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2020-12-14 30:42

第25回「【改訳】通話」ロベルト・ボラーニョ著 ~愛すべき売れない作家たち~

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【今回の紹介本】

■『【改訳】通話』ロベルト・ボラーニョ著

今回第24回目でご紹介するのチリ出身の作家ロベルト・ボラーニョの「【改訳】通話」です。

ミエの好きな作家TOP3に入る、ボラーニョの入門編といえる短編集、

是非お楽しみください!

【番組内で紹介したトピック】

■『【改訳】通話』ロベルト・ボラーニョ著 訳

https://www.hakusuisha.co.jp/book/b206423.html

■2021年に向けた企画、発動中!

2021年も「空飛び猫たち」は羽ばたき続けます!

そちらに向けたリスナーが選ぶベストエピソード投票、アンケート、そして年始の配信で読み上げるリスナーからのお便りを募集しております!

詳しくは、空飛び猫たちのnoteをチェック!

https://note.com/cafecatwings/n/n61792d93aece

【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ

文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

毎週月曜日朝7時に配信しています。

【SNSでご投稿ください】

番組の感想・リクエスト・本を読むきっかけになったなど、 #空飛び猫たち をつけて、ぜひSNSに投稿してください!

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

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どうもみなさん、こんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。お相手は、私小須賀好きの会のダイチと藤をめぐるカフェのミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。お互いの紹介に関しては、第0回で話しているので、そちらをお聞きください。
本編始まる前にですね、ちょっと告知したいことがありまして、お話しさせていただきます。
まず、年末年始の企画なんですけど、リスナーの方が選ぶベストエピソードみたいのをちょっと見てみたくて、エピソード投票をちょっとやってみたいと思ってます。
で、もう一点、こちらですね、番組を来年も2021年もちょっと続けていこうと思っているので、実施に向けて改善を図りたいので、アンケートをちょっとやらせてもらいたいと思っているので、アンケートをやります。
あと、こちらですね、年始発明ぐらいの回かな、になると思うんですけど、改めてまたこのそろとびね言葉という、説明する回を収録しようと思っているんですけれども、
その時ですね、また今の第0回みたいにやると思うんですけど、リスナー様からのメッセージを募集して、そういうのを紹介できたらなと思っているので、メッセージを募集したいと思っています。
この3点、エピソード投票、アンケート、メッセージをですね、そろとびねこのノートで展開しようと思ってますので、ぜひ皆様、これ集まらないと話にならないので、
12月の27日までちょっとまだ決めたいんですけど、募集しようと思ってますので、ぜひぜひご協力いただけたらなと思っておりますので、お願い申し上げます。
告知はさておき、今回はですね、ロベルト・ボラーニョの通話をお届けしたいと思っています。
では早速いっちゃいましょうか。
今回紹介するのは、ロベルト・ボラーニョの解約通話になります。
ボラーノコレクションというシリーズの1巻目になります。
こちら、松本賢治さん役で白水社から2014年に出版されています。
じゃあちょっとあらすじを私のほうから紹介します。
亡命作家との奇妙な友情、刑事たちの対話、ポルノ女優の独白、ある米国人女性の反省、名もなき彼らの声に耳を傾ける14の物語、短編の名詞でもあったボラーニョの戦慄の第一短編集となっております。
はい、ボラーニョの短編集で、この通話の中に確か14編入っていまして、すごい何て言うんですかね、ボラーニョ短編の名集でもあるんですけども、すごい引き出しの多い作家だなと思っていて、
コレクションの中にアメリカ大陸のナチ文学っていうのとか、遥かな星とかっていうシリーズがあって、暗い目の話ではあるんですけども、今回ちょっと大地さんもボラーニョを初めて読まれたというところで。
初めて読みました。
結構何て言うんですかね、さらっと読める部分もあって、面白かったと思うんですけども、その面白さがより加速した感じのコレクションの他の作品になっていて、
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しかもよりちょっとマニアックな作品でもあるかなと、濃い内容になっていて、ボラーニョがやっぱり一番有名なのはおそらく2666という長編かなと思っていますね。
名前だけは存じ上げてます。
だからボラーニョって言うともう2666のイメージが私あって、逆に今回通話ということでやりましたけど、もう2666こんな短いんだって思って、いっぱい読んで。
そうですよね。2666すごいんですよね。確か900ページぐらいあるのかな。上下2段組で、今確か7000円ぐらいするんですよね。
昔というか何年前かな読んだの、あれ5年ぐらい前になったの。読んで、それですごい感銘を受けてですね、しかもその時図書館で借りて読んだんですけど、
2週間で読まないといけなかったんで、本当なんか死ぬ思いでなんとか2666を、でもそれですごい影響を受けてボラーニョが大好きになってですね。
そうなんだ。
今まで読んだ小説の中で一番面白かったって思ったのがこの2666ですね。
やっぱりそうなのか。買います。もう年末年始読もうと思ってこの通話を読んだんで、なんかハマっちゃってますね、完全に。
年末年始もう完全に潰れますよ。
でも今年どこにも行けないだろうから、いいんじゃないかな。わかんないけど。
もう一つ長編があって、野生の探偵たちという、これも上下巻で出ているやつなんですけども、これもすごい面白くてですね。
すごい自分の中では特別な思い出の小説として残っていてですね、一番好きなのは2666なんですけれども、野生の探偵たちも本当にすごいなと思った小説で、
そういうボラーニョが今では本当ラテンアメリカの代表する作家という位置づけにはいるんですけども、
その中の今回紹介する通話が多分入門書として一番読みやすいかなと思っていまして、
そういったところでは本当に面白い短編集なんで、ちょっとボラーニョを知っていただきたいなと。
ボラーニョは興味あるけど、でも2666とかすごい大変だし、なんか読むの厳しい作品ではあるんで、そういったところではこの通話をちょっときっかけにしてもらえたらなと思っています。
もう私まんまと通話読んでボラーニョにハマりつつあるんで。
ハマる人すぐハマると思いますね。
まあそんな感じでちょっと興奮気味なスタートになっちゃってる。
本当ですね。
今回紹介していくのが通話ですね。通話に出てくる3つの短編紹介していきたいなと思っています。
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ちなみにこのボラーニョでいうとちょっとその共通するキーワードみたいなのがあってですね。
ボラーニョ自身がチリの作家なんですけども、そういったところでやっぱりチリとかアルゼンチンとかそういう南米というのがよく出てくるんですね。
南米出身のキャラクターであったり、誰々が南米に行くとかそういうのがよく起きたり。
あとメキシコですね。ボラーニョも若い時メキシコにいたっていうのもあって。
あとヨーロッパでスペインとかフランスとかイタリアとかそういったところが結構舞台になりがちだというのがあって。
あと登場してくるのがだいたい詩人とか作家とかなんですね。
そうですよね。
だいたいその三流詩人とかが主人公で。
売れない作家が売れてる作家に嫉妬する話とか、売れない詩人が行方不明になるとかですね。
そういう話が結構多いというですね。これ結構読んでるとなんか面白いところなんですけど。
分かります。すごい感情がリアルでその辺の。
そうなんですね。
すごいなんか自分の中に引っかかってきて面白かった。
他にもボラーニョといえば結構共通する話題っていろいろあるんですけども、それだけ引き出しが本当にたくさんあって。
結構ボラーニョの書いてるものって誰もボラーニョらしいし、なんか他の作家とはちょっと違うなっていう感じが。
分かる。
短編でも長編でもするという、なんかすごいある意味みんな個性的な作家であると。
では最初に紹介するのはこの通話の一番最初の作品、先死にという短編小説になります。
これはスペインが舞台の小説になるんですけども。
小説家志望の主人公、一人称で僕と言うんですけども、主人公は地方の文学省スペインのアルコイシのスペイン文学省に応募をして、
そこでサインになって賞金をもらうことができたんですね。
そこのアルコイシっていう本当に小さな地方の文学省でとはいえ賞金をもらえたというので、
協力している中で同じ文学省に応募していて2位だったアルゼンチンの作家の先死にという人がいるんですけど、
その人の名前を2位のところで見つけて、知っている作家の先死にがこの省に応募してたんだって気づいて、そこからちょっと話が始まっていくという小説で。
この主人公の僕はスペインの作家の先死にを結構尊敬していたというか、作品としてはすごい評価をしていた作家で、
そこで興味を持って手紙を送って、そこから先死にからも返事が返ってきて交流が始まってくると。
面白いのが、そこから先死にと僕で2人で地方の文学省を賞金稼ぎを始めるんですよね。
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この流れ面白いですよね。
先死に結婚して子供いて生活費稼がないといけないというので文学省にたくさん応募してたんですけど、
先死にからコツを教えてもらうんですよね。文学省の攻略の仕方、こういうふうに書けとかで。
僕が一番面白いなと思ったのが、同じ短編集のタイトルだけ変えてフクツーの省に応募しろっていう。
ここが結構笑えるところ。
日本の文学省でやったらやばいことになりますね。
でもここもちゃんと解説があって、そもそも審査員みたいな人は読んでないからバレないとか、読んでても一部しか読まないからバレないとか、
全部読んでたとしても気づくだけのことは起きないから大丈夫だとか、それで先死にはたくさん応募していって、
主人公の僕は新聞とかで全国の地方の文学省を見つけては先死ににそれを教えてあげるっていう、そういう役割でやっていて。
やっぱり主人公の僕ってまだまだ駆け出しの20代なんで落選続くんですけど、
でも先死には地方の文学省でいくつかの賞金を稼いでいって、生活費の足しにしていくという、そういうのが続いてたんですけど。
ただあるとき、先死にの息子さんがアルゼンチンで新聞記者をしていたんですけども、行方不明になっていたんですね。
それが行方不明ではなくて、いやもう亡くなったという情報が入ったみたいで、
それによってちょっと先死にが落ち込んで母国のアルゼンチンに帰っていったんですね。
そのまま先死にがアルゼンチンで、その後比較的すぐ亡くなって、先死にが亡くなったという情報を僕が知って、
そこに先死にの娘さんが訪ねてきて家族で過ごしていたとき、
お手紙をやり取りしていた主人公の僕を先死にがどのように語っていたかとか、
そういう話とかをしてくれていて、それで終わるというそういう短編なんですけども、
結構これすごい好きな小説で、途中主人公と先死に二人で一緒にハンターのように文学賞を応募していくというくだりとかすごい面白かったんですけど、
やっぱ最後ちょっと切ないというかね、悲しい終わり方をしていて。
ラストすごい絵に、絵がイメージできるカットで終わりますよね。
そこがなんか自分はすごく良かったというか、結構この、まず初めて、一番最初に通話がこの本の一番最初だし、
この先死にが一番最初の話じゃないですか。ボラニオを初めて私はこれを読んだわけですけど、
この最後の感じっていうか、その先死にの娘のミランダと二人で、ベランダでしたっけ?
そうですね、ベランダで。
街の明かりを見ながら、二人でちょっとお酒飲んで、ちょっと話してみたいな、すごく穏やかな気持ちになっていることに気づくとかあって、
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それでなんかその絵で終わる感じがすごく印象に残ったし、これで結構私はボラニオ好きだなって思いましたね。
確かに、そうですね、すごい映像的に描くのが上手くてですね。
それもボラニオの特徴の一つですね。
あと、結構ユーモはあるじゃないですか、結構。
そうですね、めっちゃありますね。
私この先死にでいうと一番面白いなと思ったのは、写真を送り合うとこあるじゃないですか、先死にと。
ありますね、はいはい。
で、あっちから写真送ってきた後に、こっちも写真送んなきゃとか言って、毎日スピード写真に行って。
そうそうそう、通うんですよね、スピード写真のとこに。
でも全然いい感じに撮れないから、毎日一枚撮って、でもどんどんお金を無駄にしていくっていう。
そうそうそう、ただですね、貧乏なのに。
ここで金使っちゃうんだみたいな。
そう、自分の写真撮って、自分で落ち込むんですよ。
全然パッとしてないなって。
でも最終的には適当に一枚選んでみたいな感じでしたけどね。
そう、もう時間がないから、とりあえず送ったっていう。
このくだり結構好きでした、私。
そうですね、あそこがね、めっちゃ面白いですね。
だからそのユーモアがありつつ、結構息子さんの死の話とか、戦死に時代の死の話とか、ちょっと重めに傾いてて。
そうですね、ボラーニオの長編とかになってくると、人が消息を急に絶って、それを追いかけるように、行方不明になった地に踏み込んでいくっていうのが、一つのテーマとしてあって。
そういう意味では、この戦死にという短編も、それをちょっと匂わせる要素があるなと。
あと、主人公の僕って20代の売れない作家なんですけど、これってボラーニオのことなんですね。
僕がよかったなと思うのが、やっぱり売れないボラーニオに声をかけ、孤独な存在だったと思うんですけど、
そこに声をかけて面倒を見てくれる先輩作家の戦死にっていうのが、すごい温かい存在として思えて、
そこはすごいよかったなと。なんかボラーニオがちょっと思い出を書いてるような気がして。
なんかね、解説読むと名前がすぐ出てこないんですけどね。
モデルの作家がいて、実際その作家と手紙でやり取りをしていたっていう、そういうエピソードもあって。
けっこう自分の体験を描くのが上手い人なんてことですよね。
色んなところリアルだ。他の作家もそうなんですけど、すごくリアルなとこあるなと思って。
経験はすごく反映はされてるんだろうなとは思いました。
そうですね。
すごく上手くできた小説だなと思います。
そうですね。それがいきなり一つ目に来ていて。
ちょっとじゃあ、次の紹介しようと思います。
じゃあ次に紹介するのは、エンリケ・マルティンという短編になります。
これもまた主人公は詩人の、売れない詩人になるんですけども。
その主人公の友達ですね。
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エンリケ・マルティンという友達も同じく詩人ではあるんですけども。
このエンリケ・マルティンが同人誌を創刊するという時に、主人公にもちょっと文章を書いてよと言って。
主人公がその創刊号に文章を載せる予定だったんですけど。
その創刊号を作る時にメンバーに、主人公はチリ人なんですけど、もう一人チリ人がいたみたいで。
もう一人のチリ人が創刊号にチリ人二人は多すぎると言って。
主人公の原稿を却下してしまってですね。
それをエンリケも却下したのかな。
それで主人公が創刊号に文章を載せれなくなって、そこから友達関係がなくなってしまった。
亀裂が入ったという、そんな設定のところから始まる小説で。
結構この最初のくだりが面白いんですけど。
でもね、そうやって亀裂が入ったんですけど。
何かある成り行きというんですかね。
エンリケ、カップル、恋人と、あと主人公と彼女の4人で食事をするという機会があって。
それ以降、何度か食事を重ねていくという。
そんな後、エンリケとちょっと合わなくなるというか、エンリケが姿を消して。
その間に僕は長編小説を大手の出版社から出せるようになって、名の売れた作家になることができていたんですけど。
ある日、自分が参加はしなかったんですけど、その作家が呼ばれるようなカクテルパーティーの招待状に怪しい暗号が書かれたという招待状が届いて。
そこからエンリケですよね。
しばらく会っていなかったんですけど、家の前にエンリケがちょっと現れて。
髪の束を受け取ると。
その時になるとちょっとエンリケが何かに追われているような、ちょっと精神的に異常を期待してるんじゃないかなと思わせるような言葉があったりするんですけど。
でもエンリケとはそこで別れると。
そしたら今度また時間が流れて、エンリケが本屋を始めていたということを知ると。
あとエンリケはそうやって本屋を確か前の彼女と一緒にしていたと言うんですけど。
そんな中で最後にエンリケから手紙が届くんですよね。
これはエンリケがまたちょっと別の科学系の雑誌を書いていたという話が途中であるんですけど。
その流れで国際サイエンスフィクション作家会議に出席したという内容の手紙だったんですよ。
結構内容はシリメツレツな内容になっていて。
その後エンリケが死んだということを知らされて。
エンリケが自殺をしたと。
エンリケから以前に受け取った紙の束というのを主人公が読み直して。
読み直すというか、そこで初めて読むんですけども。
そこで終わると。そういう小説で。
結構このエンリケを中心に話は進んで、僕の方の流れはありますけど。
エンリケを中心に話が進んでて。
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紙の束も結局暗号でもなんでもなくただの詩だったじゃないですか、渡された。
そう、最後はそうなんですよね。
エンリケ・マルティンっていうのも文学の一種の病気みたいなのに取り憑かれたようなキャラクターで。
最初読んでいくとまだ文学の世界で何とかしてやっているのかなと思いきや、
だんだんシリメツレツになっていくとかですね。
現実世界からフィクションというか文学の世界の方に飲み込まれていくような感覚があってですね。
このエンリケというキャラクターが、これもなかなかちょっと悲しい話ではあるなと思っていて。
ちょっと例えるならあれですけど、すごく村上春樹的な小説の匂いを感じましたね。
村上春樹の短編っぽいなと思います。
自分がちょっと関わった人間がどこか飲み込まれていってしまってくって。
それを多少なると何か残してくれているものが自分の中に少し、
これで言うとあれですけどね、紙の束が手元に残っていて、
それは彼が書いた詩だったという印象に残る作品だなと思いましたね。
そうですね。
このエンリケ・マルティンで言うと、
エンリケの元同棲相手と主人公のメキシコ人の彼女とかもいい味出してて。
そうですね。ボラーニョの小説ってそういうちょい役の人もめっちゃ面白いっていうのがあったりするんで。
ちなみに僕はこのエンリケ・マルティンの書き出しがすごい好きで面白くてですね。
詩人たるもの何事にも耐えられる。
それは人間は何事にも耐えられるというのに等しい。
だがそれは真実ではない。人間はほとんどのことに耐えられないのだ。
真の意味で耐えるということが一方、詩人はあらゆることに耐えられる。
その信念のもとに僕たちは大人になった。
冒頭の表明は正しいが、その先には破滅と凶器と死が待ち構えている。
なるほど。そうか。これ面白いですね。ここいいですね。
そうですね。
私もでも印象に残りました。
結構ね、やっぱり登場人物が詩人が多いんです。
詩人とは何故やみたいなことが書いてあるんですけども、めちゃくちゃわなこと書いてたりするんで。
これとかも人間は耐えれないのに詩人なら耐えれるとかですね。
なんかそんなこと書いてあってね、そういう面白い描写も多いっていうのがありますね。
これ最後、今度は僕が逃げる番だったって終わってるじゃないですか。
うん。
最初とちょっといろいろ繋がってるのかなとか今思いましたね。
その先には破滅と凶器と死が待ち構えている。
それから逃げなきゃいけないわけだ。
そうですね。
っていうことなのかな。ちょっと分かんないけど。
もしかしたらそういう運命ということなのか。
確かに、エンリケ・マルティはそれに飲み込まれてしまったのかもしれないですね。
というエンリケがあって、ちょっと3つ目、最後に紹介する作品が、文学の冒険という作品で。
実はこれもですね、登場人物、アルファベットでAとBというのが2人いるんですけど、これ2人ともまた作家なんですよね。
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この主人公はB。このBというのは作者のボラーニオのことになるんですけども、このBが同じような境遇で生まれ育った。
年も同い年の作家で、ただその作家が先に売れてしまったということで、それがAなんですけど、そのAに嫉妬していると。
そういう状況からスタートするんですけども、そのBが本を出版するんですね、1冊。それでAをちょっと笑いの種にすると。
Aが売れてるのってちょっと偽善的なことを書いてて、そんなまやかしで売れてるから大したことないよみたいな。
っていうのを、もちろんAという実名は出さずに仮の設定で本にしてしまったら、それが結構大手出版社から出すことができてしまって。
しかもその出した本をAにすごい諸表で褒められるんですね。めっちゃこの本めっちゃいいってAが褒めて、それでBが売れっこになるんですけども、ただBは内心ちょっと穏やかではないというかですね。
このAのパロディみたいな笑いのネタにしたことを書いたのにAに褒められたってことは、これは裏の意味でもしかするとAにバレたんじゃないかとかですね。
結構不安に思うんですね。ここのBの心情とかね、なんか面白いところで。
で、Bはそれの後また2冊目の本を出して、それは1冊目に比べるとちょっと泣かず飛ばずな感じはあったんですけど、でもまたAには褒められると。
だんだんBのちょっと不安な思いとは別に結構Aは褒めてくれるというね、そういう展開になっていて。
そんな流れで結構Bってもう頭の中がAのことでいっぱいになってしまって、AはAの家に電話をかけて、やっぱりAに会いたいって思って。
Aの奥さんですよねとかも取り継いでくれたりして、なんとかねBがAにそのある夜会うことになるというね。
一応そういう話の小説です。
最終的にこのBがAで会うところで終わっているのがもうめちゃくちゃ面白いな。
会ったところで終わるんですよね。
そうなんですよね。
先の会話まで描かれてなくて。
そう、会った挨拶ですよね。そこで終わってるんですよね。
明さんが話してくれた中にありましたけど、Bが出した本の中でAを笑い者にするじゃないですか。
笑いというか批判したりとかするじゃないですか。
それをAが書評で褒めたときのBがもうこれ本当にわざとやってんのみたいな。
わかっててやってんじゃないのみたいな。心安気な感じのところがすごい好きでした。
そうですよね。
実際こういうのってありそうですごくリアルだなと思って。
そうですよね。さすがに長本人に何か褒められたりすると、これはもうバレたんじゃないかとかって。
24:02
確かに。
やばいやばいってなりますよね。
そうですよね。Bの疑心暗鬼をくすぐってくるような出来事がいくつか起きたりするんですよね。
面白いのがBが2冊目の本出したときに、Aの書評がめっちゃ早く出たんですね。
そう、これ面白かったですね。
面白かったです。いつだったっけ、木曜日に本が世に出て、その週の土曜日には書評が出てるんですね。
しかもすごい的確に書いてあって、普通に考えてこんなの読んで書くなんて不可能だと。こんな短い時間で。
かといって本を読まずにこれだけの内容を書くのもまた不可能だと。これはどういうことだと。
しかも冷静に考えたら木曜日に世に出るんで、スペインの郵便局が木曜日発送だったら早くても届くのは次の週の月曜日だと。
その週のうちに本を手にすることなんて無理なはずだとか色々思ったりして。
それでBが出版社の人に問い合わせて、Aがどうやって本を手に入れたのかっていうのを聞き出したり。
結構このくだりとか面白かったですね。
状況から逆算して考え出すあたりが気になって気になって仕方なくなってる証拠で、この辺の作りは上手いなと思いました。
大体そういういろんなケースを登場人物考えるんですけど、その中に笑える要素が1個か2個か入ってる。
これも売れない作家が売れてる作家に嫉妬して、でも自分も売れるようになっていって。
そうするとだんだんAの見方がちょっと変わっていくっていうところとかもね、ここも実はリアルなのかもしれないとか思ったりして。
最後の方とか結構Bがすごい、Aってなんていい作家だって褒めてるんですよね。
そのAの最新刊を読んで、この作家めっちゃいいやんっていうのを手放しで褒めてて。
そうっすよね。買ってすぐ読み出しますもんね。公園のベンチで座って読むとか、なかなかもう。
この文学の冒険っていうのも、本当にこれすごい短かったと思うんですよね。
12ページなんですけど、ボラーニョらしい、これも短編だなと。
本当にね、登場人物2人とも小説家で、主にBっていう1人がメインで出てくるんですけど、それがボラーニョで、そこのリアリティ。
ちょっと考えすぎというかですね、何て言ったらいいんだか、何かにやっぱり取り憑かれてるようなぐらい激しく思い込んだりしちゃうんですけど、
でもその結果起こる行動とか出来事とかっていうのがやっぱり面白くて、そこがボラーニョらしいっていうところがあって。
これ結構私好みでしたね。短いけど。文学の冒険。
27:06
じゃあ3作品、三重さん中心にお話していただいて、すごい面白かったです。
全体的な感想とどういう人に読んでほしいか言いながら、最後もうちょっと締めていきましょうか。
私はもう、とりあえず今回この通話はロベルト・ボラーニョの初めて読んだ作品なんですけど、
自分の感覚としてはめちゃくちゃ読みやすくて、個人的な感情がすごく深く描かれてるなと思ってるんですけど、
でも何て言うかしつこくなくて、読みやすくて、かつユーモアを忘れてないというか、挟み込まれてて、すごく面白かったです。
その深く描かれてる感情とかが、例えば文学の冒険とかで言うと、絵を嫉妬してしまう心とか気持ちとかが自分の中にもあるものだなと思って、
自分の中に落ちていくので、すごく面白いなと思って、個人的には好きなタイプの作家なんだろうなと思いました。
長編読んでないんですけど、短編はかなり読みやすかったので、文章も読みやすかったです。
なので興味を持った人は、これ本当にみえさんもさっき言ったんですけど、一個一個結構短いんですよ。
だから本屋とかで立ち読みしてもそんなに時間かからないと思うので、それ読んでみて、あれ面白いなと思ったら買ってみてもいいんじゃないかなと思います。
個人的にはまだ一冊目ですけど、おすすめです。
そうですね。ここはやっぱり最初の方に言っていたように、ボラーニョの入り口としてこの通話っていうのはいいかなと思っています。
ボラーニョ作品、全般的に言えることなんですけども、だいたい登場人物が詩人とか作家とか批評家であったり、
あとはちょっと人生に没落しているような人が出てきたりする傾向はあるんですけど、すごく引き込まれる小説ばかりで、
そういう意味ではすごい小説が巧みで、描き方がいいという短編集かなと思っています。
あとはボラーニョの口調としてすごい笑えるような描写がたくさんあるので、そういったところでは軽めに読めるボラーニョ作品として通話はやっぱりおすすめかなと思っています。
その先にはちょっと重ための小説ではあるんですけど、長編小説とかボラーニョコレクションの他の作品とかがあって、
そっちもずっしり重たいんですけど、やっぱり読み応えとかすごくあるので、この通話きっかけにボラーニョの他の作品、もっとすごい作品がたくさんあるので、
そこへの入り口として読んでみてもらえたらなと思います。
なるほど、読みたいな。確かに。面白いですね、ボラーニョ。ずっと私名前は知ってたけど手に取ってなかった作家なんで、今回読めてすごい良かったです。
本当好きな人は何だろう、ボラーニョの文学の沼にハマってしまったりとかね。結構危険だと思いますね、この作家は。
半歩ぐらいちょっと踏み入れ込みつつ、気をつけながら読みたいと思います。
30:02
じゃあ、ありがとうございます。
今日はこんな感じで、次回予告して終わりましょうか。
次回ですね、2020年最後の作品紹介の回になると思います。
こちらで今年をちょっと締めようと思っています。
番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介されているフォームを読みました、読み返しましたなどありましたら、
ハッシュタグさらとめ猫たちをつけて教えていただけると大変嬉しいです。
ツイッターやインスタの投稿、DMやリプライなどでお待ちしております。
メールアドレスも番組情報欄に載せてますので、そちらから直接いただいても大丈夫です。
気に入っていただいたら積極的に拡散共有していただけると助かります。
それではまた。
ありがとうございました。
30:42

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