どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人が緩くトークするラジオ番組です。
お相手は、私小説が好きの貝野大地と羊を巡るカフェのミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
お互いの紹介に関しては、2011年、最初の回で話しているので、そちらをお聞きください。
また、このラジオへのご質問やリクエスト、メッセージを随時受付しています。
番組概要欄にフォームのリンクを貼っていますので、そちらからお寄せください。
ある程度ご質問をいただけましたら、お返事をする会をしますので、気軽にお寄せいただけると嬉しいです。
本編入る前に、告知を一つさせてください。
8月から9月に、ジョン・ウィリアムズのストナーという小説を課題本にした特著会を開催予定です。
今のところ、お盆以降予定しておりますので、詳細決まり次第、告知していきますので、ぜひよろしくお願いいたします。
では、本編行きますか。
今回はですね、村上春樹の世界の終わりとハードボールドワンダーランドをご紹介したいと思っています。
今回ですね、村上春樹、このラジオでは2回目の登場となります。
なぜ、数ある村上作品の中から世界の終わりとハードボールドワンダーランドなのかという、
私とおみえさん、結構村上春樹好きなんですけど、
これ、学生の時にお互い読んだっきり、採読しないっていうのをちょっと話が出て。
どういう話だったかっていうのを全く思い出せなかったんですよね。
そうですよね。すげえいい話だったっていう印象はあるんですけど。
そう、すごい面白かったっていう記憶はあるんですけど。
なんか村上春樹もう一回やりたいよね、となった時に。
そうですね。
割とすぐ出てきましたね、今後の署名がね。
そうですね。長編読むなら世界の終わりとハードボールドワンダーランドかなっていう話になりましたので。
完全にちょっと固執号なんですけど、改めて読むとめちゃめちゃ面白かったので、
ぜひ皆さんにちょっとご紹介したいなと思っておりますので、ちょっと今日話させていただきます。
じゃあ、みなさん署名お願いします。
今回紹介するのは村上春樹さんの世界の終わりとハードボールドワンダーランド、
上巻になります。
で、新潮文庫から出てみます。
じゃあ私の方からあらすじを。
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、
そこに住む一角獣たちの図骨から夢を読んで暮らす僕の物語。
世界の終わり。
老化学者により意識の核にある思考回路を組み込まれた私が、
その回路に隠された秘密をめぐって活躍するハードボールドワンダーランド。
静粛な幻想世界と波乱万丈の冒険滑撃の二つの物語が同時進行して織りなす。
村上春樹の不思議の国というあらすじになっております。
二つ話が同時進行するよという、たまにあるタイプの書だと思うんですけど。
結構村上春樹さんの作品では多いですよね。
この二つの話が交互に進行していくというパターン。
なかなか聞き慣れない用語とかもいっぱい出てくるんで、
ちょっとその説明をしつつ、ストーリーの話をしていこうと思うんですけども、
まず、計算師である私は暗号処理、今までいうとあれですかね、
コンピューターの何かシステムの分析とかですね、
なんかそういうのに近いかなと思うんですけども、
暗号処理の中でも最高度のシャッフリングという作業を使いこなせる存在であって、
このシャッフリングというのが、人間の潜在意識を利用した数値変換術という、
これがなかなかどういうものかって説明しづらいところはあるんですけども、
完璧にコンピューターシステムというわけではなくて、
結構その人間の脳を使った潜在意識を利用して暗号処理をするという、
そういう作業を行うというのがちょっと特徴で、
単純なプログラマーではなくてですね、
すごい最高難易度の作業がシャッフリングというのがあるんですけども、
それができるのが私であると。
今日は暗号化して他のものからデータが読み取れないようにする技術を、
計算師っていうのが日々組織から命じられてやってるんですけど、
それを狙ってるファクトリーの記号士、これもうちょっとファンタジーっぽいんですけど、
でもファクトリーってそこに所属する人間が記号士って言われてて、
計算師と記号士が戦ってるみたいな感じなんですけど、
要は計算師としてはもうデータを盗まれないように、
どこまで暗号化できるかっていうのが勝負の肝で、
コンピューターとかを使ってるのはもう板地ごっこですぐ見破られちゃうので、
人間の潜在意識を使おうみたいな感じになって、
シャッフリングという技術が生み出されたみたいな感じですね。
そうですね、結構構図は分かりやすくて、
システムとファクトリーという組織と工場という表記なんですけど、
この2つがもうそれぞれあって巨大な組織として、
そこがやり合っていると。
その中で私は計算師というシステム側の人間であると。
今回博士からそもそも呼ばれて依頼を受けるわけですけども、
その博士が独自に研究をしていて、
その研究というのが骨から、動物の骨とかから音を出したり抜いたりするという実験をしていて、
その実験データを記号士に盗まれないために、
私にシャッフリングをしてほしいという、そういう依頼になります。
本来シャッフリングというのは使ってはいけないということになっていて、
小説の中でもなぜ使ってはいけないのかという明確な理由は述べられてないんですけど、
ただその組織として禁止扱いにはなっているんですけど、
ただ博士が組織から既に使用許可をもらっていて、
今回は特別に使っていいよということで、
私がシャッフリングをすることになったと。
この博士の依頼を受けて、計算師の私がシャッフリングを行うというのが一つ話としてあります。
もう一つがですね、さっき大地さんの話で、計算師と記号士がそれぞれ技術争いをしているという中で、
この図書館で一角獣の図骨を調べてくれた女の子が、
図書館から本を主人公私の家に届けに来てくれるんですよ。
で、そこで一緒にご飯を食べることになるんですけど、
この子がめちゃくちゃ、すごい綺麗な子らしくて細い子らしいんだけど、
めちゃくちゃ食べるんですよね。
私が結構料理上手で、2,3日分の料理をとりあえず作っちゃって保存しとこうみたいな感じで作ったのを、
ペロリと全部食べあげる。食欲のある女の子で。
なんかそこ読んでるとめちゃくちゃお腹減りました。
あーすごいわかる。
ここなんかその場面でホワイトアスパラガスを食べる。
あーあったあった。
のがあったんですよ。
これね、その次の日にスーパーで買いましたね。
ホワイトアスパラ買ったんだ。
ホワイトアスパラ創設の影響を受けちゃいましたね。
もうなんかすげー腹減って、これなんか真夜中深夜読んでたんですよ、このシーン。
で、もうなんかお腹空いたからなんか食べようかなと思ったけど、さすがにちょっと我慢しましたね。
あとお酒も飲みたくなっちゃって、ちょっと。
あー図書館の女の子もそうだし、
その前は博士の研究所であのサンドウィッチを食べるシーンとか、
なんかそこのサンドウィッチの描き方がすごいなんかね、めっちゃ美味しく描かれていて。
あそこもお腹減ったなー。
なんかサンドウィッチ食べたくなりましたよね。
なんか最高のサンドウィッチだったみたいな感じでしたよね。
そうそうそう。
なんか主人公がサンドウィッチにめっちゃこだわり持ってて、
でそのこだわりのほんの期待にめっちゃ応えてくれて、最高のサンドウィッチが出てきたっていう。
その後なんかどっかでパサパサのサンドウィッチ食べる時の描写もひどかったっすもんね。
あとあの結構やっぱり大男とチビの二人組が部屋にやってきて、
もう待ちたく間に私の部屋をぶっ壊してくるんすけど、
で最後腹を、お腹に傷をナイフでバッて切って、
この辺りの展開も、もうただ受け入れるだけの私っていう、
ちょっとあれもなんか非常にハードウェルドで。
ハードウェルドしてますよね。
うん、すごい。
ほんと、これちょっと後で話すと思うんだけど、チャンドラっぽいっすよね、この辺ね。
あのレイモンド・チャンドラのフィリップ・マーロンみたいな立ち振る舞いをするなと思って。
特にそれを感じたのが、博士の研究所に出てきて、
一回家に戻るんですけども、
それでタクシーに乗って自分の家のあるアパートに戻っていく、
一連の描写があるんですけども、
この中ですごい私の心の声とかも出していて、
なんかそれすごいチャンドラの描く、なんかマーロンっぽいような。
この小説ですごい特徴的なのが、博士の孫娘なんですけども、
この孫娘がすごい個性がめっちゃあるキャラクターで、
全身ピンクのファッションで、
しかもすごい優能、万能というか、
何でもできてしまうという、まだ17歳なんですけど、
とても17歳には思えないような、
すごいしっかりしていて、優能な人間で、
なおかつ太っているという、すごい個性的な人なんですけども、
ちょっとこの上巻の最後の方に、
娘が自分のちょっと過去の話をすることがあって、
小さい頃、幼少の頃に入院、
心臓に問題があって、この孫娘が入院していたんですけども、
でも、まだ引き剥がしたばかりの僕と影は、
繋がりが強いので、なかなか門番から会わせてもらえません。
本当はたくさん話したいけど、自分の影と話したいけど、
僕はなかなか話すことができない。
仕事として夢読みという仕事をさせられているという状況ですね。
この夢読みという仕事なんですけど、
図書館に古い一角獣の図骨がたくさん並んでいて、
その図骨から古い夢を読み解いていくということをさせられます。
夢読みとしての僕が、図骨を触っていくと、
なんていうか吸い出せるような、そんな感じの能力を与えられていて、
その仕事をしていくと。
その図書館には番をしている女の子がいて、
その子に僕は惹かれていく。
この物語は季節は秋から始まり、冬に向かってきます。
冬になっていくと、この寒さで影は急速に弱まっていき、
死んでしまうんじゃないかと言われています。
そんなのが世界の終わりの話ですね。
なんか世界の終わりは本当ちょっとファンタジー要素があって、
これはこれで、すごい魅力的な設定というか世界観ですよね。
そうですよね。
ハードボールドワンダーランドが結構、
なんか冒険活劇っぽく、本当に上巻は描かれていて、
あの展開がスリリングで早いんですけど、
交互にこれ、ハードボールドワンダーランドの世界の終わりが描かれていくんですけど、
一方で結構展開の早い活劇が描かれていて、
こっちは割と静かな世界が、終わりに向かっていくような世界がちょっと描かれていて、
ちょっとその大品も読んでいると結構いいですよね。
ハードボールドワンダーランド、本当なんかスルスル読んでいけるんですけど、
世界の終わりはなんかじっくり読まないと入ってこないというのがあって、
これがすごいいいんですけども、
やっぱりちょっと世界の終わりは現実世界とは違うところがいろいろあって、
逆にそれがいいかなって思えるんですけども、
例えば主人公の僕が夢読みの資格というのを得るために儀式みたいなことをするんですけども、
それが町にいる門番という人がいて、
その門番が僕の眼球ですね、目にナイフを刺して傷をつけると。
それは実際は痛くはないんですけども、
そうやって目に傷をつけることで日光を見ることができなくはなるんですけども、
その代わり夢読みの資格を得て作業ができるようになるとかですね。
この辺の設定とかもすごくちょっと不思議ではあるんですけど、
より世界観を出していていいなあって思えたりしますね。
昼歩けないからサングラスかけて移動したりはできるけど、
日の光を見るともうダメージを受けるような目になっているっていう。
個人的に好きなのはこの登場人物で大佐という老人が出てくるんですけど、
結構この人好きになって、
最初出てきた時、僕とチェスをしながら会話をしているっていうシーンがあるんですけども、
大佐の言葉の一つ一つにすごい願蓄があって、
僕はまだこの世界ってどういうものなのかっていうのを完全には分かっていないので、
大佐にいろいろ聞いたりするんですけど、
そこに対してすごい答えがいいんですよね。
なんか大佐がチェスやってて、
で、まだチェスやりに行われていない僕が負けそうになるじゃないですか。
でもこうすればあと5手は稼げるぞみたいなとか、
最後まで諦めなければ状況が変わるかもしれないみたいなことを大佐が言い出して、
それで僕がそうやって時間を稼いだりとかするじゃないですか。
そことかちょっと結構面白くて好きで。
なんかそれがどこだっけな、忘れちゃったけど、
ハードボルトワンダーランドにも同じようなセリフ出てきて、
最後まで諦めなければチャンスが巡ってくるかもしれないみたいな。
あー、ありますね。
同じような話がちょっと出たりとかして、
リンクしてるなーとか思ったりして、
そのあたりちょっと面白かったね、大佐の言葉。
だから大佐はすごい直接的に物を言ってくれる人で、
結構好きな言葉が、僕が鍵を捨てたことに後悔はありませんかと大佐に質問して、
そしたら大佐が後悔はしない、後悔したことは一度もないよと、
なぜなら後悔するべきことがないからだと、
理由に確かになっていると思うんですけども、
こういう言い回しってすごい結構直接的な言い回しをしてくれるんで、
大佐のセリフのところとか読んでて楽しかったですね。
この関係結構いいですよね、大佐と。
毎朝食事をしたりとか、チェスしながらいろんな話をするんで、
なんかこういうのが村上春樹の作品ではいいなって思って、
こういうちょっと名誉の立場の人と主人公が話して、
そこの会話が結構いいみたいな、他の作品にもあることなんで。
結構世界の割は平和な世界として描かれていて、
周りもいい人たちいますし、
ただ僕がなんでこの世界に来たのかっていう、
そこの記憶がなくてですね、
その来た意味を考えたりするんですよね、だんだんと。
で、だんだんこの世界の終わりという、
この街は何なのかと考えていくにつれて、
なんかすごい最初は穏やかな静かな世界で描かれているんですけど、
それがだんだんちょっと危機的な状況に感じるようになってきて、
結構この辺の悲壮感というか、
そこが結構読んでて、
だんだん世界の終わりも話が動いていく感覚ですね。
ハードボイルドみたいにちょっと雲行きが怪しくなっていくというか。
そう、なんかすごい静かな世界なんだけど、
妙な不気味さをずっと抱えているみたいな。
壁に囲まれてるから、すごいそれもあるんだろうけど。
なんとなくなんですけど、今回読んでみて思ったのは、
ハードボイルドワンダーランドは、
さっきも話したレイモード・チャンドラ、フィリップ・マー・ローが主人公みたいな感じの小説で、
すごい描写もですね、そういうのが多くて、
なんか妙にタフだったり、
私の考え方も結構フィリップ・マー・ローっぽくて、
チャンドラ作品読んでるのかな、みたいな気持ちにさせてくれて、
で、一方で世界の終わりはものすごく淡々としてて、
その中で自分が何かを探そうとしているような、
まぁちょっと近いかな、
その完全に一致するわけではないんですけど、
前このラジオでも紹介したことある作品なんですけど、
リチャード・ブロディガンのスイカ堂の日々になんとなく似てるかな。
終わってしまった世界とか、
あとちょっと無欲な感じの人々がその街に住んでるんで、