にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT自体の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、「マルチメディアという考え方。IT伝誌を読む」の23回目です。
前回は、今僕たちが毎日使っていて当たり前となっている、ワールドワイドウェブの始まりについて話しました。
ワールドワイドウェブは、ドキュメントの共有から始まりました。
この頃のドキュメントというのは、テキストベースであることが暗黙の了解でした。
インターネットが使えるようになる以前に、パソコン通信というものがありました。
パソコンからテキストベースの掲示板システムに接続し、原則として文字のみでユーザー間の交流を行うものです。
原則としてというのは、ファイル転送ベースで画像やソフトウェアのやり取りもできなくはなかったからですが、
それらを見たり使ったりするのはあくまでダウンロードした上でパソコン上で行うもので、
それらをダウンロードする操作もテキストで行い、今のようにテキストと画像を混合した状態で情報を見られるようにはなっていませんでした。
そのような頃、マルチメディアという言葉がバズワードになりました。
パソコン通信が始まった頃は、パソコン自体が原則としてテキストを扱うものでした。
Appleのマッキントッシュのように、最初から画像を表示できるようなものはまだ一般的ではなかったのです。
マイクロソフトがMS-DOSの拡張としてのWindowsを供給し始め、やっと文字以外の情報を曲がりなりに扱えるようになり、
画像も扱えるという状況になったのです。
要するにパソコンで写真が見られるようになったということです。
そのような画像を含んだ情報の供給は、雑誌の付録のCDを使って行われるようになりました。
CDは音楽用のメディアと思われていた時代です。
そこに画像データやプログラムファイルが入ってくるというのは画期的です。
CDドライブが付いたパソコンは、テキストも画像も音も扱えるという意味で、マルチメディアパソコンと言われた訳です。
ここで起きていたことは、あらゆる情報をビットで表すというデジタルの世界への移行でした。
ただ、コンピュータを早くから触っていた僕や、コンピュータシステムに携わっていた同僚も、まだそのような認識には達していませんでした。
アナログデータを扱えるようにするのがマルチメディアだと思っていて、
イメージデータをコンピュータに取り込むシステムを開発している技術者に、
全部デジタルデータにしないとマルチメディアにならないと言われて、目から鱗が取れるような思いをしたくらいでした。
それほどテキスト以外のデータを扱うには高いコストを払う必要があったのです。
雑誌にCD-ROMが付録で付いていた頃、まだ一般の人々が写真をデータ化する方法はありませんでした。
もちろん音声も動画もそうで、専用のメディアに記録して撮っておくのが当たり前でした。
それらをパソコン上で統合的に扱えるというのは夢の世界だったのです。
その可能性に道を開いたのが雑誌の付録のCD-ROMで、
インターネットでワールドワイドウェブが使えるようになって本格的にマルチメディアに手が届くようになり始めたのです。
ワールドワイドウェブが使えるようになった当初、アメリカの大学が研究室のコーヒーメーカーの画像を配信していました。
今ポットにコーヒーがあるかどうか足を運ばなくても分かるという洒落たデモみたいなものでした。
定期的に更新される静止画でしたが、これを世界中から見られるということにかなりワクワクしたものです。
ほどなく音のデータを送るとか、動画を送る実験も始まりました。
全てをデジタルにしてやり取りできる、本当のマルチメディアの時代が始まったのです。
ただ、画像のデータは当時のネットワーク環境には大きすぎました。
コーヒーメーカーの画像も不鮮明でかなり小さなものだったのですが、
通信するのにそこそこコストと時間がかかり、近未来を想像するワクワク感にお金をかけることができる一部のオタクの趣味の世界だったわけです。
まだまだネットワークで直接アクセスするのは高価すぎたので、CD-ROMが雑誌の付録に付いていたわけですね。
では、どれくらい高価だったのでしょう。
次回から、コンピューターでネットワークにアクセスする方法の進化についてお話ししようと思います。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。ではまた。