということで、
ゲームの会社に転職しました。
そこからですね、ただ実際ゲームのデザインとかやってみると、
やっぱり難しいな、自分に合わないなっていうか、やっぱりあって、
そこからですね、何も仕事なくなっちゃって、次どうしようかと思って、
その時コロナも来たし、働き口もどんどん縮小していくみたいな感じになっちゃったんで、
なんとか自分で一番就職しやすいのってどこだろうと思ったら、
ウェブしかなくてということで始めたっていうのが、実際にはそんな感じですね。
もう一回ちょっと改めて最初に聞かれた、いいデザインっていうのが世の中にたくさんあふれていて、
その需要があるんだけども供給がありすぎるから、そのバランスがどうなのかっていうことだったりとか、
AIでデザインが簡単にできるとか、いろいろそういういろんな方向からのプレッシャーがあると思うんですけども、
でもやっぱりその見えないものを形にするとか、アイディアを形にするとか、何かを伝えるとかっていう、
それの過程としてデザインっていうことがあるわけじゃないですか。
だからデザインの需要と供給で言うと、需要は常にあると思うんですよね。
ただデザインそのものが、これ別にウェブデザインっていうところに限った話じゃないんですけども、
30年ぐらい前のデザインっていうものと、今2024年のデザインの社会での立ち位置が変わってるとは思うんですね。
で、そこをまとめて言うと何が違うかっていうと、デザインの民主化だと思うんですよ。
民主化?
民主化。90年代ぐらいまで、もっとさかのぼると80年代とかって、デザインってすごく専門職で、
例えばデザイン学校に行かなきゃいけないとか、技術もなかなか、コンピューターが、
マッキン・トルシカ、もう3、40年前の話ですけども、できてきて、それである程度技術がない人でもできるようにはなったんですけども、
それでもやっぱりその時のコンピューターでデザインするのっていうのは、なかなかハードルが高くて誰でもできることでもなかったわけですし、
やっぱり学校行かなきゃ身につかないようなことではあったと思うんですね。
それが今1980年代から90年代ぐらいの話ですけども、そこからまた30年経った今、デザインっていうもののハードルがすごく下がったわけですよね。
それはそれで全然いいことで、昔まではすごく限られた人たちの特権だったことが、今となってはかなり大使の方もできることになったっていうことなので、
デザインっていうものがすごく普及したわけだし、あとそのデザインっていう職業へのハードルもすごく下がった状況になってるわけですよね。
日本でも多分かなり有名だと思うんですけども、CanvaとかWixとか、Wixってあれはウェブサイトを作るデザインのツールですけども、
Canvaはレイアウトだったりとか、資料のあれだったりとか、それこそSNSの投稿のレイアウトの制作だったりとか、
デザインの知識がない人でもテンプレートがもうほぼ無限であるから、そこから選んできて言葉と写真だけを変えれば、ちょっと手を加えただけで大体のものができているっていう状況にはなっているので、
そこに加えて今AIの勢いがすごくて、そういうツールもAIをどんどん組み込んでいくことによって、今までは10時間かかったこと、もしくは5時間かかったことがもうほんの3分でできちゃったりとか、1分でできちゃうっていう世界にはなるので、
民主化はどんどんどんどん進んでいきますし、今でももうデザイナーと思ってなくても大体のことはデザインできる時代にはなったので、さっきおっしゃったことのデザインの需要と供給っていう話とデザイナーの需要と供給の話って微妙に違うと思うんですよね。
そうすると、これからデザイナーに求められているやるべき仕事の領域でいうと、変わってくるんでしょうか?何かやらなければいけないことが変わってくると思いますか?
変わってきていますし、もうだいぶ変わったと思いますし、そしてどんどん変わってくると思うんですね。多分考えた方がいいのは、これからどういうデザインの需要があるのかっていうところを常に気にされながらデザインっていうことに関わっていくのがいいんじゃないかなと思います。
需要が伸びていくデザインもあれば、需要が下がっていくデザインもあるので、そこの時代の変化に臨機応変に対応しながら進んでいくのが理想なんじゃないかなと思います。
ウェブデザインの重要性と変化
ウェブデザインでいうと、今後どういう変化があると思われますか?
ウェブサイトだけを作るっていうことになると、ちょっとそれってもうだいぶ一般の人がデザインの技術がなくても既存のツールやサービスでだいたいのものができるので、ウェブデザインの需要はあったとしてもウェブデザイナーの需要があるかっていうのはそこは結構微妙ですね。
でもそのデザインの知識、デザインの技術を使ってその人のサービスをどう見せていくかっていうのは、それはウェブサイトでもあればSNS上でもあるかもしれないし、他のところでもあるかもしれないじゃないですか。
だからそれに対して提供するデザインの在り方を変えていく、適応していくっていうのが必要だと思います。
需要がいろいろ変わってくるっていうことなんですね。やはりこれをウォッチしていかないといけない。
まさにそうですね。まさにそうです。
その需要をキャッチする上で、これから今でもそうですし、デザイナーがどうやったら需要をキャッチできるとかって何かあったりとかしますか?
この感度を良くしていくっていう。
それはすごくいい質問で、僕もデザインに携わっている人間として思うのは、まずすごく小さいものでもすごく小さい規模でもいいので、自分でも同じことをやってみるっていうのはすごく大事なのかなと思います。
というのも、例えばウェブデザインを提供しますっていうふうに誰かが言うとするじゃないですか。
でもそれをやる前に、まず自分でデザインをやってみて、そしてやって世の中に出してみて、その反応を見る。
その反応を見たりとかして、そこに需要があるのかっていうのを自分で直接肌感でわかるようになったほうが活かせると思うんですよ、仕事に。
なるほど。確かに。
そうじゃないと、分かってないことを売ることになっちゃうので。
そうですよね。
本当にその通りだなと思って。
私、自分で起業して自分のホームページを初めて作ったっていう、自分の会社のホームページを作ったっていうのがあるんですけど。
自分で作ってみてその運用の大変さとか、自分で自分の商材をアピールする大変さっていうのがすごくよくわかって。
他のクライアントさんの話を引き出すのはまだ客観的に見れるからいいんですけど。
でも自分のことってわかんないよなっていうのが深掘っていかないとわかんないよなっていうふうにわかってきて。
それでヒアリングのやり方がだいぶ変わって、パッと思いつくことって伝えたいことじゃないよねって思うようになりました。
だからやっぱり今の時代でいいのは、いろんなツールが多田もしくはかなりの定額ですごく簡単に使える時代になったので、まず試すことができるわけですよね。
それで世の中に出すことも結構簡単にできるので、完璧なものを最初から作らなくてもいいっていう時代なので、
それはすごく有利な状況だと思いますよね。
デザインの重要性と不変性
だから今そのオシャレな時代に自分の事業を立ち上げられて、自分のサイトを作ってこれこれこういうふうに伝えるのがいいんだろうなっていうふうに。
例えばそのサイトに出したとしても何か反応が来ないだったりとかっていう時にはそれをまた変えられるわけじゃないですか。
20年前とかなかなかウェブデザインとかが普及してないときは、
なんか印刷しなきゃいけないってことになると、もともとその何万円何十万円とかかかっちゃうわけだし、
一回印刷してそれまた擦り直そうとかっていうのも毎回お金がかかることが、
今例えばそのウェブサイトにサービスのあれを出して、そして名前を変えようとかって言ってもそれはもう瞬時にできて、それもただでできちゃうことなので、
そういうエントリーのハードルっていうのはすごく低くて、
そしてやり直しが効くというのはすごく有利な状況だなと思います。
いろんなところにもう本当に日常的に気づかないところに意外なチャンスがあって意外な事業があるっていうのがあると思いますので、
そこを常に意識しながら事業をされるのがいいと思います。
ありがとうございます。すごく勉強になりました。ありがとうございます。
ここまでお送りしてきました、レイナモトの世界のクリエイティブ思考。今回はリスナーの質問に広く答える、Ask Me Anything をお送りしました。
デザイナーとして、世間の需要とか時代に合わせてアウトプットするものっていうのは変わってくると思うんですけど、
逆に言うと、アウトプットの形が変わったとしても、デザイナーっていうのはこういうことを意識しているべきとか、ここは変わらないものとして持っておくべきみたいなものって何かありますか?
何がそのデザインをやっていて良かったかっていうと、ぼやっとした考え方だったりとか、アイディアを形にする力っていうのが、
すごくビジネスという世界の中で実は足りてないことなんですね。
特に日本ってそれが足りてなくて、見えないもの、見えないアイディア、ぼやっとしたものを可視化して具体的にものにする力っていうのは、
それはですね、いろんな業界ですごく重宝されて、そしてためになるんですね。
なので、デザイナーとして、そしてデザインの良さ、凄さっていうのは、今までになかったものを生み出すっていうことですので、
そこを踏まえて、デザインやってること、アウトプットの形は変わるかもしれないんですけども、本質的なところでそのなかったものを生み出す、見えなかったものを絵にする、形にする、可視化をするっていう技術、ノウハウは、
これは時代を越えて非常に役に立つことなんだなっていうのは、今やっていることも含めてすごく肌でわかってるので、
クロさんにも今でも来年でも5年後でも10年後でもそのなかったものを生み出す力っていうのは、そこに対する需要はあるっていうのは、
いくらAIが進んだとしても、AIを使ってそれがもっと早くできるようになればいいだけのことで、それはそれで必要なことなんじゃないかなと思います。
今回は今までとはまた違うタイプのお悩みの相談が来て、レイさんなんか新鮮でしたね。
そうですね、なかなかその日常的には常に考えていることではないんですが、でもこういうのって普遍的な課題であって、
どれだけ経験を積んでも、どれだけ有名になっても、どれだけプロになっても、常に意識していかなきゃいけない課題だっていうのを、
僕が今このクロさんからの質問に対してお答えをしていた立場ではあるんですが、逆にそれが僕にとってもこれっていつの時代も常に考えなきゃいけないことなので、
ちょっと再認識させられたので、いい機会だったなと思います。
こういう質問をまたぜひいろんな方からいろいろご応募いただければなと思います。
はい、この Ask Me Anything のコーナーでは皆さんからの質問を募集しています。
番組の詳細欄にあるリンク、またXQ Twitter から質問を受け付けています。
それでは世界のクリエイティブ思考、お相手はレイナムトと
竹村由紀子でした。
デジタルガレージは危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、創業以来大事にし続けています。
これからくる Web 3 オープンソース時代を見据えた、
テクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。