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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、o'clock の o' って何の略なの、ということですね。
この、it's 6 o'clock っていう時の、この o'clock っていうのは、o'clock という風に、o'で綴るわけですよね。
そうすると、これ、何かの略だろうという風に思うわけですね。
ですが、大抵、これを習わずに、時間を表す表現、ちょうどの場合は、it's 6 o'clock のように、o'clock をつけるんだという風に、習っておしまいということだと思うんですね。
clock っていうのは、よくわかる。これ時計だ。
だけど、o'って何なのかっていうことは、明示的には、教わらないことも多いんじゃないでしょうか。
これ、語源辞書であるとか、辞書の語源なんかを見てみると、すぐわかるんですが、大抵、o'clock の略だという風に書いてあるんですね。
o'clock ということですね。
時計の、ということです。
時計について、ぐらいの意味でしょうかね。
確かに、そのつ、of ということなんですね。
この、v の部分が、シーンが、よく使われる表現なので、消えて省略化して、つづり状は o' で、発音状は o' o' という形で、o'clock となるというのは、これは間違いではないと思うんですね。
例えば、it's 6 とただいうと、もちろんこれで6時ってわかるんですけれども、ちょっと座りが悪いんですね。
半端な数であれば、例えば、6時半とかだったら、it's 6.30 とか、6.15 とか、6.45 とか、6 のあたりに何かがつくんで、座りがいいんですね。
ただ、it's 6 というと、なんとなく物足りない感じがするんで、ちょうどですぐらいの意味合いで、of the clock に相当する表現を入れると。
そうすると、いわゆる時計の針が、時計でいうところのちょうど6時のところを指しているということで、事実上、これ6時00分ちょうどだという意味になる。
6時何分とあるんであれば、その何分の部分がちゃんと発音されるわけなんですが、ちょうどの場合はこういう表現がない。
これではちょっと座りが悪いので、of the clock というのを入れてみようぐらいの意味合いだと思うんですね。
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数字っていうのは、例えば 6 っていうと、これ 6 時という意味にもなりますし、例えば、文脈によっては 6 人という意味にもなりますね。
例えば、We are a family of 6. 6 人家族です。というときの 6 ってのは、We are a family of 6 people ということなんですが、6 人という意味ですよね。
それから、She is 6 っていうときは、彼女は6歳ですという年齢になりますよね。
6 だけだと座りが悪いので、結局、She is 6 years old と言ったり、She is 6 years of age みたいに、年齢についてですよ、みたいな意味の of age を添えたりするわけですよ。
これとちょっと近い感覚で、It's 6 o'clock っていうのは、It's 6 of the clock なんで、時間としてのことなんですが、6ですよ、つまり6時ですよと。
年齢のことではないですよ、というような、いわゆる添え文句として、限定文句として、of the clock をつけるみたいなことから発生したんだと思うんですね。
なので、今となっては、clock っていうと、12を帳針が指している、つまり何時ちょうどという意味になっているんですが、もともと別にそういう意味ではなくて、
時計の針の向きとしては、3時だよということで、結果的に何時ちょうどを指す、00分のことを指すようになったということなんですね。
この表現が最初に現れたのは、英語史を紐解くと、14世紀後半の英史の父、英語の詩ですね、英史の父と呼ばれるジェフリー・チョーサーに最初出てくるんですね。
10 of the clock it was so as he guessed it、という形で出てきます。これはですね、私が思うに、その時、時間としては10時だった、というような表現ですね。
10 of the clock it was、というふうに、当時が起こっていますが、つまり、it was 10 of the clockという言い方ですね。
10時ちょうどだったということなわけなんですけれども、このチョーサーでは、実は他にいろいろ見てみると、同じような表現はあるんですが、
必ずしも、ofではないんです、使われている前字が。
例えば、ofが弱まったと考えられるofですね、つまり、of clockのofもあるんですが、atというのも用いられているし、そのatが弱まったのかなと思われるaというのもあるんですね。
さらに、theがあったりなかったりするんです。
つまり、of the clockとか、of clock、at the clock、at clockであるとかですね。
他には、例えば、onというのもありますね。on the clockなんていう言い方も、この時代にはですね、出てくるんですね。
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いろいろとバリエーションがあったということなんです。
この語源辞典であるとか、辞書の語源欄を見ると、of the clockから来てるんだという言い方になっていると思うんですね。
で、o-c-l-o-c-kとなっているんですね。
これ、間違いではないんですけれども、ちょっとミスリーディングなところがあって、つまりですね、of the clockですよね。
これがof clockになるためには、ofのvが消えないといけないし、さらにtheも消えなきゃいけないっていうことになって、
実際、消えたわけなんですけれども、これ、vとtheという2つの消えなきゃいけないものがあるっていうのは、結構距離が遠いと思うんですよね。
実態はですね、of clockという表現からvが消えたんだと思うんです。
このof clockという表現は、じゃあどうやってできたのかというと、確かにof the clockのtheが省略されたのかなと思うわけなんですけれども、
つまり、ひとっ飛びですね、of the clockからo clockになったわけでは、決してないっていうことですね。
考えてみれば、それそうだっていうことになるんですが、
大抵このo clockの語源として、of the clockというものが辞書に載っているので、これが省略されてo clockになったんだということなんですが、
ひとっ飛びになったわけではなくて、その間にまずtheが消えてとかvが消えてとか、そもそも最初からtheがなかったバージョンだってあるわけなんで、
ですから、of the clockが本当に語源なのかはよくわからない。of clockと考えた方がいいんじゃないかということもあるんですね。
この辺は語源の細かい議論ではありますけれども、重要なポイントだと思うんですね。
じゃあ、of clockが省略されたものとしてo clockになったんだと言うんですが、ofのvが省略されたものっていうのは他に何か表現あるのかっていうと、実はそんなにもないんですね。
ただ、ゼロではありません。
例えば、いまかぼちゃのちょうちん、jack o' lanternとありますね。jack o' lanternというふうにハイフンでつないで、いちごのように例のかぼちゃのちょうちんの意味で使われますが、このjack o' lanternのoっていうのは、これをofなわけですね。
他には鬼火ですね。これはwillow the wispといいますか、これはwillow' the wispとなっていますが、これは当然ofですね。
will of the wispのvが消えて包まった形でwillow the wispという形で、他にもですね、o clock以外にも一応あるっていうことはある。
もっと多いのは実はonです。onのnが消えて、うっ、うっ、うっという形になって次のことを接続する。
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ただ、onの省略と言いますかね、nが消えた場合には、o'みたいな綴り方をしないので気づかないだけです。
かえってはo'とかwillow' the wispっていうのはall'なんで、何か省略されてるなと気づくのが分かりやすいわけなんですが、onの場合大体気づかないんですね。
ですが実はいっぱいあります。
例えば、副詞aとか前置詞のaboard,about,above,again,alive,amid,around,asleep,away。
このaっていうのは実はonが短くなったものなんです。aで書きますが、a'とならないところがまあmisoっていうことですね。
それではまた。