これ短編も様々で24編入ってるんですけど、1ページで終わっちゃってる短編とかもあるんですよ。
すごい短い、基本的に結構短めの作品が多くて、あまり前置きなく急に始まったりとか、
表現で切り取られてるような印象とかもあったりするんですけど、
なんていうか、読んだ瞬間にまずもうルシア・ベルリンさんの人生の中にポンって放り込まれたような感覚になる小説で、
切り取ってることが上手すぎて、なんか触れてるような描かれてることに触られるぐらい迫ってくる感じを持ちました。
なんて言ったらいいんだろう、ストーリーとかじゃなくて、もうすぐそこにあるみたいな感じの印象を持った作品なんで、
結構びっくりしたっていう言い方あれだけど、ちょっと上手く言えないんですけど、
触れられるぐらい近くに差し出されてるような感じがあってドキッとする小説が多かったですね。
確かになんかすごい感覚として伝わってきますよね、それが。
やっぱり文章が上手いというか、独特な文章が書けるのか、そんなすごくありますよね。
僕はこの小説のすごい魅力的なところとしては、ルシア・ベルリンさんの実生活がベースで書かれているものになるんですけど、
語り手がすごく多種多様で、もちろん女性もいれば、おっちゃんもいたり、子供もいたりとか本当にバラバラで、
作品の幅がすごいなと思っていて、自分の人生をベースにしてそんだけ幅広い人の視点というか語りをかけるっていうのが、
これはなかなか面白いなと思いましたね。
それは本当に思いますね。
今日なんですけど、私のラジオのスタイルで短編集で何作か取り上げてそれについて掘って語っていくっていうのが多かったんですけど、
今回ちょっとかなり細かい作品が多いので、それをやってもあまり微妙かなと思ったので、
もう特定の短編を取り上げてこうですみたいな話はしなくて、この24編全体の話を今回していこうかなと思っております。
まずちょっとお話ししたいのが、これが実生活をベースにした作風っていうところをちょっとお話ししたいんですけど、
リアリティみたいなものすごくあります。
ちょっとそれを支えているものは何なのかみたいな話はちょっと後でしたいなと思うんですけど、すごくリアリティがあって、
間違いなくいろんな経験から生み出されている文章である、物語であるってことはすぐ分かります。
なんですけど、この24編に渡って描かれていることの幅がすごくて、
間違いなく同一人物なんですけど、同一の語り手なんですけど、全然違うよねみたいな感じの。
そうですね。置かれている立場が全然違っていたりとかあります。
職業とかで言うと掃除夫とか看護師とか教師とかいろいろ出てきたりとかするし、
母親だったり娘だったり、誰かに愛されていたり妹だったりとかいろんな立場の。
子供から本当に大人まで絵描いていたり、時代を描いたりとかしてたりして、
住んでいる場所もアメリカだったり、結構ベルリンさん時代、チリでの生活が長かったのかな、幼少期。
チリとかメキシコのあたりの話とかも結構出てきて、その辺の空気感とかすごく感じるときもあって、本当にいろんなことが描かれてますね。
あと、貧困層の話とかも多いんですけど、
でも一方でルシア・ベルリンさん、子供の頃裕福だった時代もあって、結構その両方あるんですよね。
上の方の暮らしと下の方の暮らし、どっちも描いてっていう、そういう感覚っていうのもなんかね、感じれますよね。
なんかちょっと危ないところに行っちゃった良いところのお嬢様みたいなポジションの、
貧困外に迷い込んでてか、ちょっと触れるようになってしまった良いところのお嬢様みたいな感じの設定の話もあれば、
貧しさの中にいるっていう時の、息子を抱えて生きてるっていう話もあるんで。
ギャップもすごい良いですよね。
で、私個人的に読んでたのは、まあ多分元々裕福だったから多分読書をかなりしてたのかなって思うんですけど、
この主人公たちが置かれてるポジションからすると、なんかすごい読書量を感じる描写が結構あって。
そうですよね。
例えば掃除婦なのに、なんかめちゃめちゃポール・オースターとか。
なんか単語できたりとかして、めっちゃ本読んでるなみたいな。
で、ちょっとどこだか忘れちゃったんですけど、三島の小説で着物を脱ぐ様子を3ページに渡って描いてるみたいな。
描いてるけど、私は一瞬で脱ぐみたいな。
どこだったか忘れちゃったけどあって、え、すげえなと思って。
そっか、やっぱり三島由紀夫の小説は世界にも多分読まれてると思うので、
読んでることあるんだな、いろいろ喋れることあるんだなとか思ったりして、
なかなかその辺も結構面白かったですね。リアルな感じがして。
そうですね、結構なんか短編の中では物書きの人物が出てくることもあるんですけど、
そういう人たちの作家論っていうか文学話とかも結構面白かったりしますしね。
僕は個人的には結構ろくでもない人物がたくさん出てくるんですけども、
それが例えば犯罪者であったりアルチューであったりとか、結構そういうのがリアルに感じれて。
例えば、短編の中で今を楽しめっていう短編があるんですけども、
そこですごい口の悪い男性が出てくるんですね。
これは別に犯罪者とかではなくて一般の男性なんですけど、
たまたま言わせた男性っていうのがめちゃくちゃ口が悪くて、
そんなちょっとしたことでみたいなところでもガミガミ言ってくるっていう。
それって一般の感覚からするとなかなか理解できないかなっていう気はするんですけど、
実際でもそういう人いるなって思ったりして、
なんかちょっとこんな人なかなかいないだろうと思うような、
でも実際いるよねっていう、
そういったところとかすごい出てくるなと思いましたね。
人物程度結構、ソウロングとかだっけ?
マックスっていうすごく愛した男が、
ヘロインやってて、それでダメになっちゃう。
でももうダメになるけど、また後々会ったら薬とは手を切っててみたいなとか、
その楽さも結構パパッとあって、
いいと思ってた人が悪くなっちゃったり、悪いと思ってた人が回復してたりとか、
そういう切り替えみたいなのもすごいあって。
あれ中でもとんでもないポンコツみたいに書かれてるのに、
次のページ行くとめっちゃ優しくて、
結構楽さが激しくてびっくりしますよね。
キャラが激変したりとかって意外とあったりしますよね。
キャラが激変するっていうのは、実生活でも確かにあることだなと思うので、
そういうのも自分の経験したことを書いてるんだろうなと思いましたね。
表現の話をちょっとしたいんですけど、
うまくこれで言い当てられてるかちょっと不安なんですけど、
人物描写とか物事に対しての描写なんですけど、
素直っていうかありのままを書いてるっていうか、
いい意味でなんですけど、想像力を感じないんですよね。
なんていうか、的確にそこにあるものを描こうとしてる。
目の前にあるものを紙に、文章に落とし込もうとしてるっていう感じが結構私強く感じて、
自分の言葉で世界を切り取っていってるような感じですかね。
だから、やたらパシッて印象に残る時あるんですよ。
例えば、ドクターA1A猛威に反って、
これおじいちゃんが入れ歯を入れ直す話なんですけど、
入れ歯を入れる前に全部歯を抜くんですよ。
それを主人公視点の孫に手伝わせるんですけど、
この時におじいちゃんが、おじいちゃん歯医者なんですけど、
おじいちゃんが患者の歯を抜いた時もやるんですけど、
ティーバッグを噛ませるんですよね。
リプトンの黄色と黒のタグがついた紅茶のティーバッグを噛ませるんですけど、
その時におじいちゃんの口が全部なくなってる時にバッて入れるんで、
なんか骸骨みたいに見えてて、
それがおじいちゃんの骸骨がティーポットみたいに見えたみたいな。
その秒針がバッて入ってきて、
それってものすごく一瞬で頭の中に浮かんでくるし、
すごい印象に残るし、
なんか想像力を使ってないわけじゃないと思うんですけど、
それよりは持ってくるものが上手すぎるっていうか、
リアリティのあるものをバッと入れてくんで、
これも実際そういうことがあったんじゃないかと思うんですよね。
ティーバッグをバッて入れたんだろうなって思って、
細かいところなんですけど、
でも細かいところってそういうのがガツッとくるんで、
すごい表現が上手いなって思ってましたね。
そうです。なんかすごい表現がちょっと独特というか、