娘がヤンゾムのちょっと上ぐらいですね。この奥さんがですね、ある日財布から金がなくなっていると騒ぎ出して、ヤンゾムを盗んだに違いないと言い出します。
それを否定した夫と大喧嘩が始まり、とんでもないことになります。
ちなみにこの時、この一人娘がですね、ちょっと家デモしてしまっていて、もうこの夫婦間でですね、もうかなり賢悪な状態だったっていうのももちろんありますね。
自分が原因でですね、自分が何か盗んだら盗んだりとか言われて、家族が荒れるのは嫌だ、もう耐えられないと思ったヤンゾムはですね、この家を出ることにします。
出たところで、ラサでどうしていいかわからないんで、以前ですね、このラサの街を歩いている時にドルカルに会ったんですね。
ドルカルが向こうから話しかけてくれて、ヤンゾムとちょっと再会話していたんですけれども、その時ちょっと連絡先をもらっていたので、ドルカルに連絡をします。
ドルカルはですね、現在ナイトクラブバラというところで水商売をしていて、同じ店に勤める女性2人と一緒に共同生活をしていました。
結構狭いアパートみたいなところで。そこにヤンゾムを連れて行って、3人と合流させていきます。
まずヤンゾムはですね、結構堅実な仕事を始めてきますね。けれども収入も少なく、皿洗いの仕事だったんですけど、
もうずっと皿洗いしてるんで、手がとんでもなく荒れてきちゃってボロボロになっていくんですね。血とかも出だして。
それを見かねたドルカルは、そんな仕事しなくてもいいから家にいてという感じで、ヤンゾムにそんな仕事するなと言います。
試しにちょっとナイトクラブバラの仕事を体験してみるのもいいんじゃないかということでお店に誘います。
もちろんビキビキしてるヤンゾムなんですけれども、ドルカルが絶対守るからと。
ドルカルは実際、かなりお客さんの変な手柄は全部守ってたんですけれども、ドルカルが目を離したスキンですね。
ヤンゾムはですね、男性客にホテルに連れ込まれてしまって、ドルカルと以前会ったドルカルと同じような目に遭ってしまいます。
ドルカルはですね、自分と同じような目に遭ったヤンゾム。これ守りきれなかった自分を責めるし、申し訳ないというか、辛い気持ちになっていって、
ヤンゾムを守ろうと、一緒に二人で生きていこうと言い出すんですけれども、
ヤンゾムはですね、逆に水商売をするという決意をして、この時からバラで働くことを決めて、いろんなダンスとかの練習とかをし始めます。
バラはですね、花の名前がゲンジナで付けられているそうで、ヤンゾムはツーツジというゲンジナを使うようになっていきます。
この後ですね、ヤンゾムはお店のナンバー2まで駆け上がっていくという形ですね。
ちなみにこのヤンゾムの章が一番長くて、7章は均等にあるわけじゃなくて、結構短い章もあるんですけど、このヤンゾムの章だけ100ページぐらいあるんで、かなりボリュームがありますね。
第4章が菜の花。この菜の花はですね、ドルカルのゲンジナになっています。
ドルカルの過去が語られて、どうしても弟のために、弟を大学に行かせるために、いい教育を受けさせるために、お金を稼がなくてはいけなかったということが語られていきます。
ドルカルはそのために、とにかく稼いで仕送りをしてという生活をしていました。
けれども菜の花はですね、ある大きな病気にかかっていることが判明していきます。
第5章、プリムラ。これは菜の花とツツジと一緒に住んでいる2人のうちの1人の女性のことで、このプリムラがなぜ水商売を始めるに至ったかが語られていく章です。
最初は割と堅実な仕事をしていたんですが、水商売に足をつかむことになってしまうということが語られますね。
第6章は花ゴマ。これも一緒に住んでいる女性のうちの最後の1人ですね。
花ゴマはナイトクラブバラのナンバーワンです。
彼女もある事情から故郷を出ていかなくてはならず、羅斎に流れ着き、結果的に水商売を始めたという流れになっていますね。
第7章、最後はツツジという章があるんですけど、もちろんこれはヤンゾムですね。
ヤンゾムの視点で物語は描かれていて、ある終わりを迎えるという流れになっています。
ネタバレをしないように話すとこれ程度かなってところなんですけれども、
ざっくり話すと、4人の女性が出てきて、それぞれナイトクラブバラというところに勤めるんですけれども、
それにはですね、いろんな事情があって、やむにやまれず流れてきて、そして傷ついていくという話になっています。
そうですね。結構ね、4人の人物が出てくるんで、ストーリーとしてはボリュームがありますよね。骨太で。
やっぱり同じような道をたどるけど、みんなそれぞれ事情が違うっていうのがね、結構この小説の視点の多さかなっていうところですね。
個人的にはラスト、すごく迫ってきたのは、結構人生の厳しさに立ち向かっていく感覚になるというか、気持ちにさせられる本でした。
これはもう筒子の、ヤンゾムの視点で最後終わっていくんですけれども、その時にヤンゾムが自分に降りかかった厳しさ、辛さ、そういうものをですね、
もちろん大変なことはあったけれども、それでも生きていくっていうような感じ、それをちょっと印象として持ちましたね。
ちょっと全然違うんですけど、ジョン・ウィリアムズっていう、ストナーを書いたジョン・ウィリアムズのブッチャーズ・クロッシングっていう小説があるんですけど、
それのラストもなんかちょっと同じような気持ちになったなーって思い出して。
ミヤさんブッチャーズ・クロッシング読んでる?
いやいや、まだ読んでなかったんですよ。
ストナーの話はしまくってるけど、ブッチャーズ・クロッシングの話はたぶん全然したことがないので、ざっくり話すと、
開拓時代のアメリカの話で、バッファロー狩りに行く話なんですけど、結構自然の厳しさに打ちのめされるような話ですね。
だからこれはこの花と夢は、彼女たちに襲いかかってしまう社会の厳しさとか、
現実的なところとか、人間が作り上げてしまったものから受ける厳しさだと思うんですけれども、
ちょっとブッチャーズ・クロッシングは自然の厳しさみたいなところがあるんで、ちょっと何とも言えないんですけども、
ブッチャーズ・クロッシングがあれか、結構ラストね、結構この花と夢よりはもう、
成り上がっていくんだみたいな感じの、頑張っていくぜみたいな感じの終わり方だったから、
ちょっとやっぱり意味合いが違ったかなと思いながら話してるけれども、
ただその厳しさにぶつかって、やっぱり自分を立て直して、何かに向かっていくみたいな感覚っていうのは、
ちょっとこの花と夢でもあったので、そういう力はもらえる小説かなとは思いましたね。
みえさんはどうだろう、このラストのあたり。
みえさん 確かに今の聞くと、この4人がバラに来た時って結構成り行きで、
そうだよね。
みえさん やっぱり地方からラサに出てきて、食べていくにはどうしたらいいんだろうかとか、
ってなった時の色々あって成り行きでバラに来たんですけども、ただそのまま流されるようにそこに入ってきたとして、
最後やっぱラストはそこから出ていく時ですね、それぞれがやっぱり自分たちはこういうふうに生きていこうっていうですね、
決断をしてそれぞれ道を歩んでいくっていうですね。
そこのところはやっぱり何かその人の生き方のところで一つ希望を感じるところはありましたね。
やっぱりそれだけ確かに社会の厳しさ、そこに立ち向かうっていうあったんですけども、
でもそこに対してずるずる流されるままそれを迎えるんじゃなくて、ちゃんと一人一人が自分はこう生きていこうって思って立ち向かっていこうっていうですね、
そこの力強さというか意志の強さというか感じれて。
だからラストは結構いろんな感情がありましたけど、そういうちょっと前向きになれるようなところというのは個人的にはありましたね。
そうですね。確かに。だからなんか結構重い話なんだけど、なんかやっぱり読んでよかったなって思えるようなところではあるよね。
そうですね。あと作品の中で印象に残ったところだと、まずラサというところが舞台なんですけども、
この109ページにですね、ラルバシというある橋がちょっと出てきて、そこで主人公がヤンソンがドルカルと再会する場所になるんですけども、
このラルバシというのが路上の陽光ですね、ラッシャーブルザーさんの。
でも舞台となった場所橋だったんですけども、このラルバシが出てきた時はテンション上がりましたね。
あれだよね、路上の陽光のあの二人が過ごした橋ですよね。
橋ですね。まさか出てくるとはっていうので、なんかその路上の陽光の世界とこの花と夢の世界がちょっとリンクするのが一瞬感じれて、ちょっと個人的にはちょっと嬉しかったポイントですね。
なんかちょっとラルバシどういう橋なのか、ちゃんと調べてなくてあれなんですけども、やっぱチベットのというかマラサの中でも人々が過ごすそういうスポットっていくつかあるのかなっていうのは思いましたね。
なんでまあそういうなんて言うんですかね不の連鎖みたいなのが起きていたと。ただ現代ですねこれが現代というかここ2010年以降というんですかね。なんか本当に現代になってくるとちょっとその政権側ですねまあ国の政権の方で締め付けを強くしていてそのなんかそういう被害女性ですね。
でそういう地方から出てきて家政婦になったりとかでちょっと悪い目に遭うみたいなそういう被害女性は減っているかもっていうですね。ちょっとその辺の変化というのはあるのではないかと。
なるほど急激に発展して政治のこともあったりしたら貧富の差は生まれやすいもんね。
なんかその労働環境的なところとか労働問題的なところ、家政婦の主人公が13歳で家政婦になるんですけど無給でずっと働くんですよね。
そうなんだよね。
それもちょっとわからないですけど今の社会とかだったらもしかするとその労働問題とかちょっと改善されているところあるかもしれないですし。
13歳から働くっていうのがそもそもちょっとダメだと思いますし。
確かに。あれでもまあそうだよね。衣食住を保障しているとはいえ無給だもんね。
であの結構この星泉さんの役者、後掛けじゃなくて解説か、役者解説に結構ねこの社会の背景とかは結構触れてくれて、作品の背景かとか触れてくれてるんで結構理解は済む部分はあるかなとは思うんで。
ちょっと気になったらまずそっちとか読んじゃうのもありかなと思います。
ちゃんとここから先ネタバレになるんでってアラートしてくれてるんで解説の中で。
安心して読んでここから先は読んじゃいけないなと思ったらやめて戻ってとか全然できるんでいいかなと思いますね。
確かに。今回確かにこの役者解説があると確かにすごく分かりやすいですよね。読んでいきますね。
それ読んでもなんかそのどういう流れでこの富裕層が生まれていったのか、このお金がこの人たちだけに流れていってるのかとかはちょっと分からなかったんで気にはなったところだなっていう感じかな。
これはまた別のちべットの本をこれから読んでいかないといけないですね。
これから我々も多分読むことになると思うのでどっかでその時にちょっと勉強しましょうか。
そうですね。
最後感想とどんな人に読んでもらいたいか話して終わりたいと思います。
今回やっぱり話してみて最初に話したとおりすごい読みやすい本だなっていう印象は変わらずで、
でもやっぱりこのちべットの文化社会っていうのを何というか突きつけられるような小説だったので、
同じこの自分が生きている世代、時間でこういうまだちべットにはこういう社会が今あるんだっていうのをちょっと感じると、
なんかいろいろと考えてしまう一冊でした。
で、結構読んでる途中ね、うってなるような時もあったんですが、
読み進めてしまう部分っていうのはこの文体とか、今話してきたけどことわざのうまさみたいなところが結構あったんで、
何というか本当読み物としてすごい面白かったなと思います。
で、重い話だなって印象を持たれたと思いますし、実際重い話なのでこういう話が苦手だなって思ったら読まない方がいいかなと思います。
冒頭にもですね、フラッシュバックのことについてちょっと触れて性暴力及びハラスメントの直接的な描写が含まれます。
フラッシュバックの恐れのある方はご注意くださいっていう注意が書かれてるくらいなので、
なんかすべての人にこれ読んでねっていうのはなかなか言いづらいんですけど、
ちょっと自分が今日聞いてみて大丈夫そうだなって思った人は手を出して見てもいいんじゃないかなと思います。
海外文学いろいろ読んできましたけども、こんなにことわざがたくさん出てくる小説は多分ないですし、
それが本当にあんまり違和感ないんですよね。
自然とそれが読んでいると入ってきて、むしろそれがわかりやすかったりしますし、
登場人物が本当にみんなそういうことわざとかうまいこと言う人が本当にたくさんいて感心しながらちょっと読んでいたんですけども、
そういう意味ではすごいなかなか他にはない唯一無二の作品なのかなと思いましたね。
確かにハードな部分内容にはあるんですけども、それだけじゃなくやっぱり小説としての面白さがすごくあるので、
大丈夫の方はですね、やっぱりすごい満足度の高い、しかもかなり考えさせられることの多い小説なので、
本当に興味を持たれた方には、これはちょっと読んでいろいろ自問自答していただけたらなと思いましたね。
そうですね。じゃあ次回はこうして終わりたいと思います。
次回はジュリー大塚のスイマーズをご紹介いたします。
お楽しみに。
番組の最後になりますが、メルマー会員を募集しております。
こちら無料版、有料版とございまして、無料版は毎回エピソードで長すぎた部分をカットして大変化して配布するというものになってますが、
最近ちょっとなかなか作れてないんですが、その代わりですね、我々の今後の紹介予定本、ちょっと気になっている方いらっしゃると思うので、
こういう本を紹介していくよという一覧をつけているのと、
あと海外文学の新刊ニュースなんかをですね、ちょっと我々がこの辺り面白そうだなと思ったものを作ってお送りしているので、
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そしてこの番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました。
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