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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、「札幌の西の地域の開拓。地図も読み物だからな。」の6回目です。
前回は、札幌中心部の東側にある豊平川の、さらに東側の地域の開拓に関わる地図を読んでみました。
今回は、中心部の西側の地域の地図を読んでみようと思います。
札幌文庫別冊の札幌歴史地図明治編には、ことに丁寧地域の個地図が掲載されています。
現在の札幌では、西区・丁寧区に相当する地域です。
いくつか掲載されている地図には一つの特徴があります。
地図の名前を列挙してみましょう。
屯田兵司令部
気づいたと思いますが、屯田兵という名称が出てきますよね。
それと、これまで紹介した地図にも現れましたが、
〇〇藩氏族という言葉もあります。
これらの言葉が表すものは何でしょう。
北海道には、わりと早くから開けた地域と、計画的に開拓を進めた地域があります。
南西部は江戸時代から商業を中心に開けていました。
江戸時代の航路は日本海側で発達していました。
幹線と言っていいのが北前船です。
大阪から瀬戸内海を通って北九州を通り、
そこから日本海の各地の港に寄りながら、北海道の西・東に向かい、
遠くはエトロフ島までの航路が作られていました。
札幌の近くで拠点となる港町は小樽です。
ここから北海道の奥地に向かい、
北海道全体の開拓を行うための中心地として定められたのが札幌です。
ということは、小樽と比べて札幌は後から開発されたことになります。
そして開拓の当初は明治維新で職を失った武士階級が新天地を求めて開拓に入りました。
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その状況が仙台白石藩や福岡県の氏族の土地割り図として残されているわけです。
その後国策として北海道の開拓に力を入れることになったわけですが、
これには二つの側面がありました。
一つは文字通りの開拓です。
もう一つは国土の防衛という側面でした。
江戸時代まで日本の北東に関心を持つ人は多くありませんでした。
寒い不毛の地というイメージが強かったのだと思います。
しかし江戸時代の末期には、北から当時は謎であった外国人と度々接触するようになりました。
それはロシア人でした。
江戸時代の幕府は案外西洋の情報を入手して分析していました。
その様々な情報から、日本の北辺の警備を固めないとまずいという考え方が出てきます。
そこで一部の藩に北海道や唐太、北方領土の調査と警備を命じています。
西洋の列強の動きが決定的になったのを理解したことをきっかけに明治政府が成立しました。
明治政府は早速北の守りを固めることを決定したわけです。
そこで開拓を行いながら、北辺の防衛を行う屯田兵を入職させることにしたのでしょう。
その原型は元武士の入職で、当初は藩が行っていたものを正式に国の政策として実施することにしたもののようです。
明治維新後には、氏族は一般の市民となったこともあり、屯田兵は広く一般市民から募集するようになりました。
開拓しながら兵士として戦う訓練も受けていたわけです。
そういう背景を理解して地図を見てみると、屯田兵村の特徴が読み取れます。
きっちり区画された入職地の中に、拠点となる役所のようなものがありますが、そこには司令部という名前がついていたり、そのそばに練兵場があったりします。
今回話している地域ばかりではなく、北海道各地の屯田兵村はほぼこのような形になっています。
今でも開拓地の名残がある街並みがあります。
歴史の長い小学校のそばには公園があり神社があります。
役所の出先や消防・警察関係施設もよくあります。
これらの街並みから当時の人々がどんな思いで開拓に従事していたのか想像することができるんですね。
ちょっと長くなりましたが、明治の終わりの頃の札幌の西の地域の風景について描いた文章で、僕の印象に深いものを紹介します。
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空は低く曇っていた。
目を遮るものもない荒野のところどころには神社の屋根が見える。
名も知らぬ漢木の創生したところがある。
沼地がある。
そこには露敵の風に騒ぐ様が見られた。
ふと、二丁とは離れぬ小溝の淵のあぜ道を、うかげの犬を共連れた男が行く。
犬が不意に駆け出した。
男はひざまずいた。
その前に白い煙がパッと立った。
涼風だ。
露敵の中から鴨らしい鳥が庭、横ざまに飛んでいくのが見えた。
その向こうには漢木の林の前に、呆然ぼんやりと立って汽車を眺めている農夫があった。
これは石川拓木の札幌という文章からの抜粋です。
当時の景色が頭に浮かんできませんか?
石川拓木は独特のスタイルの短歌で有名ですが、こんな感じの文章もいろいろ残しています。
当時の北海道の様子が想像できるものがいくつかありますので、ぜひ青空文庫で読んでみてください。
次回は再び札幌中心部の発展の地図を読んでいきたいと思います。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。 ではまた。