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手袋を買いに、にいみなんきち、寒い冬が北方から狐の親子の住んでいる森へもやってきました。
ある朝、ほら穴から子供の狐が出ようとしましたが、
「あっ!」と叫んで、目を押さえながら母さん狐のところへ転げてきました。
「母ちゃん、瓶に何か刺さった。抜いてちょうだい。早く早く!」と言いました。
母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、
目を押さえている子供の手を恐る恐る取り除けてみましたが、何も刺さってはいませんでした。
母さん狐は、ほら穴の入り口から外へ出て初めて訳が分かりました。
昨夜のうちに真っ白な雪がどっさり降ったのです。
その雪の上からお日様がキラキラと照らしていたので、雪は眩しいほど反射していたのです。
雪を知らなかった子供の狐は、あまり強い反射を受けたので、目に何か刺さったと思ったのでした。
子供の狐は遊びに行きました。
まわたのように柔らかい雪の上を駆け回ると、雪の粉がしぶきのように飛び散って小さい虹がすっと映るのでした。