文学ラジオ空飛び猫たち。 奇跡は起こった。
密かに誰にも知らないまま、ある一日の人々の生活を 詩的な文体で繊細に描き、
物語はある事件に遭遇する。 読み手しか知り得ない事実が最後に残される。
きっと小説でしかできない到達点。 今回はジョン・マグレガーの
奇跡も語る者がいなければをご紹介します。 どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、
文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。 お相手は私小説が好きの海へのダイチと通常巡るカフェのミエと二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
番組概要欄に詳細情報を記載しているので、初めてお聞きになる方などそちらを見ていただけるとありがたいです。
本編入る前にですね、一つ皆様にお願いがございます。 今このラジオに関してのアンケートを実施しております。
こちらいろんな意見をいただきたいので、ぜひぜひ概要欄にリンク貼ってありますのでお答えいただけるとありがたいです。
ラジオを知ったきっかけとかですね、ラジオの好きなエピソードとか、あとはですね、このラジオに対して改善点とかですね、
そういう質問をしていまして、最後はちょっとメッセージも書けるようになってまして、できればあと10人くらいアンケートいただけると
ちょっとキリの良い数字になるので。 これを聞いた人は、まだ回答しない人はやってください。
この配信が10月31日だと思うんですけど、締め切りが5日か。
ちょっと聞くタイミングによってはもう終わっちゃってる方もいらっしゃるかもしれないですけど、まだ間に合うぞっていう人は是非是非ご記入ください。
どんな意見でも受け止めますので、正直な意見いただければなと思います。
ちなみにいただいた意見をもとに番外編でちょっとお話しすることもあるので、ちょっと読み上げさせていただくこともあるかもしれません。
ただ、お名前は公表しませんので、特命でご自由にご意見いただければなと思います。
今回の紹介本なんですが、ジョン・マグレカーの奇跡も語るものがいなければ、マノヤスシさん役、新潮クルエストブック2004年出版となっております。
今回はですね、作品紹介99回目という回になってまして、今回と次回の100回目をもってちょっと節目としたいなと今回思ってます。
で、その節目としてですね、ちょっと我々がセレクトしたのは、お互いの思い出の一冊を紹介していこうということをちょっと決めたので、今回は私第一のターンとなっております。
この新潮クレストから2004年に出たっていうのは、なかなか古い本をチェイスしましたね。
なのでちょっとどっかで紹介したいなと思っていたんですが、ちょっと迷ってた理由が一個あって、これもういわゆる新刊じゃ手に入らないんですよ。
もう多分本屋では並んでない。2004年の本だし、重版されてないと思うんで。
絶版本になってるんですね。
多分。アマゾンで調べたらフル本は手に入りそうだけど。大きい図書館行けば読めると思うんですけど、手に入りにくい本ではあるとは思います。
ちなみにこの本は今年3月に大地さんが京都に来られたんですけども、その際にプレゼントしてもらって。
そうです。その時に今年紹介しましょうという話をしてたので、どこかでとは思っていたんですけども、ちょうど紹介100回目が近づいてきたタイミングで、もう今しかないという感じで。
そうですね。やっぱりこの節目にはお互い熱く語れる本を。リスナーのことを置いててもいいから。っていうのはちょっと言い過ぎだけど。
ちょっと熱く語れる本をと思って持ってきました。
京都に行く時に、前週ぐらいの時に毎の週にフル本屋ちょっと回ってて、あったと思って。これちょっと三重さんに渡そうと思って買った本ですね。
もちろん下心としてはいつかこのラジオで紹介したいっていう気持ちで、本を渡せしましたね。
僕はこのジョン・マグレガーの本を初めて知りましたね。
新庁プレストックスからこういう本も出てたんだっていうのを。
でも本当に教えてもらってすごい面白そうだなと思いましたし。
裏表紙に田和田陽子さんとかタイムズ社のコメントが載ってるんですが、すごい魅力的な紹介をしていて、きっといい本なんだろうなと思ってました。
じゃあちょっとこれからいろいろ話すけど、その前に率直にちょっとこれを。私はですね、多分これ読むのがもしかしたら4回目ぐらいになると思うんですけど。
結構すごいですね。
ので、みえさんどうでした?読んでみて。
そうですね。なんか最初はちょっと読みづらいなと思ったんですね。
ちょっと抽象的に書かれてる部分もあって、ただ人物の把握が出てくるとやっぱり入り込みやすかったですし。
ただ結構登場人物が多いだと、本当に長編なんですけど、いろんなエピソードが入ってるんで、把握がなかなかできなくて。
そう、一回読むだけじゃ、隅々までそれぞれの人物で何が起こったかっていうところまでは全部が全部把握できなかったです。
俺も初読の時そうだったし、なんかすごいたくさん人が出てきて、いろんなエピソードが挟み込まれて、いろんな感情も描かれて。
で、やっぱりこんだけ多くのことが書かれてると、やっぱり全部覚えてるってことがなくて、読むたびにこんな話あったっけみたいな。
そうなりそうですもんね。
毎回あるんで、これは繰り返し読める作品だなと思いますね。
で、その辺りも含めて今日はいろいろ話していきたいと思います。
有名の人々の生と死を断新な文体と恐るべき感性度で結晶させた現代の聖なる物語。
で、これがあらすじなんですけど、あらすじパッと聞いただけじゃちょっとどういうことだろうとかわからないと思うので、
これからいろいろこの話が持つ魅力を伝えながら話していきたいと思います。
で、まずですね、何から話そうかっていう感じになっちゃうんですけど、
まずタイトルの意味というか、タイトルがすごく日本語の訳が素晴らしいのもあるんですけど、
まずタイトルがかっこいいんですね。
で、このタイトルが持つ意味っていうのはもちろん物語で明かされるし、
このタイトルとほぼ同じような言葉っていうのが本文中にも出てきます。
これは非常に上手い作りで奇跡は起こるんですけれども、それが誰にも目撃されなかったということが描かれます。
つまり読者しか知ることができない奇跡がこの本には用意されています。
それだけ聞くと多分ワクワクするんですけど。
あと結構後半の方にこの言葉を話す登場人物がいて、
シチュエーション、その彼が話す言葉が持つ意味っていうのもすごく我々の中に刻まれる言葉で、
ちょっと後で話すかもしれませんが、そういう意味が込められたタイトルっていうのがまず非常にいいなと思いました。
このタイトルを最初読んだ時、意味深な言葉だなと、なんでこれがタイトルなんだろうと思ったんですけど、
本当、大西さんのように最後、後半の方で言葉がある人物のセリフで出てくるんですけど、
そこを読むと本当にすごい納得しますね。
もうなんか心に残りました。
すごくこの作者が多分退出にしたいと思っていることがそこに現れてますね。
で、次が構成がすごいんですね、これね。
構成の話は絶対したいと思っているんですけど、構成がすごいですね。
あらすじに回った通り、ちょっと2つのパートがあります。
1つが、あるこのイングランド北部のある通りの1日が3人称というか、他者の視点から語られるパートですね。
神の視点で言っていいのかな、から語られるパートがあって、
もう1つのパートがその通りに住んでいた女の子、22番地の女の子の3年後を、
その女の子の1人称、私で語られるパートっていうのがあって、それが交互に出てきて物語を繋いでいきます。
まずちょっとある通りの1日の方の話をしたいんですけれども、
こちらはですね、登場人物がすごい多いんですよ。
もう30人くらい出てくるんですけど、でも誰一人名前が与えられてないんです。
全て18番地のドライアイの男の子とか、22番地のメガネの女の子など、番地と特徴のみで語られます。
でも不思議と彼らの存在がですね、これこと細かく彼らの感情とか行動とか、
仕草のようなものまで描かれるので、不思議と彼らの存在感が強く残っていきます。
私、最初読んだ時からずっと思ってるんですけど、映画を見てるような映像的なイメージでガンガン入ってくるんで、すごく印象に残るなと思ってますね。
そうなんですよね。読んでる人物がすごく多いんですけども、すごく緻密に描かれているなと思いまして、
なんかね、この辺も描き方すごく上手いと思うんですけども、ある人物の話を少ししたらまた次の人物の話をして、また次の人物の話をしてなんですけども、
いろんな人物の時系列はフラットな状態になっていることが多いのかな、基本的には。
なので、意外と混乱しづらく読めていけるっていうのはありますね。
あと、本の最初の方に図が載ってるんですよね。この通りの図が。で、誰がどこに特徴と一緒に書いてあるんですよね。
18番地ドライアイの男とか、2階ドライアイの男の子とか。
これ、今気づきました。
あ、マジで?これ見たことあった。
これ重要ですね。
これ超…これないで読むと結構辛いと思ったんだけど。
番地とどういう人かっていうのをメモしてたんですけども。
じゃあほぼこれと同じものが出来上がったんじゃないですか。
若干違ってましたね。若干間違ってますけど。
でもこの最初のこの図があればわかりやすいですね。
これね、番地が1番地から29番地まで振られてるんですけど、ある通りを挟んであるんですけど、
番号が互い違いに1番地の前が2番地になってて、3番地の前が4番地になってるみたいな感じなんで、
1番地の隣は3番地になったりするんですよね。家でいうと。
っていうところがちょっと分かったりするんで。
これちょっとないとね、頭の中で隣の部屋がとかいう話がたまに出てくるんですけど、
あれそれどっち?みたいな。
こういう図が入ってるんですね。
もう一つのパートの方が、この通りに住んでいた女の子の3年後が描かれます。
その女の子はこの通りのある1日のこと、描かれる1日のことを思い出したりします。
その時、ある事件が起きました。
その事件のことが彼女の中では強烈に残っているという状況ですね。
具体的なストーリー紹介のところでいろいろ話したいんですけれども、
この女の子、今現在問題を抱えていて、ただその問題というのがこの物語を進行するたびに、
この通りの話とちょっと絡み合ってくるような部分が、
問題は絡み合わないか。この女の子の状況とか感情とかに、
もう一つのパートのある通りの1日のパートの方が絡み合ってくるという作りになっています。
もちろん彼女もこの通りで起きた奇跡というのは、
ある奇跡が起きたんですけれども、彼女はそれを知らないし、
その奇跡の結果、何が起きてしまったかということも知らないということになります。
これは本当最後まで読まないとわからないところなんで、ちょっと相当濁しますけど、
この部分が本当にこの小説が上手い部分ですね。
面白いですね。この3年後の女の子の視点を挟んでくるというのが、
これもやっぱり読者だからわかるというところもすごい強くて、
女の子もじゃあ、他の番地の人がどういう人が住んでて、
みんなそれぞれ何をやっているかって、住んでいる人は周りのことまで全部把握しきれているし、
ある奇跡がありますけど、これは読んでいる人にしかわからないかの面白さ。
本当だよ。その辺がすごいですね、こういう構成を描けるというのが。
だから私やっぱりこの大学4年の終わりぐらいって、小説家になりたいと思ってたんで、
この構成にすごい惚れましたね。
描き方が、なんかやっぱり気になるじゃないですか。何がこの話に繋がっていくんだろうみたいな。
それが徐々に、あ、この子、22番地のメガネの女の子じゃんみたいになって、
え、あの時に起きた時ってどうなっているんだろうみたいな。
でもそれと同時に、ちょっとストレートなんですけど、彼女が抱えている問題っていうのは、
今現在進行形で抱えている問題ってどんどん浮き彫りになっていって、
その彼女のことが描かれていくんで、
いや、なかなかすげえなって、ちょっとこの構成を私は、
初読の時に感動したというか。
じゃあちょっと続いて、ちょっと魅力を話したいんですけれども、
文章というか表現、文章力ですね。
で、この本ですね、非常に多分考えられて、文章をねられていて、
それはもう一読してすぐ感じるんですけど、
まずこれ、どっちのパートでもない、冒頭の5ページから12ページの7ページくらいか、
どっちかというとある1日パートになるんですけど、
この8月30日から31日にかけて日付が変わるあたり、夜が明けるところっていうのが、
時間経過もそうなんですけど、描写があるんですけど、ここがね、綺麗すぎるんですよ。
もう何なんだ、この映像でこう出てきそうだけれども、
詩的な文章で飾られるんで、なんかすごくこの世界に浸かれる文章で始まる。
まずこの最初の7ページで、ちょっとこの小説やばいなって。
僕もね、いきなり詩が始まったって思ってですね、
そこがね、最初のちょっと読みづらさというところに重なってしまうと、
最終的に物語が始まるというよりかはね、本当にすごく美しい描写から始まる、
詩のような詩的な言葉から始まってくるっていうのは、それは特徴的で、すごい文章、いいですね。
うん、すごいいいよね、これね。
だからその、なんていうか、街の描写になるんですけども、すごくね、なんか綺麗な描写で。
いや本当、これがあるからすごいなんか、この世界に入っていけるなって思った。
ちょっと具体的なところを読み上げようと思ったけど、やっぱり繋がりだからね、これね、一つのね。
例えば10ページにある、街全体が止まっているっていう一面があって、
そこから続くんですけど、そしてこれは味わうに値する小級詩。
なぜなら世界はほどなく再び複雑なものとなるからと。
これはちょっと2文だけなんですけども、
そこの前後もですね、すごいなんかね、本当いい文章を書いてあっての、この2つの文章がパッてね、
なんだろう、なんか視界が止まって、そこにバッタリデッグアスラの、なんか真似みたいな書き方してるんですけど。
いやーすごいいいですよね、これね。
俺もここ普通にしてあるんだよな、街全体が止まっている。
その後の文章でも、街はまた一歩踏み出して、明日はもうここに来ている。
あるし、すごいいい文章があってね。
だからこう、本当すごくいいものから始まります。
で、この冒頭の詩的な文章だけじゃなくて、本文中もですね、非常にうまい文章を書くなと思いました。
それは詩的というわけではなくて、なんていうのかな、結構独特ですね、この作者の描き方。
特に、ある通りの1日のパートの方は、朝からある事件が起きるまでを丁寧に書き進んでいくんですけれども、
非常にちょっと独特なんですけど、読みやすくてリズムのある文章を作っています。
あんまり過去形が使われず、現在形が変異な言葉で使われて繋がっているんですけど、それがすごくいいなと思いますね。
私が結構いいなと思ったのは、92ページあたりとかの、最初の方なんですけど、
隣の家では充血した目の若い男が、煮作りの手始めに自分の研究を壁から剥がす。彼はこの家を出る覚悟がもうできていて。
彼はこの家に自分の印を残したので、煮作りして出ていく覚悟がもうできていて。
だから彼は、続くんですけど、覚悟がもうできていてっていうのが、同じ文章の中で2回出てくるんですよね。
こういうのが結構多くて、何だろうな、なんか、声に出して読んだ時に、すごく自然に入ってくる言葉たちで、非常にリズミカルな文章になっていて、
個人的にはこれが多分この本の魅力の大きなポイントでもあるし、もしかしたらこれが読みにくいと感じる人もいるかもしれないですけど、
私みたいなタイプだとすごく読みやすくて、俺、三枝さんにこれやりましょうって、多分200ページぐらいなんでって言ったんですけど、これ350ページなんですよね。
で、すげー長い小説なんですけど、この文体のおかげで、結構グングン読んでいける本になってるなと思ってます。
そうですね、なんかこの世界観に入っていけたら、本当に読みやすい部位の文章かなと思いますし、
僕はやっぱり、今の反復するっていうところでは、後半の方で、「そして…。」っていう言葉が何回も続くのが、
これまた後で話すかもしれないですけど、雨が降るシーンで、「そして…。」が続いて、いろんなバンチの、いろんな雨が降っている情景が描かれるという、
すごく綺麗な描写があって、後半のそこのところはすごい映像的にも残りましたね。
要所要所すごく映像的な描き方をしてくるよね、この本はね。だからそこが結構メリハリじゃないけど、
本当に映画を見ているような、じっくり登場人物たちが自分の感情を語るパートみたいなのがあったかと思えば、
急に映像的な橋に抜けていくような文章が現れて、そこのコントラストがすごく良くて、本当に映画を見ているような気分になる。
この文章というのはすごいなと思ってます。
で、次に語りたいのが、これがちょっと魅力で最後で語りたいのが登場人物ですね。
これは通りに住む人たち、たくさんいるんですけれども、どの人たちも彼らが置かれている状況というのがいろいろ描かれるんで、
個人的にはすごく想像できるし、彼らの痛みがわかったりするし、
彼らのこの通り、そんな裕福な通りじゃないっぽいので、なかなか感じるものが多くて、
結構私が印象に残った人だと、ガンですね。ガンでちょっと蝕まれていて、それを妻に言い出せない男がいるんです。
結構良い老人に近いんですけど、これが徐々にガンに蝕まれているということが、話を読んでいくとわかっていって、
この夫婦のやりとりっていうのがもうなんか切なくて、男は妻がバレないように。
で、妻が知ってしまったらどう悲しむか、自分にはわかるっていうことを考えていてとか、結構あって、この辺りが結構印象に残りますね。
僕もガンになってしまった老人、これは奥さんを含めてですけど、この老夫婦にめっちゃ感情移入しましたね。
なんでかって言うと、この夫婦がすごいいちなんですよね。作中に出てくる中だったらトップクラスに良い人たちで、
そういう人たちの眼差しっていうんですかね、そういう人たちが他の番地に住んでて、少年たちを温かい目で見てたりしていて、
そういう描写とか、読んでてしかもね、そういった病気もあってというので。
あとちょっと私、付箋しなかったな、これきっと。あるカップルの話で、多分女性の方の家に泊まったのかな。
どっちかちょっとあれなんですけど、その前の晩どっちかの家に泊まって、その行為があった後の二人で、
男性がちょっとこれぐらいの気持ちで謝るよみたいなことを言って、それが足りなそうで、じゃあこれぐらいの気持ちで謝るよみたいなやり取りがあって、
ちょっとそれすごい微笑ましくて、なんだっけな、コーヒー入れてあげるよみたいな、すまないと思ってるかみたいなぐらいの感じなんだけど、
ちょっと彼女が満足してなさそうだったのかな。それを見て、じゃあ朝食作るよみたいなシーンがあって、微笑ましいシーンとかもあったりして。
なんかいいですよね、この恋が始まるような時もあれば、もう年老いていて、死をどうしようかっていう人物もいたりするっていう、この多彩な幅があって。
いやいや本当、双子の兄弟、やんちゃな兄弟がいたりして、だからその辺は明るく読めてくるし、
やけどをした男をですね、大やけどをして、娘さんと住んでるんですけど、その話とかはね、やっぱりちょっと読んでて、悲しいところもあったりするし、
あとは、移民がいたりとかね、ちょっと不良っぽい若者がいたりとか、住んでる人の幅が広いのがあって、そこは良かったなと思うんですよね。
じゃあちょっと、具体的にストーリーを話した後に、もうちょっと印象に残ったところを話したいと思います。
ストーリーなんですけど、ちょっと私の方からダダッと話させてもらいます。これはですね、ある奇跡が誰にも知らないままに起きた、そのことを物語る小説です。
時代は1997年、2つのパートに分かれていて、8月31日の1日を描くパートでは、朝からその通りの人たちを描き、ある事件が起きるまでを描きます。
彼らの1日はいつもの日常と変わりません。子供の面倒を見たり、子供は遊んでいたり、ちょっと若者はですね、大学卒業間際で大敗的に生きていたり、
引っ越ししなきゃいけないので準備をしていたり、自分の病に苦しんでいたりとか、いつもの日常が描かれます。
彼らの1日を本当に丁寧に描いていき、会話や思い出したこと、ささやかな交流なんかが描かれていきます。
18番地のドライアイの男の子は、22番地のメガネの女の子に恋をしています。これはこの日の前ですね、ある時彼と彼女はあるパーティーで仲良くなりました。
一緒にドライアイの男の子はですね、彼女を家まで送ったんですけれども、そのことをですね、この22番地のメガネの女の子は酔いすぎていて覚えていないという悲しい状態にあります。
この時に別れ際、デートの約束もしたんですが、そのデートの時間にですね、この女の子はもう覚えていないので現れなくて、このドライアイの男の子はちょっと気づいたりしますね。
でもドライアイの男の子はこのメガネの女の子のことばかり考えてしまうという状況になっていました。
そんなふうなことが描かれて、最終的に夕方あたりにですね、ある大きな事件がこの通りで起きます。
もう一つのパートは、その8月31日から3年後のこの通りで住んでいたメガネの女の子の視点から描かれます。
彼女はですね、この8月31日の事件のことをなぜか思い出してしまうことがあります。
この時の18番地のドライアイの男の子がある行動をするんですけれども、その行動がやたら印象に残っているという状況ですね。
で、彼女はですね、現在大きな問題を抱えています。
実は妊娠をしており、そのことを誰にも言えずに打ち明けられずにいるという状況に陥ってました。
で、ちなみにこれは妊娠してるってことは100ページぐらい読まないと判明しないので、ずっとあれこの人なんか問題抱えてそうだけどなんだっけなみたいな感じでちょっと話は済みますね。
で、この彼女はですね、どうにかこのことを母に伝えて助けを求めたいと思っています。
で、やがて彼女は電話で母に伝えます。
このお腹の中の子の父親なんですけれども、ちょっと行きずりの関係だったというか、名前しか知らず連絡先も実は知らない男でした。
でも彼女はその行動に後悔はないし、ただ今助けを求めているというだけという状況でした。
そんな折にですね、彼女の前にマイケルという男があります。
このマイケルという男は、3年前あの通りに住んでいた時に彼女のことが好きだった18番地のドライアイの男の子の双子の弟だということを言い出します。
で、兄は君のことを、その女の子のことを僕によく伝えていたという話をします。
だけれども、この彼女はですね、18番地に住んでいた男のことを名前も覚えていないという状況になります。
彼女はですね、ちょっと誰にも言えなかった自分が妊娠していること、今苦しんでいることなどをマイケルに話してしまいます。
で、マイケルはですね、兄のためなら彼女に自分ができることは何でもしたいと言い出し、実家に帰ったほうがいいと思うので彼女を車に乗せて実家に連れて行きます。
この途中2人はですね、兄の話、18番地に住んでいたドライアイの男の子の話などをしますね。
親に会った後、戻ってきた彼女は、まあその後いろいろあるんですけれども、
ある日時ですね、マイケルが兄が大切にしているものを見て欲しいと言って持ってきます。
で、彼女は見て、あのその時ですね、通りの時、ドライアイの男の子はいろんなものを集めるのが趣味で、
あと写真も趣味で、その通りの写真をよく撮ってました。
で、彼女はそれを見て懐かしい気持ちになります。
この辺りで、このマイケルと彼女は惹かれ合うんですが、まあ兄のことがあるのでマイケルはちょっと彼女と距離を置くような形になってしまいます。
で、彼女のお腹は、彼女のお腹の子はですね、あの成長していき、また一つ大きな事実が判明していくというところで終わります。
で、物語自体は交互に展開しているので、ラストはある事件が起きて、ある奇跡が起きて終わるという話になってますね。
ざっと話したけどどうだろう。結構ね、まとめにくい話で終わるね。
難しいですよね、ちょっと話すのは。
確かにでもね、現在と3年後と2つに分けて話があるのは、確かに分かりやすいのかなと。
うん。完全に今別行で話しちゃったけど、交互に本当はね、いろんなことが分かっていくっていう。
そうですよ。あとまあ、登場人数が30人ぐらい出てくるんで、もうほとんど収集つかなくなりますよね。ちゃんと話そうとすると。
そうなんですよね。これ好きだからさ、いろんな人に紹介したんだけど、最初にやっぱ説明するのがすげえ難しい。
そうですね。
そんな話なんですが。
主人公は一応ね、メガネをかけている女の子なんですけども、読んでいると特定の主人公がこの女の子っていう感じもそこまではしなくてですね。
やっぱり主人公であるものの、他の番地に住んでいる人たちも印象が残ってくるんで、
誰が主人公というのがですね、もしかすると読む人にとっては、この人が主人公だったんじゃないかというと、結構その辺の誰が主役かというのは、もしかすると読む人によっては変わるかもしれないなとは思いますね。
そうですね。で、私やっぱ初読の時20代初めだったんで、今回読んだ時、30半ば過ぎで読んだ時には、くちひげの老人、ガンと向き合う人がもうだいぶ入ってきたから。
あれ、前回こんなんじゃなかったなとか思いながら読みましたけど。
いやいや、僕も正直そうですよ。やっぱり年齢の問題かもしれない。ガンのね、老人と。あとは、女の子のお父さん。
ああ、うん、あれね、いいよね。家事で妻を亡くしてしまってね。大やけど。
あ、そっちじゃない方?
そうです。その大やけどを負ったお父さんもそうだし、あとは妊娠してしまった主人公の女の子のお父さん。そんなに登場は多くないですけど、これがまたすごい哲学を持っているお父さんなんだ。
結構、お父さんダメなお父さんかなと思ったら、サッといい子に入れちゃうのいいねんかね。
そうそう、その話してましたね。
もうなんか、全然この人、話に入ってこねぇじゃんみたいな感じだったのに。
で、お母さんが言った後、急にね、残してく言葉がすごいよかったね。
そうですよね。なんかこの辺の家族模様のね、着方っていうのかな、一連のこの流れだと思うんですけど。
これもね、描写力かもしれないですけど、本当に上手いです。
で、あとちょっと、この後も、私はこの帰りの時に、マイケルの車の中で、お父さんから言われたことは言わないんですよね、あえて。
あー、そうですかね。
そこもなんかすごくよかった。言うタイミングがあったんだけど。
あとは私、これ、さっきもちょっと話したけど、結構本筋とは関係ないんですけど。
俺、初読の時もすごく印象に残って、これが奇跡の始まりかもって思ったんだけど、雨がある日の方で、ザーって通り過ぎるシーンあるじゃないですか。
そこの描写めっちゃ綺麗で、そこから奇跡が起きるのかなって、最初に読んだ時に思ったんです。
なんかすごく期待感がある。ただ雨が通り過ぎるだけってだけなんですけど、その路面を濡らしたことって色々あるんですけど。
そうですよね、確かに。本当に奇跡が起きる前触れとしては。
言われてみるとその描写ですね、本当に。
271ページぐらいから始まるんですけど。
そして降る雨の量が突然倍になり、嘘のようだが倍になり、先を見落とせない水の幕が街全体に落ちてきて、今度は双子の兄弟さえも屋根の下に退居し、今はただ女の子だけ残っていて。
全然あれね、もうずっと何行?この文章何行続くの?みたいな文章から始まって。
4ページぐらい結局続くんですよね。
すごいよね。
ずっとそしてそしてっていうので繋いでいって、いろんな人物の描写が描かれて。
ここはすごいなって、描いてやろうみたいな気持ちがすごく感じた部分でもあるし、すごく印象に残る部分でしたね。
そうですね、確かに。最後これ雨は上がってっていうことで、街全体に光がまた差し込むっていう終わり方をしてるんですけども。
で、この描写って何なんだろうって思うと、ストーリー上では決して何か物事を動かすような雨じゃなかったのかもしれないけど、
でも1日の中で起きたこととしては、街全体で共通して短い雨がちょっと降っていたというので、
そこにあるものを伝えるっていう、すごいそれも綺麗な形でされてるなって思うと、
本当これは後半読んでるところの一つハイライトでしたね。
だよね。
あとやっぱりこの小説のハイライトの、もうハイライトいくつかあると思うんですけども、
その中の一つは大やけどを負った男ですね、娘さんから天使はいるのかっていうのを聞かれて、
そこに対して返すセリフがまたすごい良くて、始まりはこうか、娘よって言って、
うん、そこだね。
物はいつもその二つの目で見るように、物はいつもその二つの耳で聞くようにしなければならない、彼は言うと。
この世界はとても大きくて気をつけていないと気づかずに終わってしまうものがたくさんある、と彼は言う。
奇跡のように素晴らしいことはいつでもあって、みんなの目の前にいつでもあって、
でも人間の目には太陽を隠す雲みたいなものがかかっていて、その素晴らしいものを素晴らしいものとして見なければ、
人間の生活はその分色が薄くなって貧しいものになってしまう。
奇跡の語るものがいなければどうしてそれを奇跡と呼ぶことができるだろう、と彼は言う。
という言葉を娘さんにかけていて、ここは本物にすごい感動しましたね。
ここね、このお父さんが背負っているものがあるから非常に響くよね。一人で娘を今育てていて。
このお父さんもとにかく本当に悩みが尽きないというかね、
やっぱりその奥さんがいたんですけど、奥さんの思い出とかね、どうしても忘れるものができないものがあって、
これもいいエピソードでしたね。
じゃあちょっとこんなところにしておきましょうか。今回はタイトルのあたりのことも話したし。
実際にはこの奇跡の内容とかはなかなかちょっと言えない部分があるので、ぜひ気になった人は、
手に入りにくいかもしれないですけど、ちょっと読んでもらえればなと思います。
じゃあちょっとテーマトークいきますか。
テーマトークなんですけど、この小説に寄せてしまうといろんな話ができるとは思いつつ、
ちょっと今回は名前を覚えていないけど印象に残っている人みたいな話をしてみたいなと思います。
彼らもこれの出てくる方々も名前は与えられてなくて、でもすごく印象に残る人たちばっかりで、
名前知らなくてもやっぱり印象に残っている人いるな、自分の人生にはとかあると思うんで、
そういうのをちょっと話せたらなと思います。
どうしようかね。
僕ね、最初印象に残っている人誰だろうと思って、あまりパッとは浮かんでこなかったんですけど、
ただよくよく思い返すと、そういえばいたなって人がいてですね、
小学校の頃なんですけども、僕はサッカーをしていて、
同じ学校の、主にやっぱり同級生とかサッカー部の人たちとばっかりサッカーをしているんですけども、
近所でめっちゃサッカーの上手いお兄さんがいたんですよ。
その人が高校生か大学生か、大学生ぐらいかな、おそらく、車に乗ってたので、
なんですけど、やっぱり大人なんでめちゃくちゃ上手くてですね、
で、ある意味師匠のような感じでその人を見てたんですけども、
ただその人と会ってサッカーを教えてもらうというか、その人のプレーを見るというのは、
数えたら多分ね、記憶がないだけかもしれないですけど、
数回ぐらいだと思うんですね。
そんなに毎日毎日というわけじゃなくて、
イレギュラーな締め方だけど、
もう節目なんでこんな感じでいいかもしれないですね。
じゃあこの流れで最後私の方から、
この本を通して読んでもらいたい人を話したいと思います。
話してきた通り分かってもらえたと思うんですけど、
だいぶ表現がすごくて素敵だし、
そして物語の持つ強さとか素晴らしさ、
そしてやっぱり人間誰しもちゃんと生きてるんだというか、
どんなにささやかでも生きてるんだなみたいなことが結構描かれていて、
自分としては改めて読んでみて、
自分が小説に求めている部分、大きな部分っていうのを
この本はすごく提供してくれる、描いてくれてた本だなと思いました。
なんかこんなに、多分初読の時はわけもわからず読んでて、
2回、3回目読む時に、
ああ、こういう本だった、
俺こういう話が好きなんだよなっていうのを何度も確認して、
今回読んでみてやっぱすごくいいな、
年も重ねてきたから響き場所また変わったなとかすごく思うので、
これは本当にすごい小説だなと思うので、
今日の話を聞いて読んでみた人はぜひ読んでもらいたいなと思います。
改めてこのジョン・マグレーガーが
これを20代の時に書いたというのはちょっと信じられない気持ちで、
今、ちょっと語り終える、
いやーこれ本当何とかさ、
この人の本、翻訳されないかな、もっと。
そうですね。
っていう思いが強くなってしまいました。
ちょっとね、頑張って出版社と翻訳者の方々と頑張って仲良くなって、
ちょっとどうにかこれを日本に行って、
いうことをちょっとしようかなって今思ってます。
そんなところでございます。
この流れで次回予告させていただきます。
今日はですね、記念すべき100回目の作品紹介の回になります。
先はミエさんからちょっと言ってもらいましょうか。
そうですね。
次回はコーマック・マッカーシーの越境を紹介します。
僕が好きな作家のトップ3の中の一人がコーマック・マッカーシーで、
その中でも越境はなんていうか、
とんでもない作品だなと思っているので、
それを大地さんと一緒に読んで100回目に語ってみたいなと思ってます。
長いんでね、この後頑張って読みますけど楽しみです。
皆さんもこの回もそうだけど置いてけぼりにならないように頑張りますが、
楽しみにしてあげたらなと思います。
では番組の最後になりますが、
メルマが会員を募集しております。
無料版、有料版とありまして、
無料版は毎回のエピソードで長すぎてしまって、
カットした部分を特別にお届けしております。
もっと我々のエピソードを聞きたい人のためにやってますので、
興味があればぜひ。
有料版は我々の活動をサポートしてもらいたいという形になっており、
我々の日記のような編集講義を有料版という形でお届けしております。
詳しいことは番組概要欄に記載しておりますので、
ぜひそちらご確認ください。
番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました。
読み返しがございましたら、
ハッシュタグサロトミネコたちをつけて教えていただけると嬉しいです。
ツイッターやインスタなどでお待ちしております。
このラジオが盛り上がってきてるなって、
リスナーが増えてきてるなって最近思ってるんですけども、